赤澤内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和6年12月24日

(令和6年12月24日(火) 10:16~10:30  於:中央合同庁舎第8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 (冒頭発言なし)

2.質疑応答

(問)昨日12月23日に公表されたGDPの年次推計ですけれども、日本の1人当たりの名目GDPはOECDの中で22位となり、過去最低となりました。また、順位では韓国を下回ったとのことでもありますけれども、大臣のお受け止めをお聞かせいただけますでしょうか。
(答)昨日、令和5年度国民経済計算年次推計に関連をして公表した資料によれば、2023年の我が国の1人当たり名目GDPは米ドル換算で3万3,849ドルということで、ご指摘のとおりOECD諸国中22位ということです。おっしゃるように2023年もそうなのですが、どうも韓国で今年6月にGDP統計の基準改定を行った結果、さかのぼって2022年も日本は韓国を下回っているということになったということであります。ただし、米ドル換算の名目GDPなので、為替レートの影響を大きく受けることがあるので、そのような意味では留意する必要があります。
 長期的に見た場合、韓国の実質GDP成長率は高水準のR&D投資などを背景に過去20年間で平均3.3%程度、過去10年間では平均2.6%となっており、高い伸びを実現していることもあります。あとは、若干そこについては評価が分かれるところもあるかもしれませんが、かなり積極的に最低賃金の引き上げに取り組んでこられたということもあって、いろいろなその時に起きた経済事象とかをつぶさに分析をしながら、今、最低賃金引上げを目玉の政策の一つとして取り上げている石破政権としては、参考にしていく必要があるなと思っています。
 一方、我が国ではバブル崩壊以降、企業は短期的な収益確保のために、賃金や成長の源泉である投資を抑制し、いわゆるコストカット型経済に陥ったということです。何度も国会答弁等で申し上げていますけれども、国民の皆様の間にはデフレマインドが割と深く浸透しているところがありますし、企業の経営という意味ではコストカット型経済ということで、その二つが少し悪い循環を起こして、なかなかそこのvicious circleから抜け出せないということになっているという面があると思います。その結果、消費の停滞や物価の低迷、更には成長の抑制がもたらされ、実質GDP成長率は過去20年間で平均0.6%程度、過去10年間では0.5%程度と、韓国と比べても低い伸びが続いているということになります。
 しかし、ようやく約30年ぶりの高い水準の賃上げ、過去最大規模の設備投資、そういったことで明るい兆しが現れております。我が国経済はデフレマインドを払拭し、賃上げと投資が牽引する成長型経済に移行できるかの分岐点にあるということで、岸田政権が進めてきた取組を着実に引き継ぎ、更に加速・発展させることで、賃上げと投資が牽引する成長型を実現していきたいということで、それを目指しているわけです。その中でも最低賃金については、生活が豊かになったことを一人一人の国民の皆様に実感していただけるよう、岸田政権の取組を加速し、2030年代半ばに1,500円という目標、そしてそれを前倒しするということまでは岸田政権で打ち出しておられたわけですけど、その半分程度の期間である2020年代に実現するという、かなり具体的で高い目標を掲げて、これに向けてたゆまぬ努力を続けていくということにしております。
 来春に向けて、賃上げの原資となる企業の稼ぐ力を継続的に高めるために、持続的・構造的賃上げに向けた価格転嫁等の取引適正化の推進でありますとか、省力化・デジタル化投資の促進、人への投資の促進及び中堅・中小企業の経営基盤の強化、成長の支援、具体的には事業承継とかM&Aの支援なども入っていますけれども、そういった生産性を向上させるための支援策、更には下請代金支払遅延等防止法の改正などについて、今後更に精力的に勢いを増していくといいますか、具体化をしていきたいと思っております。
(問)ラピダス株式会社の視察について伺います。大臣は明日12月25日にラピダスが北海道に建設中の半導体工場を視察されます。今回の視察の狙いと、今後、新しい資本主義で掲げている政策の実現にどうつなげていきたいか、お考えをお願いします。
(答)一言で言えば、12人いると言われますラピダスを立ち上げた侍たちが感じておられることに私が感化されたというところが大きいです。彼らは、かつて自分たちが胸を躍らせて、世界に冠たる半導体産業を日本でやっていた時期を知っている人たちで、その後、長らくそのような状況から日本は離れているのですけれども、もう一回、今の若手の人たちにそのような胸躍る経験を提供できるチャンスだということを言っておられます。私どもは、いろいろなお話を聞く中で、今はTSMC、Samsung、Intelの3社で世界を席巻しているということですけれども、最新の半導体で日本がその一角に割って入りたいと。具体的な目標という意味ではそのようなことです。そこに本当に夢をかけて全力で取り組んでいる同胞の空気を感じたいというか。
