新藤内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和6年5月14日

(令和6年5月14日(火) 10:17~10:57  於:中央合同庁舎第8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 私からご報告がございます。5月14日から18日にかけて米国のワシントン及びボストンに出張いたします。ワシントンDCでは日米経済協議を開催し、大統領経済諮問委員会のバーンスタイン委員長との間で日米両国のマクロ経済動向、経済運営、そしてまた中長期的な成長実現への課題等についての意見交換を行います。また、グズマン中小企業庁長官など、米国要人等との面会も予定をしております。
 さらに、ボストンにおきましてマサチューセッツ工科大学、ハーバード大学の他、スタートアップ拠点であるCIC、ラボセントラルのスタートアップ関連の施設・機関を訪問する予定です。各都市において6機関を訪問し、スタートアップ企業、ベンチャーキャピタル、そしてインキュベーション関係者、アクセラレーターや大学関係者、政府関係者など約20名との面会をしたいと考えております。詳細は事務方よりご報告します。
 もう一つご報告がございます。私の下に「経済財政検討ユニット」、日本の「元気創造」実現のための有識者会議、この2つの私的懇談会を立ち上げておりますが、その取りまとめの報告書を公表することにいたしました。
 まず、「経済財政検討ユニット」では、大学教授や民間シンクタンクの研究員が中心となって、「希望を創り、ともに実現する日本」を取り戻し、豊かさと幸せを実感できる経済社会の実現に向けて、それぞれの専門的知見を活かす形で、具体的な制度改革等の「5つのシンボルプロジェクト」を提示しております。
 それから、日本の「元気創造」実現のための有識者会議の報告書は、民間シンクタンクに委託して取りまとめたものですが、中長期に日本の目指す姿を示す中で、新技術の社会実装に向けた制度改革等について、企業の経営者や各界の有識者からのヒアリングも行い、「世界一暮らしやすい国、世界一働きやすい国へ」、これをビジョンに「時代を切り拓く七本槍」を提示しました。
 健康・医療、リスキリング、教育、地方活性化など、分野ごとの政策課題に対する提案に加え、いずれの分野でも新技術を徹底して社会実装することを基本に置き、それを支えるスタートアップネットワークなどの新しい経済の推進エンジンを実現すべきとの示唆をここで示しております。
 いずれも中長期の在るべき経済社会を実現していく上での有意義な提案だと考えております。すぐに反映できるものと、実現に向けて一定の議論が必要なものと、さまざまな段階のものがございます。主な提案については、経済財政諮問会議の民間議員や関係省庁にもお示しし、関係省庁とは意見交換した上で、民間議員の提案等に取り入れていただいたり、関係大臣に参画いただく形での諮問会議における中長期的な課題の議論に活用したりしているところです。今後、諮問会議での議論等を踏まえて、その成果の一部については「骨太の方針2024」に反映していきたいと考えています。私からは以上です。

2.質疑応答

(問)日銀が昨日、国債の買い入れ減額をしましたけれども、これに対しての大臣のお考えをお聞かせください。
(答)日銀の日々のオペレーションについて私からコメントすることは控えますけれども、日銀においては、これまでとおおむね同程度の金額で長期国債の買い入れを継続する、この方針に沿ってオペレーションが行われていると理解しております。
 日銀には引き続き政府と密接に連携を図りながら、物価安定目標の持続的、安定的な実現に向けて適切な運営を行うことを期待しております。
(問)大臣からお話のありました「経済財政検討ユニット」及び「日本の『元気創造』実現のための有識者会議」の報告書、この両報告書の関係と、それぞれの意義付けの違いがあれば教えてください。また、特に重要な点が大臣としてどこにあるかをお伺いできればと思います。
(答)まず、「経済財政検討ユニット」は、専門家、研究者や民間企業の方を含めて、専門の皆様にメンバーになっていただき、その方たちと私が何回にもわたってテーマごとに議論をしました。テーマ出しからみんなで何をやるべきかというブレストを行い、その中で議論を行って、具体的な策や提案を示してきたものです。
