赤澤内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和6年11月8日
(令和6年11月8日(金) 12:20~12:44 於:中央合同庁舎8号館1階S108会見室)
1.発言要旨
本日、第11回の全世代型社会保障構築本部を開催いたしました。冒頭、私から全世代型社会保障とその目指すべき方向性についてご説明をさせていただいたところです。目指すべき方向性の1点目は「現役世代の負担軽減」であります。少子化の流れを変えるため、子育て・若者への支援を強化するとともに、増加する社会保障給付を重点化・効率化しつつ、能力に応じて皆で支え合う仕組みを構築してまいります。
2点目は「社会保障制度の支え手を増やす」ことでありまして、例えば高齢者の皆様については就業率が上昇している中、健康寿命は延伸をし、就業は生活の満足度の向上にもつながるものと理解をしております。端的に言えば、ご本人にとっても働き続けるといいことずくめということであります。ご本人の幸福度を向上させるためにも、これからは働く意欲と能力のある高齢者の皆様がご本人の希望どおり働き続けることができる社会にしていくことが急務であると考えております。
また、女性については出産後に継続して就業する場合と、いったん離職してパートで復職される場合では、前者の生涯可処分所得が1.4億円多いとの試算もあります。この点を広く国民の皆様に周知をして、就労しやすい環境をつくることとあわせて、女性活躍につなげていくということも重要であると考えております。
石破総理からは、全世代型社会保障構築のための「改革工程」に掲げられた具体的な改革項目について、有識者会議の幅広いご意見も踏まえつつ、実現できるものから着実に実施に移し、この人口減少の時代に合った全世代が活躍できる社会保障への転換に向けて検討を深めること、それから、地方創生担当大臣とも連携しつつ、「若者・女性にも選ばれる地方」づくりにつながる取組を進めることについてご指示がございました。総理指示を踏まえ、関係省庁で連携し、政府一丸となって取組を進めてまいりたいと考えてございます。
2.質疑応答
- (問)11月5日の閣議後会見の後、この間、米大統領選挙でドナルド・トランプ氏が再選を果たして、再び大統領に就任する見込みとなりました。現バイデン政権とは経済も含めて政策の変更が当然ながら考えられるところではあるのですが、まだ先の話ではあるかと思いますが、日本の経済政策に関してどのような影響が考えられるかについてのご所見をお伺いできればと存じます。
- (答)まず、昨日11月7日に石破総理がトランプ氏との電話会談の後に皆様にもお話しされたとおり、トランプ氏の勝利に心からのお祝いを申し上げ、また、米国国民の民主主義の選択に心から敬意を払いたいと思っております。
次期トランプ政権の経済政策については、現時点ではトランプ次期米国大統領ご就任の前でありますので、今後、閣僚の指名などを経て、新政権の体制が整うに従い、少しずつ具体的になってくるものだと考えております。このため、アメリカ経済及び日本経済への影響についてというお尋ねでございましたけれども、現時点で予断を持ってコメントすることは差し控えたいと思っております。
ただ、いずれにせよ、アメリカは世界のGDPの約4分の1、日本からの輸出シェアの約2割を占めておりまして、我が国経済への直接的、あるいは間接的な影響も大変大きいことから、今後のアメリカ新政権発足に向けた動きは引き続き注視をしてまいりたいと考えてございます。 - (問)経済対策について伺います。昨日に赤澤大臣も面会をされていた全国知事会は、昨日、林芳正官房長官との面会で、いわゆる103万円の壁の見直しやトリガー条項の凍結解除について減収につながりかねないという懸念を伝えました。こうした懸念の受け止めと、あと、知事会の意見を踏まえて経済対策の策定をどのように進めたいか、お考えをお願いします。
- (答)昨日、全国知事会地方税財政常任委員会委員長でいらっしゃいます河野俊嗣宮崎県知事と面会し、経済対策など、私の担当分野について要望をいただき、有意義な意見交換を行うことができたと受け止めています。
