城内内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和7年4月8日
(令和7年4月8日(火) 9:29~9:50 於:中央合同庁舎8号館1階S106会見室)
1.発言要旨
それでは、冒頭、1点だけ御報告いたします。
科学技術政策担当大臣としての御報告でありますが、科学技術について、広く一般国民の皆様の関心と御理解を深め、我が国の科学技術の振興を図ることを目的に、昭和35年から科学技術週間を毎年開催しております。今年は第66回科学技術週間でございまして、来週、14日(月)から20日(日)の間で開催されることになっております。
全国の大学や研究機関、そして科学館等では、施設公開や講演会など、120件以上のイベントが開催予定であります。
また、文部科学省では、科学技術週間に併せまして、平成17年より学習資料「一家に1枚」ポスターを制作し、全国の小中学校、高等学校、大学、科学館等に配布しております。
ここにありますように、21枚目となる今年のテーマは、「量子と量子技術~量子コンピュータまでの100年!~」であります。文部科学省の科学技術週間ホームページにおきまして、特設ウェブサイトや動画が公開されておりますので、是非、皆様方におかれましては御覧になってください。
私自身、これまでの活動を通じ、我が国における理工系人材を更に育成していく必要性を感じており、子供たちを含めた国民の皆様が、科学技術に触れ、興味を持っていただく機会を一つでも多く作っていくことが重要と考えております。科学技術週間や、この「一家に1枚」ポスターなどを通じて、多くの国民の皆様方に科学技術を身近に感じていただければ幸いであります。
このポスター、よくできていて、私自身も勉強になりました。
2.質疑応答
- (問)日米の大学や研究機関が、給与が2倍近く違うということがあります。これについての大臣の御認識と、あと、国際頭脳循環を進める上で、給与面ではどのような取組を検討しているのか、教えてください。
- (答)科学技術・イノベーション推進の中核となるのは、研究者をはじめとする人材であり、国内外の優れた研究者を惹きつける魅力的な研究環境が実現されることが重要であることは言うまでもございません。
その際、御指摘の給与水準等の待遇面については、その国際比較に当たりましては、当然、各国の為替や物価の水準を考慮する必要がありますが、いずれにしましても、優れた人材の育成及び獲得に向けて、大学や研究開発法人の取組を一層後押しするような、更なる検討が必要であると考えております。
また、国内外の研究者を惹きつけるため、政府といたしましては、例えば、国内外の優秀な研究者に対する研究費や研究ポストの確保、あるいは、世界トップレベルの研究拠点の整備、さらには、大学ファンドを通じた国際卓越研究大学への支援などの取組を進めているところでございます。
引き続き、第7期科学技術・イノベーション基本計画の策定に向けた議論の中で、必要な取組の検討をしっかりと進めてまいりたいと思います。 - (問)グーグルの創業者らが設立しました今年の「ブレークスルー賞」ですが、今年は欧州合同原子核研究所の素粒子の研究が選ばれて、日本のチームも参加しております。こうした素粒子分野ですと、なかなかすぐ応用とは結び付かないんですけれども、まず受賞への受け止めと、こうした基礎研究の重要性について、どのように受け止めていらっしゃるのか、お聞かせください。
- (答)御指摘のとおり、5日、国際科学賞である「ブレークスルー賞」の今年の受賞者が発表され、基礎物理学部門におきまして、日本の研究者を含む国際チームが選ばれました。
今回の受賞は、物に重さを与える素粒子として理論的に予言されていた「ヒッグス粒子」、その存在を実験で確かめたことなどが評価されたものであり、日本の研究者を含めた国際研究チームが、このような国際的に栄誉ある賞を受賞したことは大変喜ばしいことだと捉えております。
今回の受賞案件のように、基礎物理学に代表される基礎研究の成果は、人類の新たな知の資産を創出するものであり、その推進は、間違いなく、科学技術・イノベーションの基盤になるものと確信しております。
政府といたしましては、こうした優れた研究成果が今後も次々と生まれるように、科学技術・イノベーション基本計画等に基づきまして、基礎研究の多様性と厚みをしっかり確保するための取組を進めてまいる考えであります。 - (問)本日、アメリカの関税措置に関する総合対策本部が官邸で開かれたと思います。全閣僚がメンバーだと思うんですけれども、大臣としてこの場でどういった御発言をされたかということを伺いたいのと、あと、本部の議論全体を御覧になっていて、大臣としてどういった率直な御感想を抱かれたかというのをお聞かせいただけますでしょうか。