 「元気創造」実現のための有識者会議は、民間のシンクタンクに委託し、私も参加して中長期の課題についての総括的な方針をまず打ち立てて、その方針を基に有識者のヒアリングを行って、「元気創造」実現の会議において、各界の有識者にまた議論に入っていただいたわけです。そして、示したテーマについての深堀りを行った上で最終的な取りまとめを行ったということです。
 役割をそれぞれ分けながら、これから新しい経済のステージをつくることを私たちは目標に掲げています。当面の対策は、経済対策をはじめとして着々と進めていますが、その先にある日本の実現可能性のある、在るべき姿を打ち出しながら、バックキャストしての作業も併せて行ってきたということでございます。
 例えば、中長期の経済社会といいながらも、まず今、速やかに進めなければいけないもの、「地域活力の創生」は待ったなしのところです。その中において、広域的な都市圏、これを各市町村がコンパクトシティーというものをうたっていますけれども、そのコンパクト化を広域的な観点で見直していく必要があるのではないか、広域自治圏というものを再設定する必要があるという提案は、非常に重要だと思っています。
 それから、地域経営、地方の行財政をいかに自立させるかという意味において、自立した地域経営主体の育成だとか、自律分散型インフラ、こういったものを活用していこうとか、こういう具体的な提案をいただきました。
 それから、「先端技術実装と競争力強化」という観点から、それぞれの地域にある交通不便、医療や教育に関する社会的な課題とそれを解決するための新技術、これのマッチング機会をいかに拡大させるか、スタートアップを育成していき、それを力強いものにするための一つの要素として公共調達というのが非常に重要だということ、これを私たちは議論いたしました。そのための具体的な支援策を検討してはどうかという提案もいただきましたし、それから、そもそも起業家精神と言いましょうか、社会的な課題を解決しながら、自分が社会にいかに貢献するかというアントレプレナーシップの教育、こういったものを改めてさらに根付けるようにしてはどうかなどといった提案をいただいております。これらについては、経済財政諮問会議における民間議員の提案に受け入れていただいた中で、経済財政諮問会議でも議論していきたいと考えております。
 さらに、これまでの経済財政諮問会議の中でも議論してまいりましたリスキリングを全世代にわたって、もっと徹底的に進めていこうであるとか、保険者の機能とかコラボヘルスといった健康医療の抜本強化、若年期からの全世代型健康診断、このような必要性についても取り上げて議論をしていきたい。
 今後こうした議論については、もちろん各省との調整もありますし、方向性を絞り込んでいく中で、骨太方針等にしっかりと反映できるようにしたいと考えています。
(問)「経済財政検討ユニット」から提言があった革新的新事業庁(仮称)についてお伺いします。この組織はどういったことを担当するもので、既存の組織とどう違うのか、現時点でのイメージをお伺いします。
(答)世界で戦えるスタートアップ、これを多数生み出せる国にしようと、そのために今のスタートアップ、日本のスタートアップをさらに大きく、世界と交わるものにしていこうと考えています。
 既にスタートアップは新しい資本主義の下にもありますし、経済産業省にもあります。それから、厚生労働省にもありますし、文部科学省でもそれぞれの分野においてスタートアップを育成しているわけです。それから私の下でグローバル・スタートアップ・キャンパスも推進しています。ですから、それぞれ分担をしながら深堀りしているわけですが、これらを連携させるスタートアップ政策の司令塔が必要だということが今回の提案です。「革新的新事業庁」、これは仮称ですが、正式に役所をつくるのかどうかということよりも、まずは司令塔としていかに有機的に連携させるのかということが重要なので、その提案ということです。
 今後、組織をつくるかどうかではなくて、そもそもスタートアップを有機的に、さらに世界と交わる中で、日本の経済を新たな活力を生み出すエンジンとして動かしていくためにどのような取組が必要か、その観点から検討を進めていきたいと考えています。
(問)15日に日米経済協議、16日からボストンを訪問されて、スタートアップ拠点等を訪問されるということですけれども、今回の外遊の狙いと期待されている成果を教えてください。
