城内内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和7年2月18日
(令和7年2月18日(火) 9:30~9:43 於:中央合同庁舎8号館1階S106会見室)
1.発言要旨
健康・医療戦略担当大臣としての報告であります。
本日、官邸におきまして、第49回健康・医療戦略推進本部を開催いたしました。その後の閣議におきまして、第3期健康・医療戦略を閣議決定したところであります。
第3期の健康・医療戦略は、2025年度から2029年度までを対象とする5か年計画であり、第2期(2020~2024年度)における課題、具体的には、AMED(日本医療開発研究機構)の事業間の壁や縦割りの存在、医薬品産業等の国際競争力の低下、ドラッグ・ラグ及びドラッグロスの顕在化といった新たな深刻な課題をしっかりと受け止めて、対応するための具体策を提示しているところでございます。
特に重要な点としては、まず、出口志向の研究開発マネジメントの一層の強化に取り組んでまいります。また、AMEDに配分される調整費の柔軟な活用を通じて、事業間の切れ目のない支援を進めてまいります。
次に、創薬エコシステムの構築を図ってまいります。国内外の製薬企業やスタートアップ、ベンチャーキャピタルに加え、政府関係者が参加する「官民協議会」の開催や、国際的に競争力のある、人に初めて投与する試験である、FIH(First in human)試験の実施体制の整備等を行ってまいります。
さらに、感染症への対応を充実させてまいります。新たなAMEDの統合プロジェクトに「感染症」を取り上げ、SCARDA(先進的研究開発戦略センター)や、この4月に発足する国立健康危機管理研究機構(JIHS)とも連携しながら、実用化までのシームレスな研究開発を推進してまいります。
閣議決定に先立ち開催された健康・医療戦略推進本部では、石破総理から、戦略は実行することが重要であり、新たな戦略の下、政府一丸となって取組を進めるよう指示があったところであります。この石破総理の指示も踏まえ、国民の皆様に研究開発の成果がより多く、より速やかに届くよう、関係府省が一丸となって、第3期戦略の推進に取り組んでまいります。
2.質疑応答
- (問)先週金曜日に、立憲民主党が予算修正案を発表しました。その中で、大臣が担当する「グローバル・スタートアップ・キャンパス基金」と「宇宙戦略基金」は、不必要な予算として財源の対象に挙げられています。大臣としての受け止めをお願いします。
- (答)まずもって、来年度予算の修正案につきましては、現在、与野党間で協議が行われているところであり、私自身が担当する事業の必要性は、国会等で誠心誠意御説明しつつも、党における協議を見守る必要があるのではないかと思いますので、この点を申し上げたいと思います。
その上で、まず「宇宙戦略基金」について述べさせていただくと、現在、執行が順調に進捗しており、昨年度(令和5年度)補正予算で措置された3,000億円分につきましては、既に全22テーマのうち20テーマの採択者を公表し、順次契約を締結し支援を開始しているところであります。残りの2テーマについても、今後速やかに採択・公表される予定であります。
また、今年度(令和6年度)補正予算の3,000億円につきましては、昨年の臨時国会の際も御説明させていただきましたけれども、宇宙分野での国際競争が非常に急速に進展する中で、我が国としては、新たな技術開発ニーズや資金需要等が発生したなどの緊要性に鑑みて、新規計上したものであります。
今年度中には、各府省の有識者会議を複数回開催し、透明性をしっかりと担保した上で、支援対象となるテーマを正式に決定し、こちらも速やかに公募を開始できる予定であります。すなわち、執行がないと言っても、それは手を挙げている事業者の方がいて、契約を結んで、タイムラグがあるわけであって、誰も手を挙げない、契約もままならないということでは全くありませんので、その瞬間執行されてないからといって、執行の見込みがないということではないことを、ここで強調させていただきたいと思います。
宇宙分野は、国民生活の向上や、地方創生に貢献するとともに、自動車産業に次ぐ、我が国の基幹産業になり得る分野であるということは言うまでもございません。世界各国が投資を加速する中で、我が国が投資のスピードを緩めることがあってはならないと考えており、そうしますと競争に負けて劣後してしまうと困りますから、そうした認識の下、引き続き、各省やJAXA(国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構)とも連携し、現場への迅速な支援を進めてまいりたいと考えております。
