赤澤内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和6年11月29日
(令和6年11月29日(金) 9:47~10:05 於:中央合同庁舎第8号館1階S108会見室)
1.発言要旨
CPTPP(環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定)についてご報告をいたします。第8回のTPP委員会が日本時間で本日未明にカナダで開催されました。瀬戸隆一副大臣が私の代理として出席しております。先ほど、委員会の結果報告を受けましたが、英国に続く新規加入要請への対応や、今後の方針について議論が行われました。その結果、CPTPPとしてコスタリカとの加入交渉を開始することが決定されました。その決定に加えて、協定の内容の見直しに関する議論の進捗等を示す閣僚共同声明が発出されています。
CPTPPはご案内のとおり、ハイスタンダードでバランスの取れた21世紀型の新たな共通ルールを世界に引き続き広めていくという大きな意義を有しております。新規加入対応に係るオークランド三原則がありますので、これをしっかり守りながら、生きた協定として拡大し続けていくことが重要であると考えております。その観点から、コスタリカのCPTPPの加入手続開始の決定を歓迎いたします。
コスタリカは我が国にとって、民主主義や自由貿易を重視し、価値や原則を共有する重要なパートナーです。コスタリカのCPTPPへの加入は中南米地域との関係を更に強化していくという観点からも有意義であると考えています。今後は、コスタリカとの加入交渉が進められることになります。CPTPPのハイスタンダードを維持するとともに、守るべきは守り、攻めるべきは攻めるということで、我が国の国益にかなった最善の結果が得られるように対応してまいります。詳細は事務方にお尋ねいただきたいと思います。
もう一つ、新型インフルエンザ政府対策本部会合訓練についてご報告いたします。感染症危機管理に関し、本日の閣議開催前に、新型インフルエンザ政府対策本部会合訓練を実施いたしました。昨年9月に感染症危機管理の司令塔組織として、内閣感染症危機管理統括庁が設置されましたが、本日の訓練は石破政権のもとでは初めてとなります政府対策本部会合訓練であり、代理を含め、総理以下、全閣僚にご出席いただきました。今回の訓練では、海外において発生した新型インフルエンザが国内に初めて持ち込まれ、政府対策本部で基本的対処方針を決定する場面を想定し、政府一丸となった感染症危機への初動対処について確認を行いました。
訓練終了後の講評では、石破総理から「次の感染症危機に向けてこの夏に全面改定をされた新型インフルエンザ等対策政府行動計画と本日の訓練を踏まえ、各省の取組について不断の点検・改善を重ねて万全を期してほしい」との発言もいただきました。
また、本日の訓練に先立ち、11月26日には全47都道府県と私との間で、多くの知事・副知事にご参加をいただきながら、双方向で情報共有を行う「初動対処に係る国と都道府県の緊急連絡会議訓練」を実施しております。こうした訓練を踏まえ、事務方に対し、あらかじめタイムラインを整理し、有事において国や都道府県、国立感染症研究所などの関係機関が連携をし、タイムラインに沿って円滑な初動対応が可能となるよう、対応の充実を指示したところでございます。今後の訓練においてもこうした観点で充実を図りつつ、次の感染症危機に向けて平時からの備えに万全を期してまいりたいと考えております。
詳細については、この後、事務局より説明をさせたいと思います。
2.質疑応答
- (問)まず1点、世間の関心も高く、現状、議論も続いている103万円の壁問題についてお伺いします。本日は石破首相の所信表明演説もありますけれども、103万円の壁をめぐる諸課題の解決は、政権が重視する成長型経済の実現に向けた大きな要素の一つになってくるかと思います。大臣も関係閣僚として、改めてになりますが、103万円の壁をめぐる問題に対する現状の所見や今後の方向性について伺えればと思います。
- (答)我が国経済は、約30年ぶりの高い水準の賃上げと、過去最大規模の投資が実現し、明るい兆しが現れているというのは間違いのないことだと思っています。石破政権が掲げる、賃上げと投資が牽引する成長型経済への移行を確実なものとするために、こうした前向きな動きを国民一人一人が実際の賃金・所得の増加という形で豊かさが実感できるよう、更に政策を前進させなければならないと考えております。
今般取りまとめた総合経済対策は、そのために必要となる施策をしっかりと盛り込んだところで、その中でいわゆる103万円の壁については、政党間の協議を踏まえ、令和7年度税制改正の中で議論し、引き上げる旨を明記いたしました。今後、各党の税制調査会長間で更なる議論が行われるものと考えておりまして、私としては政党間の協議の状況を注視してまいりたいと考えております。