余談ですけれども、私が新型コロナウイルス感染症対策担当の副大臣を西村康稔大臣の下で務めていた時に、飲食店の第三者認証をしなければまん延防止ができないと、47都道府県の知事全員のお一人お一人に電話をかけて、その導入をお願いした経緯があり、河野知事ともその時にお話をして以来の仲で、それだけでもなくいろいろな機会にいろいろとご指導をいただいてきた仲でありますので、久しぶりに会えてよかったという話なども含めて、今申し上げたように有意義な意見交換を行うことができたと思っています。
面会では、私からは意義ある経済対策となるよう、ご要望の内容も踏まえ検討を進めていく旨をお伝えするとともに、国と地方公共団体が緊密に連携し、物価高対策などを推進していくためのご協力をいただきたいとお伝えしたところでございます。
政党間の協力に当たっての個別の施策の取り扱いについては、各政党間で議論されるべき事柄と承知しており、本日もまだ現在進行形と承知しておりますけれども、閣僚としての記者会見の場でお答えをすることは差し控えさせていただきたいと思います。
経済対策については、現在、石破総理から指示をいただきました経済対策策定の趣旨や三つの柱に沿って、具体的施策を検討しているところでございます。関係府省庁の協力も得て、優れた方策や効果的な施策を積み上げながら、意義ある経済対策となるよう検討を進めてまいりたいと考えております。 - (問)経済対策についても少し絡むと思うのですが、今朝、総務省から家計調査の発表がありまして、9月分の実質消費が2か月連続マイナスということになりました。消費を取り巻く環境自体は決してすごい悪いというわけではなく、実質賃金はマイナスにはなっていますが、春闘の高い賃上げの効果でマイナス幅は縮んでいますし、政府としても定額減税や電気・ガス料金の補助の復活といった手をいろいろ打ってきたと思います。それでもなぜ消費は上向かないのか。一体何が足りないのか。今、経済対策を取りまとめ中だと思いますが、担当大臣としてお考えをお聞かせください。
- (答)まず、本日公表された家計調査、9月分の2人以上世帯における名目消費支出は前年同月比プラス1.8%と8か月連続のプラスですが、実質消費支出については、今ご指摘のとおり、前年同月比マイナス1.1%と、2か月連続のマイナスとなりました。実質消費支出の内訳を見ると、電気代などの「光熱・水道」が増加をした一方で、振れの大きい自動車等関係費などの「交通・通信」が減少したということであります。
個人消費の先行きについては、消費者マインドの動向には留意が必要であるものの、33年ぶりの高水準となった春闘賃上げの効果が反映されていることに加えて、全国加重平均で51円という過去最大の引き上げ幅となった最低賃金が適用されているなど、雇用・所得環境が改善するもとで持ち直していくことを大いに期待しているところでございます。我が国のGDPの過半を占める個人消費の力強い回復を実現するためには、賃金の伸びが物価上昇を安定的に上回ることが重要であり、政府としてはこうした環境を整えるため、適切な価格転嫁の促進に加え、中小企業などの自動化・省力化投資、あるいは事業承継、M&Aの環境整備などによる生産性向上支援に取り組んでまいりたいと思っています。
少しだけ踏み込んで思うところを述べると、私は金融政策決定会合にも何回か出席させていただいていますし、本当に経済についてきちっと見ておられる専門家の意見も聞いて感じるところは、一言で、デフレマインドというようなものはかなりきいています。例えば1000年ぶりに人口が急減少になりました。今までは人口が増えていました。あるいは、50年ぶりにデジタル産業革命がありますというのと同じように、30年ぶりに物価上昇が始まった。我々も慣れてないわけです。この中には30年前は生まれていなかったという方がおられるかは分かりませんが、本当に覚えてもいないと。物価とは上がるものなのか、みたいな方もおられる。
そのような状況だと、一言で言うと物価が上がった時の国民の皆様の反応も欧米とは大いに違います。物価が持続的に上がることを前提にしている諸国では、物価が上がり始めると、もっと上がる前に買っておこうということで消費が増えたりいたしますが、我が日本国民の場合は、我々がなかなかデフレから脱却できていないという、そのようなことのために、国民の皆様も正直物価が継続的に上がることについて、慣れておられないという言い方がいいのか、要するに、物価が上がり始めると、また物価が落ち着くまで待ってから買おうと言って、欧米とは全く違う消費行動になってしまい、それがいまだに続いています。
