城内内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和7年1月7日
(令和7年1月7日(火) 10:31~10:50 於:中央合同庁舎8号館1階S106会見室)
1.発言要旨
新年明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。
それでは冒頭、1点御報告ですが、科学技術政策担当大臣として申し上げます。
内閣府では、2019年、「世界と伍するスタートアップ・エコシステム拠点都市形成戦略」を取りまとめまして、この戦略に沿って、スタートアップ・エコシステムの形成の推進に努めてまいりました。
戦略のKPIが、今年度末に期限を迎えることから、本日、「第2期スタートアップ・エコシステム拠点形成戦略に向けた基本的考え方」を取りまとめ、公表する予定でございます。
また、この「基本的考え方」を踏まえまして、第2期のスタートアップ・エコシステム拠点都市の公募を開始いたしますので、お知らせ申し上げます。
私自身、現場の声や肌で感じる情報が非常に大切であるという観点で、大臣に就任して以来、国内各地の企業や研究機関を訪問してまいりました。また、スタートアップ関係者の皆様を含む現場の皆様との意見交換も行ってまいりました。
最近では、昨年末、福島県へ出張した際にも、地域におけるスタートアップが果たす役割の大きさを改めて強く再認識したところでございます。
いずれにしましても、スタートアップはイノベーションの源泉であります。今回策定いたしました「基本的考え方」を踏まえまして、自治体を中心としたコンソーシアムから、意欲的・積極的な内容が提案され、更なるエコシステムの形成につながっていくことを強く期待するものであります。
内閣府としては、引き続き、スタートアップ支援の取組を全力で推進してまいります。
2.質疑応答
- (問)大臣、様々な担務をお持ちですけれども、今年はどのようなことに取り組んでいきたいのか、お考えをお聞かせください。
- (答)たくさんございます。まず、新年に対する抱負を申し上げる機会をいただきまして、ありがとうございます。
今年は、私にとりましても特別な年でありまして、「乙巳(きのと・み)」ということでありますけれども、「乙」は、調べましたら、しなやかに伸びる草木を表すと。「巳年」は生命力のある再生復活ということであります。ちなみに、私は巳年生まれでございまして、今年36歳になると言いたいところですが、還暦を迎える節目の年でありまして、そういう意味で特別な年でございます。
過去を振り返りますと、巳は、生命力という話をしましたけれども、私もかつて郵政民営化法案に反対して、強力な刺客を送られて、それでも何とか復活して、今ここにいるということは、まさにへび年だったからかなと思う次第でございます。
冗談はさておき、まず、経済安全保障担当大臣として今年の抱負を申し上げますと、重要経済安保情報保護活用法の今年5月までの施行に向けて、運用基準の策定、そして体制整備をしなければいけませんが、これに全力で取り組んでまいりたいと思います。
また、経済安全保障推進法につきましては、重要物資供給の緊急事態などに備えるため、政府が民間事業者の工場等の施設を取得・保有し、物資の生産や施設の管理を、国の事業として民間企業に委託することなどを可能とする制度化作業を急ぐとともに、基幹インフラ制度に、医療分野を追加することについて、今年の夏までに結論を得ることを目指して検討を進めてまいります。
その他には、我が国の経済・産業が直面する様々なリスクを継続的に点検しつつ、同盟国・同志国等の連携強化も推進しながら、様々な課題について、関係省庁の先頭に立って、スピード感を持って取り組んでまいる所存でございます。
また、重要土地等調査法につきましては、昨年12月、この記者会見でも申し上げましたけれども、令和5年度の注視区域内における土地・建物の取得状況について取りまとめ、公表を行ったところであります。今年も、引き続き、土地等の所有・利用状況の調査等をしっかりと着実に実施しまして、安全保障上の重要施設などに対する機能阻害行為を防止すべく、万全を期してまいる所存でございます。
次に、科学技術政策担当大臣としてですが、まず、AI政策につきましては、年末に公表いたしました中間取りまとめ案を踏まえまして、本年通常国会に法案を提出できるように、法案検討作業を加速してまいりたいと思います。
また、イノベーション促進とリスク対応を両立するAI制度を実現することで、我が国におけるAI開発・活用を後押ししていく考えであります。
また、フュージョンエネルギーにつきましては、「安全確保の基本的な考え方」を、今年3月末までに策定するとともに、核融合戦略有識者会議の議論を踏まえまして、現行の国家戦略の早期改訂を目指してまいりたいと思います。