(答)まず、先般、ゴールデンウイークを活用して、パリでOECDの閣僚理事会がございました。そこの中で私はセッション1の議長を務めたわけですが、そのテーマに設定したのが、持続可能な、そして社会課題を解決していく中でいかに経済を成長させていくか、ということです。それは今まさに日本が進むべき新しい経済の姿の方向性を示しています。
 OECDの中で日本がこれからどう転換していくかということを皆さんにお伝えしてまいりましたし、イギリスではアジアハウスという所で、閣僚として初めて講演をしてまいりました。今回はアメリカ合衆国の経済閣僚と話をし、日本の経済政策の方向性を説明しながら、日米の共通理解を得たいという思いがございます。そして、日本への関心をさらに高めて、投資、また、経済連携、これは岸田総理が前回訪米されて大きな枠をつくっていただきましたから、それを進めるための一助とするということを考えております。
 スタートアップの世界の最も先進的な取組を行っているのがMITであり、ハーバードです。その二つの大学を訪れて、日本が進めているスタートアップ、そしてグローバル・スタートアップ・キャンパス、この構想の中身を担当大臣として直接大学関係者と話をしながら今後のスタートアップにおける日米連携の道筋をつくっていきたいと思っております。
 そして、私は1月にダボス会議の機会を利用して、その前後にイギリス、スイス、イタリアとスタートアップの協議をしてまいりました。先日はフランス、さらにイギリスでは、ケンブリッジとエジンバラという二つの大きな大学と連携をしてまいりました。インペリアル・カレッジ・ロンドンでは具体的なスタートアップの連携の話が進んでいます。そして、フィンランドも含めて、スタートアップはそれぞれの国で一生懸命に支援をしていますけれども、世界的なスタートアップのハブが必要だと思っています。
 これから日本でつくるスタートアップは、私たちの国の中の可能性を引き出すものであるとともに、世界中の可能性を引き込み、また、私たちが世界に出ていく、スタートアップで密接に世界中が連携できる、その中の大きな拠点、ハブとして位置付けたらどうかという構想があります。それらの集大成としてのアメリカ出張であり、さらにはヨーロッパ中の各地、今後またアジアやその他の地域にもこの動きは伝えていきたいと思ってますし、折に触れてまたそういった出張も企画したいと考えています。
(問)話題が戻ってしまいますが、二つの懇談会の提言については骨太方針に反映させて生かしていくということだったと思いますけれども、どういったものをどういうふうに生かしていきたいかの現時点でのお考えを教えていただけますでしょうか。
(答)まず、この二つの私的懇談会に通底しているのは、新しい経済の姿をつくるということ。それには新技術の徹底した社会実装が必要で、それにより社会課題を解決しながら経済も成長していくことができ、少子高齢化であっても、人口減少の国であっても、工夫をすれば力強く私たちはさらに成長していけると。そのための具体的な施策であり、国民の意識を変えていく、そういう仕掛けが必要だということで、それぞれ二つの提言がまとまっているわけであります。
 これは、いかに新技術を実装させるか。それにはスタートアップを実業化させるということが重要であり、そのための仕組み、まずこれが根っこにあります。それから、地方が抱える課題は、まず自立をどうやって実現していくのかということ。インフラや広域的な自治というものが実現可能な範囲を定める中で、それぞれの地区で、例えば交通不便であればそこに自動運転やドローンの物流を入れていけばいいし、教育や医療が苦しくなってきたということであるならば、それは医療DXや教育DXを使ってそこを埋めていく。そして、新たな雇用の場をつくりながら二地域居住といったものも活用して、地域の活性化を促していこうと。
 一番大元にあるのは、エネルギーをどうやって確保しておくかということがとても重要ですから、GXを活用しながら、自律分散型のエネルギー供給体制、これをその地域におけるエネルギーの経営体をつくって、経済行為につなげた上で、そこの地域を維持しながら、そこから経済循環を生み出していく、こういうことができないかという提言をいただきました。
