新藤内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和6年8月30日
(令和6年8月30日(金) 11:00~11:21 於:中央合同庁舎第8号館1階S108会見室)
1.発言要旨
昨日8月29日、グローバル・スタートアップ・キャンパスにつきまして、統合イノベーション戦略推進会議において基本方針を決定いたしましたので、ご報告をさせていただきます。お手元に資料が行っていると思います。GSC(ジーエスシー)と呼んでおりますが、GSC構想につきましては、昨年11月から本年5月にかけて、6回にわたって有識者会議を開催いたしまして、具体化に向けた提言を取りまとめてきたわけであります。
また、私も国内はもとより海外のスタートアップ拠点、例えばサンフランシスコ、シリコンバレー、ボストン、ワシントン、更にはロンドン、エジンバラ、パリ、チューリッヒ、ミラノ、ヘルシンキ、シンガポール、アブダビやドバイ、そういった所へ参りまして、日本が新しくつくるGSCというスタートアップ拠点と世界の連携をつくろうじゃないか、スタートアップのグローバルハブをつくろうと、こういうもとに作業を重ねてまいりました。
私たちのGSCは、まずミッションとして世界最高水準のイノベーションエコシステムのハブを構築すると。我が国の、これまで各地方や各都市、それから、大学や研究機関で行われているスタートアップを結集して、国内のスタートアップの連携拠点とすると。あわせて、世界のグローバルスタートアップとの連携をする。私たちから出掛けていくこともあるし、海外からも来てもらう。世界中が連携してスタートアップを大きく育てていく。そういうきっかけとなる運営をしていきたいと思っています。
まずは統合イノベーション戦略推進会議が司令塔となって、そのもとで、現在、私が務めておりますが、担当大臣が指揮をしながら形をつくっていく。あわせて、フラッグシップ拠点のGSCの運営を担う新たな運営法人を創設する。こういったことを打ち出しました。そして、その中でディープテック分野の研究開発をすること、それから、インキュベーションやアクセラレーション、事業化の支援や知財の支援を行う、そういう機能を強化いたします。有償でそうした方々への活動拠点も提供しようと思っています。人材育成ということで、起業家精神のある研究者やVC、BD・IP人材を育成するためのフェローシップ事業も実施いたします。
それから、国内外のネットワーク形成に必要なイベント、ピッチイベントとか、様々なものをやっていこうと思います。そして、海外研究者等の滞在や我が国におけるビジネスの支援を行うなど、様々な機能を持つということでございます。
そして、土地は渋谷と目黒にまたがる恵比寿駅近くにあるわけでございますけれども、ここの国有地を活用し、現物出資等により運営法人がGSCを担うことになります。建物もデザインや設計を世界最先端のものにしなければいけない。スペース構成を工夫することが非常に重要でございまして、こういったものを取り入れた最先端のもの、そうした設計が可能となるような仕組みも考えていきたいと思っております。
建設に当たっては、民間のノウハウや、また運営資金も含めて最大限活用していきたいと思っております。そういう中でもろもろ準備を進めながら、建物の完成そのものは、これからまずは運営法人をつくり、そして、設計して、工事をやってということですから、少し時間がかかります。しかし、今年度より先行的な事業は始めます。まずは先行研究事業を行うための準備に入りたいと思います。あわせて、フェローシップ事業の実施ということで、既に私が出掛けていった海外の大学等からいくつもオファーをいただいておりまして、そういった連携をしていきたいと思っております。
私たちのスタートアップ拠点は、我が国の経済成長戦略の中で新しい技術を社会実装させる、それから、社会的課題を解決しながら経済成長に結び付けていく、その中で様々な成長戦略が行われていきますけれども、特に世界を巻き込んで新しいビジネスを生み出していく、その中で我が国の経済を推進していくために重要な要素になり得るのではないかと思いますし、そのような形にしていきたいと思っています。
コンセプトペーパーとイメージということで、資料をお届けいたしました。いよいよこれが本格的に準備が始まってまいりますので、ご理解いただいて、またこれを皆さんにより知っていただけるように是非ご協力いただければありがたいと思います。
