城内内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和7年5月9日

(令和7年5月9日(金) 9:30~10:01  於:中央合同庁舎8号館1階S106会見室)

1.発言要旨

 
 それでは、冒頭、4つございまして、まず、科学技術政策担当大臣としての御報告であります。
 4月26日、石破総理や関係閣僚とともに、東京大学の松尾豊教授の研究室を訪問し、「生成AI集中講座」を受講するとともに、「若手AI人材との車座」に参加して意見交換を行いました。
 まず、この講座では、生成AIの特徴や仕組みについての理解を深めることができました。また、生成AIの代表格である大規模言語モデル(LLM)、その開発も体験させていただきました。
 また、車座では、AI分野の第一線で活躍されていらっしゃいますスタートアップ経営者や研究者の皆様から、AIの研究開発や活用に関する課題、人材育成の在り方、AIを活用した地方創生の展望等について意見交換を行いました。
 最後の会見では、石破総理から、「世界で最もAIを開発・活用しやすい国」、その実現を目指して、AI政策を担当する私、城内実を中心に取組を進めていくこと、そしてまた、地方でのAI利活用促進やスタートアップの創出・成長に資する取組を通じて地方創生を推進していくこと、こういった御発言がございました。
 私といたしましては、石破総理の御発言をしっかり受け止めまして、AI法案の速やかな成立をはじめ、政府一丸となって取り組んでまいる考えであります。
 2つ目でございます。経済安全保障担当大臣、また、科学技術政策担当大臣としての御報告でありますが、4月27日から5月1日にかけまして、英国、フランス、ベルギー、3か国を訪問いたしました。
 まず、28日ですが、英国では、科学・イノベーション・技術省を訪問いたしました。そこで、バランス閣外大臣とお会いし、日英間の量子科学技術に関する協力覚書への署名を行いました。また、日英両国間の科学技術・イノベーション協力に関する意見交換も行いました。私からは、日本にとって英国は重要なパートナーであり、重要技術に関しての協力関係を一層深めていきたい旨、お伝えしたところであります。
 なお、同日に、日英産業コンソーシアム、具体的には、我が国のQ-STAR(一般社団法人量子技術による新産業創出協議会)と英国のUKQuantumが了解覚書に署名した件についても公表されておりまして、政府として、こうした連携についても後押しをしていきたいと考えております。
 続いて、ビジネス・貿易省のアレクサンダー閣外大臣と会談いたしました。私からは、厳しさを増す安全保障環境や、地政学的な動向を踏まえ、戦略的なパートナーである英国とは経済安全保障分野においても連携の重要性が一層高まっているということをお伝えしました。また、アレクサンダー閣外大臣とは、基本的価値やルールに基づく国際秩序の下で、G7を含め、日本やEUを含む同盟国・同志国が協力して経済安全保障を強化していくことが重要であり、日英間で緊密に連携していくことで意見が一致しました。
 そして、翌日の29日、フランスでは、我が国でのフュージョンエネルギーに係る国家戦略の改定を見据え、日本が参画するITER(国際熱核融合実験炉)を訪問し、建設の進捗状況を現場で確認するとともに、バラバスキ機構長や現地の日本人職員の皆様と意見交換を行いました。
 今回の訪問も踏まえ、ITER計画で得られる技術や知見を着実に獲得することができるよう、今後の国家戦略の改定や取組の具体化に活かしていきたいと考えております。
 最後ですが、30日、ベルギーでは、imecを訪問し、最先端の半導体製造に関する研究現場を視察するとともに、imecのブック副所長及びラウアーズ副所長と意見交換を行いました。
 また、欧州委員会本部では、シェフチョビチ欧州委員と、史上初となる日EU経済安全保障大臣会談を行いました。この会談では、英国と同様に、同盟国・同志国が協力して経済安全保障を強化していくことが重要であり、日EU間で緊密に連携していくことで一致いたしました。
 さらに、昨日、シェフチョビチ欧州委員とは、東京で2回目となります日EU経済安全保障大臣会談を行いました。その中では、サプライチェーンの強靱化や、セキュリティ・クリアランス制度を含む、我が国の経済安全保障政策の説明を行い、日EU間の協力の可能性について更に議論を深めた次第であります。
 我が国の科学技術・イノベーションの一層の推進及び経済安全保障分野におけるG7を含めた同盟国・同志国との連携に向けて、今回の3か国訪問の成果をしっかりと活かしてまいる考えであります。
 次に3点目でございますが、クールジャパン戦略担当大臣、科学技術政策担当大臣、宇宙政策担当大臣として報告いたします。
 4月30日から5月2日までの3日間、大阪・関西万博の会場におきまして、「クールジャパンショーケース アニメ・マンガ ツーリズムフェスティバル」を開催いたしました。
