城内内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和7年10月10日

(令和7年10月10日(金) 11:00~11:18  於:中央合同庁舎8号館1階S106会見室)

1.発言要旨

 
 冒頭2点、御報告申し上げます。
 1点目は、大変喜ばしい報告ですが、科学技術政策担当大臣としての報告です。
 一昨日8日に発表された本年のノーベル化学賞を、京都大学の北川進理事・副学長、高等研究院特別教授が、その優れた御業績により受賞されました。北川先生には、改めて、この場もお借りしまして、敬意と感謝を申し上げたいと思います。
 6日に発表されたノーベル生理学・医学賞に続いて、我が国の研究者がノーベル賞を立て続けに受賞されたことは、我が国の研究水準の高さを世界に示す快挙であり、我が国及び国民の皆様にとって大きな励みとなるものであります。そしてまた、次代を担う若い世代の方々に夢や希望をもたらすものであり、新たな技術の社会実装などに積極的に挑戦する意欲を高める契機となることを強く期待しております。
 一昨日の夜には、電話で直接祝意をお伝えする時間も取らせていただき、その際にもお話ししましたが、今回のような素晴らしい発見を生み出すためには、やはり何といっても、基礎研究に対して、途中で中断したりするのではなくて、切れ目なく継続的に支援していくことが極めて重要であります。また、北川先生からは、研究時間の確保や若手研究者支援といった研究環境の整備が重要であるとか、あるいは、第三者から「こんなの意味があるの」などというような感じで、結構嘲笑されていたみたいなことを記者会見でおっしゃっていたような記憶がありますけれども、そういうものであっても、しっかりと政府がバックアップしていくことが必要ではないかなと改めて思っており、北川先生からもそのようなメッセージをいただいたところであります。
 我が国から優れた科学技術・イノベーションの成果が今後も次々と創出されるよう、優れた研究人材の育成、研究環境の整備、そして必要となる予算の継続的な確保、これは本当に待ったなしだと思っておりますので、関係府省庁としっかりと連携して、全力で取り組んでまいる考えであります。
 2点目ですが、宇宙政策担当大臣としての報告であります。
 2件ありますが、まず1件目、我が国の衛星測位システムである準天頂衛星「みちびき5号機」を本年12月7日にH3ロケット8号機で打ち上げる予定である旨、一昨日8日に発表いたしたところであります。今年度中に、この「みちびき5号機」、そして「みちびき7号機」を打ち上げ、海外の測位衛星に頼らない、「みちびき」のみで測位が可能な「7機体制」を構築いたします。引き続き、衛星測位システムの整備と利活用に向けて取り組んでまいります。
 次に2件目ですが、本日午後、宇宙航空研究開発機構(JAXA)より、「宇宙戦略基金」第2期テーマについて、採択結果が初めて公表されることとなります。
 宇宙戦略基金につきましては、産学官における宇宙活動の加速を目指し、民間企業や大学等による技術開発や商業化等を支援するものであり、今回は2テーマの公表となりますが、今後、第2期の残る22テーマの審査についても迅速に進めてまいります。
 これまで縷々申し上げているとおり、宇宙分野は、自動車産業に次ぐ、我が国の基幹産業に十分なり得る分野であると確信しております。一方で、この分野をめぐる国際競争は、大変激化しております。我が国が足踏みをして後れを取ることがあってはなりません。現在、令和8年度概算要求におきまして、「みちびき」の整備・利活用や宇宙戦略基金といった宇宙関係予算を、関係府省が連携して要求しているところでありますが、今後、予算をしっかりと確保し、迅速に取組を進めることで、我が国の宇宙活動の一層の発展を後押ししていく考えであります。

