赤澤内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和6年12月20日
(令和6年12月20日(金) 18:42~19:05 於:中央合同庁舎第8号館1階S108会見室)
1.発言要旨
今日は報告事項は私から二つあります。一つは防災庁関連、一つは月例経済報告です。まず防災庁設置準備担当として1点、ご報告を申し上げます。本日開催された防災立国推進閣僚会議では、私から防災庁の組織づくりに向けて、本年11月1日に防災庁設置準備室を立ち上げ、令和8年度中の設置に向けた検討を進めていることや、専門家からご意見をいただくための有識者会議の開催について報告をしたところです。配布資料をご覧ください。災害対応の抜本的強化の方向性、本気の事前防災、司令塔機能ということ。あと、今後の進め方で、有識者会議ということで「防災庁設置準備アドバイザー」を設けるということです。開催予定については来年以降ということも書いてあります。実効性のある組織づくりに向けては、防災対策や被災地支援の知見を有する様々な方々のご意見を伺うことが重要であると考えております。
前にお話ししたことがあるかもしれません。私が2021年に内閣府防災担当の3回目の副大臣を務めていた時に、本当に渾身の五つの提言を出しています。内閣府防災はそれ以後、大体その五つの提言に基づき動いてくれています。その時にお力を借りた方たちが私の防災関係の知恵袋といいますか、アドバイザーとしてずっといたということは前提として申し上げておきたいと思います。
本日の閣僚会議における石破総理のご指示もいただきながら、防災に関する専門家の方々に防災庁設置準備アドバイザーになっていただき、有識者会議において政府として強化すべき防災施策の方向性や、そのために必要な組織体制の在り方等についてご意見をいただく。これは全てがベストの防災庁設置につながっていくと固く信じてやっているものでございます。
配布資料の2ページ目にある一覧のとおり、ここに名前を連ねさせていただいた方が防災庁の設置準備アドバイザーということになります。石破総理や坂井学防災担当大臣とも相談し、以前から私とともに防災政策を議論してくださった方々、特に、2021年に出した五つの提言をまとめるために五つのワーキングチームを置いて仕事をしていたわけでありますが、その時にお力を借りた皆様、それに、石破総理や坂井防災担当大臣からご推薦のあった方たちに加わっていただいて、避難生活支援、官民連携、デジタルなど、防災関係各分野において高度かつ幅広い知見を有する20名の方々がそろったということになります。スピード感を持って防災庁設置に向けた具体的な議論を進めてまいりたいと思います。
考え方として、毎回出ていただくのは委員という方でありまして、専門委員の方たちは本当に防災の大御所などいろいろな方がおられますが、地方に在住されていて、なかなかお忙しいなどいろいろなことがあるので、委員とされる方たち7名が毎回必ず出て、残りの方たちは得意分野といいますか、その方たちが日本一の知見を持っておられる分野についてお話を聞く時に参加していただく専門委員ということになっております。
2点目が月例経済報告であります。月例経済報告等に関する関係閣僚会議の概要をご報告いたします。今月は「景気は一部に足踏みが残るものの緩やかに回復している」という先月までの判断を維持しています。企業部門は業況感の改善が続き、設備投資意欲も旺盛であるなど、引き続き堅調であること、そして、家計部門についても賃上げの効果等により実質所得が増加に転じる中で、個人消費の持ち直しの動きが続いていることなどを踏まえたものです。
先行きについては、雇用・所得関係が改善するもとで、各種政策の効果もあって緩やかな回復が続くことが期待されます。ただし、中国経済など、海外景気の下振れリスク、米国の今後の政策動向による影響などに十分注意する必要があります。
加えて、私から閣僚会議で説明した内容について申し上げます。フルタイム労働者とパートタイム労働者を合わせた1人当たりの名目賃金を見ますと、所定内給与の伸びが着実に高まっておりまして、2%台半ばで推移をしています。ただし、事業所規模別に詳細に見ると、フルタイム労働者の所定内給与の伸びを見た時に、5人から29人という比較的規模の小さい事業所では上昇に遅れが見られるということに留意が必要だと考えています。また、就業形態別に実質賃金を見ますと、パート労働者の時給は昨年の半ばから前年比プラスがずっと続いております。また、フルタイム労働者の定期給与は2年7か月ぶりに前年比プラスとなっています。
