新藤内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和6年7月2日
(令和6年7月2日(火) 10:27~10:46 於:中央合同庁舎第8号館1階S108会見室)
1.発言要旨
冒頭、私から新型インフルエンザ等対策政府行動計画の閣議決定について御報告をいたします。本日、政府行動計画の改定案が閣議決定をされました。2013年の策定以来、約10年ぶりの初めての抜本的改正であります。政府行動計画は平時の備えを充実させるとともに、平時から有事への移行をスムーズなものとし、国民に安心と安全を届けるために必要不可欠なものであります。改定に当たっては新型インフルエンザ等対策推進会議において、新型コロナ対応に尽力された有識者の皆様とともに、昨年9月から10か月間、計13回にわたりましてヒアリングを含め、精力的に議論いただきました。
連休前からはパブリックコメントを実施し、約19万件もの多くの御意見をいただきました。次の感染症危機に対する国民の皆様の関心の高さを表すものと受け止めております。推進会議の委員からは、このパブコメにつきましても非常に丁寧に精査され対応が行われているという御意見もいただいております。多くの御意見をいただいた国民の皆様、推進会議の委員等の皆様には改めて感謝を申し上げたいと存じます。
今回の全面改定でございますが、まず対策項目を6項目から13項目にいたしました。また、全体の文章量も約90ページから230ページに拡充となりました。新型コロナ対応において課題となった項目を中心に記載を充実させたわけであります。
これまで感染症は新型インフルエンザがメインでしたけれども、今般は新型コロナ以外の様々な呼吸器感染症も念頭に置いて、対策を準備期、初動期、対応期、この3期に分けまして、複数の感染拡大を念頭に準備期の取組を充実させました。関係機関の間での連携においては様々なレベルで求められる連携、国と都道府県、都道府県と市町村、また、国立感染症研究所と地方衛生研究所、保健所、そして、来年4月には国立健康危機管理研究機構(JIHS(ジース):Japan Institute for Health Security)というものを設立いたしますけれども、それらの連携についての記載をいたしました。
広報につきましては、情報の収集、分析、提供、そして共有、またリスクコミュニケーションについて記載を充実させました。医療体制につきましては、今年4月からの改正感染症法を前提に、DXの推進を明記いたしました。ワクチンについては、これまでは備蓄がメインでございましたけれども、研究開発から薬事承認、製造、供給まで一連の取組を記載いたしました。
更に13の対策に横串を刺す五つの横断的視点を記載し、実効性を確保するために、実施状況の毎年度フォローアップに加え、おおむね6年ごとに改定する、このことを盛り込んだわけであります。閣議決定を踏まえ、政府行動計画の実効性を高めるために、平時からの実効性のある訓練の実施、また、国民の理解を得るための丁寧な周知・広報、都道府県行動計画の策定支援をはじめ、国・地方の連携、また、職員が平時・有事に対応するために必要な事務的手引き、ガイドラインの作成などの取組を進めてまいりたいと思います。
引き続き、次なる感染症危機への対応について万全を期してまいりたいと思っております。私からは以上です。
2.質疑応答
- (問)昨日、GDPの改定値が発表されました。直近の1-3月期の実質成長率などが下方修正されています。大臣は、5月のGDPの1次速報の際には自動車の不正などを念頭に、景気の動き以外の特殊要因もある、それから、好調な企業業績を背景に緩やかな景気回復を期待するというコメントを出されていましたが、今回出ている結果は当時よりも悪い数字になっています。改めて景気認識を教えていただきたいのと、今回の結果を受けて何か特別な政策対応などを検討するのかという考えもあわせて教えてください。
- (答)まず、昨日公表されました2024年の1-3月期のGDP2次速報値の改定。これは建設総合統計の改定を反映した結果、公共投資が前期プラス3%からマイナス1.9%と大きく下方改定されたということがございます。そして、その影響によって実質GDPの成長率は前期比マイナス0.5%からマイナス0.7%になったということでございます。
