赤澤内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和6年10月11日

(令和6年10月11日(金) 10:55~11:13  於:中央合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

(冒頭発言なし)

2.質疑応答

(問)電気・ガス補助金の再開とガソリン補助金の延長を検討しているという一部の報道があります。それから、先日、公明党の石井啓一代表がグループインタビューで、電気・ガス補助金、それからガソリン補助金について支援の継続が必要といった趣旨のことを述べられたようですが、このことについて現在の検討状況を教えてください。
(答)検討状況は前に会見でお話しした時とそれほど変わっておりません。若干おさらいを兼ねてお話をさせていただくと、電気・ガス料金については「酷暑乗り切り緊急支援」として8月から10月の使用分に限って支援を実施しており、10月末で終了することとなっております。また、燃料油の激変緩和対策については年内に限って支援を継続することとされ、岸田前総理は「経済対策の策定とあわせて骨太方針2024を踏まえ、早期の段階的終了に着手すべく取り組む」と表明をされています。
 ご指摘の報道については承知しておりますが、エネルギーコストを含めた物価高対策については状況を丁寧に見極めながら、物価高の影響を特に受ける低所得者世帯向けの給付金や、地域の実情に応じたきめ細かい対応のための重点支援地方交付金を含め、今後、経済対策について議論していく中で総合的に検討していくこととしており、現時点で方針を決定した事実はございません。
 石井代表のご発言についても承知はしておりますが、繰り返しになりますけれども、今後、経済対策について議論していく中で総合的に検討していくこととしており、現時点で方針を決定した事実はないということに変わりはございません。
(問)最低賃金の引き上げについて伺います。石破総理大臣は一昨日10月9日の記者会見で、「成長型経済などの実現のため、経済対策の実行を指示した」とした上で、「最低賃金の引き上げ支援を強化していく」と述べましたが、新たに策定する経済対策にこの最低賃金引き上げの支援を盛り込む方針かどうか、また、盛り込む場合は具体的にどのような内容を検討しているか、お考えをお願いします。
(答)今回の総合経済対策では、中堅・中小企業の賃上げ環境の整備として、省力化投資の促進とか、価格転嫁の徹底などを進め、賃上げの継続を支援することとしております。総理から示された対策策定の趣旨や、ご案内の経済対策の三つの柱で、「1.物価高の克服、2.日本経済・地方経済の成長、3.国民の安心・安全」ということでありました。現在、具体的施策を検討しているところでありまして、関係省庁の協力も得ながら総合的な検討を進めてまいりたいと思います。
 なお、最低賃金を着実に引き上げていくためには、適切な価格転嫁、それから、中小企業などの自動化・省力化投資、更には事業承継、M&Aの環境整備などによる生産性向上支援が非常に重要でありまして、これに全力で取り組むなど、2020年代に全国平均1500円という高い目標に向けて、最低賃金を着実に引き上げるための支援を強化してまいりたいと考えております。
 とにかく中堅・中小企業に賃上げ原資をしっかり得ていただいて、賃上げにつなげていただくお手伝いを国を挙げて全力でやっていこうということでございます。
(問)防災庁について1点お伺いします。これまで防災庁のイメージとして、大臣や総理からも、事前防災や避難所の環境改善といったことに取り組んでいくというお話があったと思いますけれども、防災庁として復興のフェーズみたいなところも担う組織にするというイメージは現状ございますでしょうか。災害があって、これまで事前防災とか、避難所の環境改善、発災直後の、そういうことに取り組んでいくというお話はいただいているかと思うのですけれども、その後の復旧・復興みたいなことも担っていく、全国知事会などからは、そういう防災省の設置を求めるというのがこれまで要望としてあったかと思うのですけれども、現状この辺りのイメージ、どこまでやっていく組織にするのかというのをお伺いできればと思います。
(答)総理にご指示いただいた防災庁の設置に向けては、まずは内閣府防災の司令塔機能を強化する。組織・人員・予算などの大幅な体制強化を行うとともに、その上で関係法令の整備を行って、令和8年度中に防災庁を設置すべく検討を進めていきたいと考えております。
