坂井内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和6年10月2日

(令和6年10月2日(水) 11:45~12:12  於:中央合同庁舎2号館16階第1会議室)

1.発言要旨

 
 このたび国家公安委員会委員長、防災担当、国土強靱化担当、海洋政策担当及び領土問題担当を拝命いたしました坂井学でございます。また、カジノ管理委員会、日本学術会議、船舶活用医療に関する事務も担当をいたします。
 国家公安委員会委員長は国家の治安維持の重責を担っており、身の引き締まる思いであります。
 昨今の治安情勢を見ますと、刑法犯の認知件数は、戦後最少となりました令和3年以降、2年連続で増加をしており、新型コロナウイルス感染拡大前の令和元年の水準に近づきつつあります。
 その特徴としては、金属盗やSNS型の投資・ロマンス詐欺の被害が増加していることなどがあり、これらの犯罪には匿名・流動型犯罪グループの関与がうかがわれることから、引き続き捜査と抑止を含む総合的な対策を、一元的かつ強力に推進する必要があると考えております。
 その他、サイバー空間における脅威への対処、自転車その他の小型モビリティ対策、災害対処能力の向上等、対策を講ずべき課題は山積しているものと認識しておりますが、こうした治安上の諸課題に的確に対処し、国民が安全・安心を実感できますように全力を尽くしてまいりたいと思います。
 防災についてでございますが、防災は自然災害から国民の生命・財産を守る極めて重要な任務であります。激甚化、そして頻発化する自然災害に対応すべく、政府一体となって災害対策に全力を尽くしてまいります。
 本年も、1月1日(月)に発生した令和6年能登半島地震をはじめ、梅雨前線による大雨や台風など、一連の災害で甚大な被害が発生しております。これらの災害により亡くなられた方々に哀悼の意を表するとともに、引き続き政府一体となって被災された方々の生活再建支援、被災地の復旧・復興支援に全力で取り組んでまいります。
 また、首都直下型地震や南海トラフ地震をはじめとする今後発生が危惧される大規模地震について、能登半島地震の教訓も踏まえて、その備えに万全を期してまいる所存でございます。
 目下、いまだ台風シーズンにありますけれども、様々な自然災害に適切に対応できるよう、緊張感を持って職務に臨む決意です。
 国土強靱化についてでありますが、自然災害が激甚化、そして頻発化し、また、大規模災害のおそれが切迫する中、被害を最小限に抑制できるよう、防災・減災、国土強靱化に強力に取り組む必要があります。
 政府としては、5か年加速化対策を着実に推進をしてきておりますが、これを引き続き推進するとともに、昨年7月に新たに策定した基本計画に基づき、国土強靱化の取組を計画的に進め、実施中期計画の策定に既に着手をしております。
 先ほども申し上げましたが、令和6年能登半島地震の教訓をしっかり踏まえたものにし、また同時に検討を最大限加速化し、政府として万全の対策を講じてまいります。
 海洋政策についてでございますが、当然我が国は四方を海に囲まれた海洋国家であり、世界有数の管轄海域を有しています。
 第4期海洋基本計画及び海洋開発等重点戦略に基づき、総合的な海洋の安全保障及び持続可能な海洋の構築の実現に向け、一丸となって海洋政策を強力に推進してまいる所存でございます。
 また、国境離島につきましては、政府、地方が一体となって、その保全管理、地域社会の維持に関する施策を引き続き強力に推進します。
 領土・主権対策についてでございますが、北方領土問題を担当する北方対策本部と連携をしつつ、また、竹島の領土問題及び尖閣諸島をめぐる情勢に関して、国内外において我が国の立場についての正確な理解が浸透するよう、領土・主権展示館を拠点として、内外への発信強化に努めてまいります。
 カジノ管理委員会についてですが、今後のカジノ事業免許の審査を含め、厳格なカジノ規制の実施について、委員会がその使命と任務を果たすことができるよう、適切に対応してまいります。
 日本学術会議についてでございますが、有識者懇談会の中間報告を踏まえ、政府において昨年12月に法人化の方針を決定し、それを受け、学術会議の機能を強化するため、独立性の徹底、自律的な進化と透明性・ガバナンスの担保に向け、独立した法人格を有する組織として必要な法制の検討等を進めているところです。
