赤澤内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和6年10月4日

(令和6年10月4日(金) 10:21~10:39  於:中央合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。お手元の資料のとおり、本日の閣議において総理より総合経済対策の策定についてご指示をいただいたところでございます。全ての人々が安心と安全を感じられる未来を創るためには、物価上昇を上回って賃金が上昇し、設備投資や人への投資が積極的に行われ、成長と分配の好循環が力強く回っていく経済を実現しなければなりません。好循環を後戻りさせることなく、デフレからの脱却を確実なものとするため、3年間の集中的な取組が必要であり、私を中心に総合経済対策の取りまとめを進めるようご指示をいただいたところでございます。
 総合経済対策については三つの柱から構成されております。第1の柱は「物価高の克服」です。成長と分配の好循環が確実に回りだすまでの間、足元で物価高に苦しむ方々への支援が必要であり、そのための対応を図ってまいります。
 第2の柱は「日本経済・地方経済の成長」です。ICT技術も活用して、新たな地方創生施策の展開、いわゆる「地方創生2.0」を図ります。また、中堅・中小企業の賃上げ環境整備、成長力に資する国内投資促進に取り組んでまいります。
 第3の柱は「国民の安心・安全の確保」です。能登地域をはじめとする自然災害からの復旧・復興、防災・減災、国土強靱化の取組、外交、安全保障環境への変化に係る対応、誰も取り残さない社会の実現に取り組んでまいります。
 総理のご指示をしっかりと踏まえ、広く関係省庁にご検討いただき、また、与党とも十分連携し、規制・制度改革の手法なども積極的に活用しながら施策の効果を十全に発揮できるよう対策の取りまとめに尽力してまいりたいと考えてございます。

2.質疑応答

(問)経済対策について伺います。これまで10月で終了する電気・ガス代の補助金、それから12月で終了する見込みとなっているガソリン代の補助金、通常、今までどおりの決定で言えばこれは終了することになると思うのですが、これについて再開、もしくは延長を今後選択肢として考え得るのかということを教えてください。
(答)電気・ガス料金については、ご案内のとおり酷暑乗り切り緊急支援として8月から10月の使用分に限って支援を実施しており、10月末で終了することとしております。また、燃料への激変緩和対策については年内に限って支援を継続することとされ、当時の岸田総理は経済対策の策定とあわせて、骨太方針2024を踏まえ「早期の段階的終了に着手すべく取り組む」と表明をされたところであります。
 エネルギーコストを含めた物価高対策については、状況を丁寧に見極める必要があります。物価高対策を講じる時点において状況を丁寧に見極める必要がございますので、低所得世帯向けの給付金や重点支援地方交付金を含め、今後、経済対策について議論していく中で総合的に検討していきたいと考えております。
(問)経済対策について伺います。柱の三つ目に防災対策の抜本的強化という内容が盛り込まれています。今回まとめる経済政策で防災庁創設に向けてどのような内容を盛り込みたいとお考えでしょうか。
(答)防災庁設置についてはおおよそお話ししていると思いますけれども、まずは内閣府防災の司令塔機能の強化、組織・人員・予算等の大幅な体制強化を行うのが第1ステップです。第2ステップで令和8年度中には防災庁を創設したいということ。第3段階として、更にその先に、その時の状況を踏まえて防災省の設置についても検討していくという3ステップを取ろうというものが総理と私が相談している工程表ということであります。経済対策においては、それにきちっとつながっていくようなもの。
 総理の思いが「TKB48」でしたか。トイレ、キッチン、バス、ベッドが48時間以内にちゃんと届くというのを「TKB48」と一生懸命言っておられました。そういうことも含め、各市町村の備蓄が市町村によって大きな違いがあるとか、いろいろなことがあり得るので、今後、災害が起きた時に、能登でそういうものがなかなか迅速にいっていないというご指摘はいただいているところなので、本当に少しでも改善をできるような方向で予算についてはいろいろ考えていきたいと思っております。
 それ以外にも能登地域をはじめとする自然災害からの復旧・復興に全力を尽くすというのは基本でありますし、今後も想定される災害の備えに万全を期すための防災体制の抜本強化、避難所環境の整備など、防災・減災、国土強靱化の取組を進めるということであります。
