城内内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和6年11月5日
(令和6年11月5日(火) 10:29~10:39 於:中央合同庁舎8号館1階S106会見室)
1.発言要旨
まず、冒頭、科学技術政策担当大臣として報告いたします。
先日、11月1日に茨城県に出張いたしまして、量子科学技術研究開発機構(QST)那珂フュージョン科学技術研究所及び原子力研究開発機構(JAEA)原子力科学研究所を視察いたしました。
那珂フュージョン科学技術研究所では、昨年初めてプラズマを生成しました世界最大のトカマク型超伝導プラズマ実験装置「JT-60SA」や、高周波加熱装置試験施設を視察いたしました。
また、原子力科学研究所では、研究所が実施する研究開発の取組を伺ったほか、我が国が誇る大型共用施設の一つであるJ-PARCにおきまして、中性子やミュオンを用いて物質の構造や機能を解明する、物質・生命科学実験施設を視察いたしました。
今回の視察を通じまして、それぞれの実験施設が、国内外の研究をリードしていることを実感することができた一方で、施設・設備の老朽化の現状、限られた職員・予算で多くのミッションを担う難しさ、国際連携や次世代を担う人材育成の重要性など、研究開発の現場における課題を認識することができました。
我が国の研究力の低下が続く中、フュージョンエネルギーの早期実現と産業化をはじめ、科学技術・イノベーションにおいて日本が世界をリードしていくため、引き続き、研究現場の実情を見させていただきながら、必要な予算等の確保に向けて、関係省庁と連携して対応してまいりたいと思います。
次に、2点目は、宇宙政策担当大臣として御報告申し上げます。
昨11月4日ですけれども、H3ロケット4号機によるⅩバンド防衛通信衛星「きらめき3号」の打上げが成功いたしました。
H3ロケット2号機、3号機に続く、今回の連続成功により、H3ロケットの打上げ実績がまた一つ積み上がり、我が国のロケット技術の信頼性の高さを示すことができ、大変喜ばしいと考えております。
また、今回の「きらめき3号」の打上げにより、防衛省の通信衛星が、既に軌道上にある2機を含めた3機体制となり、通信所要の増大への対応や、さらなる抗たん性の強化により、我が国の安全保障の強化に資することを期待しております。
今後も、他国に依存することなく宇宙へのアクセスを確保すると同時に、国内外の打上げ需要に商業的にも対応できるよう、内閣府として、基幹ロケットと民間ロケットの双方の安定的かつ高頻度な打上げを実現するための取組を進めてまいります。
2.質疑応答
- (問)来年度から、論文等の即時オープンアクセスの義務化が始まります。各大学は機関リポジトリの整備を進めているのですけれども、この機関リポジトリは、なかなか可視性が悪いというか、例えば、Googleで検索しても下のほうにしか出てこないので、あまり利用されていないのではないかという指摘もあります。日本発のこういったオープンアクセス論文の利用を促進するために、これからどのような取組を進めていくのか、具体的に教えてください。
- (答)学術論文等の即時のオープンアクセスを推進することは、科学技術の進展や社会実装を加速するとともに、科学技術の成果を広く国民に還元していくために重要であり、国際的な潮流にもなっております。
我が国におきましては、令和6年2月、統合イノベーション戦略推進会議におきまして、「学術論文等の即時オープンアクセスの実現に向けた基本方針」を決定いたしまして、令和7年度の科研費等の新規公募課題から、学術論文等の研究成果が学術雑誌へ掲載された後、当該成果を機関リポジトリ等の情報基盤に掲載することとしております。
また、オープンアクセスを推進していくためには、御指摘のとおり、機関リポジトリに掲載された論文の発信を強化し、可視性も高めて、日本発のオープンアクセス論文の利用を促進していくことも重要な視点であると、私も認識しております。
これにつきましては、現在、文部科学省と国立情報学研究所が連携して、大学等の機関リポジトリに掲載された論文を広く公開し、簡易に検索可能とする中核的なプラットフォームとしての「研究データ基盤システム」の整備・運用を進めているところと承知しておりまして、また、これらを通じて、オープンアクセス論文の検索や利用が進むことを期待しております。
内閣府といたしましては、文部科学省等の関係省庁と連携し、基本方針に基づく取組状況や実態等を把握しつつ、我が国の学術論文等のオープンアクセスの推進に向けて、適切に対応してまいりたいと考えております。 - (問)1日に御視察されたQSTに関して確認させていただければと思います。現在、発電実証や安全確保の考え方に向けて議論が進んでいると思うのですけれども、視察を通じて、そこに反映していきたいことなど、もし御所感の中でありましたら教えていただければというふうに思います。
- (答)先ほど申し上げましたように、QST、あるいは日本には「JT-60SA」のような世界に誇れる素晴らしいプラズマ実験装置がございまして、そこで培われた世界最先端の技術、これが非常に日本にとっての強みであると感じました。
日本だけではなくヨーロッパとの技術交流もございまして、こうした中、共同で建設できたことで高い成果を出したというふうに伺っております。こうした国際プロジェクトの重要さを強く実感した次第でございます。
2030年代の発電実証に向けまして、次世代のクリーンエネルギーとして、フュージョンエネルギー、これは非常にクリーンなエネルギーでありますから、その早期実現に向けてしっかりと取り組んでまいりたいと思っておりますし、また、世界各国でも取り組まれておりますが、様々な技術的課題がある中で、その課題を克服しながら、しっかり対応していきたいと思います。
いずれにしましても、有識者会議におきまして、必要となる取組を含めた工程表を作成するなどして、繰り返しになりますが、2030年代の発電実証の達成に向けて、しっかり取り組んでまいりたいと考えております。
私自身、視察させていただいて、私は文系ですけれども、日本の技術者が海外等の方々と研究交流しながら、最先端の技術開発をしていることに対して、非常に強い感銘と強い期待感を抱いた次第でございます。
ただ、先ほど申し上げように、然は然りながら、建屋が非常に老朽化しておりまして、やっている技術が最先端であるにもかかわらず、昭和という感じの建物でやっているギャップを感じました。したがいまして、人的な増員、あるいは予算の増額といったこともしっかりしていかないと、これはあくまでも国際競争力の問題でもありますから、対応できなくなるのではないかというふうに思った次第でございます。
(以上)