このGDPの改定でございますけれども、2024年の1-3月期のGDPについては、景気の動きによるものとは言えない、特殊要因の影響もあるということをこれまでも申し上げてまいりました。令和6年度の能登半島地震の影響、更には、一部自動車メーカーの生産・出荷停止事案の影響で個人消費が減少するなど、様々な影響が出たわけであります。また、輸出についても、前期のサービス輸出の大幅増の反動もあったということがあるのではないかと思います。
しかし、これは2024年の1-3月期のことでございまして、現下、今の景気の状況で言えば、月例経済報告等でも出しましたけれども、経常利益・営業利益ともに過去最高を更新している。また、設備投資は名目で104.3兆円、過去最高水準にございます。投資マインドも堅調で、企業部門の好調さが続いているということがあります。一方で、個人消費については賃金の上昇がまだ物価上昇に追い付いていないことから力強さを欠いているということ。そういったもろもろがございます。
私どもとすれば、今般出しました骨太方針2024に基づきまして、物価上昇を上回る賃金上昇の実現、官民連携の投資による社会課題解決と生産性向上に取り組んでまいりたいと思っておりますし、何よりも春闘の素晴らしい結果、力強い賃上げの動き、これを中小企業や全国津々浦々にどうやって波及させていくか、実現させていくかということが重要でございますし、それを定着させていかなくてはならない。これが大きな目標です。
今回の流れを来年以降の賃上げにつなげていく、定着させる、これが非常に重要だと思っております。その意味においても、賃上げ税制の拡充、中小企業の省力化投資のカタログ式の補助金とか、価格転嫁対策、こういったものを進めていきたいと思っております。
最後に、1月に令和6年度の政府経済見通しを出しております。私どもが1月に閣議決定をした令和6年度の政府経済見通しは、2023年の7-9月期のGDP2次速報値を基にして推計しておりますので、今回の改定の影響はほとんど受けていないと、このように承知しております。
そして、この夏に内閣府の年央試算を公表予定でございますが、現下、足下の経済動向、各種の政策効果、更には様々な要素を検討しながら本年度及び来年度の経済の姿を示していきたいと考えているわけです。 - (問)改定された新型インフルエンザ等対策政府行動計画についてお伺いします。今回、13年ぶりの抜本的な改定ということで、改定の意義を改めてお願いしたいのと、あと、実効性を高めていくために国民に対してどのように周知をしていかれるか。また、今後策定されるガイドラインについても、策定のめどであったり、どのように策定されていかれるか教えてください。
- (答)今回、10年ぶりに抜本的な改定を行って、しかも非常に精力的な作業を行ったと思っております。私自身も大半の推進会議に出て、委員の皆様と意見交換をしながら、また、御提案もさせていただきました。その中で、外形的な量が増えたからということが全てではないのですが、しかし、私どもでいろいろ考えた結果、項目が倍、6項目から13項目になりました。そして、結果として分量も90ページから200ページを超える内容になったというのは、それだけやはりこれまでのコロナとの戦い、そうした経験を踏まえて、また次に備える危機感と、それから、いざという時にどうやって実践的なものにしていくかと、こういう問題意識から充実した内容になったと思っています。
そして何よりも、平時の備えがとても重要です。そして、その平時の備えを有事になった時にスムーズに移行させることが重要で、平時に使っていないものが突如有事には使えないのです。ですから、私は「平時の便利、有事の安心」、こういうことを申し上げたことがございますけれども、そういう中で、まずは実効性のある訓練を実施しようということで、既に第1回から全47都道府県に御参加いただいた政府の訓練をやりました。各県はそれぞれの自分の地域の市町村との連携だとか、県内のまた別途の訓練を組み合わせて、そして国と一緒にやる訓練に合わせてくれました。様々な工夫がなされています。
また、国立感染症研究所と地方衛生研究所との連携や、保健所の連携もとても重要なのです。これも保健所設置市の保健所と県の所管の保健所とを連携させなければいけないことは前回も指摘されておりまして、そういったものをそもそも実効性のある平時の連携と、それを有事に移行させていくといったものを入れました。
