城内内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和7年8月29日
(令和7年8月29日(金) 11:02~11:14 於:中央合同庁舎8号館1階S106会見室)
1.発言要旨
冒頭2点、御報告いたします。
まず、1点目は、宇宙政策担当大臣としての報告です。
今週8月26日、東京都府中市の航空自衛隊の宇宙作戦群を視察してまいりました。この視察においては、宇宙作戦群の石井司令をはじめとする防衛省・自衛隊の宇宙関係者の皆様との意見交換を行うとともに、宇宙領域把握に関する宇宙作戦群の運用状況などについて説明を受け、関連施設を視察いたしました。
安全保障の分野においても、宇宙の重要性はますます拡大しており、宇宙安全保障の中核を担う宇宙作戦群の役割も今後更に大きくなってまいります。
また、近年、スペースデブリへの対策の重要性が増大する中、宇宙作戦群におかれては、収集した宇宙物体の軌道情報を民間事業者にも提供するなど、宇宙交通管理に関して精力的な取組が行われていることを確認できました。
特に、宇宙作戦群の日々の監視業務の中で、24時間365日を通じて国内関係機関や同盟国・同志国との情報共有や各種調整が行われている状況を目の当たりにし、大変感銘を受けたところであります。
今後とも、防衛省・自衛隊をはじめとする関係各省と緊密に連携しながら、宇宙空間の安定的かつ持続的な利用の確保に取り組んでまいります。
2点目でございますが、これは科学技術政策担当大臣としての報告です。
本日29日、閣議に引き続き、原子力関係閣僚会議が開催され、科学技術政策担当大臣として私も出席いたしました。本日の会議では、柏崎刈羽原子力発電所の再稼働における地元理解促進に向けた対応についての議論を行いました。私からは、同原子力発電所の再稼働に当たり、安全性確保を大前提として、国が前面に立って丁寧な理解促進活動を行うことが重要であることや、「原子力発電施設等立地地域の振興に関する特別措置法」の対象地域の拡大を速やかに進める旨を発言いたしました。
内閣府としては、原子力委員会が策定した「原子力利用の基本的考え方」を踏まえ、引き続き、俯瞰的立場から原子力政策に取り組んでいくとともに、特措法の運用については、関係省庁と連携し、立地地域をしっかりと支援していく考えであります。
2.質疑応答
- (問)概算要求を出されたかと思うのですけれども、今回の概算要求の中で、大臣としてはどういったところに力を入れていきたいとお考えでしょうか。
- (答)令和8年度の予算概算要求に関しましては、私の担当分野の政策について、それぞれ必要となる予算をしっかりと要求させていただいたところであります。
そうした中で幾つかの分野をこの場で御紹介させていただきますと、まず、令和8年度は、御案内のとおり、第7期科学技術・イノベーション基本計画のスタート年に当たりますので、科学技術関係予算や、先般、我が国初の法律を制定し、特にこの1~2年の取組が極めて重要となるAI関連予算をしっかりと確保したいと考えております。その中で、内閣府としては、AIや量子、フュージョン等の国家戦略の推進を強力に牽引するための経費を要求しており、その確保にしっかり努めていく考えです。
また、宇宙分野は、これは毎回申し上げているとおり、自動車産業に次ぐ基幹産業となり得る重要な分野でありますので、宇宙関係予算総額をしっかり確保していくとともに、内閣府としては、準天頂衛星や宇宙戦略基金に必要となる予算を、事項要求も含めて要求しているところであり、こちらも同じようにしっかりと確保していく考えです。
もちろん、その他の分野も、いずれも重要な政策領域であり、今後、年末の予算案の決定に向けて、担当する内閣府予算、さらには、内閣府が司令塔機能を担う分野においては、政府全体の予算もしっかりと確保できるよう、関係省庁とも連携しながら、最大限努力してまいる考えであります。 - (問)先日、自民党の調査会が、科学技術・イノベーションに関して中間提言をまとめまして、トップ10%論文で世界3位を目指すことや、科研費の倍増など、相当大きな意欲的な数字を盛り込んでいるのですけれども、これについて、第7期基本計画への反映を求めていますが、どのように受け止めていらっしゃるのか、お聞かせください。