- (答)今朝の会合、私も出席いたしましたが、今回の措置も含めまして、米国政府による広範な貿易制限措置は、日米両国の経済関係、ひいては世界経済や多角的貿易体制全体等に、大きな影響を及ぼしかねないと考えております。
今朝、石破総理からは、米国の関税措置に関する総合対策本部におきまして、まず、トランプ大統領による発表内容も含め、米国による関税措置の内容を精査するとともに、我が国への影響を十分に分析すること、そしてまた、引き続きアメリカに対して措置の見直しを強く求めるなど外交面の取組を進めること、さらには、関税措置による国内産業への影響を勘案し、資金繰り支援など必要な支援に万全を期すこと、これらについて御指示があったところであり、関係閣僚が協力・連携の上で政府を挙げて対応していく所存であります。 - (問)AI政策について、前々回の記者会見で、大臣から、いわゆるAI法案ができた暁には、AIに関するリスク対応について情報収集をしっかり行うという御答弁をいただきました。ただ、事実上の情報収集自体は、現在の法律の現行法の下でも行えるものではないかというふうに思うのですが、仮にこの法案が成立した場合は、現在とどのような点が変わるのか、体制や人員、予算、こういったものを拡充していくのか、現在との違いについて教えていただけますでしょうか。
- (答)今の御指摘にもございました、AIに係る情報収集については、現状においても、関係府省庁が所掌の範囲内で対応しているところでございまして、本法案によって新たな権限が付されるものではございませんが、法案が成立した暁には、AI関係者に対する情報収集が、明確に内閣府の事務として法律の中で規定されることとなります。
これにより、分野横断的な情報収集や関係府省庁間での情報共有等を円滑に行うことが可能となり、情報収集の実効性を更に大きく高めることができると考えております。
また、御指摘の体制や人員、予算などについては、法案成立後において、AI政策の司令塔機能の事務局を担う内閣府が、その役割を十分に果たせるよう充実していく必要があると、私自身も認識しており、関係省庁ともしっかり連携しながら調整してまいる考えでございます。いずれにしても、適切な形となるようにしっかりと取り組んでまいる考えであります。 - (問)関連して、イノベーションも重視されていると思いますが、このイノベーションのアクセルを踏むほうと、リスク対応のブレーキを踏むほうと、この両方を同じ内閣府が所管するということになるのでしょうか。それとも、そこは切り分けるのでしょうか。
これをあえて質問しているのは、例えば原子力政策において、かつて同じ省庁内でアクセルとブレーキ、両方やっていた。その反省があって、今の福島第一原発事故以降は切り離されたと思うんですね。本来、アクセルとブレーキを同じ省庁でやるというのは矛盾があるというか、ブレーキがほとんど機能しなくなるということは、これは過去の科学技術政策の大きな教訓として残っていると思うんですが、いかがでしょうか。 - (答)現在、関係省庁では、AIの研究開発、そしてその利活用を推進するため、それぞれ各省の所掌に基づき、研究開発の推進に代表される「イノベーション促進」の取組と、もう一方で、AIの活用の適正性の確保に代表される「リスク対応」の取組を、各組織が役割分担して進めているという状況でございます。
研究開発力を高めることは、イノベーションを促進させるのみならず、リスク対応にも有効であるというふうに考えております。また、ガードレール的にリスク対応を行い、安全・安心なAIを開発することは、ひいてはイノベーション促進にもつながるものと捉えております。
したがいまして、イノベーション促進とリスク対応は切り分けるのではなくて、同時に考える必要があることから、各省庁・各部局において、役割分担は行いつつも協力して、司令塔の事務局である内閣府の下で、関係省庁が一体となって、必要な取組を進めていくことが重要であると考えております。 - (問)ということは、同じ内閣府で所管するという予定なんですね。
- (答)内閣府が司令塔機能を持って、他の省庁ともしっかり連携して、イノベーションの促進というものとリスクの対応というのをそれぞれやっていくということでございます。
- (問)今のAI法案についてなんですが、本日、衆議院の本会議でようやく審議入りということで、まさにリスクの対応も利活用の推進も非常に急務となっていると思いますが、改めて法案成立に向けての大臣のお考えをお願いいたします。
