城内内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和7年3月11日
(令和7年3月11日(火) 9:19~9:29 於:中央合同庁舎8号館1階S106会見室)
1.発言要旨
本日は3月11日でございます。多くの尊い命が失われました東日本大震災から14年目を迎えるわけでございますが、改めて、この震災で犠牲になられました方々に哀悼の誠をささげるとともに、御遺族及び今なお避難生活を強いられている方々に、改めてこの場をお借りしまして、お見舞いを申し上げたいと思います。
東北、そして原子力災害からの福島復興は、内閣の最重要課題でございます。「福島の復興なくして、東北の復興なし。東北の復興なくして、日本の再生なし。」と、こういった考えの下、私の担務でございます科学技術政策や宇宙政策等の推進を通じ、この復興にしっかり取り組んでまいる所存でございます。
2点目は、経済安全保障担当大臣としての御報告でございます。本日、「経済安全保障推進法施行令の一部を改正する政令」及び「経済安全保障推進法の一部改正法の施行期日を定める政令」の二つが閣議決定されました。
これらの政令により、昨年5月に成立・公布した経済安全保障推進法の基幹インフラ制度の対象事業に「一般港湾運送事業」を追加する「経済安全保障推進法の一部改正法」が4月1日より施行されることとなりました。
今後は、4月1日の施行までに、国土交通省において、必要な省令を公布した上で、今年秋頃の制度の運用開始に向けて、「一般港湾運送事業」における「特定社会基盤事業者」の指定を行うなど、国土交通省と連携し、具体的な準備を進めてまいります。
引き続き、国民生活及び経済活動の基盤となっております、インフラ役務の安定供給が確保できるよう、経済安全保障の取組に万全を期してまいります。
次に、これも経済安全保障担当大臣としての御報告であります。昨日、重要土地等調査法に基づき、第11回土地等利用状況審議会を書面により開催いたしました。
今回の審議会では、5回目の区域指定として、山口県の防府北基地の周囲を特別注視区域に指定すること等が了承されました。また、併せて、6回目の区域指定の候補として、山口県の防府北基地レーダー地区の周囲を特別注視区域とすることを提示いたしました。
内閣府といたしましては、今後所要の手続等を進めつつ、引き続き、指定区域内における土地等利用状況調査を着実に実施し、重要施設等に対する機能阻害行為の防止に万全を期してまいります。
2.質疑応答
- (問)高額ながん治療薬の登場で、高額医療費制度の財政状況が悪化しています。抗PD1抗体薬をはじめとする抗がん剤は、一部の患者には効果がないことが分かっているのですけれども、こうしたがん治療薬の有効性を事前に判定するバイオマーカーの開発について、現在どのような取組が行われているのか。また、そうしたバイオマーカーを臨床現場に届けるための方策についてはどのようにお考えでしょうか。
- (答)従来、医薬品市場では、安価な低分子医薬品が主たる製品でありましたが、現在は、抗体薬をはじめとする新しいバイオ医薬品の売上比率が大きくなっており、高度な医療をもたらす一方で、医療費にも影響している状況にございます。
御指摘のバイオマーカーは、がんの有無や治療の効果を予測するための指標となることから、がん患者の皆様方に、より良いがん医療を受けていただくためには、その開発を加速し、速やかに医療実装を行っていくことが重要であり、このことは医療費の適正化にも寄与するものと考えております。
このバイオマーカーに関しましては、現行の第2期健康・医療戦略の成果として、例えば、AMED(国立研究開発法人日本医療研究開発機構)が研究支援を行いました「免疫チェックポイント阻害薬の投与前効果予測マーカー」について、測定法が確立されるなど、臨床現場での実用化に向けた研究開発が進んでいると承知しております。
また、来月から始まる第3期戦略の期間におきましても、医薬品プロジェクト等の中で、バイオマーカーの開発・実用化を推進することとしており、関係省庁やAMEDとも連携して、しっかりと取り組んでまいる考えであります。 - (問)昨日、日本の民間企業の月探査船が月に到達しまして、6月6日には、ispace社、別の民間企業による着陸船の月着陸も予定されています。こうした民間企業による月を目指すような活動が活発になっている現状について、改めてどのようなことを期待されているのか、伺えますでしょうか。
- (答)我が国のスタートアップ企業であるダイモン社やispace社が月の探査に挑戦することは、人類の活動領域を月以遠の深宇宙に広げる、「新たな知と産業の創造」につながる取組であり、非常に意義のあるものだと考えております。
このダイモン社の探査機「YAOKI(ヤオキ)」につきましては、当該探査機が搭載された月面着陸機が月のクレーターに残念ながら倒れた状態の中で、撮影データの送受信を成功させたと承知しておりますが、月面への着陸がいかに難しいか、改めて実感させられた次第でございます。
ispace社につきましては、これまでのところ、ミッションを順調に進捗させていると承知しており、月面着陸に成功しますと、我が国の民間事業者として初めての快挙となります。
世界の宇宙開発利用が非常に活発になる中で、我が国の民間事業者によります、月面探査活動や宇宙資源利用の拡大に向けた様々な挑戦を強く期待しており、政府としても、そうした挑戦を引き続きバックアップしていく考えであります。 - (問)冒頭、大臣おっしゃっていただいた東日本大震災から今日で14年ということなのですが、12月に福島に実際に行かれたりということもございました。具体的に大臣の所感として、どういうことに取り組んでいくのか、もう少しお願いします。
- (答)御指摘のとおり、私自身、昨年末に福島県を訪問し、福島イノベーション・コースト構想における重点分野であります、宇宙分野及び医療分野のスタートアップ企業と意見交換をさせていただいたところでございます。
震災からの復興を果たすための産業集積の取組が着実に進んでいることを実感できる、私にとりまして非常に貴重な機会となりまして、政府としても、引き続き、こういった企業等をしっかりサポートしていく考えであります。
また、度重なる地震の発生をはじめ、災害が多発している我が国におきまして、科学技術・イノベーションの成果を活用していくことが極めて重要だと考えております。
内閣府におきましては、「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」を通じて、これまでSIP4Dの開発などを進めてきており、現在は、巨大地震等に対する災害時の情報収集・把握の高度化と、情報分析結果に基づく災害対応力の強化に取り組んでいるところでございます。また、防災・減災に活用できる衛星データの利活用の促進についても、関係省庁と連携して取り組んでいるところでございます。
いずれにしましても、こうした科学技術・イノベーションの力で、福島をはじめとする東北地方の創造的復興が成し遂げられるよう、引き続きしっかり取り組んでまいる考えであります。
(以上)