新藤内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和6年9月20日
(令和6年9月20日(金) 13:48~14:05 於:中央合同庁舎第8号館1階S108会見室)
1.発言要旨
(冒頭発言なし)2.質疑応答
- (問)大臣は昨日9月19日に石川県と富山県に出張されたと伺いました。現地で穴水町、こちら被害の激しかった地域ですけれども、いち早く避難所も閉鎖されるなど、いろいろな復興に向けた動きが進んでいると聞いています。今後の骨太の方針に基づいて行かれたということですけれども、南海トラフの懸念がある中で、今後の復興に向けて何かヒントなどあったかどうかということと、朝日町のほうではマイナンバーカードを活用した公共サービスパスを視察されたと伺っております。マイナンバーカードを広げていって、それを活かして活力あふれる地域づくりとかにつながるヒントを得られたかどうか。もしこの2点の他にも何かありましたら是非お伺いします。
- (答)昨日は令和6年能登半島地震の被災地である、まず輪島市の朝市地区、それから穴水町、そして七尾の和倉温泉と相次いで訪問いたしました。朝市の視察につきましてはだいぶ解体の進んだ所がございました。しかし、一方でその隣接する地域はまだほとんど手が付いていないという状況がありまして、やはり改めて被害がいまだに深刻であるということを実感しました。
そして、解体が進んでいるのですが、その後の整備、まちづくりをどう進めていくかということが当然ながら重要になってきます。まずは公費解体を着実に進めながら、公費解体の対象にならない被災地、ここをどう対応していくかというのはとても重要な課題です。その意味において、穴水町につきましては、公費解体が順調に進んでいます。とはいっても、まだ全体の2割なのですね。
しかし、穴水町において特筆すべきは、最初にきちんと段取りをして、どのように業者にお願いをし、それをどこに集めて、どうやって運び出すかという最初の組立が非常にうまくいった。したがって、スムーズに物事が進んで、町内の解体の済んだ所は極めて整然とした状態になっていて、それから今、解体したものを分別して、船でまた県外に運び出すのですけれども、そこも非常に整然とした状況がございました。
町長が「特に最初の段取りが重要でした」と。それから環境省や、更には熊本の震災を経験した方が県から応援においでいただいて、その方のノウハウも非常に役に立ったということでございます。今後、何をするにしても、いかに今までのつらい経験を活かして、きちんとした段取りをするか、初動体制を早期に合理的な形で整えることが重要だということを改めて思ったわけであります。
もう一つは宅内配管の問題です。私は復旧・復興支援本部のメンバーとして、公費解体と宅内配管、給水がきちんとできているかということをこれまでも会議の中において非常に関心を持って、また、いろいろな意見交換を政府内でしてきたところです。公共側が整備できるところと、最後の私有地内に入った所で給排水をきちんと確保すること、これが極めて重要であって、ここの部分については更に支援が必要だと思っております。
それから、あえて穴水町に参りましたのは、穴水町は復興を急ぐとともに、この機会に新しいまちづくりを進めていこうと。それは自動運転であるとか、ドローンとか、キャッシュレスとか、様々な新しいまちづくりをこの復興に役立てようと。そういうことを民間のシンクタンクと一緒に計画を連携協定を結んで作り始めています。これは、私がまとめました骨太の方針の中で、新しい経済をつくるためには新しいまちづくりが必要、かつ、社会的課題を解決しながら新技術を徹底して実装することによって、この問題を解決しながら新たな経済をつくっていく、この流れを強く打ち出しました。その実践地としても非常に意見交換が必要だと思いましたし、現実に私どもとすれば、国としてこういうことを考えていて、こんなふうに進めたいと思っているのだということで、町長がそれにヒントを得て、じゃあ、更に次の展開を考えたいということで意見交換をしてきました。
今後、他の地域においてもそれぞれの歴史や文化に基づいた、それから、その地域特性に応じた新しいまちづくりが、能登の皆さんは本当に苦労されているわけですから、こういったものが率先して動いていく地区にしていくべきだと思います。その意味において、現地に行って話をする。見るだけではなくて、国がやろうとしていることを直接感じていただいて、また、そこから触発されて事業を展開する。こういった流れをつくること。これが良かったことだと思っています。
あわせて、今回、私は「のと鉄道」に乗車いたしました。穴水駅から能登中島駅まででございましたけれども、やはり三陸鉄道と同じように1両編成の電車が、地域の皆さんの足となって頑張って営業しているわけです。線路がゆがんでしまったり、これも復興には大変なご努力があったわけですが、社長自らおいでいただいて、「自分たちの活動に焦点を当ててくれるのはうれしい」といった言葉もいただきました。私たちとしても、何らかのお手伝いができればという思いでございました。
この運行をどうやって維持するかはやはり非常に厳しいものがありますけれども、しかし、地域ぐるみで町を維持していくためのこういう試みについて、直接乗って、電車の中で3組でございましたけれども乗客の皆さんとお話ししたり、そういったことの中から国としてもいろいろな心配をさせていただいていると。また、逆に向こうの皆さんから元気をいただくような。笑顔で頑張っていらっしゃいました。食事をするために寄った飲食店においても本当に苦労があって、悲しい目にも遭っているわけですけれども、それでも笑顔で頑張らなきゃという言葉をいただければ、私たちがその元気をいただくような、そういったこともございました。
これまでもいち早く行こうということで計画は立てていたのですけれども、なかなか日程の折り合いがつかないこともあって、今回実現しましたけれども、やはり現地に行って意見交換することの重要性は改めて認識したところです。