次に、科学技術分野での外交ですが、私は外務省出身で、外務大臣政務官、自民党外交部会長、外務委員長、外務副大臣をやっておりますので、この分野での外交を推進していきたいと思っています。
特に、同盟国・同志国や、ASEANをはじめとする国際社会との連携強化を積極的に進めてまいりたいと思います。
さびついた英語とドイツ語を、毎日コツコツやるという今年の決意の下で、通訳なしで何とか頑張っていきたいと思っております。
また、昨年末に検討を開始しました次期科学技術・イノベーション基本計画の策定につきましては、重要な作業と認識しております。安全保障環境の変化等の我が国を取り巻く状況をしっかり踏まえた上で、現場の課題を克服し、世界からも注目される計画とするべく、検討を進めてまいりたいと思います。
健康・医療の分野では、「第3期健康・医療戦略」の本年度内の策定に取り組むとともに、この第3期戦略を着実に実行に移し、国民の皆様に研究開発の成果がより多く、より速やかに行き渡るように努めてまいります。
次に、宇宙政策担当大臣としてであります。「宇宙基本計画」や「宇宙技術戦略」に基づきまして、「宇宙戦略基金」の活用も含めました民間企業等への支援や、準天頂衛星システムの7機体制の整備及び11機体制に向けた開発などを進めてまいる考えであります。
特に、宇宙戦略基金につきましては、基金という特性を最大限活かして、更に最大の成果が上がるよう、関係府省と連携してしっかりと執行してまいりたいと思います。
また、新たな宇宙輸送に対応するため、宇宙活動法の改正を視野に法制度の見直し作業を進めるとともに、事務局における円滑な打上げ審査体制を整備できるよう取り組んでまいりたいと思います。
次に、クールジャパン戦略担当大臣として申し上げます。本年開催される大阪・関西万博の活用も含め、クールジャパン戦略の推進に向けて、関係省庁とも連携して、漫画・アニメ・ゲーム・実写等のコンテンツを最大限活用し、日本の魅力を国内外に発信していく所存でございます。
最後に、知的財産戦略担当大臣として申し上げます。本年6月頃の「知的財産推進計画2025」及び「国家標準戦略」の策定に向けて検討を進めてまいりたいと思います。
幅広い分野でありますけれども、しっかりと目配りをしながら、引き続き、一つ一つ着実に取組を進めて、国民の皆様の期待に応えてまいる所存であります。盛りだくさんですけれども、しっかり取り組んでまいりますので、本年もよろしくお願いいたします。 - (問)今年の抱負に関連してなのですけれども、科学技術分野では、重要論文数の世界順位が、日本は低迷したままになっています。論文数の上昇をはじめ、日本の研究力強化のために、どのような政策を打ち出していきたいのか、お考えを教えてください。
- (答)近年、論文指標などにおきましては、我が国の研究力の低下が、御指摘のように示されておりまして、大きな危機感を持っているところであります。
その背景として挙げられますのは、まずは、研究者の研究時間の減少、研究者への支援体制の不足等の「研究環境」に関する課題、これが一つ。二つ目は、我が国の大学が、世界の大学と比べて予算規模が小さい等の「研究資金」に関する課題。三つ目は、博士課程進学率の停滞や、博士号取得者の多様なキャリアパスが十分に開拓できていない等の「人材育成」に関する課題、この三つがございます。もう一度申しますと、一つ目は「研究環境」、二つ目は「研究資金」、三つ目は「人材育成」であります。
このため、令和6年度補正予算及び令和7年度の政府予算案におきましては、大学等の基盤的経費や科研費等の研究予算の確保に加えまして、研究者が共用できるSPring-8-Ⅱやポスト「富岳」といった大型研究施設の開発・高度化、また、リサーチ・アドミニストレーター等の研究開発マネジメント人材の確保・育成を行う体制整備などの取組を強化しているところであります。
まずは、令和6年度補正予算の着実な執行と、令和7年度政府予算案の成立に向けて、各省とともに尽力してまいる考えであります。
また、昨年末、文部科学省におきまして、国際卓越研究大学の第2回公募が開始されたところであります。この車の両輪である「地域中核・特色ある研究大学総合振興パッケージ」と併せまして、大学の研究環境の整備に向けた支援を、引き続き進めてまいりたいと思います。
本年は、先ほども述べましたけれども、第7期科学技術・イノベーション基本計画の策定に向けた極めて重要な年であります。その議論の中で、研究力強化に向けたよりよい方向性と具体策を検討していきたいと考えております。
加えて、研究力強化においては、現場への投資が何より重要と考えておりまして、必要な予算の確保に向けて、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。 - (問)日本製鉄による米鉄鋼大手USスチールの買収計画について伺います。バイデン大統領が計画中止の命令を出したことについて、経済安全保障の観点から、大臣の受け止めを伺います。