企業が賃金改定に当たり最も重視した要素を確認すると、歴史的な人手不足感を反映して、人材の確保・定着、そして、雇用の維持を重視して賃金を改定する企業の割合が大きく増加し、1990年代初めのバブル期以来の高さとなっています。加えて、物価動向を重視する企業は1980年代後半以降ほとんどありませんでしたが、近年着実に増加しています。また、ビッグデータから見たパート・アルバイト労働者の募集賃金は、過去最大となった本年の最低賃金の引き上げを反映して、9月末以降、一段と増加しています。ただし、全国の平均募集賃金は時給1,184円ですが、一部の地域が平均値を引き上げている面もあります。8割以上の39県は平均を下回っています。最低賃金について、「2020年代に全国平均1,500円」という高い目標に向かってたゆまぬ努力を続けるとともに、平均値の引き上げだけでなく、1,000円を下回っている31県を中心に底上げを進め、地域間の格差を是正するという視点も極めて重要であると考えております。
2.質疑応答
- (問)先ほど、与党税制改正大綱が決定いたしました。焦点となっていた年収103万円の壁の見直しにつきましては、自民党、公明党と国民民主党の3党幹事長会談で178万円を目指して来年から引き上げるということで合意したと思うのですが、今日の大綱には20万円引き上げて123万円にするという記述にとどまる取りまとめになったと思います。与党と国民民主党とで今後も協議が続けられる見通しとなったということで、課題が残った形になったと思うのですが、今回の税制改正の結果について、大臣がどのように評価されているかということと、あわせて、今後に向けて期待などもあったら伺わせていただければと思います。
- (答)先ほど決定された与党税制改正大綱において、所得税の基礎控除の額が低額であることにより、物価が上昇すると実質的な税負担が増えるという課題に対応するため、物価動向を踏まえて基礎控除の額、これまでの48万円を10万円引き上げるとともに、給与所得控除の最低保障額55万円についても10万円引き上げるという方針が盛り込まれたものと承知をしております。今後、与党大綱を踏まえ、関係省庁において、政府の税制改正の大綱や法案に向け適切に対応することとなると考えています。
また、本日の幹事長合意において、12月11日に合意した内容の実現に向け、引き続き関係者間で誠実に協議を進めるとされたところであり、私としては政党間の協議の状況を注視してまいりたいと考えております。 - (問)大臣に2点お尋ねいたします。昨日12月19日に日銀が金融政策決定会合で政策金利の据え置きを決めました。これについての大臣のお受け止めをお聞かせください。加えて、現状維持の決定を受けて、為替市場では一段と円安が進行しています。国民生活であったり、今後の経済見通しにどのように影響するのか、大臣のお考えをお聞かせください。
- (答)まず、昨日の金融政策決定会合では、金融市場調節方針として政策金利無担保コールレート(オーバーナイト物)を0.25%程度に現状維持することが決定されたということであります。植田和男総裁が記者会見で発言されているとおり、様々なデータや情報を丹念に点検していく必要がある中で議論を深め、必要な金融政策の方針が決定されたと受け止めております。
政府としては、コストカット型経済から脱却し、賃上げと投資が牽引する成長型経済への移行を確実なものとするよう、経済財政運営に万全を期していくということだと思います。日本銀行には引き続き政府と緊密に連携をし、十分な意思疎通を図り、2%の物価安定目標の持続的・安定的な実現に向けて、適切な金融政策運営を行うことを期待しております。
受け止めということでしたけれども、為替相場や株式市場の動向について日銀の金融政策決定会合の結果も含め、私の立場からあまりコメントをすることは市場に不測の影響を及ぼす恐れがあるので、差し控えたいとは思います。いずれにしても、為替・株式市場の動向をはじめ、金融資本市場の動きについては引き続き十分に注視してまいりたいと思っております。 - (問)先ほどご説明がありました防災庁関連の有識者会議について伺います。資料には来年の1月以降開催となっていますけれども、開催頻度であったり、最終的に取りまとめなどもどのようなアウトプットを想定されているか、今後の進め方についてお考えをお願いします。
- (答)冒頭発言で申し上げたとおり、防災庁設置に向けた有識者会議のメンバーは避難生活支援、あるいは官民連携、デジタルなど、防災関係各分野において高度かつ幅広い知見を有する20名の方々にお願いすることとしています。開催時期については年明けに第1回会議を開催することを考えております。
令和7年、来年の夏ごろの取りまとめを目指して議論をしていきたいと思っております。回数については、先ほども申し上げたように7名の方が常時参加で、残りの方たちについて言うと、実際、その会議のアドバイザー会議そのものとして開くだけではなくて、別途ヒアリングとか、分科会というところまで形をつくるかよく分かりませんけれども、いろいろな形を考えながら。そのような意味で、第1回と数えた意味での何回となるかはまだ分からないといえば分からないです。