 お尋ねの点も含め、その具体的な体制や進め方については現在検討中なのですが、担当閣僚として特に強調しておきたいのは事前防災です。ここをものすごく力を入れる防災庁にしたいと思っていまして、これは防災をライフワークとしてきた人間として一言コメントさせていただければ、本当に大きな災害が起きてしまったら、起きてから何か劇的に手を打てることは多くはないのです。もちろん人命救助を全力でしますけれども、何か亡くなる人の数を万人単位で減らすなど、そのようなことは災害が起きてしまってから後でできることはそう多くはないのです。ただ、事前防災をしっかりしておけば、そこは劇的に変わってくるということです。
 一つ例を挙げれば、備蓄の話もまさにそうであり、市町村の備蓄の状況をきちっと調べて、ここの市町村は少し備蓄が弱いぞと分かれば、例えば段ボールベッドとかそういうものも国がプッシュ型でお手伝いをしておけば、災害が起きた時に、うちの市町村は段ボールベッドがないから、体育館にみんなでざこ寝してもらいますみたいなことは起きなくなってくることになります。
 本当に命からがら避難所に逃げ込まれた結果、今は人口が高齢化していますので、かつての災害時と比べても高齢者の方たちがけがをしていたり、気持ちが折れていたり、あるいは脱水症状を起こしていたり、投薬が必要な状況だったり、本当にいろいろ厳しい状況で避難所に転がり込む、という言い方がいいか分かりませんけれども、そのようなことなので、その後はしっかりと命を包み込めるようにやっていかなければいけないという意味で言うと、本当に事前防災に期待するところは大きいわけです。
 ですから、それが全てではないのですけれども、備蓄をきちっとやって、一定の水準に全ての市町村を達成させるというのは大事な事前防災の一つですので、そこは本当に能登の教訓などもいただきながら最大限やっていかなければいけないと思っております。
 事前防災については、それ以外にも私が2021年に出した五つの提言の中でいろいろ整理していることがありますので、そのようなものをこれから立ち上がるチームに指示をして、しっかり形にしていくことで、本当に作業が加速をされ、将来大きな自然災害が起きた時に亡くなる方の数を劇的に減らしたいという、私の19年間の思いを必ず形にしていきたいと思っています。
 おっしゃっていたような復興につけていくということで言えば、少なくとも東日本大震災については復興庁という組織があり、大変大きな仕事をしていただき、今後とも役割を果たしていただかなければいけません。通常の災害の場合は、じわじわと各省庁に仕事が移っていくということになりますよね。本当に簡単な復旧のステージとか、そういうものについて言えば、それでも置かれた災害対策本部とかで少し手をつけたり、いろいろなことがあると思いますけれども、通常、各省庁に仕事が流れていく形でやっているのが復興のフェーズかと思うので、そこについて防災庁がどこまで取り込めるか、あるいは指揮命令などができるものなのかというのは具体的に議論してみないと、今の時点で固まっているものではありません。
(問)細かいところはまだ決まってないかと思うのですけれども、復興庁の機能や人員をいずれ防災庁に統合していこうみたいなイメージは今のところ全くないですか。
(答)それは全くないです。東日本大震災についてはいまだに福島を中心に、本当にやらなければならない仕事は山積みであり、歴代の政権が、全員が復興大臣のつもりで頑張れみたいなことでやってきていますので、そこは従前の機能をしっかり復興庁に引き続き果たしていただいて、私どものほうは、どちらかといえば、復興というよりは、今申し上げたように事前防災のスピードを上げると。
 問題意識の元々は、結局、現状だと内閣府防災は73億円の予算で、助っ人の都道府県あるいは市町村の研修の方も入れて150人の体制でやっていて、事態対処はパンク寸前、そして何か起きれば事前防災が中断ということを繰り返しているように私には見えるので、そこを劇的に変えるということが当面やりたいことの優先順位の高いところです。
 復興ももちろん大事なのだけれども、事が起きる前に最大限できる事前の準備をしておくと。そのことで、国民の生命・身体・財産を守り抜くというのが基本的な考え方ですので、復興庁とはまだ全く接点がないという言い方も変ですけれども、総裁選の最中にも石破総理が同じような質問をいただいた時に同じような答えをしていると思います。そこは分けて考えているということになります。
(問)話題が変わりますけれども、10月17日から10月19日に靖国神社で秋の例大祭があります。その期間中に参拝したり、真榊など供え物を奉納するご予定があるかどうかを教えてください。
