坂井内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和7年4月1日

(令和7年4月1日(火) 9:00~9:14  於:中央合同庁舎8号館5階共用会議室B)

1.発言要旨

 
 まず、私から冒頭2点申し上げます。
 1点目、本日から新しい年度となります。内閣府防災担当の定員につきましては、昨年度から倍増し、110名から220名とすることとしております。実際には、人事の調整等により段階的に人員を増加させていくこととしておりまして、本日スタート時点では約170名の体制ということになります。
 1月末から募集しておりました「ふるさと防災職員」につきましては、多くの御応募をいただき、約30名を採用することとなりました。そのうち9名は4月から採用いたします。御応募いただいた皆様に敬意と感謝を申し上げます。内閣府防災の人員面での体制拡充がなされたところであり、今後の災害における被害の軽減に向け、防災施策の充実に取り組んでまいります。
 詳細は事務方にお尋ねいただければと思います。
 続いて2点目でありますが、国土強靱化推進本部の開催について報告いたします。本日、「国土強靱化推進本部」の第22回会合を開催し、「国土強靱化実施中期計画(素案)」について報告を行いました。素案においては、今後推進すべき国土強靱化施策と目標、その裏付けとなる事業規模について、所要の積み上げの結果、おおむね20兆円強程度と示しております。
 この報告を踏まえ、石破総理より、能登半島地震や奥能登豪雨による甚大な被害、八潮市の道路陥没事故、さらには南海トラフ地震の新たな被害想定などを踏まえると、大規模自然災害による被害を軽減・回避するためには、インフラ老朽化対策を含め、国土強靭化のペースを緩めることなく着実に推進していく必要があること。そして、本日示された国土強靭化実施中期計画の素案をベースとして、施策の内容や目標を精査し、6月を目途とする計画策定に向けた調整を進めることについて指示がございました。
 今後これら総理指示を踏まえ、関係府省庁と連携し、国土強靱化実施中期計画の策定作業を進めてまいります。
 私からは以上でございます。