(問)経済対策についてお伺いします。選挙後に補正予算を編成するとのことなのですけれども、今後、詳細を詰めていくと思いますが、規模感について昨年は約13兆円だったと思うのですけれども、今回はどれぐらいの規模感を想定されているのか、現時点でのお考えを教えてください。
(答)昨年とは経済状況が違いますので、規模感が昨年がいくらだったかというのが必ずしも私どもの念頭にあるわけでもありません。総理からご指示のあった経済対策の考え方や趣旨にのっとってふさわしい効果的な施策をしっかりと盛り込むと。内容の議論をよくやることが大事なので、関係省庁でよくご議論いただいて、その提案を踏まえて効果的な施策を吟味し、必要な施策を取りまとめていくと。結果として規模感が決まってくるというふうに考えております。
 ざくっと言ってしまえば、現時点で具体的に想定している規模があるわけではございません。
(問)「デフレからの脱却を確実なものとするため、3年間の集中的な取組が必要です」という文言があります。3年間というのは、念頭にあるのは成長と経済の好循環がしっかり回り始めるのにかかる年月なのか、それとも脱デフレなのか。どういうものを念頭に置いた上での3年間なのでしょうか。
(答)一番念頭にあるのは総理の在任期間ということかもしれません。その間に確実にデフレの完全脱却を成し遂げたいと。自分が総理である間に少なくともきちっと成し遂げたいということなのですが、それは早ければ早いほどいいのですけれども、デフレ脱却についてはかなり総合的な判断、特定の4指標とか言われますけど、それを満たせば自動的にデフレ脱却を宣言できるわけでもありません。それ以外にも物価上昇のありようとか、いろいろなものを見ながら考えていくことになりますので、そういう意味でなかなか時期は確定的には言えないけれども、総理の在任期間ということも念頭に置きつつ、デフレからの脱却を確実なものとし、成長と分配の好循環を後戻りさせることなくやっていくために3年間集中的な取組が必要だろうと現時点で判断をしているということになります。
(問)昨日に発表されましたアコードの継続の確認です。アコードも12年やってきて、例えば物価目標について、今、2%を既に超えていると思います。2%を超えないようにするみたいな意味合いに変わってきているのか。それとも安倍政権当初みたいな2%を目指し、物価は常に上げるように緩和的にやっていこうという意味なのか。その辺り、アコードにこめた意味に変化があったりするのではあればご説明いただきたいと思います。
(答)私自身はアコードに変化はないと理解していまして、11年前の平成25年、「この認識に立って、日本銀行は、物価安定の目標を消費者物価の前年比上昇率で2%とする」と書いてあり、それ以上でも以下でもないということです。何か今おっしゃったような意味で解釈に変更があるとかいう理解は私はしておりません。
 諸外国を見てもいろんな定め方があって、日本と同様に2%という目標を定めている国もあり、いろいろなやり方があると承知しておりますけれども、我が国についてはここに書いてある、まさに以上でも以下でもないということだろうと理解しています。「前年比上昇率2%とする」ということです。
(問)石破政権の経済政策について伺います。大臣は一昨日の記者会見と昨日のぶら下がり会見の中で経済政策について「イシバノミクス」という表現を使われましたが、石破政権における「イシバノミクス」の位置付けであったり、その政策の全体像について現時点でイメージがありましたら教えていただけますでしょうか。
(答)石破内閣で打ち出す経済政策を私は「イシバノミクス」という呼び方をしています。基本的には経済あっての財政という考え方に立って、繰り返し申し上げているデフレ脱却最優先の経済財政運営を行うと。成長分野への官民挙げての思い切った投資を行って、賃上げと投資がけん引する成長型経済の実現を図るという基本的な考え方に基づく経済運営・財政運営を「イシバノミクス」と私は呼んでいます。
 ただ、過去に「イシバノミクス」という言葉について大臣がいろいろ発言したりしているようでありますけれども、私はそういう呼び方をしているということであります。こうした石破内閣の経済財政運営の方針を分かりやすく「イシバノミクス」と表現をし、ご説明をさせていただいたというつもりでございます。
