城内内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和7年10月3日

(令和7年10月3日(金) 10:26~10:35  於:中央合同庁舎8号館1階S106会見室)

1.発言要旨

 
 科学技術政策担当大臣として、1点御報告申し上げます。
 明後日10月5日ですが、京都で開催されます第22回STSフォーラム(科学技術と人類の未来に関する国際フォーラム)に出席するとともに、第22回国際科学技術関係大臣会合を主催するために出張いたします。
 この大臣会合では、私が議長を務め、約20か国の科学技術大臣等と意見交換を行う予定であります。大臣会合のテーマですが、「未来社会を見据えた科学技術・イノベーション」であります。各国・地域の様々なアイデアをインプットしていただき、また、多くの連携関係を構築することを、私自身、楽しみにしているところでございます。
 加えて、この機会を利用して、EU(欧州連合)、スイス、イラン及びスリランカの大臣等と個別にバイ会談を行う予定であり、特にスイスとの関係では、量子科学技術に関するMOC(協力覚書)に署名する予定となっております。
 今回の京都出張を通じて、戦略的な科学技術外交をしっかりと実行してまいる考えであります。

2.質疑応答

(問)ホライズン・ヨーロッパへの日本の準参加について教えてください。1つは、いつぐらいまでに参加を決めるのかといった、今後の見通し、もう一つは、準参加することで、日本の研究者にとってはどのようなメリットがあるのか、教えてください。
(答)昨年12月から、我が国と欧州委員会との間で、ホライズン・ヨーロッパへの準参加に関する協定のための交渉を鋭意進めているところであります。
 先日、この記者会見の場で申し上げましたけれども、私自身は、ホライズン・ヨーロッパへの準参加をできる限り実現したいと考えておりますが、準参加の可否の判断に当たりまして、やはり成熟した日EU関係にふさわしい、互恵的な協力となるよう、条件をしっかりと整える必要がございます。こうした観点から、関係省庁と連携しながら、現在、協議を進めているところであり、判断時期などの見通しについて、現時点でお答えすることは、交渉中でありますので差し控えたいと思います。
 なお、ホライズン・ヨーロッパへの準参加により、そのメリットとして何があるかといいますと、質の高い論文の増加、研究者の国際流動性の向上、さらには、企業や研究機関等の世界最先端の研究への参加促進といった、我が国の研究力の向上、産業競争力の強化、国際ネットワークの強化に資する効果が生まれると考えております。
(問)先日、文部科学省の宇宙開発利用部会で、H3ロケットの30形態について、燃焼試験中に不具合が見つかって、再試験を行う方向であることが報告されまして、あともう一つ、イプシロンSロケットについても、第2段モータの爆発事故の原因究明が遅れていまして、取り急ぎ、第2段を従来型で置き換えることも検討しているような話があったのですけど、現状のこのような開発状況をどのように受け止めていらっしゃるのかということと、今後の衛星の打上げ計画について何か影響は出るのか、見通しを教えてください。
(答)先月29日に開催されました文部科学省の宇宙開発利用部会において、JAXA(国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構)から、試験機であるH3ロケット30形態の打上げに向けて、再度、燃焼試験を実施することが必要との見通しが説明されたと承知しております。また、イプシロンSロケットに関して、早期運用を目指した開発計画の見直し方針がJAXAから説明されたと承知しております。
 我が国の宇宙活動の自立性確保、そして、国際競争力強化のためには、H3ロケットとイプシロンSロケットのこの2つの基幹ロケットを着実に開発し、安定的に打ち上げていくことが極めて重要であります。JAXAにおきましては、人工衛星の打上げ要望に応えられるように、難易度の高いロケット開発に引き続き果敢にチャレンジしていく考えだと承知しております。
 なお、基幹ロケットの今後の打上げスケジュールにつきましては、まずはJAXAにおいて検討されるものと理解しており、検討を速やかに進めていただきたいと考えております。
 なお、今月21日には、H3ロケット7号機によるHTV-X1号機の打上げが予定されておりますけれども、同機は固体ブースターを持つ24形態であり、今回の燃焼試験で発生した事象については、固体ブースターを持たない30形態特有の事象であり、H3ロケット7号機打上げへの影響はないものと聞いております。
 JAXAにおきましては、現在、油井飛行士が滞在するISS(国際宇宙ステーション)にHTV-X1号機を無事届けることができるよう、H3ロケット7号機の確実な打上げに向けて、着実な準備を進めていただきたいと考えております。
(問)ある先端企業が、内定式に社長のアバターを出してきて、私はとても面白いと思うのですけれども、中小企業の中にも、社長のそういうものをつくって質疑応答させるような会社も出てきているぐらいなのですが、こういう取組をどう御覧になるかというのと、やはりAI担当大臣やこども政策担当大臣に、こども向けにはアバターをつくって、それに質疑させるようなことで、やはりAIを若い世代に広める努力が、続投されたら御自身のアバターをつくる気はないかということで、その辺りを伺いたいのですけれども。
(答)民間企業における個別のAI活用事例につきましては、この場でコメントすることは差し控えたいと思いますが、その上で、一般論として、御指摘いただいたような民間企業のイベントなどにおいて、様々な形でAIが用いられるようになり、注目を集めることは、我が国におけるAI活用を促すことにつながりますので、もって国民経済の発展や国民生活の向上にも資するものと考えております。
 こども向けのアバターについて御指摘がありましたが、そういう活用例もあるのかと思いますが、他方で、いろいろな意見もございまして、こどもの頃からAI漬けにしていいのか、SNS漬けにしていいのか、そういった声もありますが、科学的根拠、エビデンスを基に、成熟していないこどもに対するいろいろな影響、プラスの影響、マイナスの影響などもしっかり見極めた上で活用することが大事ではないかと思います。ただ、一般論としてもう一回繰り返しますと、やはり、今、申しましたように、AI活用を促すことは、国民経済の発展や国民生活の向上に資するものであるので、こういったことは是非進めていただきたいと考えております。
 内閣府としては、引き続き、こうした民間企業の取組を含め、AIのイノベーションの促進、そして同時にリスクの対応も非常に重要でありますので、この両立をしっかり図りながら、我が国が「世界で最もAIを開発・活用しやすい国」であると同時に、やはり、信頼あるAIをしっかりつくっていくことが私は大事であると思いますので、こうしたことを今後も目指していきたいと考えております。

(以上)