城内内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和7年8月26日

(令和7年8月26日(火) 10:58~11:12  於:中央合同庁舎8号館1階S106会見室)

1.発言要旨

 
 健康・医療戦略担当大臣としての報告であります。
 先週、8月20日に横浜で行われたTICAD9(第9回アフリカ開発会議)において、「日・アフリカ共創で拓く健康と経済の未来」と題した公式サイドイベントを主催いたしました。
 具体的には、アフリカ諸国の保健閣僚、国際機関の幹部、そして、日本の経済界幹部などをお招きし、アフリカの保健課題の解決や、日・アフリカ間における保健・医療分野のビジネス関係の構築及び加速化に向けた官民連携の在り方などについて、有意義な意見交換を行うことができました。
 また、私の講演においては、今般、日本政府として、「アフリカ保健投資促進パッケージ」を立ち上げ、「グローバルヘルスのためのインパクト投資イニシアティブ(トリプル・アイ)」との連携も含め、日本とアフリカ諸国との「共創」を促し、保健課題の解決を目指していく旨を紹介いたしました。
 さらに、日本企業や関係機関によるアフリカでの保健・医療案件の創出や環境整備を図るため、アフリカ諸国と各企業における計10件のMOU(協力覚書)等を紹介するセレモニーも冒頭に併せて行いました。今般のMOUを通じて、各案件が進展するとともに、更なる案件醸成が促されることを期待しております。
 加えて、イベント終了後に、ケニアのドゥアレ保健長官とバイ会談を実施し、我が国企業のケニアにおける取組や官民連携を通じて、保健分野における協力関係を一層強化していくこと等について議論を行いました。
 保健・医療分野は我が国の強みでありますので、今般のTICAD9の成果も活かしながら、この分野での日・アフリカ間の「共創」を積極的に促す考えであります。
 2点目は、科学技術政策担当大臣としての報告であります。
 今週29日の午後に、「第2期スタートアップ・エコシステム拠点都市サミット」を、Tokyo Innovation Baseで開催しますので、お知らせいたします。
 内閣府では、本年6月、グローバルに稼げるスタートアップを創出する拠点都市の形成に向けて、第2期スタートアップ・エコシステム拠点都市として、13都市を選定いたしました。今般、第2期拠点都市の始動に当たっての機運醸成と、政府・拠点都市関係者間のネットワーク構築を図るために、各拠点都市の代表者、あるいはキープレイヤーの皆さんが一堂に会するサミットを開催することといたしました。
 私自身も、本サミットに出席し、主催者代表として挨拶をさせていただく予定となっております。お手元のプレスリリースを御覧の上、プレスの皆様も、できましたら是非積極的に御参加いただければと思います。

