城内内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和6年12月24日
(令和6年12月24日(火) 10:45~10:59 於:中央合同庁舎8号館1階S106会見室)
1.発言要旨
まず、科学技術政策担当大臣として御報告いたします。
先週金曜日、国内のAI研究を牽引されておりますNTT本社を視察いたしました。
まず、川添雄彦(かわぞえかつひこ)副社長から、次世代情報通信ネットワーク「IOWN」を活用した同社のAI戦略や世界トップレベルの日本語性能と省エネ性能を持つ生成AI「tsuzumi」を御説明いただきました。
続きまして、私のジョギング姿に対して正しい姿勢を指南するAI、そして、様々なAIが互いに会話する「AIコンステレーション」のデモを拝見しました。
さらに、同社のAIガバナンスの取組についても御説明いただき、「イノベーション促進のためにもガードレールが必要だ」という御意見を頂戴し、なるほどと感じた次第でございます。
今回のNTT視察を通じまして、AIがマルチモーダル化していることを実感するとともに、同社がAIの消費電力を抑える高い技術に挑戦していることなどを認識することができました。大変貴重な機会となった次第でございます。
次に、昨日、官邸におきまして、総理とともに、「AI制度研究会」の松尾豊座長及び村上明子座長代理との意見交換を行いました。
松尾座長からは、最近のAIの動向、特に、人を支援するAIの性能が日々向上している状況や、その中で、日本が取るべき政策の在り方などについてのお話がございました。
また、村上座長代理からは、AIの安全性評価手法などを検討している「AIセーフティ・インスティテュート」の取組を御紹介いただきました。
総理からは、今後の様々なAIの活用方法への対応、特に、偽情報への対応をどうするかについて御質問があり、松尾座長や村上座長代理から、対応する技術開発の状況などについて回答がございました。
最後に、内閣府では「AI制度研究会」の中間取りまとめ案の年内公表を目指しておりましたが、研究会を明後日26日に開催し、中間取りまとめ案を公表する予定であります。
引き続き、AI担当の大臣として、スピード感を持って、AI制度の在り方に係る検討作業を進めてまいりたいと思います。
2点目も、科学技術政策担当大臣としての御報告であります。
昨日、総合科学技術・イノベーション会議を開催し、「科学技術・イノベーション基本計画」や国際卓越研究大学の体制強化計画の認可等について議論を行いました。
特に、2026年度から開始となる、次期科学技術・イノベーション基本計画につきましては、石破総理からの諮問を受け、「基本計画専門調査会」を設置して、具体的な検討を進めていくこととなりました。
会議では、次期基本計画に向けて、有識者議員の皆様から貴重な御意見をいただいたほか、石破総理からは、「研究力の強化と人材育成、イノベーション力の向上、経済安全保障との連携といった観点から検討していく必要がある」との御発言がございました。
これを受けて、本日、「基本計画専門調査会」の第1回会合を開催する予定であり、私も出席する予定であります。
担当大臣として、次期基本計画に向けまして、精力的に検討を進めてまいります。
3点目ですが、経済安全保障担当大臣としての御報告であります。
重要土地等調査法につきまして、今般、令和5年度の注視区域内における土地・建物の取得状況について取りまとめ、公表を行いました。
今般の公表においては、令和5年度の区域内における土地・建物の取得総数は16,862筆個であり、そのうち、外国人・外国系法人による取得は371筆個、全体の2.2パーセントでありました。
なお、勧告・命令の対象となる重要施設等に対する機能阻害行為は確認しておりません。
内閣府としては、今般の公表の対象となった土地等の取得も含め、引き続き、土地等の利用状況の調査等を着実にしっかりと実施し、機能阻害行為の防止に万全を期してまいる考えであります。
4点目ですが、宇宙政策担当大臣として御報告いたします。
本日の閣議後、「宇宙開発戦略本部」を開催し、「宇宙基本計画工程表」の改訂を決定いたしました。
本部の最後に、石破総理から、我が国のロケット打上げ能力年間30件程度の確保を目指し、官民の開発を進めること。新たな宇宙輸送に対応するため、宇宙活動法の改正を視野に制度見直しを進め、円滑な打上げ審査体制を整備すること。スタートアップを含む民間企業や大学等が、大胆かつ柔軟に宇宙開発に挑戦できるよう支援すること。日本人宇宙飛行士の月面着陸の実現を目指し、有人与圧ローバの開発などの取組を加速すること。また、準天頂衛星システムの11機に向けた開発を進めること、などの御発言がございました。
総理の御発言、そして、改訂された工程表を踏まえまして、私自身が先頭に立って、関係大臣とも連携し、宇宙政策をしっかりと前に進めてまいります。
5点目ですが、科学技術政策担当大臣としての御報告であります。
宇宙開発戦略本部に引き続き、「核燃料サイクル協議会」が開催され、私も出席しました。
本日の会議では、林官房長官出席の下、青森県知事から核燃料サイクル政策等について、要請と確認があり、関係閣僚からお答えいたしました。