それから、これまで自治体で何々方式といって、それぞれの地域でとても工夫をして、良いことがたくさんあります。ですから、そういう優良事例の全国展開、こうしたものを積極的に紹介をしていきたいと思っております。情報をリアルタイムで共有し、また、分析し、発信すると。これにはDXが欠かせないということで、特に今回、感染症関連の対策についてのDX、これをしっかりと充実させるべきだと。これはうたい込みましたし、私としても、一連の政府が進めるDXの一環として、ここは是非強化したいということで力を入れていきたいと思っております。
また、国民の理解を得るという意味においては、丁寧な広報活動、そして、リスクコミュニケーションという様々な情報があると。それをどうやってそれぞれの御自身が受け止めて、自分が対策を打つかと。こういうようなものをきちんと理解できるような、また、判断できるような状況をつくっていきたいということが書かれております。
そして、これらを実際に今後進めていくにおいては、この行動計画に基づいたガイドラインを作っていくことにいたします。これは国・地方の職員が有事に際して対処するためにとても必要なものだと思っておりますが、まず専門家による会議を行って、案を作っていただいて、それを推進会議で議論し、その上で決めていきたいと思っておりますし、できるだけ速やかに整備できるように努めていきたいと考えているわけです。 - (問)今の質問に関連しまして、補足的にお伺いしたいのですけれども、今回19万件のパブリックコメントがあったということで、非常に関心が高いなというところで、ワクチンの接種とか、政府の偽情報・誤情報対策に対する懸念の声もあったと思うのですけれども、そういった声に対してどのように説明をしていくか。それから、大臣は実践的な訓練が必要だということを強調されていたと思うのですけれども、今後、具体的に何か御予定はあるのか。その2点をお伺いできますでしょうか。
- (答)まず、偽情報・誤情報、この対策は、やはり様々な情報が錯綜しやすい状況がありました。これに対して政府としては、その時に必要に応じて情報を分析したり、また、それに基づいて医学的・科学的見地から政府としての見解を発表してきているということでございます。その情報を国民の皆様と共有することがリスクコミュニケーションにおける重要な役割で、今まで、情報の収集、分析、発信ということだったのです。でも、そこに今回、「共有」という言葉を、あえて四つ目を入れたというのは、有識者会議の意見の中でいただいた意見を反映して作ったものであります。
一方で、偽情報・誤情報を何か政府が一つ一つ調べて、それに対して峻別するのではとか、いろんな自由な情報が妨げられるのかとか、そういうような御懸念が出ていることは承知しておりますけれども、私どもは一貫して、これは政府としてその時に必要な情報を分析して、それに対する科学的・医学的見地からの見解を発表しているということで、全ての情報を、それがいいか悪いか、一つ一つを何か判断して峻別するというようなことではないことも、これまでには何度も説明してきております。皆さんが安心をして、そしてまた必要な情報を自分できちんと判断できるような、そういう状況をつくることが大切ではないかと考えています。 - (問)冒頭のGDPのことで追加でお願いします。今回、国土交通省の統計が大幅に間違っていたということで、それに気付かなかったことについて外部のエコノミストからは、このようなアラートを気付く仕組みが必要ではないかということで、昨日、官房長官もそういった仕組みをとおっしゃっていました。一つ一つは各省のことだと思うのですけれども、国の一番重要な統計であるGDPを司る大臣として、各省とか統計に対して、こういった大きな間違い、修正にならないような何かそういった呼びかけとか、今回のことに関する御所感があったらお願いします。
- (答)公的統計は社会の重要な情報基盤です。ですから、品質向上に向けた取組が重要ですし、その正確性が求められることは言うまでもありません。それから、迅速な対応も重要だと思いますから、その意味において、今般のこういった誤情報は非常に残念だったと思っております。調査対象企業の回答に誤報告があったということが分かっておりますので、そういったものに対して今後どうしたらいいか。これは国土交通省において改善に向けた対策を実施すると承知しております。それは、それぞれの省庁がしっかりと責任を果たしてもらいたいと思います。
(以上)