ご案内のとおり、それぞれの党の税制調査会に当たる所が協議をしないと決まりません。税の関係はそのような意味で、大変ヘビーで厳密な議論が必要な部分だと思うので、そちらの動きを注視していきたいと思っています。 - (問)今の103万円の壁に関連して1問お願いいたします。昨日、内閣府のほうで103万円の壁を引き上げた時の所得減税の影響の推計の数字を出されていました。実質GDPの影響とか、税収が減るといった影響が数字として並んでいたと思うのですけれども、改めてこうした推計によってどのようなことが言えるのか、大臣の見解をお願いいたします。
- (答)昨日11月28日に行われた自公国の税制協議において、財務省から、内閣府の短期マクロモデルに基づく継続的な所得減税が及ぼす影響の推計結果を紹介したものと承知しております。内閣府のモデルは、マクロ経済学の標準的な理論に基づき、1年程度の短期的な影響を分析することを主眼に置いたもので、具体的な減税方法などを想定したものではありません。そのような意味で、あくまでこの推計結果は相当な幅を持って、参考程度のものとして見ていただく必要があると考えております。
- (問)この数値だけだとなかなか、減税をしてもそれを上回るような経済活性効果がないとか、そういったことまではまだ言えないということでしょうか。
- (答)それは今申し上げたとおりで、この推計結果は相当な幅を持って、参考程度のものとして見ていただく必要があるということ以外、今の時点で申し上げられることはございません。
- (問)お話が変わりますけれども、石破政権の評価について伺います。来月1日で石破政権が発足して2か月が経ちます。首相動静を見ると、大臣は政権発足後に石破首相と面会を多くされているお一人かと把握しております。政権運営において赤澤大臣頼みになっているのではないかという声もありますけれども、これまでの石破政権の成果、石破首相の政権運営についてどのようにお考えでしょうか。
- (答)まず、私は単なる一閣僚でありますので、石破政権の評価についてそもそも申し上げる立場ではないと思います。特に、今の事情は、前回の衆議院総選挙の結果、私の受け止めは、主に自民党だと思いますが、与党は自分が一番良いと思ってやっているかもしれないけれども、独り善がりだぞということで、本当に我々からすると痛くてたまらないお灸を据えられたわけです。その状態で、我々がまた何か2か月で頑張っている等といって胸を張っても、「まだ分からないのか」と怒られるのがオチだと思います。私どもの評価は、そのような意味で国民の皆様が下すものですので、皆様が実施される世論調査等もいろいろありますし、何か一つでどうのこうのということではありませんが、お灸を据えられ、我々はもちろん国民の皆様のためにベストと思って誠心誠意やってきたつもりですけれども、それが独り善がりだとピシャンとやられたわけです。
その状態だと、そもそも私が評価を申し上げるような立場にないです。あくまで評価をされるのは国民の皆様で、少しは物が分かったかと、自民党、少しは頑張っているではないかと、我々の言ったメッセージを受け止めて、少しはまし、という言葉は自虐的かもしれませんけれども、我々が選挙で示した意思を踏まえて、理解を少しずつはしているのではないかと思っていただけるような評価を得られるように頑張るということだと思います。
そのような意味で、石破内閣では一人でも多くの国民の皆様方の幸せを実現するために、安全保障環境への対応、治安・防災への更なる対応、日本全体に活力を戻すことを優先課題として政権運営にあたっています。要するに、総裁選の時に申し上げた「守る」です。国民の皆様の生命・財産も守るし、生活も守るし、日本経済の将来も守るし、女性や若者の機会を守る。とにかく守る守るでやってきて、それをいろいろな言葉で言いますけれども、一生懸命やっていこうということです。
私の担務の関係では、ご案内のとおり、防災庁設置準備室を設置しました。令和8年度中に防災庁が設置できるように全力で取り組んでいきます。また、賃金向上担当も仰せつかっていますので、その関係でも、国民お一人お一人の皆様が豊かさを実感できる成長型経済への移行を確実にするということで、3本柱の経済対策を取りまとめてやっているところであります。
引き続き、選挙が一番の国民の皆様からの、ご意志でありますので、国民からの声を真摯に受け止めながら、国民の皆様の安全・安心と持続的な成長の実現に向けて、石破内閣の一員として与えられた責務を果たしてまいりたいと思っています。 - (問)感染症対応について伺います。感染症対応では、既に行動計画を内閣感染症危機管理統括庁で策定されていると思います。大臣は新たにタイムラインを策定するべきだというお考えを示されています。このタイムラインについて、いつまでに、具体的にどのような内容で策定されたいか、お考えをお願いします。
