城内内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和6年11月29日

(令和6年11月29日(金) 10:00~10:14  於:中央合同庁舎8号館1階S106会見室)

1.発言要旨

 
 まず、経済安全保障担当大臣として御報告を申し上げます。
 今週25日ですが、石川県に出張いたしました。そこで、加賀東芝エレクトロニクス株式会社のパワー半導体工場を視察いたしました。この工場は昨年12月に経済安全保障推進法に基づく供給確保計画の認定を受け、支援の対象となっている会社であります。
 視察では、相田(あいだ)社長をはじめとする皆様と、半導体を取り巻く状況や、能登半島地震からの復旧・復興を含めた地域の状況について意見交換を行うとともに、最先端の技術が用いられる製造現場を視察いたしました。
 経済安全保障の観点から、パワー半導体の国内生産の重要性とともに、この半導体工場が地域の経済成長にとっても重要な役割を担っていることを強く認識いたしました。
 引き続き、経済産業省と連携して、半導体のサプライチェーンの強靱化に取り組んでまいる所存でございます。
 次に、科学技術政策担当大臣として御報告申し上げます。
 一昨日27日ですが、日本科学未来館及び産業技術総合研究所・臨海副都心センターを視察いたしました。
 未来館では、浅川智恵子(あさかわちえこ)館長のイニシアチブで進められている視覚障害者ナビゲーション・ロボット「AIスーツケース」につきまして、デモンストレーションを体験いたしましたほか、「Miraikanビジョン2030」に基づいて、昨年、リニューアルが行われた展示物を拝見させていただきました。
 また、産総研臨海副都心センターでは、実際にロボットアームを操作し、人間の動作をロボットに学習させる体験をしたほか、各種センサの情報を基に、高齢者の行動をAIで予測するシステムを拝見いたしました。
 今回の視察を通じまして、理工系人材の育成のため、青少年をはじめ国民の皆様が、科学技術に触れ、興味・関心を持っていただく機会をつくることの重要性や、現在は主にパソコンやスマホで使用しているAIが、ロボット、医療といった分野に拡大しつつあり、これを我が国の強みとしていくべきということを改めて認識いたしました。
 AIはもちろん、AI以外の技術も含め、科学技術・イノベーションの重要性や魅力、またリスクなどの正しい知識の部分も含めて、国民の皆様に分かりやすくお伝えし、この分野への投資を応援していただけるよう、関係省庁と連携してしっかり取り組んでまいります。
 次に、昨日28日ですが、スタートアップ企業と行政機関によるイベント「マッチングピッチ2024」を開催し、私も冒頭挨拶とスタートアップ企業20社との、短時間ではありますけれども、意見交換を実施してまいりました。
 スタートアップとの意見交換では、製品・サービスの強み、行政機関での導入実績などを伺い、更なる社会実装が期待できる新技術・サービスばかりであると感じました。
 内閣府では、これまでも、経産省等と連携して、スタートアップ育成に向けた公共調達の活用促進に向けた取組や、国の公共調達制度に係る運用改善等の取組を行ってきたところであります。
 スタートアップと行政機関との共創が一層進むよう、本イベントも契機として、引き続き、必要となる取組を全力で行ってまいります。
 次に3点目ですが、経済安全保障担当大臣としての御報告であります。
 「重要経済安保情報保護活用法」に基づく制度の運用開始に向けた準備として、本年6月以降、「重要経済安保情報保護活用諮問会議」を開催し、有識者の皆様に運用基準案の策定に向けた御議論を行っていただきました。
 今週火曜日に開催いたしました第5回の諮問会議におきまして、運用基準案の原案をお示しし、御了承いただいたため、昨日、パブリック・コメントの手続を開始したところであります。12月27日までの30日間、御意見を受け付けることといたしております。
 パブリック・コメントでいただきました国民の皆様からの御意見に丁寧かつ真摯に耳を傾けつつ、閣議決定に向けて準備を進めてまいります。
 最後に4点目ですが、健康・医療戦略担当の大臣として御報告いたします。
 本日、第2回「認知症施策推進本部」が開催され、私も副本部長として、この会議に出席いたしました。
 会議におきましては、「共生社会の実現を推進するための認知症基本法」に基づく「認知症施策推進基本計画」の案が了承されました。この計画案では、認知症に係る研究の推進や成果普及の取組等を通じて、共生社会の実現を目指すことが掲げられております。
 本日の会議で、総理からは、当事者の声を起点として認知症施策を全国に広めていくために、政府一丸となって取組を進めていくよう発言がございました。
 私からも、健康・医療戦略担当大臣として、今後も引き続き、認知症の方御本人や御家族の声を踏まえながら、昨年取りまとめた「認知症・脳神経疾患研究開発イニシアティブ」を通じた研究開発等を推進し、国民の皆様がその成果を速やかに享受できるよう取り組んでまいる旨、述べたところであります。

