坂井内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和7年3月7日
(令和7年3月7日(金) 9:35~10:01 於:中央合同庁舎8号館5階共用会議室B)
1.発言要旨
お待たせしてすみませんでした。
今日は冒頭6件ございますので、6件を申し上げたいと思います。
まず1点目でございますが、本日、「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の一部を改正する法律案」が閣議決定されました。
この法律案は、悪質ホストクラブ問題をはじめとする最近の風俗営業等を巡る情勢に鑑み、接待飲食営業に係る順守事項また禁止行為を追加するとともに、いわゆるスカウトバックに係る禁止規定の整備、風俗営業の無許可営業に対する罰則の強化、許可に係る不許可事由の追加等の措置を講ずるものでございます。
悪質ホストクラブを巡っては、ホストクラブ、スカウトグループ、性風俗店等が、女性を徹底的に搾取する卑劣なビジネスモデルが存在しており、背後にはトクリュウの関与もうかがわれることから、対策は急務となっております。
今後は、国会において速やかに法案の審議がなされ、早期に可決・成立することをお願いしてまいりたいと思います。
2点目でございます。同じく本日の閣議におきまして、「海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律の一部を改正する法律案」が決定されました。
再生可能エネルギーの主力電源化に向けた切り札であります洋上風力発電は、我が国の2050年カーボンニュートラルの実現にとって重要でございます。
この法律案は、我が国の排他的経済水域(EEZ)における洋上風力発電設備の設置に係る制度や、海洋環境等の保全の観点からの調査を実施する仕組みの導入などを、その内容としております。
我が国における洋上風力発電の更なる導入が進むよう、今後、国会において、速やかにこの法律に関しましても審議がなされ、早期に可決・成立されるよう、お願いをしてまいります。
法律案の詳細につきましては、事務方にお尋ねいただければと思います。
続いて3点目でございますが、今日は3本、私の担当の法案の閣議決定がございましたが、「日本学術会議法案」も決定をされました。
本法案は、学術会議の機能強化に向けて、その独立性・自律性を抜本的に高めるため、学術に関する重要事項の審議等を行うことにより、学術の向上・発達を図るとともに、社会の課題の解決に寄与することを目的とする法人として、学術会議を新法により設立するものでございます。
また、国の財政負担により運営される組織として、国民への説明責任を担保する仕組みとしております。
有識者懇談会の報告書におきましては、設立以来75年余りの学術の進歩と社会の変化を踏まえると、学術会議には拡大・深化する役割に実効的に対応していくことが求められており、国の機関のままの改革では限界があることから、機能強化に向けて、独立性・自律性を抜本的に高めるため、より良い役割、機能の発揮にふさわしい組織形態として、学術会議を法人化することが提言されたところでございます。
本法案では、学術会議が国民から期待される機能・役割を発揮するために、政府は必要と認める金額を補助することができることといたしますが、国の財政的負担により運営される学術会議が、国民の理解と支持を得て発展していくためには、活動・運営が国民に説明できるものでなければならないこと、すなわち、適正な業務運営を確保し、国民に対する説明責任を果たすことは、この報告書において繰り返し強調されております。
この他、活動・運営を担う会員の選考が客観性・透明性の高い方法で行われるとともに、会員構成に学術の進歩と社会の変化が自律的に反映される必要があることなども提言されています。
本法案は、以上のような報告書の内容を踏まえたものでございます。
なお、先ほど懇談会の岸座長とお会いをいたしました。岸座長からは、この法律案は、懇談会の議論をよく踏まえ、重要なポイントを押さえていると、是非、今国会で成立いただくようお願いをすると、この旨の御発言がございました。
本法案の成立に向けて、今後の国会審議に力を尽くしてまいります。また、お願いもいたしてまいります。
