城内内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和7年5月30日
(令和7年5月30日(金) 9:31~9:43 於:中央合同庁舎8号館1階S106会見室)
1.発言要旨
それでは、冒頭、何点か御報告申し上げます。
まず、科学技術政策担当大臣としての報告であります。
一昨日、5月28日でありますが、参議院本会議におきまして、「人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律」、いわゆる「AI法」が可決され、成立いたしました。
今般の国会審議では、人間中心の考え方、そして、AIイノベーション政策の在り方、AIの活用策、人材育成、ディープフェイクや偏見・差別等のリスクへの対応など、様々な御指摘をいただきました。こうした国会での御議論、また、附帯決議の内容も踏まえまして、今後、AI法に規定されております、AI戦略本部の設置、基本計画の策定、指針の整備、情報収集や調査といった取組を、関係省庁と緊密に連携しながら、スピード感を持って進めてまいります。
今般のAI法の成立を新たな出発点として、AIのイノベーション促進とリスク対応の両立を図りまして、我が国が「世界で最もAIを開発・活用しやすい国」となることを目指してまいります。
次に、宇宙政策担当大臣としての報告です。
本日、「宇宙開発戦略本部」を開催し、「宇宙基本計画工程表改訂に向けた重点事項」を決定いたしました。
石破総理からは、宇宙分野は「重要分野」であり、第一に、先端技術開発、技術実証、商業化について、スタートアップを含め、強力に支援すること。第二に、年間の打上げ能力30件程度を目指すとともに、宇宙活動法の改正法案の次期通常国会提出を目指すこと。第三に、アルテミス計画について、日本人宇宙飛行士の月面着陸に向け、有人与圧ローバの開発を進めるとともに、JAXA(国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構)の技術基盤や人的資源を強化すること。第四に、宇宙領域の防衛能力強化の方向性に係る文書を策定するとともに、準天頂衛星システムについて、今年度中に7機体制を構築し、11機体制に向けた開発を進めること。
以上について御指示がございました。
宇宙分野は、世界がしのぎを削る、また、我が国の将来の基幹産業となり得る重要な分野であります。総理の御発言と、本日決定した重点事項を踏まえまして、私自身が先頭に立って、この宇宙政策を前に進めてまいります。
最後に、知的財産戦略担当大臣として、2点御報告いたします。
まず、1点目についてですが、本日、我が国初となる「デジタルアーカイブ戦略」を公表いたします。
様々な分野のコンテンツを収集・保存・提供するデジタルアーカイブの取組は、我が国の優れた文化を継承し、国内外へ発信をしていくための基盤となります。こうした取組は、官民が連携し、中長期的な視点を持って進めることが重要であるため、今回、2030年までの5か年の戦略を策定いたしました。
本戦略では、「地方創生」に重点を置き、我が国の作品が世界で評価されているマンガやアニメなどの「メディア芸術」と、観光資源となり得る文化財などの「地域資源」を優先分野に指定いたしました。
今後、本戦略を、来月上旬に策定予定の「知的財産推進計画2025」へ反映し、しっかりとデジタルアーカイブの取組を進めてまいります。
次に、2点目についてでありますが、本日、「インターネット上の海賊版に関する工程表」を更新いたしましたので、関係府省連名で公表いたします。
今回の更新では、官民一体での海賊版対策を一層効果的に推進していく観点から、政府の取組に加えて、民間団体が予定している取組も新たに追記することといたしました。併せて、日本企業やクリエイターの皆様が、海賊版による被害への対応を円滑にできるよう、「海賊版に係る被害相談・申告窓口の明確化・対応フロー」も公表いたします。
引き続き、我が国のコンテンツ産業を海賊版被害から守るべく、官民一体となって海賊版対策をしっかりと進めてまいります。
なお、これらデジタルアーカイブ戦略、そして、インターネット上の海賊版対策につきましては、この後、事務方からブリーフィングを行います。
2.質疑応答
- (問)先日、大臣も出席された、グローバル・スタートアップの有識者会議なのですけども、その中で出てきた「実施方針」について、いつ頃決定して、関連事業をどういったスケジュールで進めるのか、また、フラッグシップ拠点なのですけども、この整備の見通しについても教えてください。