 期間中、我が国の「マンガやアニメ」と「地方の魅力」を発信するためのイベントや展示を行い、最終的には、私自身も、クールジャパン広報大使であるえなこ氏とともに、「サイボーグ009」の衣装にて登壇をしました。
 この3日間の来訪者は、約1万5,000人となり、大変多くの方にお越しいただきましたこと、この場をお借りしまして御礼を申し上げたいと思います。
 今後、このイベントの成果を活かして、今年6月に策定予定の「知的財産推進計画2025」をはじめ、クールジャパン戦略に関する検討をしっかりと進めてまいります。
 なお、今回、宇宙政策に関連して、日本館で世界最大級の「火星の石」などの視察も行いました。
 今後、万博においては、国際宇宙ステーション(ISS)に滞在中の大西卓哉宇宙飛行士との交信イベントや、「ムーンショット型研究開発制度」の成果等を紹介するショーケースの設置などを予定しております。
 引き続き、大阪・関西万博の成功に向けて、しっかりと貢献をしてまいります。
 最後、4点目でありますが、科学技術政策担当大臣としての御報告であります。
 昨日、東京都文京区にある東京科学大学・湯島キャンパスを視察いたしました。東京科学大学では、2つの大学の統合の目玉かつ大きな強みである医工連携の取組、具体的には、患者情報の誤認や見逃しを防ぐための「医療用ARグラス」の開発状況や、歯学系の実習のための「VR歯科シミュレーター」を拝見させていただくとともに、大竹理事長や田中学長をはじめとする大学関係者の皆様と意見交換を行いました。
 大学の統合を契機に、それぞれの強みの足し算ではなくて、掛け算で成果を生み出されていることに感銘を受けた次第であります。
 世界から注目される成果の創出や、次代を担う若い人材の育成など、研究や教育の面で、大学が非常に重要な存在であることを改めて実感できる、私にとりましては重要な機会となりました。引き続き、関係省庁とも連携しながら、大学等の研究機関の成果の最大化に向けた取組や、予算の確保等に向けて、私自身、しっかり尽力してまいる考えであります。

2.質疑応答

(問)少し前になるのですけれども、量子生命科学会が量子生命科学の推進に関する提言を取りまとめました。大臣としては、量子生命科学をどう推進していくのか、教えてください。
(答)先月、量子生命科学会が、量子技術と生命科学の融合領域である「量子生命科学」の推進に関する提言を公表したと伺っております。
 提言では、量子生命科学を、量子論・量子力学を基盤に、生命全般の根本原理を明らかにし、様々な分野において革新的応用を目指す学術領域であると位置付けた上で、「基礎科学」と「イノベーション」のそれぞれでの長期的目標と、その実現に向けた基本方針が掲げられております。
 量子生命科学につきましては、「量子技術イノベーション戦略」において、我が国の産業・イノベーションの発展に向けた最重点領域、量子融合イノベーション領域の一つとして位置付けているところであります。現在、令和4年に改訂したロードマップに基づく取組を推進するとともに、その推進に当たりましては、量子科学技術研究開発機構(QST)が量子生命拠点として、その中核的な役割を担っているところであります。
 引き続き、量子生命科学のロードマップに基づく研究開発を着実に進めるとともに、現在、政府の量子技術イノベーション会議におきましては、産業化等に向けた量子エコシステムの構築に必要な取組の議論を進めているところであります。新規デバイスの開発やテストベッドを活用したユースケース開発などを通じて、社会実装に向けた取組を加速していくことも、今後、重要になると考えております。
(問)宇宙政策の関係で伺います。先日2日に、アメリカの2026年会計年度の予算要求の概要が発表されました。NASA(アメリカ航空宇宙局)の予算もここに入っていて、月周回基地ゲートウェイの廃止等、既存の計画の大幅な変更や予算の削減がいろいろと入っていました。それで、欧州宇宙機関は、「欧州が関わるプロジェクトへの影響をアセスメントしていきます」というふうに表明をしていて、では日本として同じように、日本が関わるプロジェクトへの影響を今から評価をして対応を検討するという考えはあるでしょうか。
(答)先日2日、米国において、来年度、2025年10月から1年間の大統領予算教書骨子が発表され、その中で、NASAの来年度予算につきましては、対前年度比2割を超える削減案が提案されており、その中に、我が国も参画する有人月探査プログラムであります「アルテミス計画」の一部変更等の提案が含まれていること、そしてまた、これを受け、欧州宇宙機関(ESA)では、影響を受けるESAのプログラム等の評価が行われる予定であると伺っております。