 具体的に申し上げれば、北海道千歳市に建設中の次世代半導体工場のハードを見せていただくということなのですけれども、別にハードがあるだけで人の気持ちが動くとか、そのようなものではないのでありまして、今申し上げたことに尽きると思います。
 いろいろなご批判もある中、「なぜ補正予算だ」とかいろいろ言われていますけれども、今後、2030年度までにAI・半導体分野に10兆円以上の公的支援を行い、10年間で50兆円を超える官民投資を引き出すというのが「AI・半導体産業基盤強化フレーム」でありまして、その中にラピダスも含まれています。次世代半導体、生成AIなどを実行する計算基盤の処理能力や電力効率の向上におけるキーテクノロジーということであって、次世代半導体、まさに将来の日本の産業競争力の基盤になっていく、その研究開発等の拠点が千歳工場ということです。
 先ほど申し上げたような技術者さんたちの魂というか、それはすごく感じるものがあったので、先月、小池淳義(こいけあつよし)社長から詳しく話を聞いた時には、私は大変感銘を受けたというか、ほぼ感動したということなので、我が国が再び世界の半導体市場をけん引するために、本プロジェクトの重要性を強く認識しておりますし、現地を実際に訪れ理解を深めたいと思います。
 更に申し上げれば、「なぜ補正予算でAIや半導体」みたいなことを言われる中でも、我々はそのような批判も恐れずにラピダスを応援する。だけれども、今申し上げたような世界の半導体市場の一角にもう一回、最先端に日本が食い込むようなことを実現してくれたら、それはやった甲斐も極めて大きいものがあります。我々の支援に丁重に謝意を表明してくださいますけれども、お礼を言うのは我々のほうだということを思っています。
(問)今国会の成果について伺います。今日で臨時国会が閉会しますけれども、少数与党として臨んだ今国会の成果についてお考えを教えてください。
(答)いろいろな面で成果のあった国会だと思っております。何度も皆様にお話をしていますけれども、先般の衆議院選挙で国民の皆様方から厳しい審判、私の言葉で言う本当に熱くてつらいお灸を据えられたということであります。一言で言えば、我々は国民のために誠心誠意ベストなものをつくり、その政策を実行してきたつもりですけれども、独り善がりでないのか、野党の言っていることもよく聞けというご指示を天の声、国民の皆様のご判断で選挙の結果として示されたと思っているので、他党の意見も踏まえ丁寧に議論を進めてきたつもりです。
 「完璧というのはありませんが、かなりそれに近い形というものをつくっていただいたなと思っております」と12月12日のぶら下がり会見で、石破総理が「熟議の国会」についてそのようにおっしゃっています。我々も石破総理と同感でありまして、当然ながら今までも見てきましたけれども、野党の皆様の主張に今まで以上に真剣に向き合って、我々が足りないと国民の皆様から言われるのはこのようなところではないかと思う部分を一生懸命に採り入れてやってきているということです。ハング・パーラメントと言われますけれども、そのような状況の中で日本の民主主義というか、国会の在り方が一歩前進したところはあるのではないか。今国会の成果という意味では、それが初めて現れた一歩目ということかなと思っています。
 当然触れなければいけないのは、私の担務であります経済対策を取りまとめたものを裏付ける補正予算が12月17日に成立いたしました。これも各党が精力的に議論をしていただき、その中でも、当然のことながら、誰が見ても本年で一番苦しい思いをされているであろう能登の皆様のなりわい再建とか、生活をきちっと立て直していくための復旧・復興予算というものには最大限の目配りをいたしましたし、引き続き物価高で苦しい思いをしておられる国民の皆様を生活・お仕事両面で支えていくことに加えて、コストカット型経済から脱却し、デフレに後戻りせず、賃上げと投資の牽引する成長型経済への移行を確実なものにすると。
 端的に言えば、全国津々浦々で賃金や所得を増加させようという地方創生2.0とか、将来の賃金・所得を増加させようという投資立国・資産運用立国といった考えに基づいた予算もきちっと盛り込んだものであります。この政策はしっかり予算が成立した以上、国民の皆様方のお手元に速やかに届けられるよう、全力で取り組んでまいりたいと思っております。
 政治改革関連は基本的に各党・各会派でお話しいただくことなので、私からは申し上げないこととして、引き続き他党にも丁寧にご意見をいただきながら、可能な限り幅広い合意形成が図られるよう謙虚に、そして真摯に、国民の皆様方の安心・安全と豊かさを守るべく石破内閣の一員として与えられた職務に全力で取り組んでまいりたいと思っております。

(以上)