 有識者懇談会及びワーキンググループにおいて、学術会議と十分に対話をしていただきながら、丁寧に議論を進めていただきたいと思います。
 船舶活用医療についてですが、本年6月に災害時等における船舶を活用した医療提供体制の整備の推進に関する法律が施行されました。船舶を活用した医療提供体制の整備に向けた取組を総合的かつ集中的に進めているところでございます。
 引き続き、関係省庁とも連携協力し、令和7年度中の船舶活用医療の運用開始に向けた準備を加速させてまいります。
 松村大臣が取り組んでこられた実績を引き継いで、国と国民を守るという強い決意と緊張感を持ち、石破内閣の一員として精いっぱい務めさせていただく所存でございますので、何卒よろしくお願いをいたします。
 私からは以上でございます。

2.質疑応答

(問)警察庁記者クラブの幹事者から質問いたします。これからどうぞよろしくお願いいたします。
 まず、私から3問お聞きします。
 改めましてですが、国家公安委員会委員長に御就任されて、国家公安委員長としての全体の抱負をお聞かせください。
(答)国家公安委員会委員長として、国民の安全・安心、いわば治安維持の重責を担う立場ということを認識いたしております。
 常に緊張感を持ちながら職務に当たって、国民の安全・安心の確保のために全力を尽くしてまいりたいと思っております。
(問)ありがとうございます。2問目ですが、先ほど大臣からもありましたけれども、詐欺対策について、SNS投資詐欺、それからロマンス詐欺、それから特殊詐欺、フィッシング詐欺といった詐欺の被害が非常に深刻な状況にあります。
 政府は6月に国民を詐欺から守る総合対策というのもまとめているところですけれども、こうしたことも踏まえまして、深刻な詐欺にどのように対策を進めていくか。また、こうした組織的な詐欺はサイバー空間を介して行われているわけですけれども、サイバー空間の安心・安全の確保のお考えも併せてお願いします。
(答)まさしく、今、全ておっしゃっていただいたと思いますが、本年度上半期の被害の合計が912億円に上るなど、本当に憂慮すべき状況にあると認識をしております。
 そして、先ほど指摘をされました国民を詐欺から守るための総合対策、これに基づいて、まずは犯罪を取り締まっていくということと同時に、抑止の両面から対策を進めているものと承知をいたしております。
 引き続き関係省庁や事業者等も連携をしながら、諸対策を強力に推進するよう警察を指導してまいりたいと思います。
 そしてまた、これまたおっしゃられたとおりですね。サイバー空間における犯罪というのが大変多く、また、こういったものは高度な技術が必要な分野でもあります。
 ですから、4月に「サイバー特別捜査隊」から発展的に改組いたしました「サイバー特別捜査部」による国際共同捜査や、高度な技術に基づく捜査支援を通じて、全国のサイバー部門が一体となって被疑者の検挙に努めておりますし、今後も努力をしていきたいと思っております。
 今後とも、御指摘の実態も踏まえて、特にこのサイバー部門、本当に日進月歩でどんどん中身も進化をしてまいりますので、充実強化に努めるとともに、関係機関・団体と連携をしつつ、対策を推進してまいります。
(問)ありがとうございます。それから交通安全対策ですけれども、政府の第11次交通安全基本計画では、令和7年までに交通事故死者を2,000名以下にするといった目標があります。
 最近、電動キックボードといった、先ほど大臣からもございましたが、新しいモビリティも登場して交通環境も変化していく中ですけれども、交通安全対策にどのように取り組んでいくか、お考えをお願いします。
(答)昨年の交通事故死者は2,678人だということでございまして、目標の2,000人よりはまだオーバーをしているというのが実態であります。
 その中で、我が国は諸外国と比べて交通事故の死者数の中に、歩行者、そして自転車の割合が大変高いということを承知しております。御指摘のいわゆる電動キックボードやペダル付き電動バイクというようなものもあるようでありますが、こういった事故や違反も見られておって、道路交通法を改正するなどして対策は進めております。
 警察では、関係省庁・団体と連携をして、子供や高齢者をはじめとする歩行者の安全の確保、自転車等の交通ルール遵守の徹底、飲酒運転をはじめとする悪質・危険な交通違反の取締りといった総合的な安全対策を推進しております。
