城内内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和6年12月13日
(令和6年12月13日(金) 12:28~12:44 於:中央合同庁舎8号館1階S106会見室)
1.発言要旨
宇宙政策担当大臣としての報告でありますが、一昨日、12月11日に、我が国独自の衛星測位システムである準天頂衛星システム「みちびき」の6号機を、来年2月1日に、H3ロケット5号機で打ち上げる予定である旨を発表したところでございます。
準天頂衛星システムが提供する位置・時刻情報は、デジタル社会における基盤インフラとして、我が国の経済社会の発展に大いに寄与するものであります。
準天頂衛星システムは現在4機体制であり、今回の6号機の打上げによって、より安定したサービスの提供が可能となります。さらに、2025年度までに7機体制の構築を目指しており、これにより、一日を通していつでも、我が国の準天頂衛星システムのみで測位をすることが可能となるものであります。
引き続き、官民が結束して準天頂衛星システムの整備と利活用が進むよう、政府を挙げて積極的に取り組んでまいります。
2.質疑応答
- (問)先日の予算委員会で、宇宙戦略基金がかなりやり玉に挙げられたと思うのですけれども、改めて、今回の補正予算で基金を積み増すことの意義について教えてください。
- (答)宇宙戦略基金につきましては、昨年度設置されました予算分について、既に全てのテーマの公募を済ませ、資金需要が予算額に見合う規模に到達していることから、次なる新たなテーマに取り組むため、今まさに、予算を新たに計上しなければならないと考えております。
官民による宇宙開発を巡る国際競争は、欧州や米国のみならず、中国やインドも加わって、積極的に投資を進めておりまして、年々急速に熾烈なものとなっております。これまで宇宙技術や人材の蓄積をしてきた我が国が、これに後れを取ることがあってはならないと考えております。
昨年度の宇宙戦略基金の創設以来、国が投資の意思を示したことで、宇宙分野に参入しようとする民間企業や大学等の拡がりに大きな手応えを持っております。
また、国産ロケットの海外受注が相次いで実現しております。例えば、アラブ首長国連邦政府やフランスの企業ということでありますが、世界から日本を見る目も大きく変化してきております。
こうした大きな流れを停滞させてはなりませんので、他国に負けないペースで、民間企業や大学等への支援を早急に拡大・加速化する必要があると思っております。
今般の補正予算案をお認めいただければ、まだ参議院の予算委員会もございますので、今年度中にも、宇宙政策委員会等の審議を経た上で、技術開発テーマを正式に決定・公表できる予定であります。当初予算で措置するよりも、企業等への支援を数カ月早く開始することが可能となります。例えば、大企業は年に1回、株主総会が始まる前の年度末。これを逃すと、また来年などと言って1年遅れてしまいますので、今大変競争が激化していますので、日本はどちらかというとボトムアップで、トップダウンでぱっと決まる国もあるということを考えると、数カ月の遅れが命取りになるということではないかと思います。
これにより、宇宙分野に参画する事業者等が、国による投資を見込んで春先の早い段階から事業計画を策定することが可能になりまして、迅速に国際競争に対応していくことができると考えております。
いずれにしましても、今般の補正予算案を国会でお認めいただけるよう、引き続き、全力を尽くしてまいりたいと考えております。 - (問)明日、スペースワン社のカイロスロケットの打上げが予定されていますけれども、小型衛星の需要獲得を目指したロケットで、打上げへの期待と、このロケットが日本の打上げ体制構築においてどういう役割を果たしてほしいか、お考えをお聞かせください。
- (答)スペースワン株式会社におきまして、明日11時頃、カイロスロケット2号機の打上げが行われる予定と承知しております。
今回の打上げは、初号機の打上げで直面した困難を乗り越えての再挑戦であり、打上げに成功した場合には、民間企業が自ら主導して開発したロケットによって、人工衛星の軌道投入を行う、我が国初のケースになるものと承知しております。
また、小型衛星の打上げ需要獲得を目指す、同社のカイロスロケットにとっては、大きな一歩になるものと考えております。
我が国は、2030年代前半までに、基幹ロケット及び民間ロケットの国内打上げ能力を年間30件程度確保することを目標として掲げておりまして、民間ロケットに対する期待は大きく、明日の打上げの成功を心からお祈りをしているところであります。 - (問)AMED(国立研究開発法人日本医療研究開発機構)の調整費についてお伺いしたいと思います。先般公表されました1千億円規模の医薬品分野の政策パッケージでも強調されていたのですが、改めて、柔軟化の考え方が変わったのかも含めて、政策パッケージで明記された意図をお伺いしたいと思います。とても重要な役割を持つ予算だと思います。現在の175億円、これの増額のお考えも含めて、お聞かせいただければと思います。
- (答)御指摘のとおり、とても重要な予算でありまして、今般の補正予算案に盛り込みました「創薬力強化・後発医薬品安定供給支援」に関する支援パッケージは、医薬品産業を成長・基幹産業と位置付けておりまして、政府が一丸となって、我が国を「創薬の地」とするための支援を推進するものであります。
御指摘の「AMEDの調整費の柔軟化」が意図するところは、AMEDが執行する各省事業間の連携を確保し、一層切れ目のない支援を行うために、所要の制度改革を行う、というものであります。