 さらには今、日本人は世界で最も長命であって、かつ、最も元気な健康状態を維持しているとされています。その中でさまざまな働き方の改革も必要になってくると思います。長い人生で充実した満足ある暮らしを維持するためには、人生設計に合わせた生活が必要です。その中でリスキリングや働き方の改革、これも思い切った改革ができるのではないかということ。その大前提として、やはり皆さんが健康でいられることによって社会保障制度の負担軽減にもつながってくるわけですから、そのためにも全世代型健康診断とか、こういったものを取り入れていこうというものです。
 一部ではリスキリングは転職者のため、若い人のための制度だという誤解が広がっていて、早く払しょくしたいと考えています。どのような人でもリスキリングはできますし、リスキリングを経た上でジョブ型に移行していく中で自分の望む仕事と報酬というものが維持できるわけです。どのタイミングにおいてもリスキリングをできるようにする必要があります。
 それから今、リスキリングは国が定めた講座を受講すれば、そこに補助金が得られるという仕組みになっていますが、リスキリングの国民会議のようなものをつくって、国民が望む資格の取得とか、リスキリングの講座とか、こういうものも取り入れて、どうすれば皆がリスキリングをきっかけにして自分の人生を、また生活を設計できるのかというような、そういった取組もやってみてはどうかというのが今回のテーマに入っているわけです。
 ですから、今まで行われていることを、さらにそこを工夫して、そしてまた連携させながら、新技術をそこに入れることで効率良く行政を執行するというのが通底したところであり、これらはいろいろなところ、骨太方針に今までも盛り込んできましたけれども、具体的な、より促進策として入れ込んだということです。もとより宇宙や海洋、医療、環境、こういう分野は思い切ったてこ入れによって大きな経済ができるという分野でもありますから、これらの施策がより加速されるような、そういったものに活用していきたいと考えています。
(問)前回に引き続き、新型インフルエンザ等対策政府行動計画についてお尋ねしたいと思います。前回、大臣にお伺いしたときに、19万件のパブリックコメントがあり、6月をめどに閣議決定する方向であるというお考えが示されました。ただ、調べてみますと、当初、新型インフルエンザ等推進会議の第1回の会議の時点では、この行動計画案を示すのは6月頃。そして、夏までに改定をしたいというスケジュールが出ていたと伺ってます。当時は後藤大臣だったと思いますけれども、このスケジュールよりも前倒しになっているのではないかという気がします。4月24日に案が出ましたので、もともと6月に案を出すという予定が約2か月前倒しになっています。なぜこのような前倒しになっているのかお聞かせいただけますでしょうか。
(答)私はそれが前倒しというふうには考えておりません。また、非常に言葉をきちんと説明しながら、注意深くご理解いただきたいなと思っておりますけれども、もともとの私どものお示ししてきておりましたのは、6月頃に改定案を取りまとめると。今ご指摘されたのは4月の末に出しましたのが素案です。ですから、推進会議に対して素案を出して、そしてそれをパブリックコメントをかけながら、また最終調整をして、6月ぐらいには改定案を取りまとめるということで動いているわけです。ですから、今までのお示ししたスケジュールの中で動いているというようにご理解いただきたいと思います。
 その上で改定案が、有識者会議で最終的な議論をして取りまとめられましたら、その上で今度は与党の政策調整プロセスや事務的な手続きに入ってまいります。それが終了すれば速やかに閣議決定という運びになるので、恐らく今の形で行くと6月ぐらいには改定案の取りまとめができるかなと考えております。そこから必要な事務手続きを経て、与党の調整プロセスに入った上で閣議決定を、これは手続きとして進めていくということでありまして、従来の方針の中で着々と進んでいると、このようにご理解いただきたいと思います。
(問)分かりました。ただ、今回、素案に対してですけれども、19万件もの国民からの意見提出がありました。これを大臣も確か一件一件ちゃんと精査をして取りまとめるとおっしゃっておりました。反映すべきところは反映するということかと思いますが、19万件ものパブリックコメントを読んで、事務方が取りまとめる。これを1か月でやれますかということなんです。これはちょっと計算しただけでもものすごく時間のかかる作業だと思います。異例の数のパブリックコメントを受けて、スケジュールどおり6月までに最終案を固めて閣議決定に行くという、そのお考えは変わらないでしょうか。