 国家公安委員会委員長としては、交通死亡事故を一件でも減らし、目標達成のために、新たなモビリティを含めて、対策を一層推進するよう警察を指導してまいりたいと思っております。
(問)2点お伺いします。
 要人警護について、2022年7月に安倍元総理の銃撃事件が起きて、抜本的に体制を見直し、昨年4月には岸田総理の襲撃事件が発生して、演説会の主催者側と連携を強化するなどの対策を講じてきたところですが、国家公安委員長として、今後の要人警護についてどのようにお考えでしょうか。
(答)御指摘の安倍元総理銃撃事件を受けて、警護の検証・見直しを行い、警察庁の関与を抜本的に強化をしているということは承知をいたしております。
 また、昨年4月の岸田前総理に対する爆発物使用襲撃事件は、対象者のみならず、聴衆の皆様方にも危険が及ぶものであったという認識の下、こういった教訓を踏まえ、警護対象者と聴衆との十分な距離の確保、手荷物検査や金属探知検査の実施、警察との緊密な連携等について、主催者等に対する働きかけを強化しているところでございます。
 警護に責任を有する警察を所管する大臣として、今後とも警察には、一つ一つの警護に緊張感を持って取り組み、警護対象者及び聴衆の安全確保に万全を期すよう、これもまた指導をしていきたいと思います。
(問)ありがとうございます。続いて、犯罪被害者施策についてお伺いします。
 次期犯罪被害者等基本計画の策定に向けた検討をされていくことと思いますが、今後どのように進めていくお考えでしょうか。
(答)犯罪被害者等施策は、被害者が受けた被害を回復・軽減し、再び平穏な生活を営むことができるよう講ぜられることが重要であります。
 政府においては、第4次基本計画や昨年6月の施策推進会議決定に基づき、各種取組を推進しているところであります。
 現行の第4次基本計画については、計画期間が令和8年3月末まで、残り1年半ほどとなっているところ、引き続きこの期間内においても取組のより一層の推進を図る必要があると考えております。
 また、令和8年4月開始となる次の基本計画については、今後、検討を本格化させることとなりますけれども、これまで国民の皆様や被害者団体、支援団体からいただいた要望や意見を真摯に受け止め、有識者の皆様とも議論をさせていただきながら、施策の充実強化に向けて検討を進めていきたいと思います。
 国家公安委員会、警察庁は政府全体の司令塔の役割を担っており、引き続き、関係府省庁や地方公共団体と緊密に連携協力し、施策の推進が図られるよう、委員長である私としても、犯罪被害者の視点に立って全力で取り組んでまいりたいと思います。
(問)防災に関してお伺いいたします。
 地震と豪雨災害に見舞われた能登半島の復旧・復興には、現状どのような課題があるとお考えでしょうか。また、今後、復旧・復興をどのように進めていくか、お考えをお聞かせください。
(答)本年1月1日(月)に発生をいたしました令和6年能登半島地震につきましては、総理を本部長とする復旧・復興支援本部を司令塔として、被災地の復旧・復興を政府一丸となって進めていると承知をいたしております。
 また、現地では、「能登創造的復興タスクフォース」、この場をつくって、国、県、そして市町の関係者が緊密に連携しながら、能登地域の復興に向けて取組を進めているところでございます。
 能登半島地震からの復旧・復興の途上で、先般、御承知のように、大雨によって新たな被害が発生をいたしておりますが、こういったことも踏まえて被災自治体と連携をし、被災者の方々の御心配、御不安にしっかりと寄り添い、引き続き政府一丸となって被災地の復旧・復興支援をしてまいりたいと思っております。
 以上です。
(問)ありがとうございます。もう一点お伺いいたします。防災庁、もしくは防災省の創設が議論されていますけれども、その点に関してです。
 そもそも防災庁もしくは防災省の創設が必要なのか否か、どのようにお考えかお聞かせください。また、併せましてその理由もお教えください。
(答)近年、やっぱり一つ一つの災害が大変大きいものになっておりますし、また、頻度も大変上がってきております。今まで以上に防災対策、災害対策に力を入れていく必要は、国民全員が今、感じていることと思います。