条文につきましては、内閣府のホームページで公表いたしてまいります。
詳細につきましては、この後、事務方が残るということでございますので、お尋ねいただければと思います。
あと3点ございまして、4点目でございますが、激甚災害関係の政令が閣議決定をされました。
激甚災害の指定に当たりましては、前年の災害復旧事業費を精査し、指定基準に達した市町村について、年度末にまとめて局地激甚災害として指定・追加することとしております。
政令については、3月12日(水)の公布・施行を予定いたしております。
この点に関しましても、詳細につきましては事務方にお尋ねいただければと思っております。
5点目でございますが、暖かくなってくる季節になりまして、雪が解ける融雪出水期がやってまいりますけれども、この融雪出水期における防災態勢の強化について申し上げます。
本日付で、中央防災会議会長である内閣総理大臣から関係省庁、都道府県などに通知を発出いたします。
本通知は、毎年この時期に、気温上昇に伴う雪崩・落雪の発生、雪解けによる河川氾濫や土砂災害に備えるとともに、雪下ろし等での事故防止に引き続き注意することについて、関係機関に周知するものでございます。
今年は、多くの地域で例年以上の積雪となっています。また、能登地域では、昨年の地震や豪雨による地盤の緩みによって、土砂災害が発生しやすいと考えられるため、その点も御留意いただければと思います。
今後も、人命の保護を第一とした防災態勢強化を図ってまいります。
6点目、最後でございますが、第10回防災推進国民大会「ぼうさいこくたい2025」への出展公募の御案内を、本日、公表いたしました。
今年のぼうさいこくたいは、中越地震等、さまざまな災害を乗り越え、復興を果たしてきた新潟県で、9月6日(土)、7日(日)に開催されます。
大会を通して新潟の復興の取組を全国に発信することで、被災地に希望の灯火をつなぎ、また、国民の防災意識の向上につなげていきたいと考えています。
出展申し込みの受け付けは4月1日(火)から開始予定ですが、全国の皆様からの御応募をお待ちしております。
詳細につきましては、事務方にお問い合わせいただければと思います。
私からは以上でございます。
2.質疑応答
- (問)北海道・三陸沖後発地震の注意情報について伺います。
運用開始から2年以上が経過しますが、今、認知度の低さが課題となっています。
この現状について、防災担当大臣としての見解をお聞かせください。 - (答)まさしく御指摘のとおり、認知度を向上させていく、高めていくということは大きな課題だと認識をいたしております。
この北海道・三陸沖後発地震注意情報は、北海道の根室沖から東北地方の三陸沖にかけての巨大地震の想定震源域周辺でマグニチュード7以上の地震が発生した場合に、大規模地震の発生可能性が平時よりも相対的に高まっていることをお知らせする情報であります。
南海トラフにおいては、南海トラフ地震臨時情報という形で、昨年、注意情報を発出したことで、同じ趣旨の情報となります。
今まで、マンガ冊子やチラシの配布、それから地域の講演などを通じて周知・広報を実施してまいりましたが、御指摘のとおり、まだ十二分に知られていないという状況だと思っておりますので、今後、やっぱりいろいろ考えてやっていかなきゃいかんなと、こう思っておりまして、この認知度の向上の一つには、国民にとって分かりやすい名称であることも重要ではないかと考えておりまして、南海トラフ地震臨時情報との、ある意味、平仄なども考え、同じ趣旨の情報でありますから、名称の変更なども気象庁と相談をしてもらえないかということで、検討するよう指示したところでございます。 - (問)また、この注意情報の対象地域にある自治体にもかかわらず、対応が定まっていない自治体も散見されます。
地域防災計画に注意情報を巡る対応が反映できている自治体は、北海道でも6割弱、千葉県では全体の3割程度にとどまっていました。
こういった状況について、大臣の見解をお聞かせください。 - (答)まさしく、これも各自治体が努力義務として、これを自治体の防災計画に盛り込むということになっておりますが、今御指摘をいただいたように、十分ではない状況だと認識をしております。