(答)先に閣議決定の時期を決めて、そこから逆算して作業しているわけではありません。今おっしゃったように19万件のパブコメをいただきました。これをきちんと精査する必要があると思っています。これを踏まえた上で、その結果を反映したものをまた推進会議にお諮りして、そして改定案が決まり、あとは事務的な手続きで閣議決定まで行くという説明をしました。ですから、まずその作業をしっかりやるということが重要だと思っています。何月末にというのは、あくまで我々は目安として目標を掲げているところです。
 19万件ものコメントをいただきましたので、中には同じ文章で、同じ趣旨のものが含まれていると。ですから、それらは同じ内容であればすぐにカテゴリーが分けられるわけですから、その内訳というものをきちんと精査した上で丁寧に対応していきたいと考えています。
(問)6月に案を取りまとめる方向は変わらないということですけれども、そうしますと、今のスケジュールですと、推進会議と有識者会議に最終案を諮るのは6月になると思うのですが、6月に最終案を推進会議の委員の皆さんに示すと、そこからまた議論をするということになるのではないかと思います。本当は何回か、2、3回ぐらいでもきちんと会議を重ねて議論した上で、また推進会議の委員の皆さんの意見もあると思います。そういうこともなく1回だけで、6月で最終決着というふうに、スケジュールがあらかじめ決まっているように思われるのできちんとじっくりと進めていただきたいと思います。
 コロナは、3年間国民が大変な思いをしました。コロナについてはいろいろな考え方がありますが、今回の3年間の取組については非常に不満も強いと思います。なぜここまで大変な思いをさせられたのだという方々も少なくない。そういった中で1回の推進会議で最終案取りまとめで決着しますという、本当にそういう流れでいいのかということは、ここですぐにお答えはできないかもしれませんが、スケジュールありきではないということをお聞きしてよろしいでしょうか。
(答)もちろんです。全国民がコロナで本当に苦しい目にあったわけです。そして、まさかここまでと思うほどの社会的な縮小まで経験しました。それから、コロナによってたくさんの方が命を落としてしまったし、本当に残念な思いがございます。ですから、それらの思いが今まだ残っている中で、有識者の皆さんが推進会議の中で一生懸命に議論をしていただきました。私も自由に、いろいろな意見を出してくださいという中で、本当に濃密な議論をしてまいりましたし、私自身も幾つかの項目を提案させていただきました。
 それから、各県知事さんや市長さんや自治体の方々も本当に思いがあるわけです。そういう思いを受け止めながら、それらを反映した、次に来てほしくはないけれどもいつか来るかもしれないものに備えようということで決める行動計画ですから、これをさまざまな方面、いろいろな角度から検討していくのは当然のことですし、それだけの作業量をやってきたと思っています。
 短い期間に各地域から、また各界から専門の皆さんに集まっていただくのもかなり他のスケジュールをやりくりして、こちらを優先していただかないと来られないような頻度でもって会議を開催してきたわけです。項目も増やしましたし、結果としてページ数は倍を超えているわけです。その中できちんと計画を作るということが重要です。
 もちろん常に計画は計画であって、それをどうやって実際に運用展開していくかということは出てきます。だけれども、そういうものは可能な限りのことを想定しながら、いろいろな懸念があるのも踏まえた上で計画を定めていく。そして常にそれのブラッシュアップも同時にしていく。こういうことが必要だと思っています。
 今回のことは、はじめにいつまでに決めるということではなく、作業の結果です。ただ、これは今、本来2013年に策定をして、2017年に一度一部改定をしたきり、大元の計画が古いままになっているわけですから、ここは速やかに国として体制を整える必要があると思っています。
 そういった意味で非常に委員各位のご協力・ご理解を得ながら、我々事務方も最大限の作業をした中で急ピッチで作業を進める、その結果で中身がきちんと検討できたならば、それはお示ししながら手続きを進めていくということです。皆さんからいつ決めるんだと言われると、それに対し役所が「このぐらいに」と言うので、それが前提となって作業しているかのように聞こえてしまうのですけれども、作業は逆です。ここはきちんと私どもも中身を見た上で、そして今回のパブコメを含めて意見を分析し、反映したもので、それをやはり専門の方々にお示しをして、取りまとめがどういう形で行われるかは推進会議のほうに委ねることになるわけですから、そこでの結論を待ちたいと考えています。
