城内内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和7年5月13日

(令和7年5月13日(火) 10:32~10:46  於:中央合同庁舎8号館1階S106会見室)

1.発言要旨

 
 冒頭、1点だけ発言申し上げます。科学技術政策担当大臣としての御報告であります。
 本日、フィンランドの方なんですが、ヴィルックネン欧州委員会執行副委員長との間で、「日EU間の量子科学技術に関する協力趣意書」への署名を行うとともに、重要技術分野における日EU間の科学技術・イノベーション協力や、双方の政策等に関して、広く意見交換を行ったところであります。
 地政学的な情勢の不安定化や、新興技術が社会に与える影響の拡大が進む中で、量子をはじめとする重要技術につきましては、同盟国・同志国との間で協力を進めていくことの重要性が増していることは言うまでもございません。
 意見交換では、私のほうから、EUは、我が国と普遍的な価値観を共有し、互いに強い信頼関係を構築できる重要なパートナーであり、量子やAIといった重要技術に関しての協力関係を一層深めていきたいと、お伝えしたところであります。
 なお、量子科学技術につきましては、本年1月にデンマークとの間で、また、先月には英国との間で、協力覚書に署名を行うなど、戦略的に同志国との連携を進めております。
 今回署名した協力趣意書は、量子分野において、我が国とEUが様々なグローバル課題に対応できるエコシステムを共に構築していくため、その協力関係を、基礎研究だけではなく応用研究や産業化に至るまで広範に強化し、人的交流、共同研究、そして情報共有などを加速することを目的としております。
 なお、EUとの間では、昨年4月に行われた日EUデジタルパートナーシップ閣僚級会合を契機として、日本の「SIP(戦略的イノベーション創造プログラム)」と、EUの研究開発プログラムであります「ホライズン・ヨーロッパ」との連携プロジェクトを開始するなど、具体的な連携が進んでいるところであります。
 本日の署名をきっかけとして、日EU間の量子科学技術における協力が更に発展することを期待しております。