2.質疑応答

(問)8月の人事院勧告では、3パーセントのベースアップが勧告されました。国立大学や国立研究開発法人、いわゆる国研は厳しい経営状況にあるわけですけれども、この人件費の増額部分については、政府として責任を持ってちゃんとやっていくのか、それとも各機関の経営努力にお願いするのか、その辺り、大臣のお考えを教えてください。
(答)8月の人事院勧告におきまして、民間企業の状況を反映して、全ての国家公務員を対象に、俸給表を約3パーセント、2.76パーセントですね、これを引き上げる改定となったことは私も承知しております。
 ただ、一般論として申し上げますと、人事院勧告を踏まえまして、職員の給与等の基準を引き上げるかどうかにつきましては、各法人において、人事戦略等の観点から、個々に適切に検討・判断がなされるべきだと考えております。
 また、国立大学法人や国立研究開発法人の運営に必要な経費につきましても、法人の戦略や状況に応じ、それぞれの所管官庁において適切に予算要求がなされているものと承知しております。
 他方で、先日から、私も国立研究開発法人の現場を何度か訪れ、いずれの機関においても、非常に限られた予算や人員の中で頑張って研究開発が実施されていることを実感し、その旨、この記者会見の場でも述べたところであります。
 内閣府としては、国立大学や国立研究開発法人の研究力強化等に向けまして、科学技術・イノベーション基本計画や統合イノベーション戦略といった政府全体としての戦略の策定、そして10兆円規模の大学ファンドを通じた国際卓越研究大学制度の創設への貢献や、地域中核・特色ある研究大学総合振興パッケージの策定といった、大学に対する支援策の実施、そしてまた、国立研究開発法人の機能強化に向けた関係府省申し合わせの策定などの取組を進めてきたところであります。
 こうした政策ツールを今後も十分に活用しながら、各法人の所管省庁とも連携し、国立大学や国立研究開発法人の予算等の充実を図ってまいりたいと考えております。
(問)先日実施されたイプシロンSの2段目エンジンの実験で爆発が起きてしまって、2回目だったけれどもこういう結果になってしまって、この結果に対する受け止めを伺いたいという点と、関連して、宇宙基本計画で、H3とイプシロンSの実績を積み上げていって20年代後半に高頻度な打上げと大きな輸送能力を確保できる体制をつくっていくというスケジュールを描いていますが、これに対する影響をどうお考えか教えてください。
(答)イプシロンSロケットの地上燃焼試験で起きたことへの受け止めに対する御質問がございましたけれども、御指摘のとおり、昨年7月の燃焼試験に続きまして、今回2回目も燃焼異常による爆発という結果になりました。これは非常に残念であります。
 JAXA(国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構)は、再度の爆発発生に至ったことを重く受け止め、既に原因調査チームを設置したと伺っております。原因調査と対策検討を、私としても速やかに進めていただきたいと考えています。
 あと、スケジュールに対する影響の御質問につきましては、我が国としては、2030年代前半までに、基幹ロケット及び民間ロケットの国内打上げ能力を年間30件程度確保するという目標を掲げていることは言うまでもございません。
 この目標を実現するためにも、イプシロンSロケットの確実な開発をしっかり進めつつ、基幹ロケットと民間ロケットの両方が確実かつ安定的な打上げを実施できるよう、政府全体としてしっかり取り組むとともに、新たな技術開発の支援などの取組についても着実に推進することによって、2030年代前半までにその目標を達成する考えであります。
(問)今の質問に関連するのですが、具体的な計画への影響をお伺いしたいと思います。イプシロンSは今年度中に打上げを予定していたということですが、非常に厳しい、絶望的だというような見方もあります。また、ベトナムの地球観測衛星の搭載計画等もありましたが、そこへの影響についても併せて見解をお伺いできたらと思います。
(答)今、御指摘ありました、イプシロンSロケットにつきましては、ベトナムの地球観測衛星を搭載すべく、今年度中の実証機の打上げを目指して、開発が進められておると承知しておりますが、まずは、JAXAにおきまして、今回の爆発事象に関するしっかりとした原因調査と、イプシロンSロケットの開発への影響の精査を速やかに進めることが重要であると考えております。
 それらが各種計画に及ぼす影響につきましては、現時点において、私から何か申し上げられる段階にはないと考えております。
 いずれにしましても、我が国の宇宙活動の自立性確保と国際競争力強化のためには、イプシロンSロケットを含めた基幹ロケットを着実に開発し、安定的に打ち上げていくことが極めて重要であります。
 JAXAにおきましては、繰り返しになりますが、しっかりとした原因調査と対策検討を速やかに進めていただきたいと考えております。

(以上)