城内内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和7年1月21日

(令和7年1月21日(火) 10:31~10:47  於:中央合同庁舎8号館1階S106会見室)

1.発言要旨

 
 まず、健康・医療戦略担当の大臣として御報告申し上げます。
 先週1月17日、総理官邸におきまして、第7回日本医療研究開発大賞の表彰式を開催いたしました。本表彰は、医療分野の研究開発推進への功績を称えることなどを目的に、「健康・医療戦略」及び「医療分野研究開発推進計画」に基づきまして、2017年度より実施しているものであります。
 今回、東京理科大学教授の松島綱治(まつしまこうじ)先生、近畿大学名誉教授の義江修(よしえおさむ)先生、協和キリン株式会社、以上3者の連名による「ケモカインの発見に基づくT細胞リンパ腫治療薬の開発」が内閣総理大臣賞を受賞されました。白血病に対する革新的な医薬品として、社会に大きなインパクトを与えた研究開発成果が評価されたものであり、受賞者の皆様に、改めて敬意と感謝を申し上げたいと思います。
 また、私からは健康・医療戦略担当大臣賞といたしまして、日本医科大学の本田一文(ほんだかずふみ)先生を、スタートアップ賞として、Heartseed株式会社さんを、それぞれ表彰させていただきました。
 今回、医薬品や医療機器の基礎研究から実用化に至るまでの、大学や民間企業における様々なステージでの取組が、各賞を受賞されました。いずれの事例も極めて革新的なものであり、改めて日本の研究開発力のポテンシャルの高さを実感したところであります。
 内閣府といたしましては、国民の皆様が革新的な医療を受けることができますよう、引き続き、医薬品や医療機器の研究開発支援を強力に推進してまいります。
 次に、2点目ですが、経済安全保障担当大臣として御報告申し上げます。
 「重要経済安保情報保護活用法」の運用基準の策定に関しまして、本日、各省庁の次官級を構成員とする「重要経済安保情報保護活用準備委員会」を開催いたします。昨年11月から12月にかけて実施しましたパブリック・コメントを踏まえ、国民の皆様の御意見を取り入れた運用基準案について議論を予定しております。
 また、本日の議論を踏まえまして、明日、第6回「重要経済安保情報保護活用諮問会議」を開催いたします。有識者の皆様からの御意見を踏まえ、最終的な運用基準案を取りまとめた上で、出来るだけ早期の閣議決定を目指してまいります。

