赤澤内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和7年2月27日

(令和7年2月27日(木) 18:52~19:04  於:中央合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 本日は国内投資及び輸出の促進について議論を行いました。我が国経済は現在、「賃上げと投資が牽引する成長型経済」へと移行できるか否かの分岐点にあります。総理が冒頭の挨拶で述べたとおりで、我が国のものづくりの強みを活かして勝ち筋を追求するとともに、地方のサービス業の生産性の向上といった課題の克服が必要であります。
 先月、経団連の十倉会長が表明をされました、「2030年度135兆円、2040年度200兆円」という野心的な国内投資目標を官民で必ず実現し、政府としてもGX・DX・経済安全保障等の分野で、国内投資への長期的なコミットメントを確実に実施をしていくということであります。
 本日の議論を踏まえ、以下の4点に新たに取り組むよう、総理からご指示がありました。
 第一に、中堅企業の創出・成長加速ということで、賃上げにつながる設備投資の支援でありますとか、販路開拓人材の確保と輸出支援でありますとか、研究開発の支援などといったことであります。
 第二に、新たな勝ち筋となる分野の挑戦の後押しということであります。ヘルスケア、防災など、ピンチをチャンスに変える。これは超高齢社会、災害大国といったピンチをチャンスに変えて、海外需要を取り込む分野での製品・サービスの開発・輸出を行う。それから、農林水産業、食品産業、あるいはコンテンツ産業、観光産業など、潜在力の高さが証明されている、かつ伸び代の大きい分野での取組の強化ということであります。
 第三に、国内投資のボトルネックの産業用地と産業人材の不足への対応ということで、GXの進展なども見据えた産業用地の確保、あるいは6月を目途とする産業人材教育のためのプランの検討といったことが挙げられます。
 また第四に、AI・デジタル技術がもたらす産業構造のゲームチェンジの主導権の確保。そして、高い信頼性が求められる分野での、我が国のものづくりの強みを活かした対応策が必要ということであります。新たな産業構造の将来像の提示と対応策の具体化、自動車政策の強化の検討、先端分野の研究開発成果を国内で産業化するための施策の強化、企業の積極的な投資のための企業統治改革・資本市場改革などであります。
 地域での成長投資と賃上げの環境整備を図るため、本日ご議論いただいた内容に加えて、今後、中小・小規模企業の生産性向上、価格転嫁、事業承継、M&Aなどの経営基盤の強化、地域の基盤的サービスの維持・強化、スタートアップなどについて議論を深め、本年6月の新しい資本主義実行計画の改訂を行います。
 私からの説明は以上でございます。本日の会議の具体的な様子については後ほど、事務方から説明させます。

