伊東内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和6年10月2日

(令和6年10月2日(水) 12:07~12:33  於:中央合同庁舎8号館1階S101会見室)

1.発言要旨

 
 皆さん、こんにちは。大変お待たせして、申し訳ありません。
 この度、内閣府特命担当大臣及び内閣の担当大臣を拝命いたしました、衆議院議員の伊東良孝(いとうよしたか)でございます。私の担当は、地方創生、沖縄及び北方対策、アイヌ施策、さらに消費者及び食品安全、また新しい地方経済・生活環境創生担当。非常に長いタイトルでありますけども、たくさんの担当の他に、国際博覧会担当もございます。仕事内容、多岐にわたるところでありまして、皆様方の、御協力、御指導をお願いを申し上げる次第であります。
 
 本年は、地方創生の取組が始まってから10年の節目であり、初代の担当大臣が、石破茂(いしばしげる)現総理でありました。この10年間に取り組まれた事例が、全国たくさんありまして、石破初代担当大臣の後を継いでというか、10年目を迎えるその思いをしっかり受け止めて、これから頑張ってまいりたいと思う次第であります。これまでの地方創生の取組の成果や課題を踏まえ、日本経済成長の起爆剤としての地方創生策を講じるとともに、ヒト・モノ・カネの東京一極集中の弊害を是正していく必要があります。「地方こそ成長の主役」との発想に基づき、地方創生2.0を起動するべく、関係大臣と協力して、内閣の取り組む重要テーマとして、地方創生にしっかりと取り組んでまいります。
 
 次に地方分権改革についてですが、地方分権改革の推進は、地域が自らの発想と創意工夫により課題解決を図るための基盤となるものであり、きわめて重要なテーマです。特に、地方分権改革に関する提案募集について、地方からの提案をいかに実現するかという基本姿勢に立って、改革を着実かつ強力に進めてまいります。
 また、改革の成果を国民が実感できるよう、優良事例の普及や情報発信の強化等に努めてまいります。
 大阪・関西万博についてですが、開幕まで約半年となり、会場建設が進み、万博の魅力あるコンテンツがどんどん発表されつつあります。
 私自身が先頭に立って、こうした内容を広く発信することで、より一層、機運醸成を図るとともに、安全対策や来場者輸送などにも万全を期し、なんとしても万博を成功させるよう、全力で対応に当たりたいと思います。
 
 沖縄及び北方対策についてですが、沖縄については、沖縄振興特別措置法や沖縄振興予算等のあらゆる政策手段を最大限に活用しながら、「強い沖縄経済」の実現に向けて、沖縄振興策を推進してまいります。
 また、沖縄の基地負担軽減のため、県民の皆様の思いを受け止めながら、関係閣僚と連携の上、最善を尽くしてまいります。
 
 北方領土問題については、この問題を解決し、平和条約を締結するというこれまでの方針を堅持していく所存です。国民世論の啓発の強化、元島民の方々への援護等に積極的に取り組むとともに、北方四島交流等事業の再開に向け取り組んでまいります。
 
 アイヌ施策についてですが、先住民族であるアイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するため、令和元(2019)年にアイヌ施策推進法が施行されたところです。
 本年で法施行から5年が経過し、施行状況等の検討を行うため、アイヌの人々の意見などを広く伺う意見交換会を開催するとともに、引き続き、アイヌ文化振興施策、生活向上施策、地域振興、産業振興、観光振興等を含めた施策を総合的かつ効果的に推進してまいります。
 
 消費者及び食品安全政策についてですが、消費者の安全・安心の確保は、申し上げるまでもなく、重要な課題であり、消費者の自立の支援とともにしっかりと取り組んでまいります。
 高齢化やデジタル化に加え、環境負荷の低減等による持続可能な社会に向けた取組が求められる中で、消費者を取り巻く環境は複雑かつ多様に変化しているものと承知しています。
 これらの変化にしっかりと対応するため、消費者法制度の考え方の転換に向けた検討を進め、より環境負荷の低いグリーン志向の消費行動への変容の促進に取り組んでまいります。
 現場レベルでは、地方自治体と連携し、地方の消費者行政の充実・強化に努めてまいります。
 また、適正な取引や表示、安全の確保に向けた厳正な法執行、消費者教育の推進、食品衛生基準行政への対応、科学的知見に基づく食品の安全性の確保等にしっかりと取り組んでまいります。
 
 独占禁止政策を中心とする競争政策についてですが、公正かつ自由な競争を確保し、市場が適切に機能するための基盤整備を図るべく、全力で職務に当たってまいります。
 
 公文書管理についてですが、現在と将来の国民への説明責任を全うするため極めて重要な公文書管理制度について、公文書の適切な管理のための取組を着実に推進してまいります。
 
 特定秘密の指定等の適正確保についてですが、独立公文書管理監及び情報保全監察室が、運用基準に定められた権限を適切に行使しつつ、特定秘密の指定等について実効的に検証・監察を行い、法の運用の適正が確保されるよう万全を期してまいります。
 
