城内内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和7年6月20日

(令和7年6月20日(金) 9:28~9:44  於:中央合同庁舎8号館1階S106会見室)

1.発言要旨

 
 それでは冒頭、何点か御報告申し上げます。
 1点目は、科学技術政策担当大臣としての報告であります。
 昨日、現地時間でありますが、19日、文部科学省と英国エネルギー安全保障・ネットゼロ省との間で、「フュージョンエネルギーに関する日英間の連携強化のための協力覚書」が締結されました。
 フュージョン分野における日英間の連携強化に向けては、私の4月の英国訪問も含め、日英両国間で協議を進めてまいりましたが、今般、両省間での協力覚書の締結、特に、国家戦略の改定後初めてとなる、政府間の取り決めとして締結に至ったことを、大変うれしく思います。
 これに加えて、今回、我が国のフュージョンエネルギー産業協議会(J-Fusion)と英国の業界団体との間でも産業協力を強化するための覚書が締結されております。さらに、量子科学技術研究開発機構(QST)と英国原子力公社(UKAEA)との間で連携に向けた協議を実施するなど、更なる連携強化に向けた取組が進展しているところであります。
 今後とも、内閣府が政府の司令塔となって、関係省庁や産業界としっかり連携して、フュージョンエネルギーの早期実現に向けて取り組んでまいります。
 2点目ですけれども、引き続き、科学技術政策担当大臣としての報告であります。
 本日、第8回目となる、日本オープンイノベーション大賞の公募を開始いたします。
 本大賞は、スタートアップや中小企業、大企業、大学、行政機関の連携など、組織の壁を越えて新しい価値を生み出す「オープンイノベーション」の模範的な取組を表彰するものであり、平成30年度以降、毎年度行っているものであります。
 応募締切は8月4日となります。全国の皆様から、熱意にあふれた、また、先導性や独創性に富んだ取組を、数多く御応募いただけることを期待しております。詳細はお手元のプレスリリースを御覧になってください。
 3点目ですが、宇宙政策、科学技術政策及び経済安全保障担当大臣としての報告であります。
 諸般の事情が許せば、来週6月24日から29日の朝にかけて、オーストリア及びドイツの2か国へ出張いたします。
 まず、1か国目となるオーストリアでは、国連宇宙空間平和利用委員会(COPUOS)の本委員会及びサイドイベントに出席し、日本政府代表として、宇宙空間の持続的かつ安定的な利用の重要性を訴えるとともに、スペースデブリ対策や国際的規範・ルールづくりに関する日本の取組を、世界各国に向けて、しっかりとアピールする考えであります。
 また、本委員会の合間には、ホラ・マイニ国連宇宙部長、ベイト英国宇宙庁長官、ヴァレンテ イタリア宇宙機関長官との会談も行う予定であります。
 また、オーストリアのハットマンスドルファー経済・エネルギー・観光大臣及びマインル=ライジンガー外務大臣との間で、経済安全保障に関する意見交換を行う予定であります。
 次に、2か国目のドイツでは、ライヒェ経済・エネルギー大臣及びヴァーデフール外務大臣との間で、経済安全保障に関する意見交換を行う予定であります。
 また、今週日本でお会いした、ベア研究・技術・宇宙大臣とも再び会談し、科学技術・イノベーション及び宇宙に関する2つの協力文書への署名を行う予定であります。
 加えて、シュタインマイヤー大統領から日本人研究者に授賞される、フンボルト財団主催のジーボルト賞授賞式に参加するとともに、ドイツで活躍する日本人研究者の皆様との意見交換も行う予定であります。
 さらに、ドイツ航空宇宙センター(DLR)を訪問し、ピッザーラ理事長との意見交換や、同センターと産業技術総合研究所との間での研究協力覚書の改定に係るイベントに出席してまいります。
 短期間でありますが、この機会を最大限に活かして、宇宙協力、科学技術協力及び経済安全保障に関する国際協力を戦略的に推進していく予定であります。
 なお、本件について、この後、事務方より皆様に向けてのより詳細なブリーフィングを実施する予定であります。