 そのためには、防災を取りまとめていく防災省、まずはその手前、防災庁というものを想定しておりますが、こういった形で災害対策、防災に対しての行政組織を取りまとめていくということは、大事なことではないかと思っております。
 しかし一方で、これはすぐに変えられるわけではありませんので、まずは組織、人員・予算の体制強化に向けて、人員を確保し、予算を確保するというところから進めていきたいと思っております。
 そして、まずは防災庁の設置ということでありますが、ただ、ここの企画計画は担当大臣は赤澤大臣ということでございますので、我々が現場の状況を赤澤大臣と共有をしながら、適切な、また最も求められる防災庁の在り方というのをここで検討していただくということになろうかと思います。
(問)防災省の関係でお伺いです。2点あります。
 今、大臣からもお話ありましたように、防災庁の直接の準備は赤澤大臣が担われるということになるかと思うんですが、内閣府防災としてどのように関わっていくかという辺り、もう少し詳しく教えていただけますでしょうか。
(答)もう少しというか、とにかく、今、現場で実際に作業に当たっていて、復旧・復興を行っているのは内閣府防災でありますので、今の現状でありますとか組織上の課題でありますとか、そういったものを押さえていかなければ、適切な防災庁の組織や全体の汲み上げもできないということですので、現場で皆さんが努力される中での課題、そういったものをしっかり共有をして、良いものを伸ばし、そして課題があるものに関してはマイナスは最低限に抑えながら、より良い組織をつくっていくというところで御協力したいと思っております。
(問)先ほどお話にもありましたが、災害がひどくなってきているので、国として取りまとめしていく組織がより重要になっていくというお話だったかと思うんですけれども、これまでも内閣府防災であったり復興庁であったりとか、国が音頭を取って被災地(防災)の復興を引っ張っていくという組織はこれまでもあったかと思います。それらそれぞれ成果と課題はあるかと思うんですけれども、それらを踏まえて、防災省、防災庁というのはどのような組織や役割を目指すべきとお考えか、お願いいたします。
(答)理想としては、防災に関してのスペシャリストが防災省にいて、そこのスペシャリストが現場の状況、そして現場以外の状況、それぞれを把握をしながら一元的に適切な指示を出し、その指示が現場まで通って、そして迅速な現場対応が実現できるというのがあるべき姿でありますし、また、そのために事前に、要は平時に行っておくべきことというものも大事だと思っておりますが、それも適切な指示の下に準備をしておくということを合わせることによって、よりよい体制をつくっていくというのが理想だと思います。
 今それが「できていないのか」と言われますと、「できていない」というわけではありませんが、「より一層」ということかと思います。とにかく防災一筋という本当のスペシャリストをそこで育成をしていくことを目指すということが、私は一番大きいのではないかなと思っています。
(問)国土強靱化の関係でちょっとお伺いしたく思います。
 強靱化の中長期の取組内容を示す実施中期計画の策定、「検討を最大限加速化する」というお話でしたけれども、具体的に策定時期というのがいつ頃ぐらいになるのか。年内に大枠とか年度内に詳細とかいう話も聞くんですけども、現時点でのお考えをお聞きしたいというのと、併せて能登半島地震を踏まえてというお話もございましたので、その辺、どういった考え方で盛り込んでいくのか伺えますでしょうか。
(答)能登半島の豪雨に関しても、今までの1か月分の2.5倍という雨量を輪島市等では記録をしているということを承知しておりますが、そういったことが起きてくると。
 例えばそういった時に、今まであまりそういった被害がなかった地域においては、当然その対策なども、今までもいっぱいそういった被害を受けていたところと比べると、まだ遅れているというようなところがありますので、そういったようなことも視野に入れながら、この強靱化の計画をつくっていくべきと思っておりますが、とにかく国土強靱化推進会議なども活用しながら、この中身に関しても整理することとしておりまして、ここには一定の期間がやはり必要になると思います。
 ですから、実施中期計画の策定時期につきまして、現時点で回答するのはちょっと困難だということを御了解いただければと思います。最大限加速化、急ぐということに関しては、急いでまいります。

(以上)