これはやはり、しっかり盛り込んでおき、各自治体で準備をしていくことが必要だと思っておりますので、引き続きこういった対策を取っていただけるよう進めてまいりますが、今の予算が通れば、来年度は特に我々、人員も拡充いただけるということでございますので、その中で、各都道府県ごとの担当者なども、そこを張り付きでやるようにしてまいりますから、この該当地域の担当者には、この案件をしっかり都道府県を通じて各市町村にも知らしめて、そして、この計画や自治体の対応の仕方なども支援をしていくように、ここは特にやっていきたいと思っております。 - (問)あわせて、最後になりますけれども、この現状の対応の在り方というのは、自治体によって差がありますけれども、自治体からは、自治体ごとに対応が分かれてしまうと住民が混乱してしまうとか、国で統一的な対応ガイドラインを設けてほしいと求める声もありました。
ガイドライン作成の必要性などについて、大臣の見解をお聞かせください。 - (答)一応、内閣府防災としては、ガイドラインは作っているという認識でございます。しかし一方で、各自治体はそれぞれやっぱり場所によって状況も全然、環境も違いますので、それぞれの自治体に合わせたものをお作りいただく必要があるというのも、これはお分かりいただけると思いますが。
ですので、今、国がお示ししたものは、方針でありますとか項目立てというようなものでありましたけども、各自治体で作る計画の中には、もう少しそれを細かく書き下すというか、細かいところまで書き込んでいかなければならないものですから、どうやって書き込んだらいいかということを含めて、実際に既に作っている、盛り込んでいる計画などをお示ししながら、そういった計画を作るような支援をやってまいりたいと思っております。 - (問)今の臨時情報に関連してなんですけども、南海トラフの巨大地震警戒が出た際に、1週間の事前避難が必要な事前避難対象地域に住む方が、概算で67万人を超えるという報道を朝日新聞が調査を基に出しました。
この数字をどのように受け止められて、今後、対応する必要があるとお考えになるか、対応するとすれば具体的にどうされるか、お伺いします。 - (答)もう御承知のように、南海トラフ地震臨時情報が発表時に、新たな大規模地震が発生してからの避難では間に合わない地域の住民の皆様等が1週間の事前避難を行うため、各自治体において、事前に定めておく、いろいろな計画を作っておく、こういった事前避難対象地域というものがあります。
そういった方々が、今回、朝日新聞の報道によりますと67万人という報道を受けました。大変多い数でございまして、この67万人が1週間の事前避難を行う必要があるということでございますから、それぞれ自治体等々で、その手段でありますとか、避難先でありますとか、こういったものを事前に備えておく必要があろうかと思っているところでございます。
ですので、この問題に関しては、内閣府防災において、総体の人数もまだ十二分に、正直申し上げますと、つかみ切れていないところでございますので、先ほど申し上げた、この4月から各都道府県に付ける内閣府防災の各都道府県の担当者を通じて、こういった情報もしっかり聞き取って、また、そういった対応を各市町村がするための支援も行って、そして、この67万人の方が、警報が出た時に1週間の避難が迅速に、そして滞りなく、大きなトラブルなくできるよう、これは実際に進めてまいりたいと思っております。 - (問)今、御言及がありましたけど、なかなか事前避難が必要な住民数の全体像、合計が把握し切れていない理由ですとか、あと、その辺り、今後、全体の把握を調査される御予定があるかどうかというのはいかがでしょうか。
- (答)理由というのは、一番大きいのは、そういう担当をする、今、なかなか人的なパワーがなかったというのが大きいかと思います。
これから防災庁設置に向けて、この人的パワーも拡充させて、この第一歩として、今回、各47都道府県担当の職員を配置するということになっておりますので、こういったところを通じて、各地域、各自治体と綿密な連携を今まで以上に取っていくということだと思っております。 - (問)何らかの形でこの件の把握は進めていくという理解でよろしいでしょうか。
