城内内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和7年4月25日
(令和7年4月25日(金) 9:29~9:44 於:中央合同庁舎8号館1階S106会見室)
1.発言要旨
それではまず、科学技術政策担当大臣として御報告申し上げます。
先日23日、「第11回核融合戦略有識者会議」を開催し、私も会議の冒頭で発言させていただきました。
この会議では、フュージョンエネルギーの社会実装の促進に向けた議論を行いましたほか、国家戦略の改定案を御審議いただきました。
この国家戦略の改定案においては、新たな取組として、社会実装に向けた様々な課題について検討を行っていく、内閣府タスクフォースの設置、これが1つ目。2つ目は、世界に先駆けた発電実証の達成に向けた、工程表の作成。そして3つ目が、工学設計や実規模技術開発などの、原型炉の研究開発の推進。4つ目が、ITER(国際熱核融合実験炉)機構の日本人職員数増加や調達への積極的な参画の促進。最後に、QST(量子科学技術研究開発機構)等のイノベーション拠点化の推進。これらを推進していくことが提案されました。
その上で、先日の議論においては、タスクフォースの設置についての期待や、今後の具体的な検討スケジュール等について、意見がございました。
この国家戦略の改定案については、今後開催予定の「統合イノベーション戦略推進会議」での決定に向けて、会議での議論の内容等も十分に踏まえた上で、政府として、引き続き検討を進めてまいる考えであります。
今後とも、内閣府が政府の司令塔となり、関係省庁とともに、フュージョンエネルギーの早期実現や関連産業の発展に向けて、しっかり取り組んでまいります。
2つ目ですが、経済安全保障及び科学技術政策担当大臣としての御報告であります。
諸般の事情が許せばでありますが、4月28日から30日まで、英国、フランス、ベルギーの3か国を訪問いたします。
まず、英国では、アレクサンダー閣外大臣との間で経済安全保障に関する意見交換を行うとともに、バランス閣外大臣との間で、量子科学技術に関する協力覚書への署名と、日英両国の科学技術協力等に関する意見交換を行う予定であります。
次に、フランスでは、先ほど発言いたしました国家戦略の改定も見据えて、国際熱核融合実験炉「ITER」の建設の進捗状況を現場で確認するとともに、バラバスキ機構長や現地の日本人職員の皆さんとの意見交換を行う予定であります。
最後のベルギーでは、最先端の半導体研究開発の国際拠点でありますimecを視察するとともに、シェフチョビッチ欧州委員と面会し、史上初めてとなります日EU経済安全保障大臣会談を行う予定であります。
この機会を最大限に活かして、科学技術協力や経済安全保障における国際協力を戦略的に推進してまいる考えであります。
出張報告は、帰国後の閣議後記者会見で実施させていただく予定でありますが、出張の間も、必要に応じてプレスリリースを発出したり、最終日のベルギーでは現地でのプレスブリーフィングも予定しております。もしよろしければ是非取材してください。
なお、本件につきましては、この後、事務方より、より詳細な説明をさせていただく予定となっております。
2.質疑応答
- (問)フュージョンエネルギーの国家戦略の改定に当たって、大臣自身、特にどういった取組について力を入れたいのか教えてください。
- (答)先日の会議で議論された国家戦略の改定案においては、様々な新たな取組が提案され、それらの全てを、今後しっかり進めていくことが、「世界に先駆けた2030年代の発電実証の実現」に向けて重要であると考えております。
その上で、常日頃から申し上げておりますけれども、先端科学技術をめぐる国際的な主導権争いが非常に激化している中にあり、フュージョン分野に代表される重要分野については、積極的な投資を行い、また、研究開発や実装を担う人材を確保していくことが極めて重要だと考えております。
このため、今回の国家戦略の改定案で提案された取組の中でも、例えば、原型炉の技術開発の加速や、イノベーション拠点化の推進といった取組にしっかりと予算を確保していくとともに、ITER機構の日本人職員数や、あるいは日本企業の調達機会をしっかり増やしていくなどの取組も大変大事だと考えております。
また、来週には、先ほど申しましたように、ITERの現地視察やバラバスキ機構長との意見交換を予定しておりますけれども、改定案にも記載のとおり、フュージョンエネルギー分野については、国際協力の下での取組を進めていくことが重要でありますので、私自身が先頭に立ち、多国間・二国間の協力の推進に当たっていく考えであります。 - (問)今の国家戦略の改定について、私も関連で質問させていただきたいのですけれども、今回の国家戦略の改定素案の内容に、実施主体ですとかサイト選定に当たっての基本的な考え方を検討するタスクフォースを設置するという内容が盛り込まれているのですけれども、政府として、2030年代の発電実証を目標にしていると思いまして、こうしたタスクフォースでの検討が早期の発電実証に果たす役割について、どのようにお考えかお聞かせください。
