赤澤内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和7年1月10日
(令和7年1月10日(金) 9:38~9:48 於:中央合同庁舎第8号館1階S108会見室)
1.発言要旨
(冒頭発言なし)2.質疑応答
- (問)先日の日本記者クラブの会見でセブン&アイ・ホールディングスの買収についてお話されていたところがあったかと思うのですが、食料などを提供できるコンビニは防災上重要な意味がありまして、例えば外資の所有となった際にそのような側面に期待し続けられるのかといった観点を指摘なさっていたと思います。これについて、対日投資に関わる経済安全保障のリスクを議論する上で、防災上の観点はどれぐらい重視するべきなのか。そして、今回のセブン&アイ・ホールディングスの買収についてはそのような懸念が存在しており、慎重な検討が必要だと思われるかどうかを教えてください。
- (答)まず、私自身が、非常に長い記者クラブでのお話を聞いていただいた中ですので、どのようなことを言ったのか改めて確認をさせていただきました。その中で自分もそのつもりで言っていたのは、経済安全保障ということです。
まず一つ、概念の整理をさせていただくと、一般的には安全保障、外交という言葉を使った時は、最終的に安全保障は我が国の独立と平和に関わるような、自衛隊が防衛出動とかをするような類いの本当にシビアな話を念頭に置いているものですが、それと微妙に重なったり重ならなかったりするのでしょうけれども、経済安全保障ということを申し上げた時には私自身はサプライチェーンとか、そのような国民が生活必需品の類いをきちっと平時も有事も安定的に入手できるかとか、どちらかというとそちらのほうを考えています。そのような意味で、一昨日の会見で私が使ったワーディングは一貫して経済安全保障のことを申し上げていたつもりです。私が申し上げたこと自体が、私の言葉で言う安全保障の話とは切り離して経済安全保障の話をしていたつもりではまずあります。
その上で、防災庁設置準備担当でもあり、防災がライフワークでもありますので、一つ念頭にあったのは、能登半島地震においても、石破総理がTKBとおっしゃっていますけれども、温かい食事などがきちっとタイムリーに提供できるかどうかといったところには非常に関心が高いところがあります。今、防災庁設置に向けてしている議論の中でも、餅は餅屋というようなことを議論される方も多く、食品の提供について言えば、コンビニや物流業者の方たちの力をかなり借りたほうが首尾よくいくのではないか。
災害が起きた後の復旧・復興というものは、市町村の責務ということになっています。ただ、市町村が一人で頑張るというよりは、専門家で餅は餅屋という言い方をされる方が多いですけれども、そのような力をしっかり借りるべきではないか。今、政府としては、能登半島地震の教訓も踏まえて、被災者の方たちに温かい食事をしっかり提供するというのはどのような手段があるかをまさに考えている中で、コンビニや物流業者の皆様には期待するところが大だということがベースにはあります。その上で、経済安全保障の、まさにサプライチェーンの有事版、その時のことを考えると、コンビニはしっかり役割を果たしていただきたいという思いがあるというのが発言の背景であります。
具体的な意味したところということでありますけれども、個別の企業に対する海外資本参加については、一番メインの対象とする法律で言えば「外国為替及び外国貿易法」などがあります。それについての取り扱いに私が言及したものではないです。当然ながら閣僚はそれぞれ所管があって、今申し上げたように、私は防災庁設置準備の担当でもあり、防災をライフワークとする者であるので、そのような意味で自分の思うところを述べましたけれども、外為法の所管はご案内のとおり財務大臣であります。また、個別案件でもあるので、それについて何か私が申し上げたと、それについてこのように判断すべき、あのように判断すべきといったことを申し上げたつもりはありません。所管の財務大臣において適切に判断されるものだと思っています。
