新藤内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和6年8月8日

(令和6年8月8日(木) 11:12~11:22  於:中央合同庁舎第8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 (冒頭発言なし)

2.質疑応答

(問)日経平均株価について教えてください。今月に入ってから荒い値動きが続いています。今年に入って新NISAが始まって、個人投資家も多くいたり、また、先月末には日銀が追加利上げを決定したり、マーケットをめぐる環境は変わりつつある中で、こうした不安定な値動きを大臣はどのように分析されているか教えてください。
(答)私がこれまでも申し上げておりますけれども、株式市場であるとか、為替についてのコメントは、具体的なものはこれまでも申し上げておりません。そして、株価等の変動が大きいという御指摘がございましたけれども、報道等によれば、市場におけるアメリカの景気の先行きに対する見方、日米の金融政策の先行きに関する観測、こういったものが相まっていろいろな動きがあると思っております。
 まず株価については状況を冷静に判断していくことが重要だと考えています。為替については、経済の実態、ファンダメンタルズを反映して、これが安定的に推移することが望ましいと考えているわけであります。
 私たちの国の実体経済は33年ぶりとなります春闘の賃上げ率、そして、その賃上げは今、世の中にだいぶそうした動きが力強く出てまいりました。それから、設備投資は名目で100兆円、年率換算でございますが、これを超えているということでございます。また、企業の経常利益や営業利益も過去最高を更新しているわけでありまして、私どもは長年続いたデフレ下の、動かない、伸びない、そうした経済から明るい兆しの見える新たな経済ステージへの移行というものをしなければいけないと思っておりますし、できると思っているわけであります。
 大事なことは、実体経済を強めていく中で様々な環境を整えて、株にしても為替にしても良い結果が出るようにしていく。そのことが重要なので、我々とすれば、従来から進めております対策を揺るぎないものとして、しっかりと力強く進めていきたいと考えています。
(問)今の市場の動きに関連して、昨日8月7日、日銀の内田眞一副総裁が函館市内で講演して、「金融市場が不安定な時には利上げはしない」とか、「今後、慎重に利上げを検討する」といった発言がありました。植田和男総裁は今後も利上げを検討するタカ派寄りの発言から、昨日は内田副総裁がハト派寄りに発言の内容を変更した形ですが、この発言についての受け止めをお願いします。
(答)まず、私が日銀の総裁や幹部の副総裁の御発言についてコメントすることは控えております。それにしても、植田総裁は、経済・物価の見通しが実現していくとすれば、それに応じて金融緩和の度合いを調整していくという発言をされています。一方で副総裁は、経済や物価の見通しやその上下のリスク等が変われば金利のパスも変わっていくということで、それぞれ政策判断の前提となる状況、経済や物価の見通しや金融・資本市場の動向、こうした前提が変われば様々なことをというようなお考えを示されたという意味においては、私は日銀に何か大きな変更なり齟齬があるとは考えておりません。
(問)厚生労働省が先日発表した6月の毎月勤労統計調査で実質賃金が2年3か月ぶりにプラスに転換しました。このことについての受け止めと、足下のデフレ脱却までの距離感についてお考えを教えてください。
(答)まず8月6日に毎月勤労統計調査、2024年の6月の速報が公表されました。これによりますと、名目賃金は前年同月比のプラス4.5%という高い伸びでありますし、実質賃金が前年同月比プラス1.1%と、これは2年3か月、27か月ぶりに増加に転じたということであります。これは、33年ぶりの高水準となっております春闘の賃上げが実際の賃金支払いに徐々に反映されているということ、それから、夏のボーナスが堅調であったことによるものだと思います。
 今後については、春闘の賃上げの結果が本格的に給与に反映されるのは7月から8月になってでございます。更に10月には最低賃金の引き上げによるパートタイマー労働者の皆さんの引き上げが始まると思います。12月には人事院勧告に伴う公務員給与の改定で遡及がなされるということで、賃上げが順次これから更に社会の中に反映されていくと考えているわけでありまして、名目賃金の増加とともに実質賃金がプラスになっていくと。これを持続的・安定的に達成できるようにしていかなくてはならないと思っています。
 私たちは、適度な物価上昇のもとで、それを上回る持続的・安定的な賃金上昇を実現させるために、それを目標にこれまで政策を展開しているわけでありますけれども、これを引き続きしっかりと続けていきたいと考えます。
 それから、デフレ脱却の距離感ということでありますけれども、私どもがデフレ脱却ということを打ち出している場合には、その定義として、物価が持続的に下落する状況を脱し、再びそうした状況に後戻りしないと、このことを定義しているわけであります。ですから、総合的な判断のもとに、今後そうしたことが起きないということ、戻る見込みがないということを確認することをしっかりとやっていかなければいけないと思っているわけであります。
 まず、今の前段の話にもありましたように、賃金が上昇して、物価上昇率を上回る状態が実現する。安定的・持続的にそういう状況を実現するところまでだいぶ出てまいりました。これをきちんと社会的に、ノルムと何度も呼んでおりますけれども、社会的な通念として、物価上昇があればそれを上回る賃金上昇は当たり前だと、こういう意識をきちんとつくっていきたい。また、そういうふうに思えるような状況をつくらなければならないと思っているわけであります。こうしたものが定着していけば、おのずとデフレから脱却して、民需主導の自律型成長経済、更には少子高齢化・人口減少下であっても成長していく。そういう新しい経済のステージに向けて、更に努力を続けていきたいと考えているわけであります。
(問)春にもお伺いしていて、お答えは同じかもしれませんが念のため伺えればと思います。8月15日の靖国神社の参拝の御予定がありましたら教えてください。
(答)靖国神社の参拝につきましては、私人の行為として、それぞれの判断の中でやっております。そして、私は今まで事前に行くか行かないかということを申し上げたことはございませんし、それに変わりはありません。

(以上)