そこから今度は富山のほうに車で移動しました。結局、役所の閉庁時刻の2分前に着くという。夕方に着いてご迷惑を掛けたのですが、でも、町長以下ずっと皆さんは待っていただいて意見交換をしました。
私が大臣になる前の自民党の地方創生実行統合本部の中でデジタル田園都市国家推進委員長をやっておりました。その中で、デジタルを使った新しいまちづくりということで、とても有望な事例として朝日町の笹原町長においでいただいて、それがご縁でもう3年近くになりますけれども、私としても様々なアイデアを出しましたし、あちらとすれば民間の大手のシンクタンクというか、広告代理店が一緒に入って、新しいまちづくりをやっているのです。
大事なことは、私はマイナンバーを軸にした朝日町がやろうとしている様々なことの根底に、電子的なサービスをするならば電子上でIDを設定しなければいけないので、これは全国民が生まれながらにして持っているマイナンバーを使い、それを電子的に処理するマイナンバーカードを活用することが最も効率的だと、こういうお話をいたしました。当初は違ったのです。
今回、朝日町のとても特筆すべきは、一つのシステムではないのです。乗り合いの地域コミュニティー版のライドシェアのようなものが始まっていて、それの申込をしたり決済をするための手段でもあるとともに、様々な施設に行った場合のIDとして、そこで入館記録を取り、かつ、そこで買い物のキャッシュレスもできると。
それから、こどもたちが学校に入る時・出る時のものにこれを使っています。こどもが帰る時にピッとやると「今から帰ります」というメールが届くのです。これは例えばお年寄りの見守りサービスにも使っています。こどもたちはそういうことで、自分たちの安否確認とともにそういったデジタルを日頃から使っていく。皆さんはどこまでお使いになられているのか分かりませんが、国家公務員の職員の皆さんは全員胸からぶら下げて、入館証はマイナンバーカードですから、それでセキュリティーチェックをして入っていくわけです。
そうやって普段から使っていくことと、様々な電子サービスのIDとして共通のものをつくると。これが重要で、それの展開を是非やるべきだというのが私がずっと朝日町にお願いしてきたことで、それを実践されています。
かつ、大事なことは、国家戦略特区のスマートシティ特区も同じですけれども、ここでつくったものがそこで完結してしまっては、また別の場所でつくる時には同じコストがかかります。ですから、朝日町でつくったものはそのままコストをかけずに別の町で展開できるようになっているのです。現実に富山県の高岡市とか、静岡県の浜松市とか、いくつかの自治体でそのまま使って、コストをかけずに新しいサービスが始まっています。
今後、例えば医療の救急車に乗る時のマイナンバーカード活用とか、防災時の避難所、避難行動に対してのマイナンバーを活用することによって、その方の医療データとか必要な医薬品、点滴とか、そういったものも避難所単位でもって必要なものがチェックできてくると。今、こういう仕組みを我々は準備しているわけなので、そうした応用展開ができるのではないかという意見交換をしてきたわけであります。
「ノッカル」という公共交通、それから、電子決済が「LoCoPi(ロコピ)」というのですけれども、様々な工夫をしながら町民の皆さんが楽しんで使って、そして自然に慣れ親しむ中で電子的な行政が行われ、効率化と新しいサービスという名の産業が生まれていく。こういう連環をつくるために非常に先駆的な試みをシステムとしてやっていると。これは特筆すべき点です。これもずっと何度もこちらにおいでいただいているのですが、私が行くことがなかなかできなかったものですから。結局、最終の新幹線で帰ってきましたので、東京駅に着いたのが11時半でございましたけれども、ちょっと無理してでも行ってよかったなと思っているわけであります。 - (問)昨日、アメリカのFRBが4年半ぶりに金利の利下げに転じまして、この理由としては雇用面の不安なども挙げられています。政府として、アメリカ経済のリスクとか、このたびの利下げによる日本経済、マクロ経済への影響などについてどのようにお考えでしょうか。
- (答)昨日、アメリカのFOMC(連邦公開市場委員会)が政策金利の誘導目標範囲を0.5ポイント引き下げたということであります。これは物価の安定と雇用の最大化、これを使命とするFRBが、これまでの緊縮的な金融政策を緩めたものと理解をします。
アメリカでは賃金上昇率が継続的に物価上昇率を上回っていると。それから、個人消費が着実に増加して、景気の拡大が続いているという状況があります。FRBでも今年から2027年にかけてプラス2.0%、実質GDPの成長が続くということを見込んでいるわけでありますが、しかし、それにおいてもこれまでの高い金利水準を受けた中で、住宅や自動車ローン、こういったものの高止まり、景気が下振れするリスク、これも含めて留意が必要だと、このように承知をしているわけであります。
なんといいましても、アメリカは世界のGDPの約4分の1を占めています。日本からの輸出のシェアも2割でございますから、我が国経済への直接的・間接的な影響が大きい中で引き続き動向を注視しながら、私たちとしても適切な様々な政策を作っていきたいと、このように思っております。
重要なことは、我が国においては、そういった内外の要因がありますけれども、実体経済を強めていくことが何よりも大事でございますし、実質賃金をプラスにしながら投資を拡大し、企業の収益を上げていく。そこから日本経済全体が成長していく。それが私たちの財政力の強化にもつながっていくし、そういう中で新しい需要をつくっていかなければならない。それはまさに穴水町だとか朝日町がやろうとしていること。これは地域の経済の自立につながっていくわけです。それとマクロ経済と。それから大都市は大都市なりの試み方があります。いくつものやり方をあわせて日本経済のダイナミズムをつくっていく。そういったことをやっていかなければならないと考えているわけです。
(以上)