2.質疑応答

(問)ホライズン・ヨーロッパの準加盟についてお聞きしたいのですけれども、大臣、先週、「今年中には」というお話があったのですが、ホライズン・ヨーロッパの準加盟となると、日本の研究者もEU(欧州連合)の研究プログラムに応募ができると。一方で、中曽根元総理のつくったヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラム、こちらに日本は結構拠出金は出しているのですけれども応募も採択も少ないという状況にあります。同じようなことがホライズン・ヨーロッパで起こらないようにするために、どのような取組が必要だとお考えでしょうか。
(答)まず、御指摘いただきました、ヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラムについて簡単に御説明しますと、生体の複雑な機能の解明を目的とする最先端の研究を推進し、その成果を広く人類全体の利益に供することを目的に、平成元年(1989年)、世界の中で我が国が主導し、当時はその予算の大半を拠出して設立した、御指摘のとおり、当時の中曽根総理発案のプログラムであります。
 そうした経緯から、我が国の予算拠出割合と日本人の採択割合を単純比較することは適当ではないのですが、御指摘のとおり、我が国からの応募数及び採択数は必ずしも十分ではなく、近年、AMED(国立研究開発法人日本医療研究開発機構)においては、日本人向けに、大学での説明会や学会等への出展を行うなど、プログラムの周知活動に精力的に取り組んでいるところでございます。この点については、事務方にも更に精力的に取り組むように指示をしたところであります。
 現在交渉中のホライズン・ヨーロッパにつきましては、これに準参加することになりますと、政府として、当然、積極的に広報を行うとともに、国内への周知活動や研究機関等からの問合せに対応する代表機関、これはナショナルコンタクトポイントというそうですが、これとも連携し、我が国から優れた研究提案が多数応募されるよう取り組むことが不可欠であると考えております。
 いずれにせよ、まずは交渉をしっかりと進めることが重要であり、成熟した日EU関係にふさわしい、一方通行ではなくて双方向の互恵的な協力となるよう、引き続きしっかり協議を重ねてまいります。
(問)今年、久しぶりに日本人の方がノーベル賞の自然科学3賞のうち2つで受賞をしまして、日本の研究力の高さを示すものだと思うのですけれども、一方で、お二人の成果は1980年、90年代の仕事が中心になって、それが授賞理由となっていまして、あるノーベル賞受賞経験者の方に取材したところ、やはり日本の研究力が落ちているのは間違いなくて、受賞したからといって安心してもらっては困るというようなことをおっしゃっていて、お二人がどのような研究をしてきて、それが認められたのかをきちんとしっかり検証して、今後につなげてほしいというようなことをおっしゃっていました。実際にお二人の研究は、なかなか当初は重要性が認められずに、その有用性なども理解されていなかったという点もありまして、こうした意見やこういった点を踏まえて、どのように受け止め、今後の科学技術政策につなげていくか、そういった点について伺えますでしょうか。
(答)この度、日本の研究者のお二人がノーベル賞を受賞されたことは、先ほども申しましたように、我が国にとって大変喜ばしいことであり、長年にわたり研究活動を諦めず積み重ねてこられたことに対しまして、敬意と感謝を申し上げたいと思います。
 御指摘のとおり、今回の授賞理由となったお二人の研究成果は、いずれも西暦で言うと1990年代に発表されたものと承知しておりまして、お二人の基礎研究を支えた当時の研究環境に加えて、その後も今日まで息長く粘り強く研究を進められるとともに、社会実装にも挑戦してこられ、そうした継続的な活動が今回の受賞につながったと考えております。
 特に、これはお二人ともたしか記者会見で御指摘されていたと記憶しておりますが、「研究環境」は極めて重要な点であります。近年、我が国においては、若手研究者のポスト、あるいは研究資金、研究時間の不足といった様々な課題があると認識しており、こうした課題を一つ一つしっかり克服し、研究者が安心して挑戦的な研究に取り組めるよう、先ほど御指摘があったように、周りから「こんなの重要ではないのではないか」、「何かやる意味があるの」など、周りから嘲笑されて恥ずかしかったみたいなことを、北川先生が記者会見でおっしゃっていたわけで、それでも頑張ったという話をされていて、私もそれを聞いて、選挙もそうですけれども、とにかく諦めずに頑張ることが大事だということを改めて認識しました。そういう挑戦的な研究に取り組めるよう、これからも努めてまいる考えであります。
 また、御指摘のとおり、今回の受賞を契機に、どのような環境や制度が独創的な研究成果を生み出し、その後のイノベーションにつながったのかを改めてしっかりと検証し、今後の取組につなげていくことも重要であると考えておりますし、それをしないと、今後この先、このようなノーベル賞の受賞は、個人的には厳しいと思っています。
 今後もノーベル賞を受賞するような優れた研究や研究成果を、我が国から生み出し続けていくことは重要でありますので、第7期科学技術・イノベーション基本計画の策定に向けた議論をしっかり進めてまいります。せっかくこうやってお二人が、立て続けにお取りになったということで、これを契機に、これまでやってきたことをしっかりもう一度見直すなどしていく、今のうちに、鉄は熱いうちに打てと言いますので、それをしっかりやるべきだと思いますし、国民の皆様の御理解もいただきながら、政府一丸となってやるように、私もこの問題は、連日、事務方にも話しております。しっかり取り組んでまいりたいと思います。
(問)OpenAIの動画生成AI「Sora2」が、日本のアニメキャラクターなどを生成できる状態でリリースされた件についてお伺いします。朝日新聞の専門家への取材では、著作権法に違反するとの指摘もありましたが、大臣の御見解を教えてください。また、アルトマンCEOがブログで対策を施したと表明していますが、日本政府あるいはAI戦略本部として、OpenAIに対して何かしら対応を取られたのでしょうか。加えて、「Sora2」以外の画像や動画生成AIにおいても、こうした著作権違反が疑われる生成が可能なものも見受けられますが、AI法第16条に基づく調査を含め、政府としてどのような対応をお考えでしょうか。
(答)まず、最初の御質問ですが、御指摘のアプリにつきましては、既存の作品に酷似した作品が生成されることなどに対して、知的財産権の侵害であるとの懸念の声があることは承知しております。
 アニメ・漫画は、世界の人を魅了し続ける我が国が世界に誇るかけがえのない宝であります。政府としても、御懸念の声に配意しつつ、適切に対応してまいりたいと思います。私、知的財産戦略、クールジャパン戦略担当大臣ですので、この点については適切に対応していく考えです。
 2点目の、現在までの政府の対応についてでありますけれども、政府としては、OpenAI社に対し、著作権侵害となるような行為を行わないよう要請したところであります。
 そして3点目の、今後の政府の対応につきましては、今後とも、政府といたしましては、AIを活用する事業者の状況も踏まえ、知的財産権に対する御懸念の声にも配意しつつ、適切に対応してまいる考えであります。
(問)今の点に関連して、OpenAI社に対して要請されたということでしたけれども、それはいつ頃どういった形で行われたのでしょうか。
(答)内閣府において、知的財産戦略推進事務局から、まずは事務的に、著作権侵害となる行為を行わないよう、直接、要請をいたしました。
(問)今の質問に関連なのですが、要請したのが、直接要求されたということなのですけれども、これは何か対面でOpenAI社に要請をしたということでしょうか。
(答)(事務局)事務方であります。オンラインではありますけれども、直接要請をしたと、それは事実でございます。
(問)それはいつになるのですか。
(答)(事務局)事案が発生、報道がされてからそれほど経たない、数日経ったぐらいのときだと思います。
(問)具体的な日付は今ははっきりしないのでしょうか。
(答)(事務局)そういった詳細を知りたいということであれば、それはまたお問い合わせいただければと思います。

(以上)