その辺りが本当に意識も含めてきちっと変えていく。国全体を30年ぶりの物価上昇にきちっと、国民の皆様の意識もお願いをして変わっていただき、国の側も物価上昇に備えていろいろな事業量を確保するための予算の仕組みなどを全部作っていかないと、それを急いでやらなければいけなくて、それが完全にできているかというとできていないので、なかなか消費、あるいは実質賃金がまた2か月連続マイナスになったりしている中で、消費が戻ってこないことがあるかなというのは、政府の統一見解かどうかはともかくとして、私自身が感じるところでございます。 - (問)大臣は昨日自民党の両院議員懇談会にご出席されたかと思うのですけれども、選挙結果について厳しい批判のご意見がたくさんあったかと思います。その中、石破政権を支える閣僚として、今後どのような点を重視して信頼回復や支持率向上に努めていこうとお考えでしょうか。
- (答)この会見は閣僚の立場として行っており、自民党の両院議員懇談会についてのコメントは差し控えたいと思っておりますが、あまり具体的な内容には触れない前提で、私個人としてせっかくの質問なので言える範囲でお答えをすると、私自身は昨日の議論を聞いていて、さすが自民党だなと。先生がたのご発言はほぼ全ての皆様が、もし自分が総理だったらという頭で物を考えてご発言いただいているなと。本当に心強い同士に恵まれている石破政権だなと思い、私は最後列で全部を聞こうと思って、メモを取りながら聞いておりましたが、恥ずかしながら何回か目頭が熱くなる時がありました。石破総理のご挨拶も含めてですけれども、そのような感想を申し上げます。
ただ、中身はもちろん皆様が応援してくださったという意味ではございません。大変厳しいご意見も多く、そのような厳しいご意見もある中ですので、何か、今、私の発言を誤解されて、身内で集まって傷をなめ合って、石破頑張れ、全然責任ないぞといった話では全くなかったことは是非申し上げておきたいと思います。本当にあるべき議論というか、あのような選挙結果ですので、総括は当然あって然るべきだし、それについては大変な労力がかかるものだと思います。そこもしっかりとやった上で同士の皆様がおっしゃったことについては一つ一つきちっとかみ締めて今後に活かしていかないと、あれだけ本当に素晴らしい同士に恵まれている政権としても申し訳ないかなと思います。
その上で、物価高対策などの政策についてはいっときの停滞も許されないと。国民の声に謙虚に耳を傾けつつ、経済対策については党派を超えて優れた方策を採り入れ、意義あるものを実現するなど、日本創生の実現に向けて引き続き石破内閣の一員として与えられた職務に全力で取り組んでまいりたいと思っています。 - (問)本日、電気・ガスの補助金について、今月の経済対策に盛り込むという報道もありましたけれども、実際に検討に入られているかなどあればお伺いしたいです。また、具体的に検討されていることがあれば、そちらもお願いいたします。
- (答)経済対策については、物価上昇を上回って賃金が上昇し、設備投資や人への投資が積極的に行われ、成長と分配の好循環が力強く回っていく経済を実現するために、ご案内の3本柱、物価高の克服、日本経済・地方経済の成長、国民の安心・安全の確保を柱として策定することとしております。
その上でご指摘の報道は承知をしておりますが、これまでご説明申し上げているとおり、エネルギーコストを含めた物価高対策については、状況を丁寧に見極めながら、物価高の影響を特に受ける低所得者世帯向けの給付金や地域の実情に応じたきめ細かい対応のための重点支援地方交付金を含め、総合的に検討することとしており、今後、検討を進めてまいりたいと思っております。 - (問)水月会の長年の政策責任者として伺いたいのですけれども、お立場的に無理だったらコメントは結構です。もしかしたら石破政権にとってはトランプ政権のほうがよかったという点はあるのではないですか。日米地位協定関連とか、何かトランプ新大統領への期待みたいなものがあれば、個人的なものも含めてお話しいただければと思います。