議題については政府として強化すべき防災施策の方向性や、そのために必要な組織体制の在り方等についてご意見をいただくということで、まさに組織体制の在り方などについて専門家からいただいたご意見が将来のベストな防災庁づくりに大いに貢献してくださるだろうということで、具体的な内容については会議における議論を踏まえて整理をしてまいりたいと思っています。 - (問)今、お話の中で、来年の夏ごろの取りまとめということでしたけれども、来年夏の骨太の方針に向けて取りまとめるということでしょうか。
- (答)そこは、私自身の考え方としては、何かしら骨太方針に盛り込んでおいたほうがいいものがあればきちっと盛り込みたいという思いはあるので、おっしゃったことも念頭に置きながら考えると思います。いずれにしても納得のいくというか、私のライフワークでもあるので、満足がいくような成果がまとまるタイミングがうまく骨太に合えば、それに合わせて流れはできるなと思いますけれども、必ずしも骨太だけを意識してやっているものでもないので、そこはまだよく分からないところはあるかもしれません。
- (問)冒頭の103万円の壁の議論のことで伺いたいのですが、今回、例年と違って、国民民主党、野党が協議に加わって与党の税制大綱が決まるという形になりました。
元々、税の決め方というのは、与党の一部の人たちが密室で決めているのではないか、国民生活に大きな影響があるのに、決め方が非常に不透明ではないかというような意見も一部で寄せられていたと思います。今回、国民民主党が加わることで透明性が高まった、決定過程が変わったという見方がある一方で、結局、国民民主党の一部の人が加わって、3党の一部の人たちだけで決めている、この間、政府の経済財政諮問会議も開かれていますけれども、そこで議題になることもなく、結局、3党の一部の人たちが不透明な形で決めているという見方もありますが、大臣は今回の決定過程についてどのように評価されていますでしょうか。 - (答)まず、選挙結果を踏まえて、我々が大変自信を持って自民党と公明党の税制調査会で議論をし、与党政策責任者会議を開き、最終的に税制改正大綱を取りまとめてというのがこれまでのプロセスで、それでベストのものができると信じていましたが、そこは選挙の結果を見て、国民の皆様からは「独り善がりではないですか」という厳しいご指摘をいただいたということです。もちろん政治とカネについてのお叱りというか、それが一番大きかったと思いますけれども、いろいろな意味で、税制見直しという意味でも改革の姿勢も含めて、今おっしゃったようなことも含めて、もう少し何か、もっといいものをというご要請があったと私どもは受け止めたわけです。
特に、このような言い方がいいのかですけれども、議席を大幅に伸ばされた党が選挙中にご主張になっていたことは我々に見落としがなかったかという意味では真剣にそこを学んでやっていこうということはあったので、選挙で国民の皆様が出した結果が天の声であるわけですけれども、それが下されたことをもって、我々なりに進化しているつもりというところは一つあります。 - (問)透明性は税制の決め方で批判の対象になっていましたが、今回はどう評価されていますか。
- (答)これは、まずご案内のとおり、自民党の税制調査会はインナー制度みたいなものがあり、その後、最終的には正副役員会があって、税制調査会の平場が開かれるわけです。実際、平場の活気というのはすごいのです。皆さんが思い思いに、中には用意された紙を一生懸命読み上げるような方もおられますけれども、それはそれで地元から聞いてきた声などをもって自分の頭で考えて論陣を張るような人もいるわけです。
そのような意味で、我々は税制調査会の平場がまさに日本全体のほぼ全ての経済事象に関わるようなことをオープンに議論する場と思って、誇りを持ってやってきたわけでありますけれども、なかなかそれだけでは済まないということで、国民民主党ともしっかり話をするようになったというのは、私は当然、国民の皆様のご指示というか、選挙で示された民意を受けてのいい方向への変化だと思っているのが一つです。
あとは、やはりどこまで言っていいのかですけれども、協議が続くということは、123万円でまだ確定していないのかもしれません。そのようなことになると、本当に議論した結果をどう採り入れていくのか、どう実現していくのかというのは、今までと違うプロセスを間違いなく取ることになります。最終的には税法の中できちっと形にしていかないと、当然ながら法律で決めない限りは税制改正はできません。そのような意味では、確定的なことは言えないけれども、新たなプロセスがまた出てきて、それはそれで本当に選挙の結果を受けた、我々にとってはきちっとそこを踏み越えていくべきというか、そのようなプロセスになるのではないかと思います。
(以上)