新藤内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和6年5月31日

(令和6年5月31日(金) 10:21~10:38  於:中央合同庁舎第8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 本日はグローバル・スタートアップ・キャンパスについて、提言を公表いたしましたので、それをご報告いたします。
 私の下で昨年11月に立ち上げましたグローバル・スタートアップ・キャンパス構想に関する有識者会議、この提言を取りまとめ、本日公表することにいたしました。グローバル・スタートアップ・キャンパス(GSC)構想は、我が国の経済の強力な推進エンジンとして、また、日本国内のスタートアップの拠点であるとともに、官民の様々な取組が交わっていく場所だと思いますし、それにあわせて、世界のスタートアップ拠点とつながっていく、グローバル・スタートアップ・ネットワークのハブにしたいと考えております。
 海外のトップ大学や研究機関等と連携いたしまして、海外研究者の滞在環境だとかビジネス環境を向上させるためにも、思い切った規制・制度改革も取り組みたいと思っております。そうした環境を整えた上で、全国各地のスタートアップ推進の取組、民間事業者とも連携を強化することで、我が国のスタートアップ全体のエコシステムを充実・強化させようと考えております。
 有識者会議におきましては、産学官の最前線で活躍する有識者、それから、海外のトップ大学の研究者、海外スタートアップ、VC(ベンチャーキャピタル)、インキュベーションなど、そういった支援者と活発な意見交換を私自身もしてまいりました。また、有識者会議の中でもヒアリングをして、オンラインも含めて海外からの方々にもご参加をいただいたわけであります。
 今回取りまとめいただいた提言においては、GSC構想を具体化する上での指針となる目指すべきミッション、構想に必要な取組の方向性をご提示いただくとともに、今後、様々な論点について構想の具体化を加速すべきであるというご提言をいただいたわけでございます。
 これまで私自身も様々な機会を捉えて、ネットワークを築くため世界各国先進機関との関係性をつくってまいったわけでございますけれども、その中で世界各国が日本の新しい拠点についてとても強い関心を示しております。そうした期待に応えられる施設とすること、また、ハード・ソフト共に世界最先端、最高水準のものを整備する、その構想を取りまとめて、一挙に海外からの投資、海外との交流を強いものにできればと期待をしているわけでございまして、政府の中においても一体的に議論を進めながら、本構想の実現を加速させてまいりたいと考えています。