- (答)把握だけではなくて、把握と、それから実際に67万人という方が1週間の間避難をする、その仕組み作り、体制作り等々もやっていかなければなりませんので、そういったところの支援などもできる限りで行ってまいりたいと思います。
- (問)南海トラフ地震臨時情報が出た場合の事前避難について、この件に限らず、国として重点的に対応していきたいところというのはいかがでしょうか。
- (答)重点的に対応していきたいところというか、とにかく今申し上げたように、それぞれの状況をまずは市町村にお聞きをする。それは県を通じてということもあろうかと思いますが、お聞きをすれば、その市町村がどこまで計画を詰めているか、どこまで考えているかということも見えてきますから、そういう中で、まずはしっかりそれぞれの市町村でも考えていただくというお願いをさせていただくことかと思いますし、その中で市町村だけでは不十分ということであれば、県が支援をし、そして国が支援をしていくという体制をしっかり作ってまいりたいと思います。
- (問)学術会議法について2点。
まず、骨太の方針にある「世界最高のアカデミーを目指す」ということについて、大臣の意気込みをいただきたいというのが1点目と、2点目が、会員の方々に秘密保持義務を課します。国家公務員法とこれは同じだと思うのですけど、この意図と狙いをいただきたいです。 - (答)まず最初に、特に岸座長とのやりとりの中で、今回の有識者懇談会の報告書を作る時に、世界最高のアカデミーを目指せる体制を作る。そして、そのメンバー、会員のレベルアップもできる体制を作るということで、大変そこにお力もいただいたということでお話をいただきました。
とにかく岸座長がおっしゃっておりましたのは、Science for Science、つまり「科学のための科学」だけではなく、Science for Societyということで、「社会のための科学」という、こういった集まりにしたいということで、とにかく社会に有意義な研究や提言が今まで以上にできる、そして質の高いメンバーをそろえた、世界で最高レベルのアカデミーを作りたいということで私共はお伺いをいたしておりますし、そのような学術会議になったら本当にいいなと私も思っております。
秘密保持の件等に関しましては、この後、また事務方から詳しく御説明をいたしますが、今、さまざまなそういったトラブル等々が出る中で、最低限トラブルが出ないような形を考えた中でこういった形になったということは、私自身は思っておりますけども、細かい話は、この後、事務方からお聞きをいただければと思います。 - (問)関連で学術会議の質問なんですけども、今日、閣議決定されまして、今後、国会に提出される方針だと思います。
一方で、日本学術会議側の会長談話の方では、会員選考の自律性や独立性、まだ懸念が払拭されていないなどとする談話も発表されていますが、改めてどのように丁寧に説明していくだとか、大臣としてのコメントをいただきます。 - (答)今日、この後、条文なども発表されるということでございますので、この条文の説明なども丁寧に説明をしていきたいと思っております。
ただ、御承知のように、今回の、まず報告書、そしてそれを受けた法案でございますから、その中で33回の懇談会を重ねてきたということを岸座長もおっしゃっていましたが、必ず学術会議の会長等も参加をされて、議論がまとまってきたということも御報告いただいておりますので、丁寧なコミュニケーションを引き続き取ってまいりたいと思います。 - (問)関連で学術会議法案なのですが、財政的な支援についてお伺いしたいと思います。
有識者懇談会の報告書では、必要な財政的支援を継続することが重要だということが記載されていたかと思います。
現行法では、「日本学術会議に関する経費は、国庫の負担とする」という表現になっていて、新法では、「必要と認める金額を補助することができる」というふうになると聞いています。
ちょっと表現が変わってくるのですが、改めまして、基本的にはこれまでと同様に、必要な財政的支援を継続するのかどうかというところについて、大臣の見解を伺いたいと思います。 - (答)細かな話はありますが、今一番御心配の点からお答えをいたしますと、今後も政府からの財政的な負担はしてまいりますということでございます。
(以上)