更にこの間の発言の背景を離れて言えば、石破内閣は内外からの投資を引き出す投資立国の取組、賃上げと投資が牽引する成長型経済をつくり上げることを経済政策の大きな柱の一つとしております。そのような意味では、我が国企業に対する海外資本の参入についても、外為法上の手続きが必要ではありますが、それについても奨励をするといいますか、しっかり進めていくべきものだと思っております。一般論としてですけれども、外為法は対外取引が自由に行われることを基本としつつ、国の安全の確保等の観点から最小限の規制をかけるものと承知しておりますので、それについては財務大臣が適切に判断をされるものだと理解をしております。 - (問)日本記者クラブのデフレ脱却絡みの発言で、一部、金融市場参加者の中で見方が分かれています。赤澤大臣としては、今、デフレに逆戻りと好循環の瀬戸際、真ん中にいるので今は慎重にというふうに強調されていたように私は受け止めたのですけれども、物価目標達成が結構近づいているというふうにもおっしゃっていたので、そこを切り取って、債券市場・為替市場などでは、「赤澤大臣による日銀利上げ青信号」のような受け止めでレポートも出ています。はっきりおっしゃれないのは百も承知ですけれども、改めて、どちらかというと慎重を期待していますということなのか、そうでもないということなのか、お話をお願いできますか。
- (答)百も承知の上であえてお尋ねになるということなので、私もお答えをいたします。まず、今、ワーディングが大事で、「瀬戸際」などと言うとそれだけで切羽詰まった感じがしますけれども、我々は「瀬戸際」と言っていません。言葉を覚えておられると思いますが、「分岐点」ということですよね。政策に基づいて、ここはどちらに行くのだろうと。我々はその分岐点をしっかりと賃上げと投資が牽引する成長型経済への移行に導いていきたい。一番悪いシナリオは、その正反対で、デフレに逆戻りすることになります。その分岐点をしっかり、国の将来が明るくなる方向に持っていこうということでやっているということであります。
デフレ脱却について言えば、物価が持続的に下落する状況を脱し、ここからがいつもポイントですけれども、再びそうした状況に戻る見込みがないことと定義をしております。デフレ脱却の判断に当たっては、再びデフレに後戻りする見込みがないことを物価の基調や背景を総合的に考慮して慎重に判断する必要があると思っております。
お尋ねの、一昨日の講演における発言は、一言で言えば、再びデフレに後戻りする見込みがないということを総合的かつ慎重に判断する必要性があり、その上で、その判断をもしした場合には、事柄の性格上、デフレファイトのために用意していた政策メニューはひと度、脇に置けるというか、我々はそれをずっと頭の中心に置いてやってきたけれども、ようやくそれからは解放されるということを私なりの言い方で申し上げたところのつもりです。
だから、何かデフレ脱却宣言が出たことをきっかけとして景気がいいほうに行くとか悪いほうに行くとかいうことを申し上げたつもりもありませんし、その点はニュートラルに、デフレ脱却宣言が出るような時が来たとすれば、我々はデフレファイトから解放された瞬間ということで、頭に置いている政策のセットについても入れ替わるというか。ただ、それは何か政策をそこですぐに発動するとか、そのようなことを言っているのではありませんので、その辺りはそのようなものとして受け止めていただきたいと思います。
長年の低物価・低賃金・低成長というデフレの悪循環の中で、過去30年にわたり物価も賃金も据え置きで動かない状況が続き、家計はデフレマインド、企業はコストカットの縮み志向が染み付いてきていますので、デフレマインドなどを払拭して、賃上げと投資が牽引する成長型経済に移行することが極めて重要であり、まさに分岐点とか正念場ということだと思います。
そして、政府として安定的な物価上昇のもとで、それを安定的に上回る賃上げを実現し、成長型経済への移行を確実なものとする。賃上げと投資が牽引する成長型経済というのは、別の言い方をすればそのようなことで、日本銀行とも密接に連携しながら、経済・物価情勢等に応じて機動的な政策運営を行っていくというポジションは何も変わっていません。全ての国民の皆様が、現在及び将来の賃金・所得と暮らしに安心・安全を感じられるように、引き続き経済財政運営に万全を期してまいりたいと思っております。
(以上)