そして、AMED調整費は、御案内のとおり、予算配分を各省の枠にとらわれず、機動的・効率的に行うことを可能としておりますが、その執行に当たっては、各省事業に調整費の金額を上乗せして配分するという運用となっておりました。先日の参与会合で参与の皆様から、事業間の連携がなかなか進まないという御指摘がございましたが、こうした配分の仕組みが一因になったとも伺っております。
このため、今回の制度改革では、事業間の切れ目や事業による支援が終わった後の産業化の手前にある有望シーズを、AMED理事長の裁量で、各省事業への上乗せに限らず支援することを可能とし、これにより、切れ目のない支援と企業への成果の引き渡しを加速させることを目指しているものであります。
いずれにしましても、AMED調整費は、令和7年度予算案の編成に向けて、現在最終調整の段階にあると承知しておりますが、まずは、要求した175億円をしっかりと確保するとともに、今回の制度改革による成果を着実に創出していくことが重要と考えております。
今般の支援パッケージによりまして、我が国の創薬力が強化され、国民の皆様に最新の医薬品を迅速に届けられるよう、しっかり取り組んでまいる所存であります。 - (問)最初の質問と関連して、宇宙戦略基金について伺います。立憲民主党は、補正予算案に計上されたこの基金について、いわゆる基金ルールが適用されて違反になると批判していますが、その点についてお伺いします。
- (答)昨年度の基金創設以来、JAXA(国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構)や関係府省の担当者が、着実かつ迅速に準備を進めておりまして、昨年度措置された予算分については、既に全てのテーマの公募を済ませ、採択も順調に進んでおりまして、資金需要がこの3,000億円という予算額に見合う規模に達しているために、使い残しがあるという御批判には当たらないということであります。
また、今月以降、JAXAにおきまして、順次契約作業が進みまして、採択してから明日契約というような所はなかなかないと思いますので、一定の期間が、採択してから契約という所もありますし、契約してからまた、執行にも時間がかかるのですが、いずれにしても、順次契約作業が進みまして、事業費は着実に執行されると考えております。
宇宙分野は言うまでもなく、特殊な分野でありまして、技術開発の不確実性もあります。そして、リスクが高く、ロケットを御覧になっていれば分かると思いますけれども、技術開発、やり直し、失敗したらもう一回やり直すということが頻繁に起こっておるものでありまして、また、後年度の打上げ等の経費を、数年前から支払っていくことが当然必要でありますので、プロジェクト全体の予算を国が事前にコミットし、事業者等の予見可能性を確保することが大きな成果を獲得するためには当然不可欠であります。
基金は非常に弾力的でかつ効率的でありますので、そのために有効な手段であると考えております。
そして、今回の公募・採択により、国内の事業者等の中期的な計画や投資も大きく進んでいるものと考えておりまして、将来的には民間主導でやっていただきたいと思っております。
その上で、宇宙分野で急速に進展する国際競争や国内の事業者の更なる新たな資金需要等の状況に鑑みて、令和6年度の補正予算案では、新たな宇宙分野への関与や裾野拡大が期待できる取組への支援を速やかに行うために、特に、非宇宙企業体も含めて参加してもらいたいと思っておりますので、新たに3,000億円を計上したものであり、いわゆる同一事業の後年度分の積み増しではなくて、基金ルールというのがございますけれども、それに反するという御指摘は当たらないと考えております。
なお、令和5年度補正予算により実施するテーマにつきましては、仮に、更なる予算措置を検討する場合には、当然、基金ルールにのっとりまして、3年程度を目途として、3年程度経過後に、いわゆるステージゲート評価等を活用して、技術開発や事業化の進捗状況等の確認と検討を行うことになっております。
ちなみに、毎年、総理大臣、関係3省の総務大臣、文科大臣、経産大臣がしっかり国会にも報告しておりますし、基金シートも製作して、国民の皆様に発表しておりますし、さらに、内閣府にも宇宙政策委員会、そして総務省、文科省、経産省にも、それぞれ有識者会議がありますので、その方々が当然プロの目でその中身をチェックしておりますから、二重、三重に透明性が確保されていることを、この場で強調させていただきたいと思います。
いずれにしましても、この予算案を成立させていただいた後には、関係府省やJAXAと連携し、基金という特性を活かして最大限の成果が上がるよう、しっかりと執行してまいりたいと思います。
今、この宇宙分野は、我が国国民、特に若い世代の人たちの中に、将来宇宙飛行士になりたい、宇宙旅行をしたいという方々もたくさんおりまして、非常に関心が高まっているところでありますし、自動車産業に次ぐ、我が国の基幹産業に十分なり得るものでありまして、これにより、新たな雇用創出、経済成長が当然見込まれるわけでありますので、今この段階で、欧米のみならず、先ほど申しましたように中国、インドが参入して、大変熾烈な国際競争がある中で、決して足踏みがあってはならないということだと思いますので、ここは、最初の段階は国がしっかり大学や民間企業等、あるいは研究開発機関等をバックアップしていくことが大事であって、そうすることで、将来、民間主導でこの分野が、我が国の基幹産業として大いに発展していくことになるのではないかと思っております。
(以上)