次にもう一つ、「グローバル・スタートアップ・キャンパス構想」ですが、この構想は、「世界最高水準のイノベーション・エコシステムのハブを構築する」という、過去に前例のない非常に挑戦的な取組であります。
現在計上している基金は、運営法人の設立や施設の開所に先立ち、世界から優れた人材・投資を集めるための呼び水となる、最先端の研究活動等を実施するための経費であります。
この研究活動の執行に向けた検討において、国内外の関係機関との調整に時間を要しているのは事実でありますが、昨年8月に「基本方針」を策定し、現在、具体的なスキームの検討をまさに加速しているところであります。本年中なるべく早くに実施方針を策定し、執行を開始していく考えであります。
なお、本構想に関して、1点付け加えさせていただくと、内閣官房のエグゼクティブ・アドバイザーである伊藤穰一(いとうじょういち)氏につきまして、同氏が本構想の事実上のトップであり、同氏の存在がMIT(マサチューセッツ工科大学)をはじめとする海外大学との交渉の障壁になっているという御指摘が一部にあると承知しておりますが、こうした指摘は、全く事実と異なるものであり、同氏の名誉を損なうものであることを申し上げたいと思います。
そもそも、本構想の実現に向けては、海外大学をはじめ、産業界やベンチャーキャピタル等の様々な関係機関と連携・協力していくことが不可欠であると。要するに、プレイヤーが、ステークホルダーがたくさん存在すると。そして、これまで内閣官房において、海外大学との交渉を進めてきたものの、組織文化や制度等、あるいは言語が異なる海外との交渉は非常に難易度が高く、それが調整に時間を要した一因であると認識しております。基金を作って、日本の企業に、日本のやり方や制度で募集するのとは全く違って、それぞれの制度・文化、やり方が全く違う中で、多数の関係者とやりとりするのは、時間がどうしてもかかってしまうということをここで強調させていただきたいと思います。
そうした中、構想の具体化や海外機関との交渉を円滑に進める観点から、海外のエコシステムに詳しく、海外大学や企業、投資家・篤志家等のネットワークを持つ伊藤穰一氏からの助言が有益であると考え、昨年4月、内閣官房として、同氏にエグゼクティブ・アドバイザーへの就任を依頼し、以降、様々な有益となる情報提供や助言をいただいているところであります。
また、伊藤穰一氏は、非常勤のアドバイザーであり、いわゆる「実質的なトップ」に当たるのは、内閣官房のグローバル・スタートアップ・キャンパス構想推進室長を務める内閣府科学技術・イノベーション推進事務局長でありますので、そのこともここで強調させていただきたいと思います。
こうした経緯や事実関係を踏まえると、キャンパス構想の事実上のトップが伊藤穰一氏であるという御指摘、海外大学との交渉において、伊藤穰一氏の存在が障壁となっているとの御指摘、いずれも全く当たらず、構想の実現に向けて御協力いただいている伊藤穰一氏の名誉を不当に傷つけるものであることを改めて明確に申し上げたいと思います。ここは非常に重要なので、詳細に御説明させていただきました。 - (問)今の質問に関連して、立憲民主党の修正案の通りに、宇宙戦略基金から2,000億円超を減らすとなった場合、今後の宇宙開発にどういう影響が出るのかということと、特に、今準備している第2期の公募の見直しをする必要が出てくるのかどうかという点について、御見解をお聞かせください。
- (答)先ほどお答えしたとおり、立憲民主党から示された来年度予算の修正案につきましては、与野党間で協議が行われているところであり、党での協議をしっかり見守る必要がありまして、現時点で仮定の質問に答えることは差し控えたいと思いますが、その上で申し上げますと、宇宙戦略基金については、令和5年度補正予算分については既に全22テーマのうち20テーマの採択者が公表されており、順次、契約を締結し、支援を開始しているところであります。
また、令和6年度補正予算分につきましても、今年度中に新たなテーマを正式決定する予定であるなど、着実に執行を進めている状況でございます。
私自身としては、宇宙分野への我が国の投資のスピードを緩めることがあってはならないと考えており、その認識の下で、しっかり尽力していきたいと思っております。
(以上)