- (答)AIは、国の競争力や社会の豊かさを左右する極めて重要な技術である一方、様々なリスクをもたらし得る技術であり、イノベーションの促進とリスクへの対応を両立させることが極めて重要であると考えております。
このため、今般のAI法案では、AI政策の司令塔機能強化を図るため、内閣総理大臣を本部長とする「AI戦略本部」の設置、そしてまた、政府が推進すべきAI政策の基本的な方針を定めた「AI基本計画」の策定、そしてまた、AIの適正性確保のための国際規範に即した「指針」の整備、さらには、AIに関する情報収集や権利・利益を侵害する事案の分析や調査の実施等について、この法案の中で規定しているところでございます。
この法案をできるだけ早期に成立させ、AIの研究開発、利活用に関する施策を、関係府省庁が一丸となって、総合的かつ計画的に推進できる体制をしっかりと構築し、我が国が「世界で最もAIを開発・活用しやすい国」となるよう頑張って目指していく考えであります。 - (問)もう一点、科学技術週間の件で、文部科学省のポスターも、今、素晴らしいもの見せていただいたんですが、更に城内大臣の所感としてといいますか、科学技術に対しての国民の理解の促進を図るために、大臣としてやっていきたいことというのがもしあればお願いいたします。
- (答)科学技術は、一見すると我々の普通の生活とあまり関係ないように思われているところもございますが、今年の「一家に1枚」のポスターを御覧になっても分かるように、量子技術の発展によって、我々の生活している社会が大きく変わりつつあるということが認識できるようになっております。
私自身、先ほど申しましたように、我が国において理工系人材を育成していくことの必要性をひしひしと感じております。この科学技術・イノベーションをしっかり推進し、我が国の更なる発展につなげていくためにも、特に子供たちを含む多くの国民が、科学技術を身近に感じ、そして、理工系への進路に興味を持っていただくこと、理工系人材を増やしていくこと、これが重要だというふうに、私自身、文系でもありますので強く感じているところでございます。
いずれにしましても、今回の科学技術週間の機会を通じながら、最先端の技術や研究成果が、いわゆる一般の子供たちや国民の皆さんと全然遠い存在ではなくて身近なものであり、そんなに難しいものではなくて親しみを持てる分野であるということを少しでも感じてもらえればいいのかなというふうに私自身は思っておりますので、この週間は非常に重要だと認識しております。
ちなみに、私自身、過去の「一家に1枚」ポスターを、今回の量子技術だけではなくて、何枚か、5枚ぐらい見せていただきましたけど、いずれも非常によくできていて、過去に遡ってもう一度、この科学技術について、私自身も勉強してみたいなと、感じた次第でございます。 - (問)話題は戻りますが、トランプさんの関税に関してなんですけれども、昨日、特に世界中でマーケットが大混乱していますけれども、それについて、私見で結構ですので、何か見解があればお願いします。
- (答)私自身、担当ではございませんが、今日の会合でも、全閣僚がしっかり共通の問題意識を持って取り組むようにというような御指示もございましたし、先ほど、石破総理からの対策本部における3つの主な指示も申し上げたとおりでありますが、私自身は、この問題については、しっかりと、アメリカは我が国の唯一の同盟国であり、アメリカから見ても日本は非常に重要な国でありますし、これまで直接投資等を通じてアメリカの雇用の創出にも一番貢献してきたということでありますので、こういった事実関係を踏まえ、しっかりとアメリカ側と交渉すること、これがやはり大事ではないかと。米側のもし誤解があれば、それをしっかり訂正する、そしてお互いがウィン・ウィンとなるような関係を構築すると、これが重要だというふうに私自身は考えております。
ただ、いずれにしましても、詳細については、外務省、経産省のほうに聞いていただければ幸いでございます。 - (問)外務省、経産省に聞いてくださいとおっしゃられて、恐縮なんですが、もちろん私見で結構なんですが、今日、本部が開かれたばかりですが、対応可能だと思いますか。
- (答)対応が可能であるとか可能でないとかということではなくて、これからスタートする話ですので、その点についてはコメントは差し控えたいと思いますが、繰り返しになりますけれども、これからしっかりと、交渉を通じて、日米両国にとってウィン・ウィンとなるような結果が出ることを強く期待しているものであります。
(以上)