 PPP(ピーピーピー、Public Private Partnership:官民連携)/PFI(ピーエフアイ、Private Finance Initiative: 民間資金主導)についてですが、公共の施設とサービスに民間の資金と創意工夫を最大限活用するPPP/PFIは、「インフラの維持・整備」、「住民サービスの向上」等、地域の社会課題を官民連携で解決するとともに、民間事業者の利益創出機会の拡大を図っていく観点から重要な取組です。
 本年6月には、分野横断型・広域型PPP/PFIの形成促進や事業件数10年ターゲットの上方修正、PPP/PFIによる地方創生の推進等を柱とする「アクションプラン」を改定しました。
 令和13年度までの10年間で30兆円という事業規模目標の達成に向けて、着実に諸施策を推進していきます。
 
 ギャンブル等依存症対策についてですが、令和4年3月に閣議決定された「ギャンブル等依存症対策推進基本計画」に基づいて、関係省庁と連携しながら取組を進めております。
ギャンブル等依存症により不幸な状況に陥る人をなくし、健全な社会を構築するため、担当大臣として、引き続き本基本計画に基づく取組を着実に実行していくとともに、基本計画の変更の検討を進めてまいります。
 重要な政策課題に取り組むこととなり、身の引き締まる思いであります。石破内閣の一員として、精一杯務めさせていただく所存でございますので、なにとぞよろしくお願いいたします。以上でございます。