次に、CPTPPについてご報告いたします。8月28日にペルーよりイギリスの加入議定書に関する国内手続きが完了したという連絡がありました。これによりまして、当事国であるイギリスに加えて、私どもも含める6か国が国内手続きを完了したということで、いよいよCPTPPに英国が加入するということになります。これからの手続きがございますが、遅くとも本年の12月15日には加入議定書が発効するということになるわけであります。
言うまでもなくCPTPPはハイスタンダードなルール、そして、包括的、先進的、野心的な貿易システムの成功例だと思っております。特に、イギリスを加えることによって地政学的にも従来のTPPから大きく枠を広げて、経済的な貿易協定ではありますが、これに加えて地域の安定、平和、経済の繁栄に世界的な貢献ができるのではないかと。こういう位置付けにしております。
その意味において、まだ国内手続きを終えてない国に対しては引き続き早期の手続きを働きかけてまいりたいと。私が海外に出張する時にも、そういった関連の出張をいくつもやってまいりましたけれども、おかげ様でそうした一つ大きな節目を迎えることができたのではないかと思っております。
もう一つ、最後でございますが、内閣感染症危機管理統括庁が発足して1年になりました。統括庁はCAICM(ケイクム)と呼びまして、そのロゴマークも扇の要となるようにという思いを込めて、新しいデザインを決めて、皆様にお披露目をしたところであります。我が国の感染症危機対応の司令塔機能を担う存在であります。
何よりも、平時においてしっかりと、いざという時に備えた準備、研究、情報収集や広報体制を整える。そして、起こってほしくはありませんが、もし起こってしまったならば、感染症の有事に対して速やかに、しかも機動的な全国連携のもとでの感染症対策を実施する。いつ起きるか分からないことでありますから、常にそういう準備を整えるという意味において、この1年間、様々な準備をした上で、新型インフルエンザ等対策政府行動計画を10年ぶりに全面改定いたしまして、この7月に閣議決定したところであります。この行動計画の中身を更に詰めていく、そして、ガイドライン等の実践的な物事を取り決めなければなりませんから、そういったことをやっていきたいと思っています。
去年は私が大臣になりまして初めての取組でございましたけれども、感染症危機管理対応訓練では第1回から全国47都道府県を連携し、また、空港など様々な関連機関と合同し、また、国立感染症研究所と地方の衛生研究所、保健所、そういった関係者を巻き込んだ大きな訓練を実施しました。これを更に今後は精度を上げていただきたいと思いますし、今年もそのことをやっていくことになると思います。
来年の4月には、国立健康危機管理研究機構、JIHS(ジース)が設置されます。統括庁はJIHSによる情報収集、分析、リスク評価、臨床研究など、国内外の情報を基に感染症危機管理の要として関係省庁や地方自治体、医療機関などの関係機関との連携を一層強化する必要があると思っています。
私とすれば、政府行動計画に定めた取組をきちんと実行していただけるように関係省庁に促すとともに、その状況を確実にフォローアップしていくことが必要だと思っています。また、合言葉といいましょうか、常にまず心に留めておくこととして、「訓練でできないことは本番でできない。平時の準備が有事の安心につながる。」と、このことを肝に据えて、今後も実効性のある訓練や活動をしていきたいと思っています。
また、こうした政府の動き、統括庁の役割をより広く知っていただくためにも、SNSの活用など、広く国民に向けた情報の発信、共有、周知広報・普及啓発に努めて、次なる危機への対応について全力を期してまいりたいと思っております。
私からは以上です。
2.質疑応答
- (問)グローバル・スタートアップ・キャンパス構想についてお伺いいたします。基本方針がまとまったということですけれども、この構想を具体化していく中でどのような課題があるとご認識されているのかということと、建物の完成も含めた今後のスケジュール感、それから、先ほど先行的に研究事業を決めていくというような趣旨のご発言がありましたけれども、どのような研究を念頭にされているのか。この3点についてお伺いできますでしょうか。
