赤澤内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和7年1月14日
(令和7年1月14日(火) 12:01~12:16 於:中央合同庁舎第8号館1階S108会見室)
1.発言要旨
(冒頭発言なし)2.質疑応答
- (問)今月下旬に、いわゆるダボス会議がスイスで開催されますけれども、大臣の出席のご予定があるかどうかということと、出席される場合は、例えばどのようなテーマを中心に話し合いたいとお考えなのか。この辺りを聞かせてください。
- (答)来週1月20日から1月24日、スイス東部のダボスにおいて世界経済フォーラム年次総会、通称ダボス会議が開催される予定であると承知をしております。これまで主要国の首脳・閣僚、また、財界のリーダーなどが出席をし、世界経済、そして地球規模課題、科学技術、更には芸術なども含めて、大変幅広い分野をテーマとする様々なイベントが開催されてきていると承知をしております。私が担当しておりますマクロ経済政策に関するセッションも例年開催されていると承知をしております。官民を問わず、関係者の連携を強化し、様々な分野で国際社会の課題解決に向けた議論がなされることを期待しております。
政府側の出席者については、現時点において決まっていないと承知をしております。 - (問)防災庁など、防災対策について伺います。昨日13日に日向灘(ひゅうがなだ)を震源とするマグニチュード6.6の地震が発生し、南海トラフ地震臨時情報が発表され、調査が行われました。こうした地震が起きたことの受け止めと、地震などの災害が頻発する中で有識者会議の開催日程を含めて、改めて防災庁設置に向けたお考え、どう取り組まれるかお願いします。
- (答)昨晩、日向灘を震源とする震度5弱の地震がありました。地震があると、特に震度5ともなると、本当にその場におられた方たちは大変な恐怖を感じるものだと思います。心からお見舞いを申し上げたいと思います。
気象庁が発表しているとおり、今回の地震は南海トラフ地震の発生可能性が平常時と比べて相対的に高まったと考えられる現象ではなく、避難するための準備などの対応を呼びかける注意情報には至らなかったと承知をしております。
「天災は忘れる間もなくやってくる」。これは私が防災・減災、国土強靱化の分野で講演を求められるとずっとタイトルに使っている言葉です。寺田寅彦先生の「天災は忘れた頃にやってくる」を拝借して、「天災は忘れる間もなくやってくる」ということで申し上げています。南海トラフ巨大地震をはじめとして、首都直下地震、更には日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震、富士山噴火など、大規模災害の備えをきちっとしておくことは大事ですので、本気の事前防災に取り組む防災庁をしっかり準備して、設置していきたいと思っています。
本気の事前防災の中身ですけれども、避難生活支援、官民連携、デジタルなど、防災関係各分野において高度かつ幅広い知見を有する方々からなる有識者会議を開催して、内容を詰めていこうとしていまして、専門家の方々のご意見を賜りながら、令和8年度中の防災庁設置に向けた具体的な議論をスピード感を持ってやってまいりたいと思っております。 - (問)財政運営について1点お伺いします。今、2025年度のプライマリーバランス(PB)黒字化に向けて政府も動かれているところだと思うのですけれども、政府の中ではそのような財政健全化に向けた発言がある一方で、「経済あっての財政」というお言葉も同時にあって、そのもとに補正予算や当初予算も組まれていると思います。両方のベクトルの言葉が時たま出てくる状況だと思うのですけれども、今、大臣の財政運営についての考え方を改めてお聞かせください。
- (答)これは引き続き「経済あっての財政」という考え方のもと、力強く発展する危機に強靱な経済・財政をつくりつつ、財政状況の改善も進めていくということに尽きると思います。要はバランスです。「経済あっての財政」と申し上げるけれども、財政も当然あるわけで、ないわけではありませんので、要はバランスということだと思います。
総論を申し上げれば、我が国経済がコストカット型経済から脱却し、賃上げと投資が牽引する成長型経済に移行できるかのまさに分岐点にあるという認識は繰り返し皆様に申し上げているところでありまして、今年度補正予算と来年度予算はその移行を確実なものにするための必要な措置ということで我々は考えております。具体的には、賃上げに向けて企業の稼ぐ力を引き出すための官民連携によるAI・半導体分野とか、GXとかで投資促進のスキームをきちっとつくった上で、財源の手当てもしてものを進めようとしています。
地方こそ成長の主役であって、地方創生交付金の倍増など、地域の可能性を引き出す取組の支援、更には国民の皆様に安心・安全を提供するため、能登半島地震の教訓を踏まえた災害対応力の抜本的強化といったことなどに取り組むことにしています。同時に、経済再生と財政健全化の両立も重要でありまして、PBの見通しについては、今年度補正予算や来年度予算の影響も含め、今後の経済財政諮問会議で新たな中長期試算をお示しした上で、財政健全化の進捗を検証してまいりたいと考えております。
