赤澤内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和6年11月15日

(令和6年11月15日(金) 10:34~10:46  於:中央合同庁舎第8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 本日公表の2024年7-9月期GDP1次速報値では、名目成長率は前期比プラス0.5%、実質成長率は前期比プラス0.2%と、それぞれ2四半期連続のプラスとなりました。
 これを受けた私の談話はお手元に配布したとおりですが、実質成長率の内訳を見ると、内需については設備投資は2四半期ぶりに前期比マイナスとなったものの、個人消費は台風・地震の影響により宿泊サービスの減少と飲食料品の増加が見られたほか、自動車などが増加したことなどにより、前期比プラス0.9%ということで、2四半期連続のプラスとなっております。
 また、外需については、中国景気の足踏み状態を反映して、中国向けの財輸出が減少し、輸出の伸びは緩やかなものにとどまりました。その結果、輸出の伸びが輸入の伸びを下回り、外需の寄与は3四半期連続でマイナスとなっております。
 雇用・所得環境を見ると、33年ぶりの高水準となった春季労使交渉における賃上げの効果や堅調な夏のボーナスを受けまして、実質雇用者報酬が前年同期比でプラス0.9%と、2四半期連続の増加となっております。
 先行きについては、10月以降、過去最大の引上げ幅となった最低賃金引上げが既に適用されるなど、引き続き雇用・所得環境が改善するもとで、景気の緩やかな回復が続くことが期待されます。ただし、海外経済の下振れリスクや金融・資本市場の変動による影響などに十分注意する必要があるということでございます。
 我が国経済は、現在、長きにわたったコストカット型経済から脱却をし、「賃上げと投資が牽引する成長型経済」に移行する重要な局面にございます。その実現に向けて現在策定中の新たな総合経済対策を含め、経済財政運営に万全を期してまいりたいと考えております。

