坂井内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和7年2月14日

(令和7年2月14日(金) 9:02~9:18  於:中央合同庁舎8号館5階共用会議室B)

1.発言要旨

 
 おはようございます。私から冒頭、災害対策基本法等の一部を改正する法律案について申し上げます。
 本日の閣議において、「災害対策基本法等の一部を改正する法律案」を決定いたしました。
 まず、「国による災害対応の強化」を図るため、平時から国において、地方公共団体に対する応援組織体制を整備・強化するとともに、災害時には、地方公共団体からの要請を待たず、先手で災害応急対策に取り組むこととします。
 また、災害対応全体の司令塔機能を強化するため、内閣府に「防災監」を設置することとします。
 また、被災者支援の充実を図るため、災害救助法等に「福祉サービスの提供」を明記し、在宅避難者や車中泊避難者を含め、福祉的支援の強化を図ります。
 また、広域避難を円滑化するため、被災者情報の市町村間での情報共有等の規定を整備します。
 ボランティア団体等、民間による被災地での活動を円滑化するため、団体の登録制度を創設します。
 さらに、災害時における情報把握のため防災DXを推進するとともに、地方公共団体が備蓄状況を公表することとします。
 加えて、インフラ復旧・復興の迅速化を図るため、日本下水道事業団による水道復旧工事への参画、宅地の耐震化推進等の措置を講ずることとしています。
 詳細につきましては、事務方へお尋ねいただければと思います。
 私からは以上でございます。

