城内内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和7年2月14日

(令和7年2月14日(金) 11:57~12:13  於:中央合同庁舎8号館1階S106会見室)

1.発言要旨

 
 冒頭1件、御報告事項がございます。経済安全保障担当大臣としての報告であります。
 本日、「経済安全保障推進法施行令の一部を改正する政令」及び「特定重要物資の安定的な供給の確保に関する基本指針」の一部変更につきまして、閣議決定されました。2月19日の公布・施行を予定しております。
 昨年12月に開催しました「経済安全保障法制に関する有識者会議」におきまして、私から、パンデミックによる緊急時など、民間企業の取組のみでは重要物資の安定供給確保が困難な場合に備えるため、政府が民間企業の工場等の施設を取得・保有し、物資の生産等を民間企業に委託することなどを可能とする制度化に取り組む方針をお示ししました。
 これを踏まえて制度化の作業を進め、本日、閣議決定された政令及び基本方針の変更は、こうした措置が必要な状況が実際に発生した際、迅速に対応できるよう、予め、国自らが措置を講ずる要件や措置に関する考え方を具体化しておくものであります。
 現時点で、この制度を直ちに適用すべき事案はありませんが、今後、必要に応じて各物資所管省庁と連携し、物資毎の取組方針の改定等、必要な対応の検討を進めてまいります。
 引き続き、国民の皆様の命や暮らしの安全の確保に万全を期すため、経済安全保障上重要な物資の安定供給に着実に取り組んでまいります。

