城内内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和7年2月21日
(令和7年2月21日(金) 9:29~9:40 於:中央合同庁舎8号館1階S106会見室)
1.発言要旨
1点、経済安全保障担当大臣としての御報告でございます。
このたび、経済安全保障上の重要技術に関する国際共同研究として、日米韓3か国の国立研究所間におきまして、4つの研究プロジェクトを実施することが決定しましたので、この場で発表させていただきます。
この3か国での国際共同研究は、経済安全保障分野におきまして、研究開発の実施機関間における国際的な信頼関係の形成を推進するとともに、重要技術の育成・獲得を目的としたものであります。
今月7日に開催された日米首脳会談の共同声明におきまして、日米韓の協力を推進することが確認され、また、15日の日米韓外相共同声明におきまして、3か国の国立研究所間の研究連携を強化することが確認されまして、これらを踏まえて実施されるものであります。
具体的なプロジェクトとしましては、まず一つは、産業技術総合研究所が、水素製造・貯蔵等の分野で2つのプロジェクト、そして、防災科学技術研究所が、断層に近い場所での地震動の予測や地震モニタリングの精度向上等のプロジェクト、そして、海洋研究開発機構が、東アジアにおいてPM2.5などのエアロゾルが気候変動に及ぼす影響評価等のプロジェクト、合計4つですけれども、それぞれについて、米国、韓国の関係する国立研究所と連携して取り組むものであります。
引き続き、経済安全保障の強化に向けて、こうした国際共同研究の実施も含めて、同盟国・同志国との連携強化にしっかり取り組んでまいりたいと思います。
なお、本件の詳細につきましては、会見終了後、事務方によるブリーフィングが予定されておりますので、よろしくお願いいたします。
2.質疑応答
- (問)先日、マイクロソフトがマヨラナ粒子を使うことでエラーが起きにくい量子コンピュータチップを発表しました。その受け止めと、量子技術分野での国際競争力が激化する中で、日本の優位性を確保するためにどのように取り組むのか、お考えを教えてください。
- (答)米国マイクロソフト社が、「マヨラナ・ワン」と呼ばれる量子コンピューティング向けチップを発表しました。同社が開発した量子チップは、従来のものと比べて、量子コンピュータの実現に向けての大きな課題の一つである「エラー訂正」を容易にするものと伺っております。
このエラー訂正型量子チップにつきましては、昨年12月にも、米国グーグル社が「ウィロー」と呼ばれるチップを発表しており、量子コンピュータの実用化・産業化に向けた競争が激化していることを実感しております。
我が国におきましても、ムーンショット型研究開発制度などのプロジェクトを通じて、エラー訂正型汎用量子コンピュータの研究開発を推進しているところであり、引き続き、各国の動向も注視しながら、量子コンピュータの実用化・産業化を推進してまいる考えであります。
なお、量子コンピュータを含めた量子技術分野は、将来の産業や社会を大きく変革する、我が国の戦略分野の一つであり、これまでに3つの国家戦略を策定したことに加え、昨年4月には「量子産業の創出・発展に向けた推進方策」を公表し、量子技術の研究開発や産業化を強力に推進しているところであります。
また、本年1月には、デンマークとの間で協力覚書への署名を行うなど、有志国との戦略的な連携も積極的に進めているところであり、引き続き、量子技術における日本の優位性を確保すべく、しっかりと取り組んでまいる考えであります。 - (問)宇宙の関係で、アルテミス計画に中心的に関わってきたNASAの複数の幹部が退任をするという報道が出ています。このことで予想される計画への影響と、計画の先行きが不透明になるのではという話もありまして、改めて、日本から実現に向けて働き掛けていく考えはあるか、この辺りについて教えてください。
- (答)昨日、アルテミス計画に関わってこられましたNASA(アメリカ航空宇宙局)の長官補佐ら複数の幹部が退任するという報道があったことは承知しております。
御質問の今後の影響についてですが、現時点で予断を持ってお答えすることはできませんけれども、日本政府としては、先日の日米首脳共同声明において確認された、アルテミス計画の将来ミッションでの月面探査など、宇宙に係る協力を日米両政府間で引き続き推進していく方針に基づいて、同盟国である米国との宇宙協力に、引き続き取り組んでまいりたいと考えております。
これ以上のことを申し上げることは、現時点では難しいのではないかと思いますが、いずれにしても、しっかり日米で宇宙分野について、協力を進めていく考えであります。 - (問)先ほど日米韓の共同研究のお話があったのですけれども、改めて大臣から、意気込みについて教えていただければと思います。
- (答)東アジアの安全保障の環境が非常に厳しくなっている中で、日米韓が、同盟国・同志国とともに、この分野で協力していくことは、非常に良いことだと思っております。今、色々な機微技術もありますけれども、そういうものではなくて、もっと基礎的な技術分野での協力をしていくことは、非常に良いことだと思っていますので、この取組がより具体化するように、連携が密になるように、しっかり進めてまいりたいと思っております。
- (問)この日米韓の協力に関して私も質問させていただきたいのですけれども、どうしてこの日米韓の3か国という枠組みになったのか、それぞれ色々強みがあるかとは思うのですけれども、この3か国による相乗効果を生むことを期待されているのかということについて、お伺いします。
- (答)従来、日米韓の協力の枠組みは様々な分野でございました。そうした中、経済安全保障は、今、非常に喫緊の課題でありますので、この分野においても日米韓という枠組みが、同盟国・同志国とともに、こういった東アジアの安全保障環境が大変厳しくなっている状況において、この分野においても、協力することが極めて重要であることは言うまでもありませんので、しっかりと、日米韓で経済安全保障の分野で協力していく考えでございます。
- (問)テーマを見ますと相当期間を要する、成果を挙げるまでにかなり時間を要するようなテーマであるのかなと考えているのですが、今後、来年度以降ですか、その後の継続性についてはどのように考えておられますか。
- (答)現時点で、どれぐらい早く、何か成果が出るかということを申し上げることは困難だと思いますけれども、経済安全保障上の重要技術について、先ほど申しました4つの分野でしっかり日米韓が協力し、それぞれが持っている強みをお互い共有しながら進めていくことは、それ自体、非常に重要なことだと思っています。
今後、令和6年度補正予算にて措置された予算を活用し、具体的に言いますと、参画する日本の国立研究開発法人(産業技術総合研究所、防災科学技術研究所、海洋研究開発機構)を支援しつつ、3か国で国際共同研究を推進するということで、内閣府政策統括官(経済安全保障担当)において、既に6.5億円の措置がございますので、それを基に、具体的なプロジェクトの推進をしていくということであります。
詳しくは、また後ほど、しっかり事務方からブリーフしますので、よろしくお願いいたします。
(以上)