引き続き財政健全化の旗を降ろすことなく、PB黒字化を目指すという方針のもとで、歳出・歳入両面から取組を継続してまいります。冒頭に申し上げたとおり、「経済あっての財政」という考え方のもと、力強く発展する危機に強靱な経済・財政をつくりつつ、財政状況の改善も進めてまいりたいと考えております。 - (問)関連して、新年度予算ですと歳入もかなり税収が増えていて、それについて国民民主党から「取りすぎた税収を戻すべきだ」というようなご発言もあります。税収が上がっていることについて、今の大臣の考え方は何かありますか。
- (答)まず、経済について言えば、これは生き物ですから、いろいろな影響があり得ます。当然ながら能登半島地震のような災害が起きて影響を受けることもありますし、あるいは自動車の出荷が止まるみたいなことが起きることもあり、あるいは外国、中国の経済情勢とか、トランプ次期大統領の経済政策がどうなっていくのかとか、いろいろな影響があるので、なかなか税収が増えたからすぐに還元というような単純なものではないだろうと思っております。
一方で、税収が増えているということ自体は大変良いことでありまして、それについてどのように有意義に使っていくかということも真剣に考えていかなければいけないということかなと思っております。 - (問)先ほど、日本銀行の氷見野良三副総裁が講演されまして、その中で「来週予定されている1月の会合の中で利上げを行うかどうか政策委員の間で議論し判断したい」というご発言がありました。実際、来週の会合でどう判断されるかというのはこれからなのでしょうけれども、デフレ脱却を目指している政府の姿勢と日銀のスタンスは整合的なのかどうか。その辺りのお考えをお聞かせいただけますでしょうか。
- (答)結論から申し上げれば、よく連携が取れていると思っております。私どもは、まずデフレ脱却ということについて物価が継続的に下がっていくような状況は抜けた上で、後戻り・逆戻りしない状況にならないと我々はデフレ脱却とは言えないという定義で動いていますよね。それは、いろいろな経済指標を継続的に見て、これは安定的・持続的にデフレからは抜けているのだと、戻らないのだということを覚悟できないといけません。
一方で、日銀について言えば、金融政策の具体的な手法は全てお任せをしているわけで、物価安定目標2%に近づけていく具体的な手法は日銀で考えてくださる。私どもからすれば、アコードで申し合わせた内容についてしっかり取り組んでいただき、その成果が上がりつつあるという認識でありますので、そこについて言えば整合的というか、よく連携が取れているという評価ができるのだと思います。
日銀のほうで利上げを検討されることと、我々がデフレ脱却を現状においてもまだ目指しているという段階であるということは、何か矛盾するものではないと私は思っております。 - (問)一つ前の財政健全化と「経済あっての財政」とのバランスについてですけれども、今、少数与党の状況で、これから予算審議が控えております。その中で、予算を通すために野党の要求を飲まないといけない場面があるかと思います。そうすると予算の規模とか、当初予算に限らず増えていく可能性もあると思います。その中で政府としてどのように野党と向き合うか、予算とのバランスを考えていくか、お考えを教えてください。
- (答)これはそれぞれ動いていまして、今おっしゃったのは具体的にどこかの党を念頭に置いてお話をされていますか。
- (問)野党全般です。
- (答)そうであれば、私が承知している範囲では、103万円の壁の議論が続いているということを承知しております。加えて、確か3月末までの教育無償化について取りまとめるというような申し合わせが与野党間であったように承知しております。
いろいろなものが動いておりますが、ベースにあるのは我々は選挙で国民の皆様の声を受けて、ベストと思いこれまでやってきていますけれども、独りよがりではないのかというお灸を据えられたということだと思っています。これまでも野党の政策も当然ながら見てきたつもりですけれども、今まで以上に野党の皆様の政策や考え方を一生懸命我々も取り込んで、良いものがあれば実施していくという姿勢で、しっかり議論していくことをされているのだろうと思います。そこまで申し上げた上で、政府にいる立場としては、与野党間の協議を注視していきたいということを申し上げておきたいと思います。もしかすると教育無償化についての取りまとめは2月の中旬が目途。私は3月かと思っていましたけれども、違っている場合は申し訳ありません。そこは記憶が定かではないということにさせていただきたいと思いますが、教育無償化についても少なくとも年度内には取りまとめようという与野党の申し合わせがあるように思います。その辺りをしっかり注視していきたいと思っております。
(以上)