2.質疑応答

(問)今、大臣の方から冒頭にもありましたが、新年度を迎えまして、人員の大幅な増強がなされました。昨日の南海トラフ地震の被害想定の報告書では、地方との連携も課題の大きな一つだと指摘もあったかと思います。改めまして、人員状況に当たってどういった点を特に対策強化していくかなど、大臣のお考えをお聞かせください。
(答)御承知のように、世界有数の災害発生国であります我が国におきまして、人命・人権最優先の防災立国を構築することを目指して、事前防災の徹底をはじめとする防災体制の強化を進めているところでございます。特に大きな表現の仕方としては、事前防災、事前の備えといったものを徹底していきたいと思っております。
 そして、その具体的な中身に関しては、今、御指摘がありましたような、「ふるさと防災職員」の採用によって、各地域の防災力強化に力を入れていきたいと思っておりますし、また、避難生活環境の整備、それから、災害ボランティアや、その他民間の方々との官民連携、そして、昨年からスタートしたSOBO-WEB(新総合防災情報システム)がありますが、これらを中心としたDXなどによる災害対応機能の強化を図ってまいりたいと思っております。
(問)昨日、南海トラフ巨大地震に関する作業部会から被害想定に関する報告書が大臣に手渡されました。それを踏まえて、今後の防災対策にどう生かすかなど、大臣の所感をお願いします。
(答)平成26年に策定をした「南海トラフ地震防災対策推進基本計画」に基づいて取組を進めてきたところでございまして、昨日、有識者の方々に報告書を取りまとめていただき、それを受け取らせていただきました。これまでの取組について一定の効果が確認される一方で、しかし、改めて南海トラフ地震の影響は広域かつ甚大であることが確認されたと思っております。そして、また福和主査からは、この南海トラフ地震、今までの歴史を見ても、時の政権が傾くほどの大きな被害と影響力だったということで、真剣に取り組んでくれという言もいただいております。
 こういった状況を真摯に受け止め、「南海トラフ地震防災対策推進基本計画」の改定に速やかに着手をし、夏頃を目途に見直しを図るとともに、国土強靱化や防災意識の啓発等の事前防災や、発災後の被災者の生活環境の確保などの取組を、関係省庁と連携して一層加速化していきたいと思っております。
 そして、今回の被害、特に人的被害の多くは津波によるものであります、住宅もそうでありますが。ですから、迅速に避難いただくことで多くの命が救われるということでございます。国民の皆様には、「自らの命は自らが守る」という意識を持ち、防災対策に取り組んでいただきたいと思っております。
(問)今の南海トラフの被害想定に関連してなのですけれども、今、大臣がおっしゃった平成26年に策定した推進基本計画では、政府は向こう10年間で人的被害を8割減、建物被害を5割減にするという目標を掲げていました。今回それと比較すると大幅な開きがあったかと思います。この点について、政府はどう受け止めていらっしゃいますでしょうか。
(答)もう既にメディア等でも解説いただいておりますが、今回、地形データの高精度化などによって、津波浸水面積が3割増加をしているという状況でございます。そして、また一方で、津波避難施設等の着実な整備でありますとか、住宅の耐震化も少しずつ進んできているということでございまして、浸水面積が増えたという状況ではあっても、1割程度前回より減少という結果になったかと思っております。
 ここはやはり最新の様々なそういったデータでありますとか、分析の結果、また、知見といったものを取り込んでおりまして、しかも、決して楽観的に想定を置いてはいないということでございまして。例えば約7割を占める津波による死者数の想定でございますが、実際の津波避難行動を想定することは難しいので、仮に数字を置いて計算をしているわけでありますが、今、20%の方が避難をいただけるということで想定しておりますけれども、我々はこれをできる限り多くしていって、結果としては70%程度は少なくともと思っております。そうなりますと、今20%と想定しております数字が、70%と想定した場合には、10万人以上の死者数の減少が期待できるということで聞いております。
 ですので、1つは面積が広がったこと、もう1つはこういったところで決して楽観的な数値を仮定で置いて計算をしていないということ、なるべく現実に近い形でという形で努力をしていただいたということではないかと思っております。
 どちらにいたしましても、しっかり対応していただければ、今、申し上げたような住宅の耐震化であったり、避難であったりということをきっちり対応いただければ、かなり被害は軽減できるということで考えておりますので、こういった数字に一喜一憂することなく、やるべきこと、するべきことを進めていきたいと考えております。
(問)ただ、政府がやはり8割減、5割減という数字を掲げている中で、予算等もつけて施策を推進してきたと思いますので、そことかなり開きがあると、国民としては「届かなかったのか」というような印象も受けるかと思います。夏までに策定する基本計画でも、やはりこの具体的な数字目標というのは掲げて進めていくお考えでしょうか。
(答)とにかく国民に伝わる形、国民に御理解いただく形を考えていきたいと思っておりますので、それに一番適した形で計画もつくり、そして、またお伝えをしていきたいと思っております。
(問)今の質問と関連しますけれども、この減災目標の関係ですけれども、10年前に掲げた人的被害8割減とか、建物被害5割減、目標を達成できたかできていないかという点については、大臣としてはどのようにお考えでしょうか。
(答)事前の想定が大きく変わった、言わば条件が変わった中でもございますので、目標が達成できたか、できないかという評価はなかなか難しいのではないかと個人的には思います。ただ、はっきり分かるのは、まだまだ十分ではない。こういった対策に十分というのは恐らくないかと思いますが、まだまだしっかり対策をとっていかなければならないということが改めて深く強く認識をされたということかと思います。
(問)もう1点、すみません。昨日の手交式の中で、この報告書について、10年に1回とか、何年に1回見直すとかというわけではなくて、常にさまざまな状況を鑑みながら、これはどうなっているかというのをチェックするという御発言があったかと思いますけれども、これは具体的にどういった形でのチェックの在り方を考えているのか、現時点でのお考えを伺っていいですか。
(答)まだ制度としてそれをどういう形でやるかというところまで考えていませんが、今までのように、ではこれをやろうと、例えば報告書を出しましょうと、ワーキンググループをつくってそれに併せて作業してくださいということではなくて、折々定期的に様々新しい知見が出てくるとか、そういった節目節目の折に必ずフォローアップをしていくという形にしていきましょうと。こういうことでお話もいただきましたし、私共もそう努力をしていくとお話をさせていただいたところでございます。
(問)現時点で具体的にどういうスケジュールで、どういう頻度でやるとか、そういったものはまだ決まっていないという理解でいいですか。
(答)はい、そうです。そこはまだ、そこまで具体的なものはまだありません。

(以上)