2.質疑応答

(問)SNSなどで偽情報が飛び交っており、特に、災害や選挙のときに顕著なものになっています。こうした偽情報を判別し、素早く対応するためのAIの開発といった対応策について、どのようにお考えでしょうか。
(答)まず、前提といたしまして、災害などに際して、偽情報をSNSで投稿するなどの行為は、国民の皆様の安全・安心に関わるものであり、絶対に行われるべきではないと考えております。
 その上で、御指摘の偽情報対策につきましては、我が国が主導した広島AIプロセスをはじめ、国際的な様々な場におきまして、対策技術を開発することの重要性が指摘されており、昨年末のAI戦略会議・AI制度研究会の合同会議におきましても、石破総理から、偽情報対策の技術開発などを支援するよう具体的な指示があったところであります。
 現在、具体的な取組といたしましては、内閣府の「経済安全保障重要技術育成プログラム(K Program)」における、サイバー空間の偽情報の検知・評価に関する研究開発や、総務省の「インターネット上の偽・誤情報対策技術の開発・実証事業」における、AIを活用した情報コンテンツの真偽判定支援技術の開発・実証などを進めているところであります。
 引き続き、こうした偽・誤情報対策に係る技術開発について、関係府省一丸となって取り組んでまいる考えであります。
(問)衛星データの関係で伺います。先週17日、JAXAと熊本県が、災害時の建物被害を衛星データから推定するプログラムを開発するということで、協定を結びました。自治体がただ衛星データを使うだけではなくて、自分たちが持っているデータを使って、新しい衛星データの利活用の方法を生み出すための取組だと理解しています。こうした地域や自治体が、持っているデータを自ら使って衛星データの活用の幅を広げる取組を、国としてどう後押しするかについて、御意見をお聞かせください。
(答)まず、今回締結されました熊本県とJAXA(国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構)との災害協定は、熊本県が、熊本地震の際のデータをJAXAに提供することで、人工衛星を活用した建物被害推定の精度を高め、熊本地震の経験や教訓を、全国の防災体制の強化につなげることを目的とするものであると伺っております。
 本件の今後の進展を大いに期待するとともに、こうした衛星データを防災・減災などの社会課題解決に活用する事例が、今後も増えていくことを期待するものであります。
 衛星データによる新たな価値創出に向けましては、これまでも内閣府において、例えば、自治体等と連携して農業状況把握に向けた実証に取り組んだり、地下にある水道管の漏水調査支援ツールの開発を支援したりするなどの取組を進めてまいりました。
 また、昨年3月には、「衛星データ利用に関する今後の取組方針について」を定めまして、令和6年度からの3年間を「民間衛星の活用拡大期間」として位置付け、民間企業の衛星データを関係府省や自治体が積極的に調達・利用することなどを通じて、衛星データの利用を拡大し、持続的で強靭な社会システムを構築していくことを目指しております。
 これまでの取組を通じまして、地域の農業や林業、漁業などにおいて、衛星データの利活用が有効なケースが増えてきていると認識しております。
 内閣府としては、引き続き、関係省庁や自治体とも連携しながら、また、地方創生に宇宙政策が貢献するという観点も強く意識しながら、衛星データ活用の取組を推進してまいりたいと考えております。
(問)アメリカでトランプ大統領が就任いたしました。経済安保上で日本への影響、もしくは懸念などもあるかと思いますが、就任への受け止めと今後の影響についてのお考えをお願いいたします。
(答)まず、この度、トランプ次期大統領が就任したことについて、心からお祝い申し上げたいと思います。
 これまで、米国との間では、経済安全保障、宇宙政策、科学技術政策などの分野におきまして、協力の拡大・深化を進めてきたところであります。引き続き、2国間の取組はもちろんのこと、日米韓、日米豪印、G7などの多国間の枠組みも活用しながら、日米連携の強化に取り組んでまいりたいと考えております。
 米大統領就任が経済安全保障に与える影響についてでありますが、アメリカの新政権による政策及びその影響について、現時点で予断することは差し控えさせていただきますが、世界経済に大きな影響力を持つ米国の動向は、国際社会にとっても極めて重要であり、引き続き、高い関心を持って注視してまいりたいと考えております。
 その上で、一般論として、経済安全保障の確保に向けましては、我が国の自律性の向上や技術などの優位性、不可欠性の確保とともに、基本的価値やルールに基づく国際秩序を維持・強化すべく、同盟国・同志国などとの協力の拡大・深化を図っていくこととしております。
 我が国及び国際社会を取り巻く安全保障環境が、一層厳しさを増す中で、日米同盟やグローバルパートナーとしての日米協力の重要性は、一層高まっていると考えております。
 経済安全保障及びルールに基づく経済秩序の維持・強化をはじめとする国際社会共通の課題においても、米国をはじめとする同志国・同盟国と緊密に連携してまいりたいと考えております。
(問)大臣は、安倍元総理に非常に近かった印象がございます。国民の中には、安倍元総理がおられたら、米国との関係がだいぶ違うのではなかろうかと思う人もいるかと思うのですが、安倍元総理のトランプ対応も含めまして、聞いたり教えられたりしたことがありましたら教えてください。
 また、この間、USスチール買収について、日本が最大の投資国だということを言ってもらいたいと書いておられましたけども、今の大統領の発言の中で、ソフトバンクが5兆円ですか、あえて日本の企業で出したのは、私は非常に意味のあることなのではないかと思います。まさにこれはAI投資ですけれど、その辺りのことや、今の経済安保や宇宙も含めまして、どのようにお考えになるのか、元外交官の立場から伺えないでしょうか。
(答)安倍元総理が、あのような形でお亡くなりになりましたので、この場をお借りしまして、哀悼の誠をささげたいと思います。生前、安倍元総理が私、あるいは私の仲間に直接おっしゃっていたことは、トランプ大統領との人間関係の構築です。
 よくゴルフをされていましたけれども、ただゴルフをやっていただけではなく、どちらかというと、アジア太平洋地域の安全保障環境について、あまり細かいことをご存知ないようでしたので、自らの言葉で直接、トランプ大統領に、こうした厳しい東アジア、アジア太平洋地域の安保環境などについてお話をしていたとおっしゃっていたことを覚えておりますが、細かいことについては、この場で申し上げるのは適当ではないので、この程度にさせていただきたいと思います。
 USスチールの買収の問題については、1月7日の記者会見の場でもお伝えしましたが、今回の日本製鉄の案件は、日米両国にとって利益のあることであり、100歩譲って、USスチールの労働者側からやめてくれと言われたらまだしも、お願いしますと言われて支持する声が上がっているのに、バイデン前大統領があのような判断をしたことは極めて残念であり、怒りを覚えるものであります。
 その上で、米新政権がどのような対応をするかについては、現時点で予断することは差し控えたいと思いますが、この揺るぎない日米関係の下で、これは日本企業の全体の投資にも影響しますから、今まで日本は最大のアメリカに対する投資国家で、相当雇用を創出していると私は認識していますので、日本企業が安心して投資ができるように、これは経済産業大臣の担当だと思いますが、政府としてもしっかり取り組んでいくと同時に、経済安全保障に懸念が、みたいな話がございましたので、そういった誤解がアメリカ側で起きないように、しっかりと取り組んでいく所存でございます。
 また、ソフトバンクの話もございました。AIについては、しっかりイノベーションを進めていくことも大事です。もちろんリスクもございます。そうした中で、民間企業の方々も、これからまさにセキュリティ・クリアランスの運用基準案が固まるわけでありますけれども、しっかりこのAI戦略についても、民間企業も参加していただきながら、極力リスクを低減化することが大事ではないかと思います。
 いずれにしましても、例えば、アメリカとはアルテミス計画で、宇宙分野での協力もございます。同盟国・同志国といった場合、同盟国とはどこかというと、アメリカだけだと思いますので、アメリカがしっかり日本を信頼していただくことが、私は大事だと思っております。
 まだまだ言いたいことはありますけれども、これくらいにさせていただきたいと思います。

(以上)