2.質疑応答

(問)G7のアカデミーが、G7サミットに向けた共同声明を発表しました。その中では、世界中の研究者がAIの研究開発を進めるための拠点の整備などが提案されていますけれども、大臣としての受け止めをお願いします。
(答)本年のGサイエンス学術会議、この共同声明が公表されたということは伺っております。この声明においては、「AIは、人類に恩恵をもたらす一方で、深刻なリスクが存在しており、課題に対処しつつ、恩恵を阻害しないため、ガバナンスや規制が必要」とされております。
 この声明の方向性は、AIによるイノベーション促進とリスク対応を両立させ、「世界で最もAIを開発・活用しやすい国」となることを目指すという、我が国のAI法案の趣旨と合致するものというふうに考えております。
 なお、御指摘の研究拠点に関連しては、共同声明の中で、「CERN(欧州原子核研究機構)のような機構のAI版の創設を支持する」と記載されていることは承知しております。多くの研究者が、計算資源に広く公平にアクセスできるようにすること等が念頭に置かれており、我が国における、今後のAIの研究開発や活用の推進において、貴重な意見として参考にしていきたいと考えております。
 いずれにしましても、こうした学術界の方々の御意見もしっかりと受け止めながら、引き続き、関係府省庁が一丸となって、AI政策の推進に努めてまいる考えであります。
(問)16日に始まりますセキュリティ・クリアランス制度について教えてください。
 従前から大臣も御発言いただいていると思いますけれども、今回の制度が日本にどのようなメリットがあるかということの利点の面と、一方で、個人のプライバシーに対する懸念の声というのも依然あると思いますけれども、こうしたところに、政府であったり、あるいは民間企業が、どのように対応していくのかということも改めてお伺いできればと思います。
(答)まず、メリットですが、安全保障の裾野が経済・技術分野にも拡大している中、セキュリティ・クリアランス制度は、我が国の経済安全保障上重要な情報を適確に保護・活用するために極めて重要だと考えています。
 本制度により、経済安全保障分野においても、厳しい安全保障環境を踏まえた情報漏えいのリスクに万全を期すことに加え、政府が保有する機微な情報を民間に共有し、官民連携による経済安全保障に関連する施策をより円滑かつ効果的に推進することが可能となるものであります。例えば、重要インフラに対するサイバー脅威への対処なども、より強化することが期待できると考えております。
 また、経済安全保障分野において、同盟国・同志国から信頼される制度が構築されますと、当然、同盟国などとの経済安全保障上重要な情報の共有がより円滑になり、経済安全保障に関する国際連携がこれまで以上に進むことが期待されております。
 そして、プライバシーへの懸念についてでありますが、重要経済安保情報を取り扱う業務において、情報を漏らすおそれがないことの適性評価につきましては、個人のプライバシーに関わるものでありますところ、調査項目を7項目に限定しているところであります。そのほかに、調査項目や調査の実施方法などをあらかじめ告知した上で、本人の同意を得ることとしておりますし、また、収集した個人情報は、適性評価に関与する限られた行政機関の職員のみが扱い、適合事業者にはお渡ししません。そしてまた、適性評価の結果を含む個人情報の目的外利用を禁止しております。こうした様々な配慮を行っております。
 また、法律の中では、「この法律の適用に当たっては、これを拡張して解釈して、国民の基本的人権を不当に侵害することがあってはなら」ないと規定しており、運用基準においても、適性評価の実施に当たっては、プライバシーの保護に配慮することとなっております。
 こうした規定を厳格に運用することにより、評価対象者のプライバシー権が侵害されることのないようにしてまいりたいと考えております。
(問)本日、一部報道で、大臣が2022年に自民党本部や長崎県知事の後援会などに寄附した個人献金について、自宅と事務所で2つの住所を使い分けて申告していたと。一人の人物が住所を使い分けて献金すると、上限を超えていても書面上で検証できなくなるのではというふうに指摘されていたのですが、使い分けた理由と、その使い分けについての認識、特に問題はないと考えているのか、教えてください。
(答)この報道については承知しておりますが、総務省の担当部局に確認しましたところ、住民票がある自宅でなくてもよいと説明があったというふうに伺っております。特段使い分けているわけではないんですけれども、おそらく会計担当者が、個人情報として適切ではないのかなということで、自宅の住所ではなく、自宅の近くにある事務所をお伝えしたというふうに私は理解しております。いずれにしても、御指摘いただいた点について、今後、事実関係を更に確認した上で、適切に対応するようにしたいというふうに思います。
 いずれにしても、何らかの目的を持って、何かごまかすために住所を使い分けているということではないということだけは言えるのではないかというふうに思っています。この点についてはしっかり調査し、適切に、政治とお金の問題で国民の皆様に疑念を持たれるようなことがあってはならないというのが私の考えでありますので、しっかりそこは精査して対応していく考えであります。
 ただ、もう一度言いますけど、少なくとも総務省に確認した限りにおいては、この献金事案については、絶対自宅の住所にしなければならないというふうではなく、事務所でもよいというように回答を受けたというふうに私は伺っておりますが、この点も含めて、再度きっちり、もう一度、点検・精査していく考えであります。御指摘、ありがとうございました。
(問)読売新聞さんの報道なんですけれども、経済安全保障上の先端技術についてのシンクタンクを設立するに当たって、この秋に会議体をつくって、来年度の設立を目指すという報道があるんですが、事実関係をお願いいたします。
(答)その御指摘がありました読売新聞の記事、拝見いたしました。
 経済安全保障推進法上の特定重要技術調査研究機関、この主要な候補として期待され、調査・分析及び政策提言、これが1つ目。2つ目は人材育成、そして3つ目はネットワーク構築。この3つの機能を一体的に実現する、仮称ですが、重要技術戦略研究所、これにつきましては、内閣府主導の下、この夏にも公募を行い、ホスト機関を採択した上で、令和8年度をめどとする研究所の設立を目指しております。
 その設立・運営に当たっては、政府との連携が重要であることから、内閣府において、政府関係者やホスト機関の長、研究所の長で構成する、これも仮称ですけれど、重要技術戦略会議を開催し、実施すべき調査・分析のテーマ等、研究所の重要事項に係る管理運営方針の検討・決定等を行うことを想定しております。
 なお、現在の次期科学技術・イノベーション基本計画に向けた検討において、科学技術・イノベーション政策における経済安全保障との連携について議論を進めているところであります。その中でも、同研究所が果たす機能・役割は極めて重要であると期待されているところであります。
 引き続き、関係省庁と連携しながら、研究所の設立に向けた取組を進めてまいる考えであります。

(以上)