 我が国としては、本年2月、石破総理とトランプ大統領との間で発出されました日米首脳共同声明の内容も踏まえ、月面探査や地球低軌道利用といった宇宙科学・探査での活動を含めた米国との宇宙協力に、着実に取り組むことが重要と考えております。
 なお、現在、文部科学省やJAXA(国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構)と連携し、NASAとのコミュニケーション、意思疎通を図っているところでありますが、来年度の米国予算については、今後、大統領予算教書の詳細が更に明らかとなり、また、米国議会での審議も今後見込まれているものと承知しております。したがいまして、現時点で、我が国のプロジェクトへの影響について、予断を持ってお答えすることは差し控えたいと思います。
 いずれにしましても、引き続き、文部科学省やJAXAと連携いたしまして、NASAをはじめとする米国側との意思疎通を緊密に図りながら、米国の状況を収集・把握した上で、我が国への影響もしっかり分析して、今後の見極めを行っていくことが重要と考えております。
(問)先日、ITERを視察されたということで、ITERは運転開始が後ろ倒しになっておりますけれども、実際に視察してみての御所感を伺いたいのと、あと、視察の成果をどのように国家戦略に反映されていくか、その辺りの見通しがありましたら、よろしくお願いいたします。
(答)今回のITER視察では、実際に建設現場に足を運び、鎌田ITER副機構長や大前建設プロジェクト室長の解説もいただきながら、主要機器の製造や実験炉の組立・据付が大きく進展していること、予定よりも3週間早いと、普通は大分遅れるらしいですけれども、そういうことを現場で確認することができました。
 特に、我が国は、超電導コイルをはじめとする主要機器の開発・製作を担当してきており、視察を通じて、世界初の機器を実証するというITER計画の意義と、我が国がその中で非常に重要な役割を果たしていることを改めて強く認識することができました。
 また、バラバスキ機構長との意見交換では、日本の技術や人材への強い期待について伺うことができ、より多くの日本企業や職員が参画することが、ITER計画への貢献の観点のみならず、我が国として、関連技術や知見を獲得するためには極めて重要であると感じた次第であります。
 さらに、現地の日本人職員の方々とも意見交換を行い、ITER機構で働く魅力や課題など、非常に有益な情報を得ることができました。そしてまた、日本人職員数を増加させていくためには、将来的なキャリアパス確保や技術伝承の観点から、国内のプロジェクトの存在が重要であるといったような御意見も伺いました。また、少しパリから離れた田舎のところなのですけれども、いろいろと買物など不便だったり、御家族も苦労されていますけれども、ほぼ全員、できるだけ長くここにいて取り組みたいという非常に強い意志と覚悟を感じた次第であります。
 また、御指摘のとおり、現在、国家戦略の改定に向けた作業が大詰めの段階にありますけれども、今回の視察を通じて実感したことは、我が国として、ITER計画に貢献することはもちろん、その成果、果実をしっかり獲得することが極めて重要であるということだと思います。そのためにも、このITER計画で培ってきた技術や人材を最大限活用していく必要があり、そうしたことを新たな戦略の中でもしっかりと強調していきたいと考えております。
 そして何よりも、フュージョンエネルギーの早期実現と産業化に向け、我が国としても強い意志と覚悟を示すことが、私、重要であると感じました。今回の視察を活かし、世界に先駆けた2030年代の発電実証を目指した戦略改定と、予算の確保をはじめとする取組をしっかりと進めてまいる考えであります。
 非常に大規模な施設に、コンマ何ミリといったような、正確な薄さや厚さなど、これはすごいなと、これはやはり日本の強みではないかと思いました。
(問)万博についてお尋ねいたします。城内大臣のコスプレはサプライズだと受け止めたのですけれども、周囲の反応といいますか、クールジャパン戦略は着実に発信できたかということと、島村ジョーを選ばれた理由や、どのようないきさつでコスプレをしようと思ったかという、その辺りを教えていただけますでしょうか。
(答)私はどちらかというとシャイな人間なので、勇気を持ってコスプレをしたということだけ、まず、冒頭申し上げたいと思いますが、今回のイベントは、アニメやマンガなど我が国の優れたコンテンツを「起点」、スタートとして、食や文化、ファッション、自然などの「地域資源」の魅力を国内外に発信して、コンテンツ産業の振興と地方創生につなげていくことが目的でありまして、その観点を重視して、今回の衣装を検討いたしました。
 具体的には、なぜ、「サイボーグ009」かと申しますと、人間がテクノロジーと融合して新たな能力を身に着けるという、AI時代の今、我々が考えていることを、私が生まれるちょうど1年前の昭和39年から、漫画界の巨匠である石ノ森章太郎先生が提示した名作だということが一つの大きな要因だと思います。