- (答)先日、5月27日、第8回の「グローバル・スタートアップ・キャンパス構想に関する有識者会議」を開催し、同構想の「先行的活動に関する実施方針(案)」について、御議論をいただいたところであります。私も、途中から参加させていただきまして、委員の皆様の議論を拝聴いたしました。
昨年8月に本構想の「基本方針」を策定して以降、その具体化に向けた海外機関等との調整を精力的に進めてきたところでありまして、27日の会議において、「先行的活動」に関する「実施方針(案)」を提示できたことは、本構想の実現に向けた大きな前進であったと捉えております。
この「実施方針」につきましては、会議で委員の皆様からいただいた御指摘も踏まえまして、来月を目途に決定・公表したいと考えております。その上で、先行的活動については、実施方針に基づきまして、JST(国立研究開発法人科学技術振興機構)に設置されております基金等を活用する形で、準備が整い次第、速やかに実施してまいる考えです。
そしてまた、フラッグシップ拠点の整備の見通しにつきましては、昨年8月に策定した基本方針を踏まえまして、現在も引き続き、本構想の運営法人設立に必要となる法制度上の措置に関して、準備作業を進めている段階であります。
いずれにしましても、本構想は、「世界最高水準のイノベーションエコシステムのハブを東京のまさにど真ん中に構築する」という、過去に前例のない挑戦的な取組でありまして、また、昨今の課題であります国際頭脳循環の加速にも大きく貢献し得る取組であることから、その実現に向けて、引き続き、最大限尽力してまいる考えであります。 - (問)国際頭脳循環の関連で、米トランプ政権の政策転換を受けて、文部科学省が、先日、各大学に学生の受け入れ支援の検討を呼びかけました。これを受けて、大学も記者発表等が相次いでいます。科学技術政策としては、更に研究者も一時的な支援であったり、あるいは積極的に獲得していく検討の余地もあると思います。一方で、当然、多額の費用、雇用の費用等がかかるということで、大学からも国への支援を明確に求める声も出ています。この辺り、科学技術政策担当大臣として、現時点でのお考えを伺わせてください。
- (答)御案内のとおり、米国トランプ政権によりますハーバード大学の留学生受け入れの停止措置を受けまして、文部科学省が国内の大学に対して、米国の大学に在籍する日本人留学生等の受け入れなどの支援検討を依頼したことは、私も承知しております。
また、米国の政策転換の影響によりまして、大学への助成金の停止などが発生しており、米国内にいる日本人研究者を含めた、研究者への影響が懸念されることから、当該研究者を取り巻く状況について、継続的な情報収集を行っているところであります。
なお、世界中から優れた研究者を獲得していくことは、我が国の研究力強化にとって極めて重要だと考えておりますので、今まさに、積極的な取組が必要であると、私自身も認識しております。
このため、内閣府としては、関係省庁とも連携して、先ほども申しましたように、国際頭脳循環をしっかり加速していくための取組について、具体的な検討を進めているところであり、スピード感を持って対応してまいる考えであります。 - (問)先ほどお話しいただきました、デジタルアーカイブ戦略なのですが、策定したことによって、どういうふうにコンテンツを世界に、というところも含めてなのですが、大臣の意気込みを改めてお願いしてもよろしいでしょうか。
- (答)御案内のとおり、「デジタルアーカイブ」は、いわゆる社会が持つ知や、文化的・歴史的資源の記録を未来に伝えるとともに、まさに今、AI時代において、イノベーションの源泉となるコンテンツやデータの共通基盤になると認識しております。また、教育や研究だけではなく、ビジネスや地域活性化など、様々な分野での利活用が期待されており、その構築や利活用については、「知的財産戦略」において、重要な課題の一つであると認識しております。
したがいまして、政府においては、内閣総理大臣を本部長とする「知的財産戦略本部」の下に、関係府省庁が各分野のアーカイブ機関としっかり連携して、デジタルアーカイブの拡充と利活用に向けた取組を推進することとしており、今回設定した達成目標を踏まえ、戦略のフォローアップ等を通じて、しっかり取組を推進してまいる考えですので、いずれにしましても、非常に重要な案件だと思っております。
(以上)