城内内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和7年6月13日

(令和7年6月13日(金) 9:30~9:44  於:中央合同庁舎8号館1階S106会見室)

1.発言要旨

 
 それでは、科学技術政策担当大臣として御報告申し上げます。
 本日の閣議において、「令和6年度科学技術・イノベーション創出の振興に関する年次報告」、いわゆる令和7年版科学技術・イノベーション白書を閣議決定いたしました。
 今回の白書の特集テーマは、「白書とともに振り返る科学技術・イノベーション政策の歩み」であります。御案内のとおり、科学技術基本法が平成7年(1995年)に超党派の議員立法で制定されてから、今年でちょうど30年の節目であることを踏まえ、これまで経済・社会と科学技術がどのような時代を越えてきたのかを振り返るとともに、今後の科学技術・イノベーション政策の展望を分かりやすくまとめたものとなっております。
 国際情勢が大きく変化し、また、様々な社会課題が顕在化する中で、我が国の持続的な成長・発展のためには、科学技術・イノベーションの果たす役割はますます大きくなっております。これまでの政策の歩みも踏まえ、次の時代を科学技術・イノベーションの力で切り拓くため、そして、我が国が科学技術立国として世界を先導するため、関係省庁と連携し、第7期「科学技術・イノベーション基本計画」の検討をはじめとする、科学技術・イノベーション政策の推進に引き続き尽力してまいります。
 次も科学技術政策担当大臣としての御報告であります。
 このたび、内閣府において、関係省庁とも連携し、我が国の研究機関による国際頭脳循環の取組を後押しするための政策パッケージ、“J-RISE Initiative”を取りまとめました。
 これは、現下の国際情勢も踏まえ、我が国の研究機関による、海外在住の日本人の方々も含めた優秀な海外研究者等の戦略的な招聘に向けて、政府全体で1,000億円規模の事業を総動員するものであります。
 具体的な方向性としては、3点ございます。
 まず、国際卓越研究大学制度による独立的な研究環境の整備など、関連事業の最大限の活用により、魅力的かつ世界トップレベルの研究環境を実現いたします。
 次に、各研究機関が、優秀な研究者等を世界水準の処遇で招聘するため、緊急的に大学ファンドの活用を行うとともに、政府として、更なる取組の追加的措置を検討いたします。
 最後に、優秀な海外研究者等の招聘に向けて、リクルートキャラバンや、日本の生活環境及び文化的な魅力を含めた広報戦略の展開など、各種プロモーション活動を実施してまいります。
 いずれにしましても、内閣府としては、第7期「科学技術・イノベーション基本計画」の策定に先駆け、関係省庁と連携して、ここに掲げました取組を強力に推進することで、我が国の研究環境を抜本的に改善していきたいと考えております。我が国が、「研究者にとって世界で最も魅力的な国」となることを目指し、全力で取り組んでまいります。

