新藤内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和6年8月29日

(令和6年8月29日(木) 17:53~18:00  於:中央合同庁舎第8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 月例経済報告等に関する関係閣僚会議の概要を報告をいたします。今月は、「景気は一部に足踏みが残るものの、緩やかに回復している」と判断を上方修正しています。これは、企業部門は引き続き、経常利益、営業利益ともに過去最高を更新しており、また投資意欲も旺盛であるなどの好調であること、加えて家計部門についても消費者マインドの改善に足踏みがみられるものの、4-6月期のGDP速報を見ると、実質雇用者報酬が約3年ぶりに前年比プラスに転じ、実質個人消費が5四半期ぶりの前期比プラスとなるなど、個人消費に持ち直しの動きがみられることなどを踏まえたものであります。
 先行きにつきましては、33年ぶりの高水準となった春闘賃上げの効果が引き続き見込まれるなど、雇用・所得環境が改善する下で、緩やかな回復が続くことが期待されます。ただし、中国経済など海外景気の下振れリスクなどには十分注意する必要があります。
 加えて、私から閣僚会議で説明した内容のうちの、民間企業の設備投資について申し上げたいと思います。2024年4-6月期の名目GDPは年率換算で史上初めて600兆円を超えました。このうち、名目設備投資額につきましては昨年の1-3月期に100兆円を超え、今年の4-6月期には106兆円と、1991年以来33年ぶりに過去最高を更新したわけであります。我が国が新たな経済ステージへの転換に向けて着実に前進しつつあることを示す、象徴的な結果の1つではないかと考えています。
 こうした設備投資のうちの約2割は研究開発投資です。企業の研究開発投資額は、2024年度の計画でプラス8.7%と、引き続き高い投資意欲が見られます。
 一方、我が国企業の研究開発投資は米英の企業と比較して製造業に偏っています。情報通信や専門・科学技術サービスなど非製造業において、研究開発投資拡大の余地が残されているとも言えるわけです。研究開発は将来の成長の源泉です。OECDの調査によれば、日本のこどもの15歳時点での数学的・科学的リテラシーは、男子・女子ともにOECD加盟国中1位であるなど、研究開発のポテンシャルは高いと言えます。
 こうした潜在的な能力の高い人材が存分に力を発揮し、研究開発投資が成長やイノベーションにつながるように、そして、AI時代に対応した高等教育における高度専門人材の育成や、企業における組織マネジメントの改革、経営者のリスキリング等を進めていく必要があると考えています。
 この他、詳細につきましては後ほど事務方からの説明をさせていただきます。私からは以上です。

2.質疑応答

(問)今月の月例経済報告で景気の総括判断を、景気は一部に足踏みが残るものの緩やかに回復しているとし、15か月ぶりに上方修正されました。ただ、景気の総括判断は上方修正されたものの、デフレ脱却宣言をする状況には至っておりません。デフレからの完全脱却に向けて、展望と課題について大臣のお考えをお聞かせください。
(答)これは同様の御質問をいただいた時に申し上げていますが、私どもとすればデフレの脱却宣言を検討しているのかということでございますけれども、私が一貫して申し上げておりますのは、デフレから脱却し、再び後戻りをしない、そういう状況をつくり出した上で、従来の延長線上にない新しい成長型の経済ステージ、これに移行させなければならないということです。
 そのためには、まずは適度な物価上昇の下で、これを上回る持続的・構造的な賃金上昇を実現させる。その賃上げを実現させるためには、価格転嫁をはじめとして企業の業績の改善がなければならない。そして、その業績の改善は、やはり省人化投資だとか、生産性を向上させるための投資が必要になってくる。そのための支援をしなければならないし、賃上げも一律で水準を上げていくこととともに、やはりリスキリングによる、より良い、自分が納得できる、また自分が望む所得を得られるような、そういう職場環境の改善、それから、ジョブ型人事への移行ですとか、そういう働き方の改革というものも進めていかなくてはならないだろうと思っています。
 まずは省力型の、革命的に簡略化したカタログ型の補助金に加えまして、中堅・中小企業への投資の支援、国内産業立地の支援、また、先端の産業を引っ張る大型の投資、こういった様々なことを今、続けております。それから、GXやDX、イノベーション、スタートアップ、様々なことを今、一貫してやっているのは、デフレから脱却し、その上で持続的な経済成長を、少子高齢下、人口減少下においても実現させると。
 この一連の流れをずっと説明しているので、脱却宣言をいつするかとか、脱却宣言をまずするのが大前提になっているかのようにご質問いただいても、私どもとすれば、そういったようなことは政府として明示的に申し上げたことはないと思います。私はそのように申したことはございません。

(以上)