城内内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和7年2月7日
(令和7年2月7日(金) 9:29~9:43 於:中央合同庁舎8号館1階S106会見室)
1.発言要旨
1点目、科学技術政策担当大臣として御報告申し上げます。
今週4日ですが、AI戦略会議・AI制度研究会の合同会議が開催されました。この会議におきましては、パブリック・コメントを反映した中間とりまとめ(案)を審議し、構成員の皆様の了承をいただき、AI制度の在り方に関する「中間とりまとめ」を決定、公表したところであります。
パブリック・コメントにおきましては、国内外から多くの御意見が寄せられ、我が国のAI制度への関心の高さや重要性を改めて認識したところであります。
今後、この「中間とりまとめ」に基づき、今国会へのAI法案の提出に向けた作業を、引き続き、スピード感を持って進めてまいります。
2点目ですが、AIについてもう一つございます。
ここのところ、中国の企業「ディープシーク」が開発した生成AIの懸念点が話題となっております。
昨日午後の林芳正官房長官の会見で、長官からも発言がありましたとおり、AIシステムを利用する際には、リスクを把握しつつ、適切に対応することが必要と考えており、AIに対する国民の皆様の関心と理解を深めていただけるよう、AI政策を担当する私から、政府の取組を2点御案内したいと思います。
まず1点目ですが、個人情報につきましては、ディープシーク社のプライバシーポリシーが日本語で提供されていないことを踏まえ、データが日本国外のサーバーに保存されることや、外国の法令が適用されることなどについて、個人情報保護委員会が2月3日に情報提供を行っております。
そして2点目ですが、政府機関等の業務における生成AIの利用につきましては、サーバーの設置場所や、外国の法令の適用状況等のリスクを十分認識し、NISC(内閣サイバーセキュリティセンター)等の助言も踏まえた上で、利用の可否を判断することなどにつきまして、デジタル社会推進会議幹事会が、昨日2月6日付で注意喚起を発出しており、対応方針の徹底に努めているところであります。
御案内は以上ですが、いずれにしましても、AIは、国民生活や経済活動だけでなく、安全保障上も重要な技術であり、我が国のAI開発力を高める取組がやはり不可欠となります。
内閣府としては、引き続き、AI開発に不可欠な計算資源の整備、科学研究のプロセスにAIを活用する“AI for Science”の取組、次世代のAI開発等を担う若手研究者等の支援などの政策につきまして、しっかりと取り組んでまいる考えであります。
最後に3点目ですが、これも科学技術政策担当大臣としての御報告であります。
一昨日、第7回日本オープンイノベーション大賞表彰式を開催し、そこに私も出席しまして、内閣総理大臣賞と科学技術政策担当大臣賞を、それぞれの受賞者に授与したところであります。
今回、内閣総理大臣賞を受賞された取組は、宇宙航空研究開発機構・宇宙イノベーションハブなどによる、「産学官連携による日本初・世界最小の月面ロボットSORA-Qの開発」であります。本取組、そして今回各賞を受賞された全ての取組の関係者の皆様をお祝いし、また敬意を表したいと思っております。
内閣府として、組織や文化の垣根を超えて、知識や技術、人材、経営資源を組み合わせるオープンイノベーションの取組を進めることは、イノベーション創出を加速するに当たって、非常に重要なものであると考えており、引き続き、オープンイノベーションの促進に努めてまいる考えであります。
2.質疑応答
- (問)AI法案について、法案の中では、本部で基本計画を決定するとなっているのですけれども、この基本計画というのは、どの程度具体的な内容を盛り込むのか、その辺りのイメージについて教えてください。
- (答)現在準備を進めておりますAI法案につきましては、「中間とりまとめ」の内容を踏まえ、イノベーション促進とリスク対応の二つを両立させる取組を、政府一丸となって推進するため、政府におけるAI政策の司令塔機能を強化する内容とする予定であります。
お尋ねの基本計画につきましては、我が国における安全・安心なAIの研究開発・活用に向けて、「政府全体として推進すべき施策の基本的な方針」などを示すものを予定しておりますが、その具体的な内容につきましては、今後強化される司令塔機能の下での議論を経て決定される予定であります。
いずれにしても、安全・安心で信頼できる、世界のモデルとなるようなAI制度をしっかりと構築し、我が国が世界で最もAIを開発・活用しやすい国となることを、担当大臣として、しっかり目指してまいる考えであります。 - (問)今のAI関連の質問に関して、今後、法案提出や基本計画の策定に当たるかと思うのですけれども、AIの技術の進展は早いので、スピード感ですとか、あと、適宜見直しや柔軟性を持って対応されることが必要かなと思うのですけれど、その辺りをどういうふうに進めていくのか教えていただけますでしょうか。