- (答)まず、当面の課題といたしましては、GSCを進めていくための運営を担う法人を設立しなくてはなりません。根拠となる法律も必要になると考えておりますけれども、まずは法人設立に向けた準備をするということが一つ。それから、フラッグシップ拠点の設計・建設、これも必要なデザイン性をもって、かつ、民間活力も活用したような、そういう柔軟な建設をしていかなければならないだろうと思っております。そういったことを基本方針に基づいて統合イノベーション戦略推進会議を司令塔にしながら、担当大臣、また、キャンパス室がございますから、チームでもってしっかり取り組んでいきたいと思っています。
研究拠点においては様々な先端的な研究をしていくわけですけれども、特にディープテック分野については、しっかりと国としても力を入れて、また、世界の皆さんに世界最高の技術者・科学者が日本において研究し、それを社会に実装する、また、企業化する、こういうお手伝いをしていきたいと。社会的なインパクトの大きいディープテック分野、これは施設の完成を待つ前から、先行的研究の中でこういったものを是非取り組んでいきたいと思います。そのためには準備が必要でございます。様々な研究を進めるためのルールを標準化するとか、そういったことも含めて、作業も既に始めておりますけれども、やっていきたいと思います。
スタートアップの最大の特徴は民間資金。公的なものによらず、それに加えて様々な科学者、技術者、企業、そしてそれを応援するためのベンチャーキャピタル、資金をいろんな所から調達して、それらをまた応援していく仕組みというもの、いろいろなものを組み合わせて大きな流れをつくっていく。様々なステークホルダーがいらっしゃいます。こういった方々が参加しやすい仕組み、参加したくなるような魅力的な工夫をしていきたいと思っています。
加えて、今回、私たちのGSCは初めてやるのではなくて、日本では既にスタートアップがたくさんやっているわけなのです。先行的に行われているスタートアップの推進拠点都市が全国8都市ありますけれども、ここでの取組をどんどんとGSCの中に参画いただいて、GSCを使って更に大きく増幅していただければいいなと思います。
何よりも全ての国のスタートアップの大元には大学があります。我が国においても同じです。日本の大学がスタートアップに対する取組をより強化できるように、そして、世界に出ていけるようなそういう仕組みを早急に整備したいと思っているわけです。 - (問)総裁選に関連してなのですが、茂木敏充幹事長が来週の9月4日にも出馬を表明されるという報道がありました。新藤大臣は茂木派の事務総長も務めてこられて、茂木幹事長が出馬されるという報道に対するご所感と、改めてどういう対応を今後取っていかれるようなお考えがあるかお聞かせください。
- (答)今回、自民党総裁選が行われることになりました。これは、日本にとって大きなチャンスにしなければならないと思います。私は岸田内閣の閣僚として、特に経済成長の戦略を、アベノミクスから始めた「日本を取り戻す」、この挑戦に一定の節目をつくることができたと考えています。2013年に502兆円から始めたGDPが、今、ついにその目標である600兆円をここで達成することができました。それから、長らく動かなかった賃金が上がることになり、そして、これもなかなか動かなかった投資が極めて活発に、ついに100兆円を超える史上初めての投資、そういった流れができました。企業の生産性とか、今、様々な大きな経済の流れが今までの停滞を打ち破り、次なる新しいステージが見えてきた。その流れを止めることなく更に拡大させていく。次の新たな目標に向けて、日本が大きく変わる、動いていくチャンス。そのチャンスに貢献できる自民党総裁選にしなければいけないと思っています。
ですから、様々な方が立候補されて、どうすればこの国をもっと元気にできるか、そして、どういう方法で自民党総裁となって、首班指名を受けて、総理大臣となって組閣をして動かしていくか。そういうことを徹底的に議論して、国民の皆さんの前でそれをご理解いただけるような、そういう試みにしなければならない。
茂木さんは幹事長として、また、その前にもいくつもの閣僚や要職を経験して、キャリアを持って、そして、経済においては私の役職の経験者でもあります。そういった方が出てくるというのは、議論に更に重みと深みが加わるなということは期待したいと思います。
そして、様々な方が候補者として出そろった段階で、その方たちの政権構想を聞き、その人がつくろうとしている運営体制をチェックした上で、一番いいと思った方にそれぞれ党員の皆さんも投票していただきたいと思いますし、私も自分の1票を入れなければいけないと考えているわけです。
(以上)