城内内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和7年4月15日
(令和7年4月15日(火) 10:28~10:40 於:中央合同庁舎8号館1階S106会見室)
1.発言要旨
冒頭発言なし
2.質疑応答
- (問)大阪・関西万博が開幕し、いろんな大学や研究機関、企業などが、最先端の科学技術の取組を紹介しているんですけれども、科学技術に関する国民の関心を高める重要な機会ではないかと思います。大臣としての御所感をお願いします。
- (答)私も、12日(土)、大阪・関西万博の開会式へ出席したところであります。今回の万博のテーマは、「いのち輝く未来社会のデザイン」でありますが、これは、科学技術・イノベーション基本計画が掲げる「Society5.0」の未来社会の実現に向けた、いわゆるショーケースとなるものというふうに考えております。
今回、数多くの企業などが、次世代技術に関する展示等を行っており、こうした展示は、世界に対する日本の科学技術力の発信とともに、子供たちを含む多くの国民の皆様にとって、科学技術を身近に感じることのできる、非常に重要な機会だというふうに考えております。
内閣府におきましても、例えば、ムーンショット型研究開発制度の成果等を紹介するため、最先端のテクノロジーを活用して、未来社会を体験・体感できるショーケースを設けるなどの取組を行う予定であります。
宇宙に関しては、世界最大級の火星の隕石の石や、小型月着陸実証機「SLIM」の展示、トークイベントなどを通じて、月やその他の火星も見据えた未来像を提示するなど、情報発信を行っていきたいと考えております。
また、我が国の科学技術・イノベーション力を強化いたしまして、我が国の更なる発展につなげていくためには、科学技術への興味・関心を持つ方々を増やしていくことが不可欠であることは言うまでもございません。今回の万博の機会を捉えた情報発信は極めて重要であると考えておりますので、引き続き関係省庁と連携しながら、万博の成功に向けて取り組んでまいる考えであります。 - (問)宇宙の関係で伺います。先週末に、アメリカのオンラインメディアで、トランプ政権がNASAの科学予算を半減するかもという案を検討しているという報道が出まして、日本も技術協力しているローマン宇宙望遠鏡にも予算をつけないとか、各種プロジェクトに関わっているゴダード宇宙飛行センターを閉じるのではという話もあって、まだ案なので、議会が最終的に止める可能性はあるとは思うんですけれども、実際に予算を大幅に削った場合に、日本のプロジェクトにどういう影響が出ると予想されるのかという点と、その場合に備えて、今から日本として何か対応を検討するお考えはあるのかという点について教えてください。
- (答)米国トランプ政権が、2026年における航空宇宙局(NASA)の科学予算の半減を検討している旨の報道があることは承知しております。現時点でJAXA(宇宙航空研究開発機構)が関与するプロジェクトに対する影響を含めて、引き続き、米国の状況を注視していく必要があると考えております。
いずれにしましても、我が国としては、本年2月、石破総理とトランプ大統領との間で発出された日米首脳共同声明の内容も踏まえ、月面探査や地球低軌道利用といった宇宙科学・探査での活動を含め、幅広い分野での米国との宇宙協力に、引き続き、着実に取り組んでまいる考えであり、今後のことについては、現時点で予断をもって答えることは非常に困難だというふうに思っております。 - (問)生成AIを使って作成した女性のわいせつな画像をポスターにして販売したとして、警視庁に4人が逮捕されました。今般、ディープフェイク技術で作成した性的な画像の氾濫が課題となっておりますが、こうしたこちらの事件に関する大臣の受け止めを教えてください。
- (答)御指摘のありました、生成AIで作成したわいせつ物の販売事件の検挙事案については承知しております。本件は、生成AIを用いて作成したわいせつ物の画像を不適切な手法で販売したものであり、既存の法令に則って検挙されたものと認識しております。
なお、こうした悪意を持ったAIの活用は望ましくない行為であると考えております。