- (答)御指摘のとおり、AI技術は著しい早さで進展しておりまして、今後もその傾向は続くものと認識しています。
こうした状況に的確に対応するため、中間とりまとめにおきましては、例えば、時々刻々と変化するAIの開発、提供、利用等に関する実態を、政府においてしっかりと情報収集・把握し、また、必要な範囲で国民の皆様に情報提供することが適当であること。また、リスクに対しましては、各業所管省庁が既存の法令あるいはガイドライン等の体系の下で対応すべきでありますが、今後、新たなリスクが顕在化し、既存の枠組みで対応できないなどの場合には、制度の見直しあるいは新たな制度の整備等を含めて検討すべきであることなどが掲げられております。
こうしたことを十分に踏まえながら、AI法案の内容の検討と、今後のAI政策の推進に努めていく考えであります。 - (問)2点伺います。
まず1点目ですけれども、読売新聞社と講談社が書店活性化に関する提言をまとめました。政府は今後、書店活性化プランをまとめる予定とも聞いておりますが、こうした書店活性化に向けた動きについて、クールジャパン戦略担当大臣としてのお考えを伺います。 - (答)本日の読売新聞の朝刊1面、私も拝見させていただきました。近年、書店数は大きく減少しておりますけれども、書店は多様なコンテンツに触れることができる場として、地域に親しまれている存在であり、創造性を育む観点で、重要な機能があると認識しております。
このため、経済産業省が、書店の活性化に向けた取組を現在進めており、1月29日に「関係者から指摘された書店活性化のための課題」を取りまとめまして、今春を目途に「書店活性化プラン」を策定する予定であると伺っております。
書店が地域コミュニティに根差した文化拠点として活性化し、文化の創造や地域の魅力を向上させていくことは、クールジャパン戦略の観点からも重要であると考えており、経済産業省の書店活性化の取組に強く期待しております。
なお、私は、自民党の「街の本屋さんを元気にして、日本の文化を守る議員連盟」の役員、副幹事長をしており、無書店地域の問題、そして、書店を今後どうしていくかということについての各国の色々な取組の状況について、この議連でしっかり議論し学んできたところでありますので、大変高い関心を持って、経産省の取組を注視し、期待しているところであります。 - (問)もう1点、所管外ですけれども、能動的サイバー防御の関連法案が、本日閣議決定されました。大臣の所感を伺います。
- (答)今御指摘ありましたように、能動的サイバー防御の関連法案につきましては、私自身、担当大臣でないので、コメントを差し控えたいと思いますが、その上で一般論として、我が国全体のサイバーセキュリティ対策を一層強化していくことは、私が担当している経済安全保障の観点からも急務だと考えております。
そのため、経済安全保障担当大臣としては、「経済安全保障推進法」に基づく基幹インフラ制度の着実な運用、サイバー攻撃対策に向けた官民の情報共有の促進につながる「重要経済安保情報保護活用法」の本年5月の施行に向けた準備など、サイバーセキュリティ対策にも資する経済安全保障施策に取り組んでいるところでございます。
また、能動的サイバー防御の関連法案を担当する内閣官房のサイバー安全保障体制整備準備室をはじめ、関係省庁ともしっかりと連携しつつ、経済安全保障の強化に向けた取組を着実に実施してまいりたいと考えております。 - (問)宇宙の関係で伺います。アメリカの大統領令の影響で、NASAの水星や火星探査の一部のプロジェクトが止まっているという話がありまして、日本との共同研究も含めて何か影響があるのか、あるいは懸念される点があるのかということについて教えていただきたいのと、この事態が長引くのかどうかという見通しについて、NASAとやりとりができていれば、現状について教えてください。
- (答)米国トランプ大統領が就任されて以降、大統領令が発出されたことにより、NASA(アメリカ航空宇宙局)の一部の科学関係の活動に影響が生じているとの報道があったことは承知しております。
現時点では、JAXA(宇宙航空研究開発機構)・ISAS(宇宙科学研究所)を中心とした我が国の宇宙科学研究コミュニティと、NASAをはじめとする米国の宇宙分野のコミュニティとの各種の連絡調整が途絶えているということはなく、引き続き何ら変わりなく円滑に行われているものと伺っております。
いずれにしましても、同盟国である米国とは、宇宙開発利用において緊密な協力関係にございますので、米国新政権の宇宙政策の動向については、我が国としてしっかりと注視してまいりたいと思いますし、何かがとん挫して止まったまま長引くということにはならないと私自身は見ております。
(以上)