- (答)現時点において大変答えづらいものでありまして、現時点で申し上げられるのは、トランプ氏の勝利に心からお祝いを申し上げ、米国国民の民主主義の選択に敬意を表するという、電話会談後の石破総理がおっしゃっていたことに尽きます。政策について、水月会としていいのか悪いのかという問いかけではありますけれども、まず政策の中身自体が就任前ですので明らかではありませんし、今後、閣僚が指名され、少しずつ新体制が整って具体的になってくる、その時点時点できちっと評価の上、適切に対応したいと思いますが、アメリカ経済、あるいは日本経済への影響、あるいは水月会としての受け止めも含めて、現時点で予断を持ってコメントすることは差し控えたいと思います。
- (問)冒頭にお話しされました全世代型社会保障構築本部の関連で伺います。石破政権では防災対策の強化であったり、地方創生などが目玉の政策としてよく挙げられると思うのですけれども、石破政権における社会保障制度改革や全世代型社会保障構築本部の位置付けというのはどのようにお考えでしょうか。
- (答)これはものすごく重要です。歳出に占める社会保障経費の割合、これはものすごく高いわけであります。国の財政の持続可能性等を考えた時に、これはしっかり社会保障と向き合っていかなければなりませんし、全世代型社会保障の担当大臣として、先ほど申し上げたとおり現役世代の負担を少しでも軽くしていく。安心をきちっとつくっていくことはかなり効果のある少子化対策にも多分なっていると思います。また、支え手を増やす努力は決定的に重要であります。社会保障の持続可能性は国民の安心にものすごく関わってきます。
そのような意味で、岸田政権の経済政策を基本的に受け継いで、なおかつ発展・加速をさせていくという立場の石破政権からすれば、経済財政諮問会議はもちろん司令塔としてあり、その下に新しい資本主義実現会議があるわけですけれども、それとほぼ同格というか、目玉の政策として地方創生2.0と並ぶようなものとして、全世代型社会保障構築という体制がつくられているということだと思います。
「改革工程に掲げられた項目について、実現できるものから着実に実施に移すように」との石破総理の指示をいただいていますので、それを踏まえて、今後、全世代型社会保障構築会議を開催し、改革工程に掲げられた項目についての検討状況のフォローアップなど、具体的な議論をしっかりと進めてまいりたいと思っております。 - (問)関連して伺います。全世代型社会保障の構築については、今回の骨太の方針で、「働き方に中立的な年金制度の構築を目指して、今年の末までに制度改正の道筋をつける」とされていますが、まずその方針にお変わりはないか。あとは年金制度については年収の壁の制度見直しも骨太の方針に盛り込まれていますが、年金制度改革については今後どのようなアウトプットを現時点で検討されているでしょうか。
- (答)基本的に今年の年末に大いに議論をする話ということについては、私自身は少なくとも方針は変わっていないと認識をしているところでございます。おっしゃった趣旨は、その中で103万円も骨太の方針に書いてあったけれどもというお話ですか。
- (問)103万円とは書いていません。骨太の方針には、年金制度改革について、年収の壁の制度見直しも年金制度改革の一つとして挙げられていますけれども、この点を含めて、年金制度改革はこの年末に向けてどのようなアウトプットの検討を想定されていますか。
- (答)まず、骨太の方針の記述は、今、具体的なことについてはお答えがしづらいということは申し上げた上で、全世代型社会保障構築会議において、石破総理の指示を踏まえて、改革工程に掲げられた項目について、厚生労働省における検討の進捗に応じて報告を受けながら、有識者からご意見をいただく予定としております。
なお、個別施策の詳細については、会の仕組みからして、厚生労働省の審議会などで基本的に議論されていくものと承知をしております。私の担当しております全世代型社会保障構築本部から基本的な考えなどをお示しした上で、厚生労働省でよくご議論をいただいて、そしてその報告などを受けながらまた方向性を決めたり、フォローアップしたりということなので、詳細は厚生労働省の審議会などで議論されているものと承知をしており厚生労働省にお尋ねいただきたいと思います。
(以上)