- (答)この問題につきまして、基本的に経済産業大臣の担当の問題だと思いますけれども、経済安全保障担当大臣としても申し上げたいと思います。結論を言うと、非常に理解し難く極めて残念だということであります。
言うまでもなく、これまで強固な日米関係の下、日本企業は、米国への投資を積極的に進めておりまして、米国にとって日本は最大の投資国であります。米国の雇用創出にも、これまで最大限貢献してきたというのは事実であります。
こうした中、日本製鉄は、今般の買収案件につきまして、「日米の鉄鋼企業が先端技術を融合し、競争力を高めるための取組であり、米国内での鉄鋼の生産能力や雇用を維持することに貢献するものである」と、私と同じような中身の説明をしてきていると承知しております。
こうした取組は、日米両国にとって極めて利益のあることであり、USスチールの労働者側からも本件を支持する声が上がっていた中で、もう一度言いますけれども、今回このような判断がなされたことは極めて理解し難く残念であると、外務省出身者、元外務副大臣としても申し上げざるを得ないということであります。
日米双方の経済界、とりわけ日本の産業界からは、今後の日米間の投資について強い懸念の声が上がっておりまして、我々としても重く受け止めざるを得ないということであります。政府としては、経産大臣も中心になっていただくということだと思いますけれども、懸念の払拭に向けた対応を米国側に、外務大臣とともに求めていく考えだと思います。
なお、私は、昨日の石破総理の伊勢神宮参拝に6名の随行閣僚の一人として随行いたしましたけれども、そこでの記者会見で石破総理が申し上げた事実を、もう一回御紹介したいと思いますが、「安全保障の懸念があるのかということについては、それはきちんと述べてもらわなければ、これから先の話にはならない。いかに同盟国であろうとも、これから先の関係において非常に重要である」と。このように石破総理は述べられておりまして、私自身も米国側が丁寧に説明されることが重要だと考えております。
いずれにしましても、経済安全保障担当大臣として申し上げますと、経済安全保障の取組について、バイデン大統領がサプライチェーンにリスクをもたらすと発言しているわけですから、同盟国・同志国との連携が極めて重要であります。その前提として、お互いの信頼関係を強化していくことが重要であることは言うまでもございません。
このため、引き続き、米国、次期トランプ政権、更にはG7を含むパートナーとの間での経済安全保障の強化に向けた取組を更に進めるとともに、国民の皆様、財界の皆様の御理解もしっかりと得つつ、制度面・運用面の双方において、同盟国・同志国からしっかりと信頼され、「サプライチェーンのリスクが」ということを言われないように、強靭な安全保障体制の構築に向けて、しっかりと政府一丸となって取り組んでまいる所存でございます。 - (問)2025年は、経済安全保障推進法の成立から3年となります。この3年間で経済安全保障環境も大きく変わりつつあるのかなというふうに思います。法律には3年の見直し規定が施行からあると思うのですが、大臣にとって、この3年間の状況の変化を受けて、課題認識であるとか、今後の検討課題、どのように対応していくのか、お考えをお聞かせください。
- (答)まず、結論から申しますと、3年の見直し規定がございますけれども、不断に見直しをしていくことは大事だということを申し上げたいと思います。
言うまでもなく、2022年5月に成立しました経済安全保障推進法は、サプライチェーン強靭化、基幹インフラ制度、先端重要技術の開発支援、特許出願の非公開制度の四分野について定めたものでありますが、昨年5月に全ての分野で運用を開始したところであり、まだ1年を経過していない状況であります。
この経済安全保障推進法に基づく措置については、冒頭申しましたように、まだ1年経過していませんけれども、不断に見直しを行ってきたところであります。
具体的には、基幹インフラ制度におきまして、一昨年7月の名古屋港コンテナターミナルのシステムに対するサイバー攻撃の事案を踏まえまして、昨年5月に対象分野に「港湾運送」を追加するための法改正を行うとともに、昨年末には「医療」分野の追加について、今年の夏までに結論を得ることを目指し、検討を進めていくことをお示ししたところであります。
また、サプライチェーンの強靭化におきましては、昨年2月に「先端電子部品」等を特定重要物資として追加するなどの見直しを行ってまいりました。
安全保障環境や地政学の状況の変化、テクノロジーの発展やデジタル化など、経済安全保障を巡る環境の変化を踏まえて、我が国の経済・産業が直面する様々なリスクを継続的に点検し、国民生活や経済基盤を守るための対応に、万全を期していくことが極めて重要であります。
このため、引き続き、御指摘の経済安全保障推進法の見直し規定も踏まえまして、関係府省庁の先頭に立って、しっかりと取り組んでまいる所存です。
(以上)