2.質疑応答

(問)本日、首相官邸で「賃金と物価の好循環に向けた懇談」の初会合があります。この懇談の狙いについて改めてお聞かせください。今年の春闘が賃上げ率が5%台と、33年ぶりの高水準を記録していますが、例えば賃上げ率などで具体的な目標を設定する考えはありますでしょうか。
(答)まず、33年ぶりのとても高い数字、春闘における労使のご努力によって大きな賃上げの流れができていると思っております。一方で、この賃上げの流れを中小企業や全国津々浦々にどうやって波及させていくかがとても重要だと思っています。そうした観点から、過日、いくつかの業界にお越しいただいて、中小企業の皆さんと実際の現場で価格転嫁がどのように進んでいるのか、また、賃上げに対する動きはどのように今お感じになっているかというような懇談をいたしました。
 その結果を経済財政諮問会議に報告するとともに、それを受けて、本日は重層的な取引構造を持つ業界の大手企業の方々においでいただきます。そして今、私たちが考えている構造的賃上げの実現、それはまず価格転嫁やそれぞれの業界慣行も含めた整備、こういったものに加えて、それを来年度も続けていく、持続可能なものにするためには今後どのような取組が必要かという観点で、本日は大手の企業の皆さん、経営者の方々においでいただくということでございます。
 賃上げの水準はどの程度かというご質問ですけれども、これはあくまで安定的、適切な物価上昇が起きて、それを上回る賃上げ上昇水準を維持していくこと、これが構造的賃上げと思っております。その中で実際の水準については労使の交渉がございますし、現場における状況、様々な経済状況においてそれは設定されていくのではないかと考えています。
(問)提言を取りまとめられたグローバル・スタートアップ・キャンパスについてお聞きします。この提言で、構想の加速化を求められているということですが、例えばこちらに書いてある、国家戦略特区をはじめ大胆な規制・制度の活用とか、こういった点を具体化していくというのは、いつ頃までに進めていこうとお考えなのか。また、今回、MITをはじめとする海外との連携ということなんですが、海外研究者を招いたり、起業家を招いたり、そういう点、どのように今後国際発信とかアピールをしていこうとお考えでしょうか。
(答)まず構想の取りまとめ提言の中で今後行うべき項目をいくつか整理させていただいております。それは、フラッグシップ拠点の、まずは施設の建設計画、ハード面について、手法含めて、どのように建設を進めていくかということがございます。それから、施設の維持管理、収支、こういうソフト面も計画を作らなければいけないと思っています。そして、GSCの運営形態や運営手法、これを検討すべしと整理いただきました。
 また、海外の研究者をお招きする際に、滞在の条件だとか、滞在のルールも工夫の余地がございます。例えばスタートアップを日本で立ち上げて起業する際に、今度は財政面とか経営面の環境を様々工夫する余地がまだまだあるわけです。そういったものについて、例えばですが、国家戦略特区の類型にスタートアップというものを入れられないか、それはGSCだけではなくて、そもそもスタートアップを我が国において行う場合に、海外との共同の研究、海外の方々が日本でやる場合に必要なものがあれば、そういったものも整理して、規制改革は織り込めていければという考えもございます。
 そういった具体的なものを取りまとめるべしという整理をいただきましたので、それに沿って進めていくということです。その際、施設が完成する前に、スタートアップはどこでもできるわけです。ですから、先行的な取組としての先行研究、それからフェローシップだとか国際イベント等に出掛けていく。また、経産省などは日本のスタートアップを海外に展開していくといったプロジェクトも進められています。そういうものを使って、日本のスタートアップが官民、そして国と地方が連携して動いていく、その大元にGSCがあるということを大きく国際発信していきたいと思っています。
 また、ここまで作業を重ねてまいりましたので、具体的な手法や中身については可及的速やかに、できるだけ早くまとめて、準備を加速させていきたいと考えています。
(問)最初の質問にあった「賃金と物価の好循環に向けた懇談」のことで確認で伺いたいのですが、今後どのような取組が必要かというのを業界大手から呼んで聞いて考えるということでしたが、具体的にどういう取組が必要なのかというような懇談会の取りまとめみたいなものはいつ頃を想定していて、その具体策はいつ頃から実行したいと考えているのか、タイムスケジュールがあれば教えてください。
(答)今回、懇談会をまず中小企業の皆さんと非公開で、自由な議論ということでやりました。経済財政諮問会議にその中の状況を私から報告いたしました。それから、今回、大手の皆さんを招いて、来年に向けた持続的なものとするための取組についての議論を行います。それらを踏まえたものが骨太方針の中にも反映されていくと考えておりますし、今後の構造的賃上げ実現のための様々な取組の中に反映されていくと考えます。
 懇談会ですので、その取りまとめだとか、何か提言をということではなくて、意見交換をしながらご議論を賜るわけですから、そういったものが今後反映されていくということです。
(問)つまり、今年の骨太にも反映するということでしょうか。
(答)内容によっては反映されるとご理解いただきたいと思います。
(問)今月、約19万件のパブリックコメントが寄せられた新型インフルエンザ等対策政府行動計画改定案について改めてお伺いします。前回の会見で大臣は偽・誤情報対策に関して、「政府機関が一つ一つ情報についてファクトチェックするようなことはない」とおっしゃいました。ただ、コロナ禍では当時の河野太郎内閣府特命担当大臣がこれこれの情報はデマであるという発信を行っていたことや、動画サイトYouTubeの誤情報削除の取組に内閣官房などが協力していたこと、それから、厚生労働省が「新型コロナワクチン広報プロジェクト」なる事業を2021年2月から大手PR会社と提携して実施していたことが分かっています。
 インファクトというメディアがこの事業の契約書の全文を入手しておりまして、この中に「厚労省がファクトチェックを行う」という文言があり、「マスメディアの報道やSNS上の誤情報に対処する」という内容も入っておりました。
 大臣はコロナ禍で厚労省をはじめ政府機関が偽情報対策として行ってきたことを把握されていますでしょうか。ご存じでしたでしょうか。まずその点をお尋ねしたいと思います。
(答)厚生労働省が実施している事業については、それは厚労省の中でご確認されていると思いますけれども、私どもは国民に、できるだけ国民が求める関心の高い、科学的・医学的知見に基づいた情報を常に適切にお届けする、これは政府の使命だと思いますから、その一環として様々なものが行われていたと理解しています。
(問)その関連で、厚労省の事業の実施報告書、3年間で約2700ページを超えているのですが、ほぼ全部不開示、黒塗りになっております。結局何が行われていたのかは分かっておりません。政府行動計画の今回の改定案は平時から偽・誤情報のモニタリング、それを踏まえた対処を行うと盛り込まれているわけですが、その前に、政府機関がこれまで何をやってきたのか、きちんと検証して評価した上でその先に進むというのが本来の在り方ではないかと思いますが、大臣はいかがお考えでしょうか。
(答)私が一貫してお答えをしているのは、いわゆるファクトチェック、一つの個別の事象についてそれを評価して公表するものではなく、世の中いろいろな情報が出てくるわけですから、それを分析したり情報収集するのは当然のことだと思います。それに対して、国民の関心が高いことに関しては政府としての見解を出すと。世の中で出ている情報が違いがあるかどうかは、それはそれぞれの方々にご判断いただくことになるわけで、政府としては適切な、自分たちが知り得る、また分析し得る最善・最適なものを出しているというのは一貫していると思います。
 その中で必要な、例えばYouTubeのお話も、独自にYouTubeのみではなくて、政府が出している広報の一環として政府もYouTubeチャンネルを持っているわけですから、その中で国民に対する情報提供が行われていると私は認識しています。
 それから、情報公開請求については法令にのっとって行われるものですので、厚生労働省で判断しながら法令にのっとって行われていると承知しています。

(以上)