(答)靖国神社で行われる秋の例大祭に際して、靖国神社を参拝するか否か、あるいは真榊などを奉納するか否かについては、個人の立場で適切に判断をしたいと考えてございます。
(問)先ほどの防災庁の関連で伺います。石破総理大臣は一昨日10月9日の記者会見で、「防災庁設置に向けた検討加速、これを指示した」と述べられましたが、この指示を踏まえてその後どのような検討を進めているか。また、準備室の設置時期について、今いつ頃かと見通しがあれば教えてください。
(答)ある程度お任せをいただいているのだと思いますが、現在まだ総理は海外におられますので、帰国されてから具体的に日程とかは相談をしたいですし、こういう仕事を主に防災庁にやらせますよという話も総裁選の最中も実はしていたのですけれども、最終的にこのようなことでこのような組織を立ち上げて、このぐらいの陣容でまずは始めてみたいなことをきちっと、本当にやると決まった段階で了解を取る必要があるので、その辺りはまだこれからさせていただきたいと思います。
(問)今日、「新しい地方経済・生活環境創生本部」の設置が決まりましたけれども、所掌分野でどのように取り組んでいくお考えかお聞かせください。
(答)今日、石破総理が目玉として掲げられた地方創生2.0を担当する「新しい地方経済・生活環境創生本部」が立ち上がったと承知をしております。地方創生の所掌閣僚ではないので、全体的なことはなかなか申し上げられないところではありますが、政権の目玉でもありますし、経済財政担当閣僚としてしっかり支えていかなければならないと思っています。
 私として承知をしていることは、とにかく何が2.0なのだと。地方創生1.0と言っていたのと何が違うのだということについての私の理解を申し上げておこうと思います。一つは、当初予算ベースで予算を倍増しようとしていると。地方創生推進交付金は1000億円でずっとやってきましたけれども、端的に言えば当初予算ベースで2000億円を目指すということであります。これでまず地方に元気を出していただきたいと思いますし、今後10年間、集中的にやるという基本構想をつくることも表明されていたと思いますので、そういう意味で、地に足の着いた地方経済の活性化につながるような、地方からの人口流出が止まるような、そういう取組にしっかりつなげていきたい。これは地方のことをある意味知り尽くしている伊東良孝大臣がしっかり腕を振るわれると思っています。
 地方創生2.0の二つ目の違いは、平将明大臣がすごく頑張ってやられると思います。それは何かというと、地方創生1.0の時は皆さんもご案内のとおり、Web3.0とか、ブロックチェーン技術とか、NFT(Non-Fungible Token:非代替性トークン)とか、ああいうものは影も形もありませんでした。そのような新しい技術が出てきて、それを活用すれば地方のアナログの価値を最大限高めることができる。デジタルで地方の本当に良いいろんなアナログのものがあります。自然もあれば、食べ物もあれば、神社仏閣、文化の類いもあります。ありとあらゆるそういう類いのものを一つ一つしっかりデジタルを使って最大限の価値で世界に売り込んでいくと。世界水準の価格を実現していくみたいなことで、しっかりやっていきたいというのが二つ目であります。
 3番目はかなり文化の香りがするような地方創生をやってみたいと。地方創生1.0であれば企業誘致とか、あるいは中央省庁の移転とか、ああいうものにかなり力を入れて、見え方が割とハード・ハードだったと思うのですけれども、やはり各地方が誇りにしている文化を使って、村おこし、地域おこしをしていくことがすごく大事なことかなと思っております。その辺りも含めて、地方創生1.0と2.0の違いは、予算の額もあれば、使う技術もあれば、そして文化にも及んで、徹底的に地方の良さを形にしていきたいということであります。
 また、総合経済対策の策定の総理指示にもあったとおり、食料安全保障の観点を踏まえた農林水産業の支援もしっかりやりますし、そのような意味で経済財政に大いに効果が出てくると思います。それから、地方のサービス業、観光などの各分野においても地方の潜在能力を最大限に引き出すと。この辺りにはまさに先ほどのICT技術も絡んできます。中堅・中小企業の賃上げ環境の整備は先ほども申し上げました。省力化投資や価格転嫁の徹底等、賃上げの継続を支援と。
 それ以外にも政権としてやろうとしている経済財政に関わる部分で言えば、科学技術・イノベーション、半導体・経済安全保障、GX、DX、スタートアップといったような技術も当然出てきますので、成長力に資する国内投資促進を私の所掌の分野においてもしっかりやっていくことで、地方創生2.0を本当に花開かせたいと、そういう思いでおります。

(以上)