- (答)国家戦略の改定案において、世界に先駆けた発電実証の実現のために、社会実装に向けた「タスクフォース」を新たに内閣府に設置することが盛り込まれているということを先ほど申しましたが、このタスクフォースは、研究開発の進展により技術が実証されても、その事業環境とか、あるいは制度などが間に合わず、社会実装ができないといった状況を避けることが大事であり、御指摘の、サイト選定の進め方や実施主体の在り方といった、今後必要となってくる検討課題については、まずはしっかりとそれを整理していく役割を担うものと考えております。
一昨日の会議でも、委員の方から、このタスクフォースへの期待が述べられたと承知しておりますので、御指摘の点については迅速かつしっかりと取り組んでまいる考えであります。 - (問)AIの件でお尋ねします。2点あるのですが、まず1点目。実はLINEが先日、生成AIを無料で使えるようにしました。LINEは、日本人の約1億人が使われている、最も使われているSNSでして、特に若い人の使用率が高い。10代は95%近くという調査もあります。小・中学生も日常的に使っていると言われているこのLINEで、生成AIが本当にもうポチっと押せばすぐ使えるようになったのです。生成AIは、大人でも使い方に注意しないといけないと言われています。というのは、非常にもっともらしく、分かったふりをする回答をするのです。こういったものの使い方というのを、小・中学生がどこまで理解できているのかが定かではないうちに使えるようになってしまったことについて、まず率直に、大臣もお子様がいらっしゃるかもしれませんが、御所見を伺いたいと思います。
- (答)御指摘のような、個別の民間企業のAIサービスについてコメントすることは差し控えたいと考えておりますが、その上で、一般論として申し上げますと、将来のAI社会を担う小・中学生が生成AIを身近に利用できることは、AIの深い理解や関心につながることになりますが、他方で、AIを活用した犯罪に巻き込まれるなど、様々なリスクもあると考えております。
このため、小・中学生を含む子供の基礎的なAIリテラシーを向上し、AIの適切な利活用をしっかりと図ることが重要であります。これまで政府としても、例えば、「初等中等教育段階における生成AIの利活用に関するガイドライン」を策定し、その周知などの取組を進めてまいりました。
さらに、現在、国会で審議中のAI法案では、第15条において、AIに関する教育及び学習の振興を講ずる旨が法案に規定されておりまして、関係省庁と連携して、御指摘の点も踏まえて、しっかり取り組んでまいりたいと考えております。 - (問)もう1つ、2点目ですが、AI法案について、改めてお尋ねしたいのですが、このAI法案、私も一部報道で勘違いしていた面があるのですが、まず、AIサービスを提供する事業者を監督する行政庁が置かれるわけではないと承知しています。また、悪質事業者の名前を公表するというような権限がこの法律によって新たに付与されるわけでもないと認識しています。そうすると、この法律は、どのようにいろいろなAIをめぐるリスク対応の、大臣は「ガードレール」という表現をよく使っていますが、どのように、一切、規制権限のない中、そういったガードレールの役割を果たせるのか、そこをもう少し御説明いただけますでしょうか。
- (答)今般のAI法案においては、リスクへの対応といたしまして、これは13条にあるのですが、AIの研究開発や活用の適正性確保のための国際規範の趣旨に即した指針を整備すること、そしてまた、これは16条でありますが、国内外のAIの研究開発や活用の動向に関する情報の収集や、国民の権利利益の侵害が生じた事案の分析・対策の検討、その他の調査、そして、その調査結果を踏まえた活用事業者等への指導・助言、情報の提供などを行うこととしております。
既存の法令や既存のガイドライン等の活用と、こうしたガードレールとなる取組を組み合わせることで、新たに顕在化するリスクにも迅速かつ適切に対応していくことが可能だと考えております。
なお、AIに係る情報収集については、現状においても、関係府省庁が所掌の範囲内で対応しているところであり、本法案によって新たな権限が付与されるものではないのですが、法案が成立した暁には、AI関係者に対する情報収集が、国の業務として明確に規定されることになります。
このことと、AI政策の司令塔機能が強化されることが相まって、今後は、分野横断的な情報収集や関係府省庁間での情報共有などを一層円滑に行うことが可能となりますので、そうしたことから、リスク対応の実効性を高めることができると考えております。
(以上)