2.質疑応答

(問)今回、中堅企業を取り上げているかと思うのですが、特別に中堅企業にフォーカスをされた理由を教えてください。また、中小を中堅企業に引き上げるということも大事かと思うのですが、政府としてどういった支援ができるか、こちらも教えてください。
(答)まず、中堅企業を取り上げた理由は、例えば設備投資でありますとか人材投資、更には給与総額といったものをつぶさに見た時に、今、申し上げた全ての指標で、国内経済の成長の牽引役となるポテンシャルを有しているという認識であります。他方で、輸出等の海外事業に対応できる人材の不足とか研究開発投資の不足など、その成長に向けた課題があることも事実であります。
 統計上で言うと、例えばドイツだと企業の規模にかかわらず研究開発投資をすごく行いますが、日本の場合はやはり規模が小さくなるに従って、それが細っていくみたいなところがあります。今でも、もう中堅企業はかなりリーディングヒッターというか、牽引役になっているのですが、そういうところを改めれば、もっともっと力を発揮してもらえるだろうということです。こうした中堅企業が更なる飛躍を遂げることができるように、今回、中堅企業の創出・成長加速にフォーカスを当ててご議論をいただいたところです。
 本日の議論を踏まえて、中小企業は中堅企業に、中堅企業は大企業に成長していけるよう、賃上げにつながる設備投資の支援に加え、海外市場を含めて自力で販路開拓できるような人材の確保とその輸出支援でありますとか、大学等と連携した研究開発を大胆に促す仕組みの検討など、その施策の具体化に取り組んでまいります。
(問)関連して今日の会議の議論について伺います。改めてになるのですけれども、石破政権における新しい資本主義の重要性であったり、位置付けについて、どう大臣として認識されているのかお伺いしたいです。あと、今日の議論を、春闘の集中回答日が近づいていますけれども、今後の賃上げや地方創生にどうつなげていきたいか、お考えをお願いします。
(答)石破政権では、岸田内閣が進めてきた新しい資本主義の取組を着実に引き継ぎ、更に加速・発展させることで、「賃上げと投資が牽引する成長型経済」を実現していくことを目指しております。この成長型経済の実現のためには、これはまさに「賃上げこそ成長戦略の要」と総理がおっしゃっていることでありまして、賃金が上がることが起点となって、家計の購買力上がることで消費が増え、その結果、物価が適度に上昇をする。それが企業の売り上げや業績につながり、更なる新たな投資を呼び込んで、生産性の向上といった形で企業の稼ぐ力が向上して、また賃金が上がっていくという好循環が必要であると考えております。
 この好循環の実現に向けて、本日は国内投資の促進策について議論をいただいたところで、本日、ご議論いただいた内容に加え、今後、中小・小規模企業の生産性向上、価格転嫁、事業承継・M&Aなどの経営基盤の強化、地域の基盤的サービスの維持・強化、スタートアップなどについて検討を深めて、地域での成長投資と賃上げの環境整備へとつなげてまいりたいと思っています。
 それで、いろいろな議論を新しい資本主義の下でやりますけれども、目玉はやはり賃上げと投資でありまして、今日はかなり投資の議論を申し上げたところでありますが、その中でも民間がリスクを取りづらい部分で政府がリスクを取って、中長期にわたって投資についてコミットするような枠組みでありますとか、そういうものをご紹介をしたり、また、今後ともピンチをチャンスに変えていく取組、あるいは潜在成長力が高いことが証明されている部分で伸び代大きいところ、いわゆる勝ち筋を追求していくとか、いろいろなことを申し上げる中で、日本経済の将来について、ここは確実に「賃上げと投資が牽引する成長型経済」に移行できるのだという確信を、経済界にも少しでも持っていただき、それを共有した上で、昨年のような勢いで賃上げをお願いしたいというのが、総理の締めくくりのご挨拶の一番最後のご発言です。
 そういう意味では、こういう投資に向けて、それを促進する政策を最大限に打っていく石破政権の下で、賃上げも是非よろしくお願いしますねという力強いメッセージを、会議全体として発信することができたというふうに考えております。
(問)石破大臣の発言の最初のほうのところで、「政府といたしましても諸外国における政策変更に揺るがされることなく」というようなフレーズがあったのですが、これは現下の環境を考えますと、トランプ政権の様々打ち出してきていることに揺るがされることなくということをおっしゃっているのかなと想像したのですが、ここの含意をもしお分かりだったら教えてください。
(答)これについては、一つ確実にあるのは、トランプ政権は発足したばかりで、その下で新しい政策が打ち出されている中で、政策変更があり得るという認識はもちろんあるのだというふうに思います。
 ただ、それだけに限らず、例えば中国経済一つ見ても不動産の不況といったようなことがあり、それを踏まえてどういう政策を打ち出してくるのということは我々の経済にとっても影響があるというふうに思いますし、欧州の経済を見てもドイツの経済が2年連続でマイナス成長だったり、いろいろなことがあって。アジア、北米大陸もそうですし、欧州も含めて諸外国の政策変更というのは少なからず私どもに影響を与えるので、そういうものを全体としてきちっと視野に入れながら、間違いのない経済財政政策を打っていきたいということをおっしゃったものと理解をいたします。
(問)年金改革関連法案についてお伺いします。一部報道で今国会での提出を先送りするというものがありました。被用者の適用拡大など年金改革、全世代型社会保障にも関わる部分だと思いますが、担当る大臣としての見解をお聞かせください。
(答)ご指摘のような報道があることは承知をしております。年金改正法案は今国会への提出予定法案として、現在、厚生労働省において、与党におけるご議論も踏まえながら、法案提出に向けた検討を進めているというふうに承知をしております。
 同法案の検討においては、改革工程に掲げられた項目であります被用者保険の適用拡大も論点の一つとなっております。全世代型社会保障構築の担当大臣として厚生労働省とも連携をして、働き方に中立的な社会保障制度の構築に向けて、今後とも改革工程に沿って取組を進めてまいりたいというふうに考えております。

(以上)