2.質疑応答

(問)NISTEP(科学技術・学術政策研究所)が公表した最新の科学技術に関する2つの基礎資料を踏まえ、御所感を改めてお聞きします。
 1つは、論文を指標とした日本の「学術研究力」、これで見えてきた課題、あるいは明るい兆しについて。もう一つは、パテントファミリーの調査結果で、日本の「技術開発力」は一定の評価をされているのですが、先進国の底力、中国の勢い、新興国の台頭といった今後の変動も予測されるということについて。併せて、現在、CSTI(総合科学技術・イノベーション会議)で策定議論が進んでいます、第7期基本計画で重視すべき「日本の研究力の強化策」について、現時点でのお考えをお願いしたいと思います。
(答)科学技術・学術政策研究所、いわゆるNISTEPが今月8日に公表した、「科学技術指標2025」及び「科学研究のベンチマーキング2025」においては、様々な調査結果が示されておりますが、その中で、研究力の指標の一つでありますトップ10%論文数の世界順位が、昨年同様の13位にとどまるなど、我が国の研究水準の相対的な立ち位置が改善していないということが報告されており、危機感を有しているところであります。
 我が国の研究力の強化に向けては、これまでこの記者会見の場で何度も申し上げておりますけれども、「研究環境」、「研究資金」、「人材不足」といった観点から改善すべき課題があると認識しており、これらの課題の克服に向けた取組が今後も必要となってくると認識しております。
 また、パテントファミリー、すなわち2か国以上の特許出願数について、我が国は20年前から継続して世界第1位でありますけれども、世界シェアが2000年代半ばから低下傾向にある中で、中国がその数及びシェアを急激に拡大していると承知しており、こうしたことから今後も注視していく必要があると考えています。
 他方で、「明るい兆し」、これも明確に見えてきているところであり、具体的な例を挙げますと、一つは、博士課程入学者数が2年連続で増加し、2024年度は対前年度比4.9%増となったこと、2つ目は、日本の大学と民間企業等との「共同研究」の受入額が継続的に増加しているということ、3つ目は、研究開発費が、緩やかではあるものの増加傾向にあること、こういったことが示されておりますので、こうした点について、喜ばしいと受け止めております。
 いずれにしましても、現在、第7期科学技術・イノベーション基本計画の策定に向けた作業を進めているところでありますので、例えば、学術界については、大学のガバナンス改革や科学技術人材の確保、研究の国際化といったことを促す取組を、そして、産業界については、重要技術領域の特定を通じた研究開発投資を促進するなどの取組を、しっかりと進めてまいる考えであります。
(問)先週、理化学研究所が、スーパーコンピュータ「富岳」の後継機に関しまして、アメリカのエヌビディアが開発に参画するという発表をいたしました。日本の旗艦スパコン開発で海外企業が参画するのは初めてなんですけれども、この国際連携の意義と、あと、先端GPU技術を持つエヌビディアがこういった日本のスパコン開発に参画することによって、日本の半導体業界にどのような好影響が期待できるか、所感をお聞かせください。
(答)スーパーコンピュータ「富岳」の次世代機については、2030年頃までの稼働を目指して開発を開始しており、今般、開発主体である理化学研究所におきまして、加速部開発に係る事業者を、我が国の同盟国アメリカの企業であるエヌビディア社に決定したと伺っております。
 詳細は文部科学省にお尋ねいただきたいと思いますが、我が国と、世界のAI産業を牽引するエヌビディア社の先端技術が結集して開発される「富岳」の次世代機が、情報産業を開拓・先導し、AI処理の加速等を通じたイノベーションをもたらすとともに、我が国の半導体関連産業にとってもより良い影響を与えることになると思いますので、そういった点から、大いに期待しているところであります。
(問)科学技術・イノベーション基本計画についてお伺いしますが、今、その下の基本計画専門調査会のワーキンググループで、重要技術領域の選定について議論が進んでいると思います。これまで経済安全保障推進法だとか、個別の国家戦略で、重要技術であったり戦略領域について特定してきたと思うんですけれども、今回改めて重要技術を特定するということはこれまでとどう違うのかという意義と、具体的な想定する技術領域の分野、あるいは、これまでの国際的な研究開発競争を踏まえて、大臣はどういった問題意識があるのか、伺います。
(答)科学技術・イノベーションをめぐる国際的な主導権争いが大変激化している中で、主要国は、AIや量子といった戦略的に極めて重要な技術分野を定め、これらの分野への投資・支援を強化しているところであります。
 こうした中、我が国も、経済成長や社会課題の解決を実現し、また、経済安全保障の確保を図るために、重要技術領域を定め、効果的に政策資源を積極的に投入していくことが不可欠と認識しております。
 このため、第7期科学技術・イノベーション基本計画の策定に向けて、基本計画専門調査会の下で、「重要技術領域検討ワーキンググループ」を設け、2030年代を見据えて、我が国が戦略的に取り組むべき重要な技術領域について、社会・経済上の影響等の観点を踏まえつつ、現在、議論・検討をいただいているところであります。
 なお、その選定に当たっては、経済安全保障推進法に基づき示されている領域や、個別に策定してきた分野ごとの戦略、さらに、私自身が会議への参加や科学技術外交を積極的に進めている分野などとも整合性が図られるものと考えておりますが、現時点で、具体的に選定する分野について、この場でこれ以上のコメントをすることは差し控えたいと考えております。

(以上)