AIにより生成された違法な性的ディープフェイク画像に対しては、個別の事案ごとに、既存法令に則り、適正に対処されていくべきものと考えております。
今般、国会に提出させていただいたAI法案が成立した暁には、内閣総理大臣を本部長といたしまして、全ての国務大臣を構成員とする、「AI戦略本部」を設置するなど、AI政策の司令塔機能を強化することとしております。加えて、AI戦略本部の事務局である内閣府が、AIに関する情報収集や調査、情報提供等を実施することとしております。
こうした取組により、AIに関する様々な課題に対して、内閣府がしっかりと司令塔機能を発揮して、全ての関係省庁との間で緊密な情報共有・調整を行いながら、政府全体として、課題への対応を迅速かつ着実に図っていくことが可能になるというふうに考えております。 - (問)今の質問にも関連するんですが、鳥取県で、性的ディープフェイクを禁止する青少年健全育成条例改正案が成立しました。ただ、これには罰則がなく、先日、平井知事がこども政策担当の三原大臣に規制を求める要望書を出したというふうに報じられています。この問題は既に、そうした現実に、NHKさんからも指摘があったような被害や悪用事例が発生しているわけですが、今般の検挙のような、作成・頒布行為を規制する方法のほかに、そのような悪用を可能とするサービスを提供する事業者を規制する方法も考えられると思います。まさに、今、AI法案では、たしか悪質な事業者については公表するというような話もあったかと思いますが、AIサービスの提供事業者が性的ディープフェイクを生成するサービスを提供すること、それがなければこんな悪質事例はそもそも生じないわけですけれども、こういうサービスがあるからこういう事例が発生するわけで、そういうサービスを提供する事業者については規制をするとか、違法であるというような形になるのか、その点の御見解をお聞かせください。
- (答)生成AIを悪用したディープフェイクに関する懸念があるということは承知しておりまして、まずもって、その違法性の判断は、個別の具体的な事案ごとに、法律に即し、司法当局が判断するというふうに考えております。
その上で、生成AIを悪用した性的ディープフェイク画像を生成する違法なサービスの提供については、刑法や、いわゆる児童ポルノ禁止法等の既存の法令に則り、適正に対処されていくべきものと考えております。
なお、AI戦略会議及びAI制度研究会においての「中間取りまとめ」においても、AIがもたらし得るリスクに対して、その基本的な考え方として、「既存の法令が存在する領域においては、まずはその枠組みを活用し対応すべき」とされているところでございます。
こうした仕組みによって、AIに関する様々な課題に対して、先ほどもお答えしたように、内閣府がしっかりと司令塔機能を発揮して、全ての関係省庁と緊密な情報共有・調整を行いながら、政府全体として、そういった具体的な課題にも対応し、しっかりかつ迅速に取り組んでまいる考えであります。 - (問)もう一点、すみません。AIに関連してですが、昨年、半官半民のAIセーフティ・インスティテュートというものが設置されていたかと思います。これは今回のAI法案によって、この組織は何か位置付けや機能というのは変わるのでしょうか、あるいは変わらないのでしょうか、教えてください。
- (答)AIセーフティ・インスティテュート、通称「AISI」と言っておりますが、これは内閣府をはじめとする関係府省庁等の連携の下、AIの安全性に関する評価手法等を検討・推進するための中心的機関として、経済産業省所管の独立行政法人情報処理推進機構(IPA)に、昨年2月に設置されたものであります。
現在、国会審議中のAI法案においては、このAISIに関する規定は含まれておりませんので、そういった観点から、位置付けや機能が変わるものではございません。
なお、AISIは、現在、12府省庁及び4つの国立研究機関等の協力を得て、幅広く活動しているところであります。そして、AI技術の高度化や用途の拡大が進んでいる中、AI法案成立後も、引き続き、AIの安全性に関する中心的な機関として、専門的・技術的な事項の調査・検討や推進を担うことになるというふうに考えております。
(以上)