 また、その石ノ森先生のゆかりの地である宮城県では、作品の原画などが展示されたミュージアムなどを中心に、アニメを活用した地方創生の取組が積極的に行われていること、これも一つの大きな要因だと思います。
 さらに、当然、石森プロにもしっかり御了解をいただいた上で、まがいものではない、ちゃんと許可を得て作成されたコスプレを使って、二重三重にそこら辺もチェックをして選ばせていただいたということを申し上げたいと思います。
 今回、衣装を着て、アニメの世界に入り込むことで、改めて我が国のコンテンツの魅力を実感することができました。また、イベントに御来場いただいた多くの皆様には、クールジャパン戦略に関するお話に、一緒に登壇したクールジャパン広報大使であるえなこ氏にも参加していただいた形で、しっかり耳を傾けていただいて、大変有意義だったと思っております。
 さらに、司会を務めていただいたラジオ大阪の和田アナウンサーからは、「似合っている」とのお声をいただいて、大変光栄であるとともに、少し恥ずかしい感じがいたしました。
 ちなみに、その前に展示ブースを少しぐるぐる回ったのですけれども、一緒に写真を撮らせていただきました静岡県清水区のさくらももこ先生の「ちびまる子ちゃん」や、清水区の広報キャラクター「シズラ」は、「着ぐるみ」であり、一生懸命、静岡市のPRに励んでいる姿を見て、大変感銘を受けたところであります。あと、沼津市も参加しておりました。
 そしてまた、私の地元、浜松市も、「エヴァンゲリオン」で「訪れてみたい日本のアニメ聖地88」の中にも選ばれておりまして、今年の4月から、「シン・ハママツ計画」として、アニメを活かした地方創生の取組も進めており、好事例となっていくことを強く期待しております。
 いずれにいたしましても、今回のイベントの、3日間、短期間ではありましたが、成果を活かして、来月6月に策定予定の「知的財産推進計画2025」をはじめとして、クールジャパン戦略に関する検討をしっかりと進めていく考えであります。
(問)昨日の視察について伺いたいのですけれども、大臣は、「VR歯科シミュレーター」を実際に操作されていましたが、御自身で操作されて御所感はどうだったのかという部分と、昨日の視察を医学分野での大学研究の推進などにどのように活かしていきたいかというのを聞きたいです。
(答)この視察につきましては、例えば、「VR歯科シミュレーター」については、まさにバーチャルリアリティ、仮想現実と触覚技術を組み合わせることで、本当に実際の歯を削っているような抵抗というか、手にそういう感覚が伝わって、リアルな感覚がほぼ100%再現されており、こういった最先端の機器により、これはオランダ製らしいのですけれども、歯科医師をはじめとする我が国の専門人材の育成が、これまではアナログで、実際に人形を置いて、実際に削ると。それを削ってしまうと、削ったところをまた新しく替えないといけないのですけれども、このVR歯科シミュレーターは、ボタンを押すといろんなタービンの種類があるのを、それぞれ形を変えて、実際、目で見ながらできるということで、まさに医工連携の成果というのをまざまざと見ることができました。また、集中治療室でのARグラスもそうですけれども、普通は3層構造で重いのですけれども、1層構造になっていて、眼鏡のグラスの下半分に患者さんの情報などがぱっと出てきて、上のほうでは患者さんを見たり、多分、手術をするときは手術をして、そのデータがそこの下に読み取れるようになっていると。これもまさに、旧東工大の工学部の技術と、実際に現場で働いていらっしゃる医師の方とのいろんな連携、共同作業でできたものであり、縦割りで、タコつぼでやるということをやりがちな各大学が、学部・学科を超えて、インターディシプリナリーと申しますか、学際的に協力しながら、医学部プラス工学部の足し算ではなくて、掛け算として発展していくような取組が非常に印象深く残っており、各大学でも、もちろん当然そういうことをやっているところが多々あると思いますけれども、この東京科学大学の視察を通じて、こういった取組がよりいろんな形で拡大していくことが大事だと、他の大学でも採用され、拡大していくことが重要ではないかなと感じました。
(問)先ほど、009のコスプレをされたということなのですけれども、石ノ森章太郎先生、仮面ライダーなど幾つかほかにも作品あるかと思うのですけれども、大臣が一番好きなのは何ですか。
(答)「がんばれ!!ロボコン」も、確か当時の石森章太郎先生ですよね。私はただやっぱり、あのときは白黒だったようなイメージがあるのですが、白黒で観た「サイボーグ009」ですね、やっぱり。その後、確かカラー、60年代の、4歳、5歳頃に観た「サイボーグ009」の印象がまだ残っていますね、記憶に。ですから、あえて言えば、やっぱり「サイボーグ009」ではないかなと思います。

(以上)