2.質疑応答

(問)まず、北方領土問題について伺います。ロシアのウクライナ侵攻後、ロシアとの北方領土交渉は難航し、北方領土墓参の再開も見通せない。交渉が停滞している現状をどう受け止めているか。また、元島民の平均年齢は今年3月末時点で88.5歳となり高齢化が進んでいます。運動が先細りしないように若い人に関心を持ってもらう施策も必要と考えるが、領土問題に関する啓発活動にどのように取り組んでいくのか、お聞かせください。
(答)北方領土問題につきましては、日本とロシアの間の最大の懸案事項であります。ロシアによるウクライナ侵略により日露関係は引き続き厳しい状況に今あるわけで、政府として、北方領土問題を解決し、平和条約を締結するという従来の方針を堅持していく所存であります。
 なかなかウクライナとロシアの戦争状態が続いている中で、直ちに改善されるということは、難しいのかなという、そのような思いをするところでありますけれども、この件については、外務省所管でありますので、そちらにお任せしたいということであります。
 北方墓参を始めとする北方四島交流等事業については、今後の具体的な展望について、今これが解決に向かっているというような状況ではないところであります。
 しかし、政府として、御高齢となられた元島民の方々のお気持ちに何とかお応えしたいという考えにいささかも変わりはありません。北方四島交流等事業の再開は、日露関係における最優先テーマと考えておりまして、引き続きロシア側に対し、今は北方墓参でありますが、この重点を置いて頑張っていかなければと、再開を強く求めていく所存であります。
 もう平均年齢も89歳という、御指摘のとおりでありまして、もう時間が限られていると、我々もそういう認識でおりますので、事業が再開可能な状況になった際には、速やかに実施できるよう、かつ、参加者に安心して御参加いただけるようにしたいと思っております。今は洋上慰霊ということで、根室(ねむろ)港を出た「えとぴりか」の船で、島の近くというか、中間ラインまで行って、慰霊をするということで、何回もこれを繰り返しているという状況であります。
 また啓発事業を含めて若い人たち、あるいは今あまり北方領土に関心を持たれていない層の皆様方、また全国に県民会議などがあるわけでありますけども、こういったところに対する啓発活動も力を入れていかなければと思っているところでもあります。若い人に、やっぱり北方領土を知ってもらう、現状を知ってもらうということが大切であろうというふうに思う次第であります。
(問)沖縄担当大臣としてお伺いします。沖縄担当大臣として特に取り組みたい沖縄の課題について、具体的にいくつか教えてください。
(答)この度、沖縄政策という極めて重要な政策を担当させていただくことになり、身の引き締まる思いであります。沖縄県の地元の皆様の声にしっかりと耳を傾けながら、沖縄県の一層の発展に向けて、全力で取り組みたいと思っております。
 東アジアの中心に位置する地理的特性や、日本一高い出生率といった優位性・潜在力を有していると認識しております。これまでも強い沖縄経済をつくるために、政府としても力を入れてまいりました沖縄振興策、あるいは国家戦略として総合的・積極的にこれまで推進をしてきたところであります。
 沖縄科学技術大学院大学がスタートし、まさに今度は文化の面あるいは知的産業の面でも、その振興が望まれるところであろうというふうに思います。
 私も農林水産省の副大臣を2度させていただいている時、この間、沖縄県のサトウキビの、また最大の産業である製糖業の振興のために、何度も訪れたことがありました。地域に根ざした農業あるいは水産業、さらにはまたOIST(オイスト、Okinawa Institute of Science and Technology:沖縄科学技術大学院大学)をはじめとして、若い人が集まる知的産業も含め、その振興策を皆さんと一緒につくり上げていきたいと思っております。
(問)地方消費者行政の充実強化に関連して質問させてください。消費者行政の現場は地方です。ですが地方の消費生活相談を支える相談員の担い手不足が、深刻な課題になっています。2018年をピークに100人減少し、60歳以上の相談員がほぼ半数を占め、相談員がいない自治体が年々増え701自治体にのぼっています。その受け止めと所感をお聞かせください。
(答)消費者行政を支える現場、担当は都道府県等でありますけども、地方の消費生活相談を支える相談員さんが、今、御質問にありましたように非常に少なくなっておられると聞いております。
 また60歳以上の相談員さんが、約半数近くを占めるような現状にあると聞いているところであります。相談員がいない自治体も増えてきているということでありまして、これにつきまして、我々も大事なことだという認識を持っているところであります。
 消費者がどこに住んでいても、質の高い相談や救済を受けられるということが大事でありまして、この担い手確保というのは、重要な課題であると認識をいたしております。地方公共団体と消費者庁が、しっかり連携していかなければならないと思っているところであります。相談員の養成等を含めて、取り組んでいきたいと思う次第であります。
(問)地方創生についてお伺いしたいと思います。地元の釧路市(くしろし)など北海道を含め全国各地で人口減少が進んでいます。地方活性化に向けて具体的な道筋が描けていない自治体が大半の中、地方創生担当大臣として地域の現状をどのように見ていますでしょうか。またどのように地方活性化を図っていくのか。具体策があればお教えください。
(答)日本の東京都、大阪府、名古屋市(なごやし)、といった大都市以外は、もう本当に全国の自治体で、地域の活性化あるいは人口減少をどうやって食い止めるかということに、本当に真剣に皆さん取り組んでおられるところであります。政府が今までの方針でお示ししたとおり、地方創生の4つの柱があります。地方に仕事をつくる。そして人の流れをつくる。加えて、結婚・出産子育ての希望をかなえる。また、住みたくなるような魅力的な地域づくり、これを充実させる、つくり上げることが、何よりも大事だとこのように思ってやってきているわけでありますけど、ちょうど地方創生の取組が始まってから10年の節目ということであります。
 全国で好事例、いい見本となるような町づくりや地域づくりの例もたくさん出てきておりますので、そういったところを大いにPRしながら、全国各地にその輪を広げていくべきであると、このように思う次第であります。
 これまでも、地方創生関係の交付金などにより、地方における主体的な取組を強力に後押しするなど、日本経済成長の起爆剤としての地方創生策を講じていく、これが大事であろうというふうに思います。東京一極集中の弊害を、どうやって是正していくか。これは、もう全国の市町村のみんなの悲願でありますので、地域活性化につなげる、この創生策、しっかり進めてまいりたいと思う次第であります。
(問)地方創生について伺います。冒頭にもありました新しい地方経済・生活環境創生本部というものが、新設される方針というのが示されたと思うのですけれども、総理会見でも、今後の10年間で地方創生に集中的に取り組むとの言及もありましたが、総理から何か具体的な指示ですとか、そういったものはありましたでしょうか。
(答)総理からは、前から自分が地方創生大臣の第1号だったという話を、10年前のお話を聞かせていただいたことがありまして、その10年目の節目に、自分が総理大臣になって、さあやるぞという、そういう意欲というか情熱を感じたところであります。
 昨日、職掌を分担されたばかりですから、具体的な話はこの後になろうかと思いますけれども、その総理の思いをしっかり受け止めて、地方創生10年目、新しい段階に入ったと思っておりますので、政府としてしっかりこれを進めていきたいというふうに思っています。
(問)公益通報者保護制度に関しての質問です。昨今、兵庫県や鹿児島県警、ビッグモーターなどの問題で公益通報者保護制度に注目が集まっています。現在、公益通報者保護法の見直しが消費者庁が設けた検討会で進んでいます。制度をどのような観点から見直すべきか、所感をお聞かせください。
(答)公益通報者保護法については、令和2年の改正法の附則第5条において、施行後3年を目途に法の規定について検討を加えることになっております。法案の内容等々につきましては、御案内のとおりでありますけれども、本年5月に公益通報者保護制度検討会を立ち上げたところであり、有識者の方々に議論いただいているところであります。
 9月2日(月)の第4回検討会において、事業者における体制整備の徹底と実効性の向上、不利益取扱いの抑止あるいは救済などについて中間論点整理が取りまとめられたところであります。
 今後、各論点について、より具体的に詳細を議論し、年内に報告書を取りまとめる予定であり、報告書の内容を踏まえて、適切に対応していきたいと考えております。

(以上)