(問)経済対策について伺います。「経済対策の決定は総選挙後速やかに」とありますけれども、経済財政政策担当大臣を中心に取りまとめをするということで、決定は総選挙後になりますけれども、このようなことをするという概要みたいなものはいつぐらいになるのでしょうか。決定の前に取りまとめたりするのか、ないしは選挙の前に取りまとめたりするのか、そのスケジュール感みたいなものを教えていただければと思います。
(答)これについては決定するまで議論をずっと続けているということなので、選挙後に決定した時点で確定をするということだと思います。特に能登の災害などは現在進行形で動いてて、現に苦しんでおられる方はおられますし、今後の展開次第でまた増えたりとか、そういうこともあり得るので、状況を見ながら選挙後にきちっと内容を確定したいということです。その前に何か取りまとめるというようなことを現時点で考えているわけではありません。
(問)分かりました。石破総理は「この内閣が何をやるかというのを示してから選挙に臨みたい」ということをおっしゃっていましたけれども、何をやるかということは今回の3本柱ということまでで、具体策は選挙前に発表することはないということですか。
(答)はい。規模感とかも含めてまだ具体的に何かあるわけではなくて、先ほど申し上げたとおりで、この「物価高の克服」、「日本経済・地方経済の成長」、そして「国民の安心・安全の確保」という三つの柱で何が必要かはぎりぎりまできちっと議論をした上で最終的に確定し、結果的に規模も出てくるということで考えております。
(問)賃上げについて伺います。物価対策と同時に物価上昇を上回る賃金と分配の好循環を目指されているということで、大臣も先日の就任会見で力を入れる分野として挙げられていましたけれども、石破首相が2020年代に最低賃金を1,500円台ということをおっしゃっています。今後どのように進めていかれるか、お考えをお聞かせください。
(答)これは大変高い目標であることは理解をしています。ここ数年、各政権で、菅政権でも最低賃金引き上げを頑張り、岸田政権でも頑張り、引き上げ額は2021年以降連続して過去最高額ということになっています。ただ、それを上回る引き上げ率でやっていかないと、2020年代に1,500円には届かないということであります。そういう意味で、最も大事だと思うのは中小企業などが賃上げできる環境整備をきちっとしていくということであって、最大限の価格転嫁のお手伝いをまずさせていただくということ。それから、中小企業等の自動化・省力化投資、あるいは事業承継、M&Aの環境整備などによる生産性向上支援。こういったものを全力でやっていくことと裏表というか、セットでしっかりこういった目標が実現できるような経済を実現していきたいと思っています。
 賃金がしっかり物価に負けない形で上がっていかないと、国民の生活を守ったことにはならないので、国民の安心・安全を守り抜くという石破政権においては非常に重要な課題であると理解しております。
(問)総裁選告示後、また、石破政権発足後、金融政策をめぐる発言で市場がかなり揺れていると思います。昨日は急激に円安・株高が進みました。このマーケットの動きをどのように受け止めていらっしゃるか伺えますでしょうか。
(答)株式市場や為替相場の動向について私の立場からコメントすることは、市場に不測の影響を及ぼすおそれがあるので差し控えたいと思います。ただ、一貫しているのは石破総理は「経済あっての財政」という考え方で、デフレ脱却最優先の経済財政運営を行い、成長分野への官民挙げての思い切った投資によって「賃上げと投資がけん引する成長型経済」の実現を図っていきたいという方向性を示しております。こういった方向性に従って「賃上げと投資がけん引する成長型経済」が実現できるように取組を加速させるとともに、様々な場でこうした考え方を丁寧に説明していきたいと思っております。
 質問の趣旨は、総理の発言が市場を少し混乱させたのかというようなご指摘なのかなというふうに理解をいたしますけれども、しっかりと市場とコミュニケーションを取っていく、市場との対話はとても大事なことだと思っていますし、うまく考えていることを説明することは非常に重要なことで、全体として総裁がおっしゃっていることは今でも非常に緩和的な金融状況だということ。それを当然念頭に置きながら、金融政策の正常化もテーマになってくるわけですけれども。ただ、いろいろな金融政策の変更とかについてはタイミングが非常に重要なので、その時にデフレ脱却最優先とか、あるいは賃上げと投資がけん引する成長型経済の実現とか、そういう大目的と整合が取れた形でいろいろやっていくことが大事だと。これは総理と日銀総裁の間できちっと共有されている思いだと思うので、それに沿った判断をしていくということだと思います。

(以上)