- (答)自由民主党の科学技術・イノベーション戦略調査会が取りまとめた「第7期科学技術・イノベーション基本計画に関する中間提言」が昨日28日に公表され、その内容について、私も承知しているところです。
同提言においては、トップ10%論文に関する目標をはじめ、科学技術創造立国の再興に向けた、非常に意欲的かつ具体的な提言をいただいたと受け止めております。
改めてこの場で申し上げるまでもなく、科学技術・イノベーションは、国力の源泉であり、経済成長を加速させ、そしてまた、社会課題を解決する原動力となるものであります。
本提言を作成いただいた関係者の皆様とは思いを全く共にするところであり、今般作成いただいた提言もしっかり踏まえながら、内閣府として、第7期科学技術・イノベーション基本計画の検討を進めてまいる考えであります。 - (問)今の質問に関連しまして、トップ10%論文、引用論文数というのは一つの指標ではあると思うのですけれども、分野によっては、書籍を出すとか、国際会議、国際学会の演題として採択されるですとか、社会活動に貢献するなど、研究成果の示し方というのはいろいろあると思うのですけれども、研究力を測る指標について、どうあるべきかという点についてお考えをお聞かせください。
もう一つ、その点を踏まえて、様々な指標で見たとしても、やはり日本の研究力は高いという状況に持っていく上で、どういう施策が重要であるかという点についても教えてください。 - (答)御指摘の点ですが、研究力をいかに測っていくかについては、定量的に把握しやすいトップ10%論文数などの指標のみならず、まさに、今、御指摘いただいたような、書籍の発刊だとか、国際学会などでの演題に採択されたり、社会活動への貢献など、様々な指標があると思います。いずれにしましても、研究成果には様々な発表・活用方法があることから、そうしたことに関しても、それぞれの研究分野の特性に配慮した上で、俯瞰的・総合的に捉えていくことが重要と考えておりますので、御指摘のとおりだと思います。
そして、我が国の研究力の強化に向けては、これまでも何度もこの場で申し上げているように、やはり何といっても「研究環境」、「研究資金」、そして「人材不足」をどうしていくかといった、3つの大きな課題があると認識しており、この課題をいかに克服していくかという取組が今後極めて重要だと認識しております。
いずれにしましても、第7期科学技術・イノベーション基本計画の策定に向けては、関係省庁とも連携しながら、今、述べた課題の克服に向けた取組とともに、我が国の研究力を測るための様々な指標や様々な数値目標の在り方についても、しっかりと検討していく考えであります。 - (問)続けて、自民党の提言なのですけれども、この中で、科研費の倍増ということで、これは国内の主要学会や経団連からも声が上がっていたところを、自民党としても初めて盛り込んだと。もちろん、文科省の事業ではあると思うのですが、その中で、基礎研究力の世界トップレベルの再興というところで、これまで十分されてこなかったところというのを改めて基礎研究力に注目しているという内容になっていると思うんです。その点、大臣としてどのように受け止めておられるでしょうか。
- (答)まさに御指摘のとおり、今般の自民党の提言においては、科研費の増額目標を含め、予算の観点から非常に意欲的な提言をいただいたと受け止めております。
基礎研究の積み重ねの結果として、独創的な成果や、世界を変えるような新技術が生まれ、経済成長や社会課題の解決につながるものと考えています。このため、やはり基礎研究力を回復し、強化することが、科学技術・イノベーション政策における極めて重要なテーマと認識しております。
そうした中、特に近年の物価高騰や円安の影響により、研究費等が実質的に減少しており、その結果として、私もいろんなところを視察しましたけれども、研究現場では、設備の老朽化、あるいは人材不足など、深刻な状況にあると認識しております。
いずれにしましても、研究力を強化するためには、現場への十分な投資、すなわち予算を確保していくことが何よりも重要と考えており、第7期科学技術・イノベーション基本計画の検討を進めていく中で、科研費の在り方も含めて、我が国の科学の再興に向けた方策の具体化をしっかりと図ってまいる考えであります。
(以上)