2.質疑応答

(問)慶應義塾大学などのグループが、世界初となる視覚再生治療の治験を開始しました。大臣としての受け止めと期待をお願いします。
(答)昨日、慶應義塾大学から、世界初の視覚再生治療製剤の実現を目指した治験について、1例目の患者への投与を実施したと発表されました。
 本治験が計画通りに完了すれば、失明に対する新たな治療の選択肢につながるように考えており、大きく期待しております。
 また、本研究に対しては、基礎研究段階から、AMED(国立研究開発法人日本医療研究開発機構)による支援を進めてきたものであります。アカデミアの研究成果について、大学発スタートアップが主導して治験を実施し、基礎から応用への橋渡しを実現したものと承知しており、AMEDの支援を受けた取組が、治験という段階まで進んで、こういう成果を出したことは、非常に喜ばしいと思っております。
 また、現在検討を進めている第3期健康・医療戦略では、AMEDにおける、事業の検討段階からの出口志向の研究開発マネジメントを一層強化することとなっております。
 具体的には、AMEDに配分される調整費を、AMED理事長の裁量で柔軟に活用することを通じ、事業間の継続支援や、事業終了後の産業化の手前にある有望なシーズに対する支援を可能にしていく予定となっております。
 今後、基礎から実用化までの一貫した研究開発を更に加速化させ、国民の皆様にその成果がより多く、より速やかに届くよう、しっかりと取り組んでまいる考えであります。本当に良かったと思います。
(問)冒頭で御発言があった経済安全保障推進法の絡みで、今回の改定でできるようになった措置は、具体的にどういうケースで適用することを想定しているのか、意義も含めてお伺いしたいと思います。
(答)今回の制度は、これまで行ってきた補助金等の民間企業に対する支援だけでは、特定重要物資の安定供給確保を図ることが困難なケースへの対応を想定しております。
 具体的に申し上げますと、例えば、緊急時に需要が急増し、国が生産設備を取得して物資の供給を確保しなければならないようなケース。
 あるいは、他国の輸出禁止措置によって原材料の供給が全く入ってこない、途絶した際、調達先の切り替えに時間を要するなどの理由で、一定期間、生産停止を余儀なくされ、経営判断として生産設備を処分せざるを得ないような状況となったときに、国が代わりに工場を一時的に使用しなければ、その生産能力が不可逆的に失われてしまうようなケース。
 さらには、他国の影響を受けた日本企業が、我が国の重要技術の獲得を企図して当該企業の買収を働きかけており、その当該技術の根幹をなす設備を国が代わりに取得しなければ、その他国が取得してしまうことは非常に困るわけですから、国が取得することによって技術流出を防ぐということが想定されております。
 いずれにしましても、具体的には、こういった3つのケースがあるのではないかと思います。
(問)先日、NASAから、大西宇宙飛行士の打上げが3月12日の予定と発表されました。今回、大西宇宙飛行士は、ISS(国際宇宙ステーション)の船長を務められて、期待されていることも多いと思うのですけれども、今回の日程決定の受け止めと、大西宇宙飛行士への期待などを伺えればと思います。
(答)先日、米国NASA(アメリカ航空宇宙局)から、大西卓哉(おおにしたくや)宇宙飛行士が搭乗予定のCrew-10ミッションの打上げ日程につきまして、日本時間3月13日8時48分、米国東部夏時間ですと、3月12日19時48分を予定する旨が公表されたと伺っております。
 大西飛行士は今回のミッションの中で、御自身初となる船長(コマンダー)に就任することになっておりますが、まずは打上げをはじめ、今回のミッションが無事に成功することを心から願っております。
 昨年12月、私も大西宇宙飛行士と意見交換させていただく機会がございましたけれども、大西飛行士からは、今回のコマンダー就任に向けた抱負として、「これまでの日本の宇宙有人活動で培ってきた信頼から、今回のコマンダーを務めさせていただける。様々なミッションに携わる予定なので、しっかり取り組んでまいりたい。」と述べておられました。私からも、先方に対する期待などを述べさせていただいた経緯がございます。
 大西飛行士をはじめとする日本人宇宙飛行士は、我が国の宇宙開発利用における象徴的な存在であり、大西宇宙飛行士のこうした活躍を通じて、特に若い世代の方々の宇宙や科学技術に対する関心が高まることを期待するものでありまして、そうした役割も果たされていると思っております。
 いずれにしましても、今回のミッションにおいて、大西飛行士がコマンダーとして大活躍されることを期待しております。
(問)島根県が制定した「竹島の日」が来週2月22日で20年を迎えます。この間、経済安保の観点で振り返っても、韓国が輸出管理上の「ホワイト国」から約4年間外されるなど、様々なことがございました。また、この20年間で、SNSでの偽情報・誤情報が組織的に意図して流布されるなど、新たな課題も増えました。「竹島の日」制定から20年を迎えることについて、大臣の所感をお伺いいたします。
(答)「竹島の日」を含む領土問題につきましては、私の担当ではなく、坂井学大臣が担当なので、コメントは差し控えさせていただきたいと思うのですが、その上で、元外務省北東アジア課韓国担当課長補佐として一般論を申し上げますと、竹島は、歴史的事実に照らしても、かつ国際法上、明らかに我が国固有の領土であります。引き続き、竹島問題に関する我が国の立場を主張し、同問題の平和的解決を図る上で、有効な方策を不断に検討していくことが重要であると考えております。
(問)冒頭にあった特定重要物資の新制度についてお伺いします。ちょっと質問が重複しているところがあるかもしれないのですが、実際、有事が起きた際に、国が一時的に設備を取得して委託事業ができるようにするというところは、どんなところに一番効果があると言いますか、どんなメリットがあると考えておられますか。
(答)先ほど申しましたように、経済安全保障上、特定重要物資は極めて限られており、それがないと、国民の生命に関わるような場合がございます。今後どういうことが起きるか分かりませんので、予断して申し上げることは適切ではないと思いますけれども、特定重要物資があって、それが全く作られない、入手できない、ということで、仮に大変なことになった場合。
 例えば、βラクタム系抗菌薬というものがあるのですが、これをある特定の国が作っていて、日本は全く作っていなかったという場合は、もちろん備蓄という選択肢もあるかとは思いますけれども、備蓄にも限界が起きることも当然あり、そうなってきますと、生産設備を取得し、代わりに国が工場をいったん使わせていただいて、そこで生産することによって、命を救ったり、困った人たちを助けたりすることをやらなければいけないということです。
 ただ、いずれにしましても、特定重要物資はあれもこれもではありませんので、今まで指定された特定重要物資以外にも、こういうものがあるのではないかと言う方がいらっしゃいますけれども、それについては、しっかりと不断に見直していくことになるかと思います。国民の生命・財産をしっかり守るという意味で、経済安全保障上の観点から、今回新たな制度を導入したと理解していただければ幸いであります。
(問)今の特定物資の関連で、基本的なところなのですけれども、2月19日に施行予定ということですが、それでは2月19日以降は、物資の必要な状況が発生した場合には、国による工場の一時的な取得などが可能になるという理解でよろしいのでしょうか。
(答)これは、具体的な状況が現時点では発生しておりませんし、この場で予断を持ってお答えすることは適切ではないと思いますが、いずれにしましても、新たな制度が導入され、政府が民間企業の工場等の施設を取得・保有し、物資の生産等を民間企業に委託することを可能とする制度ができました。それを踏まえ、そのような状況になったときには、またどうなるかということは、今の時点では具体的に何かあるというわけではありませんので、こういうことが起きます、こういうことをやりますということを申し上げることは差し控えたいと思います。

(以上)