私からは、我が国は、「利用目的のないプルトニウムは持たない」との原則を堅持しつつ、核燃料サイクルを推進することが重要である旨を発言いたしました。
内閣府といたしましては、原子力委員会が平成30年に決定した「我が国におけるプルトニウム利用の基本的な考え方」を踏まえ、プルトニウムの適切な管理と利用が行われるよう、引き続き、着実に取り組んでまいります。
最後に6点目でございます。科学技術政策担当及び宇宙政策担当の大臣として御報告申し上げます。
明日、福島県へ出張し、南相馬市において、株式会社ARCALISの視察、宇宙関連の複数のスタートアップ等との意見交換、福島第一原子力発電所及び廃炉環境国際共同研究センター(CLADS)の視察を行います。
今回の出張では、医薬品の原薬製造現場や、地域における宇宙産業の集積状況、廃炉の現状等を見させていただく予定であります。
なお、先般、石破総理から全閣僚に対して、出張する際には積極的に地方創生に関する視察もするように御指示をいただいているところ、地方におけるスタートアップ・エコシステム等の現状をしっかりと把握し、地方創生2.0の議論に活かしていきたいと考えております。
2.質疑応答
- (問)基本計画の検討がいよいよ始まるかと思うのですが、研究力低下が指摘されている中、どの分野や組織などでも、次世代を育成しなければ衰退するということは当然だと思いますけれども、次期基本計画の検討において、若手の育成について、大臣としてはどのように取り組むべきだとお考えでしょうか。
- (答)次期基本計画は、今後の我が国の科学技術・イノベーション政策の根幹を成すものであり、その検討に当たり、「人材の育成と確保」は、重要な議題の一つであると考えております。
昨日開催されました総合科学技術・イノベーション会議の場でも、複数の有識者議員の方々から、人材の重要性が問題提起されたところであります。
特に、御指摘の若手研究者の育成につきましては、我が国の研究力強化のために不可欠な取組でありまして、これまでも、令和2年に「研究力強化・若手研究者支援総合パッケージ」を策定いたしまして、博士課程学生への経済的支援を拡充するなどの取組を進めてまいりましたが、大学等における研究環境整備がいまだ十分でないなど、若手研究者に対する課題は、引き続き残っているものと認識しております。
本日より開始する「基本計画専門調査会」においては、こうした課題をしっかりと直視しながら、次期基本計画に向けてしっかり御議論いただき、よりよい方向性と具体策を明らかにしていただくことを強く期待しております。私もしっかり取り組む所存でございます。 - (問)経済安保についてお伺いします。昨日、経済安保推進法で、基幹インフラに「医療」を追加する方向で検討しているという報道がありました。医療の業種を今後どういうふうに位置付けるのかという現時点での方針と、もし追加の方向で検討しているのだとしたら、今後どういうテーマで議論を重点的にしていくのか、例えば、どういう機関が対象になるのかとか、その辺のお考えをお聞かせください。
- (答)本日、経済安全保障法制に関する有識者会議を開催いたしまして、経済安全保障推進法における基幹インフラ制度等に関して、有識者委員の皆様に御議論をいただく予定となっております。
お尋ねの医療分野の内容につきましては、有識者委員の皆様から御意見をいただく前でありますので、現時点ではお答えを差し控えたいと思います。なお、基幹インフラ制度に医療分野を追加することにつきましては、経済安全保障推進法改正法の衆議院・参議院の附帯決議や、また、「経済財政運営と改革の基本方針2024年」いわゆる「骨太の方針」においても指摘されていることを踏まえて、検討を進めている状況でございます。 - (問)今のところで、これまでも医療というのが追加されるべきなのではないかという議論はあったじゃないですか。大臣のお言葉で、そもそも医療がインフラとして、どういう点において重要だとお考えでしょうか。
- (答)医療機関といっても大規模な病院が対象になるのではないかと推察しますけれども、そういう所にサイバー攻撃などがなされると、当然、数日間は非常電源で何とか頑張ったとしても、場合によっては、電源がなくなって、集中治療室で治療を受けている患者さんの生命に危険が及ぶ、あるいは、医療は、今は医療DX進んでおりますので、患者さんのデータが消えて見られなくなってしまった、さあ大変だ、というようなこともあると思います。
これは、国民の皆様の生命・財産に直結する話でありますので、この医療分野については、本日の会議でもしっかり議論をしていただいて、ただ、まだ何も決まっておりませんので、私個人としては、非常に重要な分野でありますが、いずれにしても、有識者の皆さんにしっかり議論していただいた上で、どうするかということが決まっていくのではないかというふうに思っております。 - (答)先ほど私から答弁したとおり、局長級の会議の新設というのは、私もよく分かりませんが、いずれにしましても、AIに関する制度の在り方につきましては、AI制度研究会におきまして、年内目途の「中間取りまとめ案」の公表を目指しており、まだその大詰めの議論を進めている段階でありまして、御指摘の報道にあるような具体的な方針は全く何も決まっておりません。従いまして、そういう状況であるということで御理解いただければと思います。
(以上)