坂井内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和7年6月13日

(令和7年6月13日(金) 9:03 ~9:13  於:中央合同庁舎8号館5階共用会議室B)

1.発言要旨

 
 私から冒頭、2点申し上げます。
 まず1点目、令和7年版の防災白書について申し上げます。
 本日の閣議において、災害対策基本法に基づき、毎年国会に報告することとされている「防災白書」の令和7年版が閣議決定されました。
 今年の白書では、令和6年1月1日に発生し、大きな被害をもたらした「令和6年能登半島地震」について、発災以降これまでの被害状況や政府における対応を紹介するとともに、能登半島地震を踏まえた我が国の今後の災害対策の方向性について特集として記載しています。
 災害の多い我が国では、災害を自分ごととして捉え、「自らの命は自らが守る」という意識を一人一人に持っていただくことが重要です。
 本白書を通じて、国民の皆様に我が国の防災対策の歩みについて理解を深めていただくとともに、それぞれの立場で、またそれぞれの地域で防災について考え、防災の取組を更に進めていただくことを期待いたしております。
 2点目でございますが、先日の参議院本会議において、「日本学術会議法」が可決・成立いたしました。この法律は世界最高のアカデミーをつくるため、これまで、光石会長をはじめとする学術会議の先生方、有識者懇談会の先生方など、多くの方々に御尽力をいただいて作られたものであります。
 私(坂井大臣)としても、科学の成果を通じた国民及び社会への貢献、課題解決に向けた学術的助言は必要だと考えており、法人として新たなステージに立つ学術会議には、主体的に、政府から独立した法人として、財政基盤の多様化も含めて、運営の自主性・自律性を高め、国民や社会と向き合い、社会的な責務を積極的に引き受けながら活動し、国民から負託された使命・目的を実現していただくことを期待しております。
 また、11日の夕方、法案成立を受けて、光石会長とお会いしました。光石会長からは、政府と学術会議とのコミュニケーションが非常に大切であり、政府と学術会議が思いを同じくして協力して進めていきたい旨の御発言があったところでございます。
 私からは、新法の趣旨が実現され、法人化してよかったと国民の皆様や会員の多くの方に思っていただけるような学術会議になるよう、政府としても努力していきたいということと、同じように学術会議としっかりコミュニケーションを取っていきたい旨、お伝えしたところでございます。
 以上でございます。

2.質疑応答

(問)1問目は防災白書に関連なんですが、能登半島(地震)を踏まえた内容を盛り込まれているというか、改めて大臣は、この防災白書を通じてどのように国民に促していきたいか、所感をお願いします。
(答)特集として「令和6年能登半島地震を踏まえた防災体制の見直し」を取り上げたところでございます。
 私も現地に何度も足を運びましたが、被災地はいまだ復興途上でありまして、政府一体となった創造的復興に向けた取組を応援しているところでございます。
 能登半島の教訓も踏まえて、先般、災害対策基本法等の改正が実現いたしました。
 この中におきまして、避難生活の環境改善、事前防災の取組など、防災庁の設置も見据えた防災力強化の取組を入れておりまして、また、これらを急ピッチで進めているところでございますが、白書を通じてこうした取組を国民の皆様に向けて発信していきたいと考えていると同時に、先ほども申し上げましたが、国民一人一人に防災対策を自分ごととして認識していただいて、いま一度御家庭、職場、そして学校、地域などそれぞれの場所で災害への備えを再点検していただきたいと思っております。
(問)よろしくお願いします。
 先ほどの質問に関連する形で恐縮ですが、白書で特集された能登半島地震について御質問させていただきます。
 プッシュ型支援について、今回、能登半島地震で物資が被災者へ行き渡る量でしたり速度についてどのように評価し、またどのような点は課題だと思われていらっしゃいますでしょうか。
 また、被災者へのプッシュ支援を充実させるため、どのように取り組んでいかれるか、その辺りの御所感もお伺いしたいです。
(答)(令和6年)1月1日からプッシュ型支援は既に開始をしております。翌2日には石川県金沢市にある広域物資輸送拠点にパンの3万6千個が到着して以来、3月23日まで約3か月間、過去最大規模のプッシュ型支援を行っております。
 水や食料のほか、ジェットヒーター、簡易洗濯キット、防犯ブザー等、きめ細やかなニーズにも対応し、質・量ともに十分な支援が行われたと認識いたしておりますが、しかし、一方でこの時間ということになると、やはり陸路の途絶でありますとか、特に半島地域であったということもございます。
 拠点からの輸送手段が確保できなかったことによって輪島市、能登町、珠洲市といった被災地に物資が届くまでには一定の時間を要した、つまり被災現場の被災者には1月4日に届いていると承知いたしております。
 一方で、1月2日には金沢の拠点には届いておりますし、3日には各自治体の拠点には届いているところがあったということも承知いたしております。
 つまり、そこから先、被災者に渡るまでのスピードを上げるために、今後対策が必要だと思っておりまして、このためには、運用の改善を図る、つまりはしっかりしたマニュアルを作り、今回の場合も1月1日に、石川県は事前に災害が起きたときには物流で支援をいただく協定を、物流事業者と協定を締結したにもかかわらず、1月1日に、要は、依頼ができていなかった、業務委託ができていなかった、依頼をしていなかったということが見直しの中でも指摘されておりますが、そういったことがないよう、しっかりマニュアルを今、作成して、運用改善を図るとともに、あと新物資システム、我々はB-PLoと呼んでおりますが、このシステムをつくって、本年4月から運用を開始しておりますので、どこの場所にどのくらい物がいつ届いたかというのが、これで一目で分かるようになってまいります。
 また、備蓄を言えば、何度も申し上げておりますが、全国8地域での分散備蓄なども国として対応策として進めているところでございます。
 今後も地方自治体や、今、申し上げた物流の事業者をはじめ、関係事業者との連携を更に進めて万全の体制を構築してまいりたいと考えております。
(問)おはようございます。
 土木学会が11日に、南海トラフ巨大地震津波の経済被害の試算を発表しました。政府も3月末に、被害想定の中で試算被害については公表していますが、土木学会については、約20年ぐらいですか、復興期間も含めての算出になっています。
 これに対する受け止めをお願いいたします。
(答)南海トラフ地震をはじめとする大規模自然災害に対しまして、災害発生後、復興までの期間を考慮した長期的な経済被害の額、今回は20年ということでございましたけれども。また、公共インフラ対策による経済被害の縮小効果、つまり強靱化でありますとか、それに含みますけれども、耐震化をやっておくと、このくらい縮小効果がありますよといったような推計や、具体的な対策等が専門家の立場から幅広く検討されたものと認識をしております。
 防災・減災対策において、事前に取り組むことが重要であるという点については同様の認識であり、甚大な被害に対して、ハードそしてソフト両面から取組を進めていくことが重要であると考えております。
 現在、大規模地震災害等の被害から国民の生命・財産・暮らしを守り、国家・社会の重要な機能を維持するため、「南海トラフ地震防災対策推進基本計画」の見直しを進めております。
 また同時に6月6日に閣議決定した「第一次国土強靭化実施中期計画」に基づいて、防災・減災、国土強靭化の取組を進めてまいりたいと思っております。

(以上)