2.質疑応答

(問)今回の法改正によりまして、頻発化する災害への対応として、改めて民間団体と連携する重要性などについて、大臣の所感を伺います。
(答)今般、昨年起きた能登半島地震におきましても、多くのNPOやボランティア団体等が被災者支援のために活動いただき、多くの成果を上げてきたと認識をしておりますが、また一方で、こうした団体との連携に課題も指摘をされているところでございまして、地方自治体とNPO、ボランティア団体とが連携した被災者支援活動が迅速に行われるよう、登録制度を創設することといたしました。
 ですので、内閣府におきましては、登録した団体の情報を広く全国の自治体に共有するためにデータベース化し、平時から行政と民間が連携した体制の構築に向けて、環境整備を行ってまいります。
(問)法改正の関連で2問あるのですが、まず1問目をお伺いします。
 災害救助法で定める救助の種類に「福祉サービスの提供」を追加する内容が盛り込まれました。
 これに関して、能登半島地震での教訓と、法改正によってどのような変化を期待されるのか、大臣のお考えをお聞かせください。
(答)福祉サービスは、災害時においては被災者の生活環境の向上、そして災害関連死の防止のために、特に重要であると認識をいたしております。
 能登半島地震においても、福祉サービスということで、高齢者等の方々が災害時に滞在できる福祉避難所の設置でありますとか、災害派遣福祉チーム(DWAT)の避難所への派遣など、災害時の福祉的支援に取り組んできたところでありますが、被災者の中には、避難所のみならず、在宅や車中泊で生活を送られる方々もおられます。
 今般、災害救助法を改正します。そして、救助活動の種類として「福祉サービスの提供」を加えてまいりまして、DWATの活動範囲を拡大することで、在宅や車中泊の被災者の方々を含め、高齢者、障害者等への、要配慮者への支援が更に充実をしていっていただきたいと思っております。
(問)もう1点あります。法改正では、自治体に対して備蓄状況の公表を年に1回義務付ける内容を盛り込まれましたが、これに関しても、能登半島地震での教訓、また、法改正によってどのような効果が期待されるのか、お聞かせください。
(答)特に能登半島地震で明らかになりましたのは、それ以前も国は自治体に対して「備蓄をしっかりやってください」ということでお話はしておりましたけども、今回、能登半島地震においては、平時からの物資の備蓄量が少なかったと、発災直後に必要な物資が不足する場面もあったと認識をしております。
 ですから、こういった自治体の現状が改善をされていくということが必要であり、そのためにも、年1回、自治体に物資の備蓄状況を公表していただき、これにより各自治体が、地域で想定される災害に対する必要な備蓄量を、まずは自治体内で議論をしていただいて、どれが適切な量かといったことを含めて、その適切な備蓄につなげていただくことを期待したい。量だけではなくて、物資の種類もそうでありますけれども、適切な備蓄につなげていただくことを期待したいと思っております。
(問)同じく改正案の法律の概要についてお伺いします。
 援護協力団体の登録制度の創設を今回盛り込まれました。それに伴って、登録制度の運用スケジュールなど、お考えがありましたらお聞かせください。
(答)一応この登録制度につきましては、法律が国会でお認めいただき、公布をされると思いますが、公布から三月以内に施行することとしております。
 まだ何日といったことは、当然、国会の御審議もございますのでお話はできませんが、希望とすれば、夏の出水期前に登録が開始できるように、準備を進めていきたいと思っております。
(問)領土問題担当大臣にお伺いいたします。
 12日(水)の記者会見でも少しやりとりはありましたが、島根県が「竹島の日」を制定してから20年を迎えることについて、大臣のお考えをお願いいたします。
 また、大臣に県側からの式典の招待の有無についての御認識について教えてください。
(答)竹島は、歴史的事実に照らしても、かつ国際上も、明らかに我が国固有の領土であります。
 竹島問題に関する我が国の立場を主張し、同問題の平和的解決を図る上で有効な方策を不断に検討することが大事だと思っております。
 今回、式典がございますが、この式典、私は一応案内は頂いているという認識でございます。
 これ以上の具体的な中身に関しては、今後の対応に支障を来すおそれもあるので、ここまでとさせていただきたいと思います。
(問)「竹島の日」の条例ができて20年の受け止めだけ、お伺いできますでしょうか。
(答)竹島は、先ほども申し上げましたが、明らかに我が国固有の領土であります。「竹島の日」の条例に関して、島根県の県民の皆様が思いを致し、平和的解決を図る上で御努力をされているということは、私共も認識をしているというところでございまして、我々国としても、不断にその方策を検討してまいりたいと思っております。
(問)法改正の方でお尋ねいたします。
 広域避難について、被災者の情報共有を盛り込まれたということですけども、南海トラフを考えても喫緊の課題というところで、今後、広域避難の実質的な実施に向けて、どうこの法改正によって進むかという期待をどう捉えていらっしゃるかというところと、なお、被災者の情報共有をしたとしても、広域避難に向けて残る課題というのをどう捉えていらっしゃるかという点をお願いいたします。
(答)とにかく広域避難ですけども、今回、能登半島地震におきましても、二次避難でいろいろなパターンがありましたが、地域で、集落で、100人近くがまとまって、ある場所に避難をする場合もあれば、個々で避難をした場合もあり、何人か、何十人という規模であっても、地区がばらばらの方々がその期間だけ一緒に避難というような、いろんなパターンがありました。
 逆に、そのことに関して、自治体が、市町村や県が十二分に被災者の状況を把握できない、意向を含めて把握しづらいという点で課題が指摘をされておりますので、そこを様々なDXの技術を使いながら把握をしていくということによって、今まで以上に被災者、特に二次避難、地元から離れたところに避難している方々の状況を把握し、支援の充実につなげていきたいと思っておりますし、また、そのために、二次避難に関しましての新しいガイドラインもこれから策定をし、お示しをしていくということを考えております。
(問)なお、残る課題といいますか、この法改正後も残る課題というところは、どういうふうに捉えていらっしゃいますでしょうか。
(答)残る課題といっても、法改正をしたからといって、現場がそのまま改善するわけではないので、ですから同じ話で、しっかりそれがどこまで把握できるか、そして、その把握した情報によって、どこまで二次避難をしている避難者の方々の支援が進むかということに関しては、今後、実証して、具体的に形にしていかなければならないわけで、そのためのガイドラインなどもこれから策定をし、そして、それを現実に効果を上げる体制づくり、これをやっていくというステージに今度は入っていくのだろうと思います。
(問)災害対策基本法、項目ごとの質問が多かったので、全般のことをまず伺いたい。
 今回6つの法改正が施行されて、しかも災害対策としては大きな一歩のステップになったのではないかなと思うのですけど、防災担当大臣として、今回の全般、この法改正を受けて今後どのように取り組んでいきたいか、受け止めを改めてお願いできますか。
(答)あくまで個人的な思いでありますが、やはり大きな震災や大きな災害が起きると、当然そこで課題が指摘をされ、問題意識が出てまいります。その問題意識を乗り越える対策を一つ一つ取ってきて、今にきていると思っておりまして、特に今回は、能登半島地震の教訓が大いに反映をしている法改正かと思っております。
 ですから、今回は今考えられるというか、問題点だと指摘をされていることに関して、かなり幅広く、今回の法律によって対応をすることになるのではないかと思っておりまして、私個人としても、これが法改正の趣旨や法改正の狙いどおりに、実際に現場が動く、現実が動くということになればいいなと、かなり期待はしているところでございます。

(以上)