2.質疑応答

(問)先日、健康・医療戦略推進専門調査会で、健康医療分野の資源配分方針案が示されました。大臣としては、来年度予算に向けて、どういった点に注力すべきだとお考えでしょうか。
(答)御指摘の「医療分野の研究開発関連予算等の資源配分方針」は、健康・医療戦略推進本部が毎年度この時期に決定する方針であり、医療分野の研究開発及び環境整備のための予算を関係府省庁が要求するに先立ち、留意点や重点化すべき研究領域等を示しているものであります。
 なお、先日18日の健康・医療戦略推進専門調査会において、事務局からお示しいたしました、令和8年度の資源配分方針(案)については、本日、健康・医療戦略推進本部を持ち回り開催し、原案のとおり決定されたところであります。
 今回の資源配分方針では、第3期健康・医療戦略及び医療分野研究開発推進計画に基づき、AMED(国立研究開発法人日本医療研究開発機構)の8つの統合プロジェクトの着実な推進と、その成果の早期の実用化を進めることに加えて、先般、13日に閣議決定された骨太方針及び新資本実行計画を踏まえ、AIやデータを活用した創薬力の強化、医療・介護DX、次なる感染症危機を見据えた感染症危機対応医薬品等の研究開発への重点化を掲げているところであります。
 本資源配分方針を踏まえ、関係府省庁間で連携・役割分担をしつつ、一体となって令和8年度概算要求に臨めるように、内閣府として、総合調整など必要な役割を果たしてまいる考えであります。
(問)昨日のCSTI(総合科学技術・イノベーション会議)の基本計画専門調査会での話なのですけれども、委員の方から、特に若手研究者の処遇改善を求める声が上がっておりました。中には、やっぱり今、学生からすると、研究者というのはそれほど魅力ある職業だと映っていないというような意見も上がっていまして、将来の理工系人材の育成に向けて、懸念すべき状態かと思うのですけれども、今後、研究者の処遇改善に向けてどのように取り組まれていくのか、お考えをお聞かせください。
(答)御指摘のとおり、次期科学技術・イノベーション基本計画の検討に当たって、「人材の育成と確保」は、極めて重要な論点だと私も考えております。このため、昨日開催した基本計画専門調査会におきましても、複数の有識者議員から、若手研究者の処遇や研究環境を改善する重要性などが提起されたと伺っております。
 まさに御指摘の若手研究者の待遇向上は、我が国の研究力強化のためには不可欠でありまして、これまでも、令和2年には「研究力強化・若手研究者支援総合パッケージ」を策定し、博士課程学生への経済的支援を抜本拡充するなど、様々な取組を進めてきたところでありますが、大学等における研究環境整備がいまだ十分でないなど、若手研究者に関する課題は依然として残っていると認識しております。
 直近では、先週13日、国際頭脳循環の取組強化策としての「J-RISE Initiative」を公表いたしましたが、これについても、我が国が、若手研究者を含めた国内外の研究者にとって、世界で最も魅力的な国となることを目指して取り組んでいるものであります。
 昨日の専門調査会の議論でも御指摘がございましたので、真摯に受け止めて、引き続き、関係省庁と連携しながら、研究者の職業としての魅力向上、そして、我が国の研究力強化に向けた取組を、必要となる予算の確保も含めて、しっかりと進めてまいりたいと考えております。
(問)冒頭、大臣から発言があった、日英の核融合協力についてなのですけれども、改定戦略で国際連携の強化ということも一つ柱に立てていたと思うのですけれども、今後どういった形で国際連携を進めていくか、大臣のお考えをお聞かせください。
(答)政府としては、今般改定したフュージョンエネルギー・イノベーション戦略の内容を踏まえ、多国間・二国間の連携の一層の強化を図ることとしております。
 具体的には、世界7極で取り組むITER(国際熱核融合実験炉)計画、あるいは日欧協力によるBA活動に加えて、多国間連携については、G7やIAEA(国際原子力機関)等の国際協調の場を一層活用していきたいと考えております。
 また、二国間連携につきましては、これまでに発出いたしました日米共同声明や日欧共同プレス声明、そして、今回の日英協力覚書に加え、ドイツやカナダといった国とも、今後の連携について議論を開始しているところであります。
 引き続き、内閣府が司令塔となって、特に同盟国・同志国間の連携を強化することで、フュージョンエネルギーの早期実現を目指す考えであります。
(問)もう1点、経済安保の関連なのですけれども、自民党の経済安全保障推進本部が、造船業の復活に関して、再生に関する緊急提言を取りまとめました。大臣として、経済安全保障の観点から、造船業の再生・復興に関してどういうふうに取り組んでいくか、お聞かせください。
(答)昨日、自民党において、「我が国造船業再生のための緊急提言」が取りまとめられたと伺っております。
 言うまでもなく、我が国の造船業の再生は、経済安全保障の観点からも極めて重要であり、まずは、取りまとめに向けて御尽力をいただきました海運・造船対策特別委員会委員長の石田先生、そして、経済安全保障推進本部、本部長は小林鷹之先生ですが、関係者の皆様に御礼を申し上げたいと思います。
 その上で、四面を海に囲まれ、そしてまた、エネルギーや食料などの自給率が低い、これが我が国の現状でありますので、貿易量の99.6%を海上輸送に依存しておりますので、これは当然、造船業というのは、国民の生活・経済活動に不可欠な、インフラにとって非常に重要な分野であると思っております。
 ただ一方で、我が国の造船業にとっては、国際競争環境はますます厳しくなっており、経済安全保障の観点から、我が国造船業による船舶の安定供給の確保がまさに喫緊の課題であると思っております。
 今回の自民党の提言も踏まえ、引き続き、造船業を所管する国土交通省などとも連携しながら、船舶の安定供給の確保に向けて、サプライチェーン強靱化にしっかり取り組んでまいる考えであります。
(問)国会最終盤ということで、今国会、大臣、AI法案を含めて、いろいろ対応されたことがあったと思うのですが、受け止めなどお願いできればと思います。
(答)私が担当しておりましたAI法案が、衆議院・参議院での審議を経て成立したことは非常に良かったと思っております。ただ、いろいろな課題について、審議の過程で御指摘がございましたので、そういった課題については、関係省庁としっかり連携をしながら、やはり何といっても、国民の皆様にとって利活用しやすい、そして、リスクに対してはしっかり対応できているということ、そういうようなAI制度ができることをしっかり実現するべく、これで法案が通ったから終わりではなくて、しっかりと担当大臣として取り組んでまいる考えであります。

(以上)