- (答)大変な重要なご質問で、私も頭の中で転がしている話をど真ん中で聞かれたわけです。石破総理の講評から始めさせていただきます。本日の新型インフルエンザ政府対策本部会合訓練において、石破総理からは「感染症危機はいつ発生するか分からない。そうした中において、政府としては平時から万全の備えを確保していく必要がある。次の感染症危機に向けて、各大臣におかれてはこの夏に全面改定された新型インフルエンザ等対策政府行動計画と本日の訓練を踏まえ、各省の取組について不断の点検・改善を重ね、対応に万全を期していただきたい」と。また、「国と都道府県との関係でも緊密な連携を通じて、感染症危機に迅速かつ最適な対応ができる体制を構築いただくようよろしくお願いをする」という発言をいただきました。今後、訓練の更なる充実を図りつつ、平時からの備えの充実に努め、次の感染症危機への対応に万全を期していきます。
タイムラインについては、先日11月26日に実施した感染症危機管理に関する都道府県との訓練を踏まえて、事務方に対し、あらかじめタイムラインを整理し、有事において国や都道府県、国立感染症研究所などの関係機関が連携して、タイムラインに沿った円滑な初動対応が可能となるよう、対応の充実を指示したところであります。
既に内閣感染症危機管理統括庁において作業に着手していると報告を受けていますが、厚生労働省をはじめとする関係省庁や都道府県との相談も不可欠です。実効性のあるものを作る必要がありますので、多少お時間をいただくことになるかなということが現時点で言える内容です。
タイムラインの内容としては、皆様もご案内かと思いますけれども、危機管理の世界標準のようなものであり、感染症危機の発生以降、多様な関係者がやるべきことを共通の時間軸の上で進捗管理できるよう、一覧表の形に整理しておきたいと考えています。本当に大事なのは発生で、国内で1例目が出る場合でも、外国で出た場合でも、とにかく危機となる発災、あるいは患者が初めて出るところをタイムゼロにして、タイムゼロが来た時には、関係者を上に全て出しておいて、国、都道府県、市町村、国立感染症研究所、それぞれがタイムゼロからどれぐらいの時間以内に何をしなければいけないかということを全て書き出しておくものです。
これを作っていく過程で、関係機関の役割分担が分かり、自分が仕事をしっかりと守るためには、端的に言うと、例えば国立感染症研究所から試薬がちゃんと届いていないと、どのような感染状況になっているか調べろと言われても、国に報告しろと言われてもできないではないか等が全てつながりで分かります。何がネックになるか等も非常に分かりやすく理解できるわけです。
アフリカ豚熱は普通の豚熱と異なり、不治の病でワクチンも効かないのですが、日本国内に入ってきたことはありません。北朝鮮から韓国まで入ったことはあったかと思います。アフリカ豚熱はすごい病気で、中国の豚の全体の3割がいなくなり、結果として豚肉の値段が高騰し、中国国民の皆様がものすごい勢いで牛肉を食べるようになったきっかけとなる事件ともいわれています。日本にアフリカ豚熱はまだ入っていませんが、入った時のタイムラインを私は作りました。それを参考にしてやりなさいということです。それをやっておかないと、どこが遅れて何が起きているのか分かりませんし、皆がその時にそれぞれの役割分担で、持ち場で全力を挙げて国民の皆様のために万全を期すには是非必要なものだと思います。危機管理の行った先々で、私はタイムラインを作らせるようにしています。ノウハウもありますし、私が手を置く以上は万全を期したいと思っています。 - (問)読売新聞社が昨日11月28日に新しい株価指数をつくると発表しました。新しい株価に関する指標をつくることで、国民の資産形成などを後押しする狙いがあると発表しています。こちらについて、大臣のご期待と受け止めをお願いいたします。
- (答)我々は、まず、資産運用立国ということで、国民の皆様にしっかりと資産を形成していただくこと、そうするといろいろな意味で老後の安心にもつながりますし、国富を生む、GDPも増えていくようなことが期待できるかなと思っております。資産運用立国が岸田政権の重要政策であったものを、我々は経済政策を引き継いでいますので、更にそれを発展・加速していきたいという立場です。
その中で、新しい指標をつくられたということで、株価等、具体的なところについて私はコメントできないのですが、指標をつくられたことについては、国民の皆様が資産運用立国という意味で、ご自分の資産形成を合理的・安定的にして、将来の資産形成につなげていかれるという前提で、指標が追加されて、それがもし分かりやすいもので、国民の皆様が安定的・持続的・合理的に判断しながら資産形成をしていく上で役に立つものであるならば、それはプラスであろうと思います。ただ、中身を具体的に見ていません。記事も申し訳ないですが、読んでいませんでした。これ以上、具体的に、実際にプラスの評価かどうか等も含めて申し上げることは難しいかなと思います。
とにかく資産形成立国の取組を進めて、我が国経済を高付加価値創出型の成長経済へと転換していくことが石破政権が打ち出したことです。岸田政権の経済政策を引き継いだ上で、高付加価値創出型の成長経済を明確に掲げてしっかりとやっていきたいということであります。指標の中身についてはこの後に勉強させていただきたいと思います。
(以上)