2.質疑応答

(問)科学新聞社とエルゼビア社が共同で、AIを利用した研究について日本が立ち遅れているという状況を明らかにしました。今後、研究へのAI利用を促進するために、どのような取組をするのか教えてください。
(答)御指摘の科学新聞の記事、拝見させていただきました。この記事においては、日本における研究で、AIを利活用した論文数は主要国と比べて少ない一方で、個々の研究のインパクトでは存在感を持っており、AIの利活用を更に進めれば、我が国が世界の中で存在感を高めることは十分可能、と分析していると承知しております。
 まさに、我が国の様々な研究領域において、AIを積極的に活用していくことが、新たな研究成果やイノベーションを創出する上で、極めて重要だと考えております。
 このため、今月6日に閣議決定いたしました「統合イノベーション戦略2025」においては、例えば、科学研究の行程の自律化等にAIを活用する“AI for Science”の取組の加速、また、AI開発に不可欠な計算資源の開発・整備、さらには、次世代のAI開発等を担う若手研究者等の支援などに取り組んでいくこととしております。
 さらに、この重要分野の研究開発を進めるにあたり、AI活用を進めていくことも重要であり、例えば、マテリアル分野や創薬分野においては、AIを活用した研究開発を重視し、それぞれの戦略の中で、その推進を掲げているところであります。
今月4日にAI法が公布・施行されたところでありますが、内閣府としては、AI政策の司令塔として、関係省庁とこれまで以上に連携を図りながら、研究開発活動においても、「世界で最もAIを開発・活用しやすい国」を目指して、しっかりと取り組んでまいる考えであります。
(問)今、発表されました、“J-RISE Initiative”について伺います。今回、緊急的に取りまとめたパッケージだと思うのですけれども、やはり人材の定着につながるためには、これを持続的なものにしていかなければいけないと思うのですけれども、その辺りどうつなげていくか、お考えをお聞かせください。あともう1点ありまして、パッケージの中には、「更なる追加的措置の検討」とあるのですけれども、これは具体的にどういった施策を想定しているのか、その辺りについてお聞かせください。
(答)まさに御指摘のとおり、今般発表いたしました“J-RISE Initiative”を契機に、海外から招聘した日本人を含めた人材が、我が国において、今後もしっかりと活躍していただくことが極めて重要だと考えております。この今回のイニシアティブに盛り込んだ施策においても、優れた研究者等を直接支援するための取組に加え、そうした人材の我が国への定着を図るため、人事給与改革など、世界トップレベルの魅力ある研究環境を実現するための各種取組を併せて実施することとしております。
 その上で、関係省庁と連携しつつ、「更なる追加措置」を検討しているところでございます。その具体的な内容については、今後、関係省庁とともに、研究機関のそれぞれのニーズがありますので、あるいは現場の状況、これも現場によってそれぞれ違いますので、そういったニーズや現場の状況も踏まえて検討していく予定としておりますが、例えば、一つ例を挙げますと、帯同家族を含めた生活環境や教育環境の充実に向けた取組なども当然重要になってくると考えております。
 いずれにしましても、今後の情勢を注視しながら、関係府省が一丸となって、様々な政策手段を総動員して、適切かつ速やかかつきめ細かく対応してまいる考えであります。
(問)アメリカで大学が締め付けを受けていたりとか科学予算が減らされているという部分で、そういったアメリカの優秀な研究者も呼び込んでいきたいという部分もあるのでしょうか。
(答)特定の国ではなくて、日本人の方も含めた非常に優秀な様々な方々、若手研究者もそうですし、シニアの方もいらっしゃるでしょうし、各大学、国内研究機関にとっては、必要とする、ニーズに合った方々を積極的に受け入れるということでありますので、特段、こういう国籍のこういう人でなくてはいけないというのは、私はないと理解しております。
(問)パッケージに関連して、2つお願いします。海外の研究者を受け入れる、日本人を含めてということではあるのですが、今、現状で、日本にいる研究者に対する支援というのは、どうお考えかというのをお答えください。
(答)国際頭脳循環ということで、しっかり“J-RISE Initiative”に取り組むと同時に、これまでの日本人、国内研究者の方々に対する対応については、当然これまで以上にしっかりと対応していくことを考えておりますので、国際頭脳循環だけに力を入れるということでは全くないと考えております。
 今回のイニシアティブは、国際頭脳循環の取組を強化するということで、同時に、日本人研究者の処遇や研究環境の改善については、我が国の科学技術・イノベーション政策における最重要課題であることはこれまでと全く変わりませんので、そこはしっかり引き続き取り組んでいくということであります。
(問)関連して、海外の研究者を受け入れるというところで、国内の様々な国立大学を含めて、国際化がまだまだ現場で進んでいないところがあると思います。それに関連して、受け入れがどれぐらい実効性があるのかが疑問に思うところでもあるのですが、その辺り、今回のパッケージで、国内の大学の国際化に向けて期待することを、大臣の口から教えてください。現場での、例えば英語の事務手続の作業とか、あるいは、大臣の御発言にもありますが、帯同家族の受け入れも含めて、まだまだ海外の研究者にとって日本が選ばれる状況ではない中で、今回のパッケージでどういうところを期待されているかというところを教えてください。
(答)今、英語という話がありましたけれども、これも当然、手続も英語でできるようにしっかりやろうという話になっておりますし、また、追加的な措置を検討していくことになっております。私としても、本イニシアティブについては英語を使って広報活動をする予定ですし、ポイントはやはり、もちろん人事面での給与も大事ですけれども、お金に代えられない魅力、例えば、食とか安全性、健康、そういったお金に代えられない部分についても、日本の魅力について、積極的に発信をして、選択肢として、当然いろいろな選択肢があると思うのですね、ヨーロッパに行って研究する、あるいは日本に行く、あるいはアジアのどこかの国に、日本以外の国に行くということもあると思うのですが、そういう中で、しっかり海外の研究者の選択肢として、そのハートをつかんでいくような、先ほどきめ細かいということも申し上げましたけれども、きめ細かい対応をしていくように、私自身が事務方に指示をし、私自身も、どこまで広告塔になれるか分かりませんけれども、しっかり広報活動をしていく考えであります。

(以上)