2.質疑応答

(問)今回、GDPが2四半期連続でプラスになったことについて、改めて受け止めと、上昇基調を今後も継続させる上での課題点、そして展望についてお伺いいたします。
(答)本日公表された2024年7-9月期のGDP1次速報値では、名目GDPは前期比0.5%増となりまして、610.9兆円と過去最高となっております。実質成長率についても前期比0.2%増ということで、御指摘のとおり2四半期連続のプラスとなり、緩やかな成長が続いているという状況でございます。
 我が国経済は現在、長きにわたったコストカット型経済から脱却をし、「賃上げと投資が牽引する成長型経済」に移行する大変重要な局面にあると考えております。大切なことは、適切な価格転嫁、それから生産性向上支援などにより、最低賃金の着実な引上げを含め、賃上げの流れを日本全国に幅広く波及させ、物価上昇を上回る賃金上昇を定着させることだと思っております。あわせて、労働市場改革、企業の稼ぐ力を高めるための国内投資の拡大などにより潜在成長率を引上げ、我が国経済を高付加価値創出型経済へと転換してまいります。
 現在策定中の総合経済対策をはじめ、このような取組を着実に実行することにより、成長と分配の好循環、民需主導の持続的成長を実現してまいりたいと考えています。
(問)今回、GDPは2四半期連続プラス成長で、個人消費もプラス成長だったと思うのですけれども、前の政権で6月に定額減税が行われていて、そういった効果も見込まれていたかと思います。今回の定額減税の効果が成長にどのように寄与したか、効果があったと見ているか教えてください。
(答)本年6月から実施した所得税・個人住民税の定額減税、これはご案内のとおり1人当たり4万円でした。これについては、昨年11月の経済対策において、賃金上昇が物価高に追い付いていない国民の負担を緩和するため、デフレ脱却のための一時的な措置として、国民の可処分所得を直接的に下支えするために実施したものでございます。実際、定額減税の実施以降、家計の可処分所得は増加をしております。33年ぶりの高水準となった春闘賃上げの効果や、堅調であった夏のボーナスとも相まって、物価上昇が続く中でも個人消費を下支えしているものと認識をしております。
(問)今の関連で、昨年11月の定額減税も含む総合経済対策全般に対しての評価を伺います。この1年間、確かに名目のGDPはだいぶ伸びていますが、実質はそこまで伸びていないというのが大方の評価です。去年の総合経済対策を発表した時に、年率1.2%程度の実質GDPの押し上げ効果を見込んでいたと思うのですが、それには届いていないような印象を受けます。大臣の評価と、それを踏まえて、今回、大臣が担当されている新しい経済総合対策、昨年を上回る規模と石破総理はおっしゃっていますけれども、この総合経済対策ではどのような効果を見込んでいて、昨年の経済対策と比べてここが違うとか、ここを強化しているとか、特にそのようなものがあればあわせて教えてください。
(答)まず、昨年の経済対策の見込みよりなかなか効果が出ていないのではないかというご趣旨だと思います。これは、前にデフレマインドという言葉で一言で申し上げたことがありましたけれども、なかなか我々、賃上げに努力をし、しかも経済を温めるような政策を全力で打ってきておりますが、そのようなものを信じて、これからもこれが続くのだと、これからも賃上げが続く、そしてそれはきっと安定して物価上昇を超えてくるという自信を国民の皆様に持っていただけないと、期待したほど消費が伸びないという部分があります。これは日本銀行が言うゼロノルムといった世界かと思います。要するに、賃金も物価も上がらないと皆が思い込んでいる。まれに物価が上がるとまた元に戻るから、それまでは消費を控えようというような感覚が出てきてしまったり、その辺りの、一言で言うとデフレマインドのようなものがまだまだ根強いというか、払拭が十分にできていないのかなということを私自身は感じております。
 今般の経済対策についてですけれども、そのような意味では、粘り強くやっていくという面はあって、国民の皆様が今後、成長と分配の好循環といいますか、物価上昇、そして、それを超える賃上げが続くという流れについて確信を持っていただけるように、しっかりとやるべきことはやっていきます。結果的にはいつもご説明を申し上げていることになりますけれども、日本の成長及び地方の成長を確実にするようないろいろな投資をしっかりやっていくことで、潜在成長率も上げてまいりますし、そして、それがまだ効果が十分に出ないうちは、物価高などで苦労されている国民の皆様の生活をしっかり支えていくための痛みを緩和したり、そのような対策もしっかりと講じていくといったことだと思っております。
(問)今、デフレマインド、それから、ゼロノルムの発言がありました。大臣が就任から間もない頃は日本銀行の政策の変更、追加利上げに関してはかなり慎重であってほしいという意見をおっしゃっていたと思うのですけれども、今回、そうはいっても個人消費を見ると予想よりも上振れという状況が出てきている中、現在のところで、デフレマインドが根強いことを踏まえて、足元の金融政策のあるべき姿はどのようにお考えでしょうか。
(答)そこは、日銀のほうでしっかりと見通しを立てていただいて、そして、日銀の見通しどおりに金融経済が動いていく場合には、それにあわせて金融緩和の度合いを調整していくというのは基本的なお立場で、物価安定目標は2.0%ということだと思いますが、私どもはそれについてもしっかり物価を安定させていただくこと、そして、それを超えていく賃上げを実現していくことで、最終的には実質賃金が安定して上がっていくような、そのような状態を目指しておりますので、基本的な認識は共有をしていると考えます。
 いつも申し上げていることですけれども、具体的な手法については日銀にお任せをしております。石破総理も就任後すぐに日銀総裁と会われました。私と財務大臣も会わせていただきました。いろいろなコミュニケーションをする中で、お互いの信頼関係というか、それが再確認をできた上で、政府と考えていることをお互いに共有して、日銀にしっかり金融政策について整合的な形でやっていっていただきたいと思っているところです。

(以上)