(問)今の大臣のお考え非常によく分かりました。推進会議に最終的に意見を聞いてということだと思います。今まで議論を重ねてきたことも議事録が公開されてますのでよく承知をしております。
 ただ、これで本当に十分にコロナの検証ができたのか、徹底的に問題点を洗い出せたのかということについては正直甚だ疑問があります。一例を挙げれば、私は本職は弁護士です。法律家がほとんど入ってないのですね。これだけ法律の問題が係わる事態が発生しました。法律が機能しなかった面もあります。そういったことについて法律家の意見はほとんど聞く機会がない。弁護士さんが1人、推進会議に入っていらっしゃいますけれども、そういった状態です。感染症の専門家の方が多いのですね。
 しかも、推進会議、今、15人の方が任命されてますけれども、非常に少ないですね。法律上は35人が定員です。なぜ15人しか任命されていないのか。これだけ多分野に影響をもたらす感染症危機の問題に対して15名の委員しか任命されていません。今までの改定作業、私も調べましたけれども、35人、あるいは40人ぐらい選任されていました。今回15人だけで、定員の半分以下の人数で議論されています。果たしてそれだけで十分専門家の意見を聞いたと言えるのか。もっと多くの専門家の人たちに入ってもらって、本当にこれがよかったのかどうかをきちんと検証しないといけないと思うのですが。
 改定しなければならないというのは分かります。これは10年前のものだから、改定しなければならないのは分かるのですが、きちんと検証しないまま改定すると、またこれが今後10年以上有効な行動計画になっていく、これがスタンダードになるわけですよね。今後、閣議決定されればこれがスタンダードになってしまうわけですから、それがまた、僕は禍根を残す可能性が十分あると。
 また同じこと、行動制限を繰り返す内容になっています。私が見る限り、もっと行動制限をかける可能性も十分残った内容になってしまっていますので、ここはよくいろいろな専門家の方にもっと意見を聞いて、慎重に議論を進めたほうがいいのではないかと思います。
(答)はい。そういうご心配、常にいろいろな意見がありますから、ぜひそれは出していただければいいのではないかなと思います。その上で、私どもとすれば、やはり政府として一つの計画というものは常に最新なものにしておく必要があるわけですから、この作業を粛々と進めていくというのは大前提にあります。
 その上で、今ご指摘の15人の委員メンバーと。これはコロナが5類に変わったところで、35人から15人にしたのです。感染症有事、まさにまん延の事態では分科会をつくって、その分科会が運営する形でやっておりました。ですから、そのときに必要な専門家、専門領域であっても同じ専門の領域の中に何人もの方が入っていただいて、それから、さまざまな分野の方も、その他の災害時の対策だとか報道だとか、そういうのも細かな人たちが入って35人で四つの分科会をつくって運営してきたわけです。
 これが5類に移行した時点で、それを総括的に15人という形にいたしました。ですから、やはり感染症も有事と平時があるわけですから、そういう体制の中で、今回は5類になったところで、今の状態をつくり、そこで今までのものを総括して議論をしてきたというふうに理解をしていただきたいんですね。
(問)大臣、一つ、ファクトは確認していただきたいと思うのですが、2013年の現行の計画を作ったとき、そのときは有事が終わっていましたが、民主党政権だったか、そのときは30人の有識者会議で現行の案を作ってます。
 今は特措法で35人の定員があるわけですから、別に15人に減らす、今は有事じゃない、平時になったから15人だけで議論していいというのも何か少しどうかなと思います。これだけ大きな問題ですから、やはりもっといろいろな分野の専門家に聞いて、きちんと反映していくことをしていかないと、これだけ19万人のパブリックコメントが来るというような事態になっているかと思います。そこをじっくりとスケジュールありきではない議論をしていただければなと思います。
(答)はい。それはご意見と受け止めます。そして、委員会の委員、会議の委員の設定については、これはいろいろな総合的見地から、また、総合的な検討ができるような体制を整えた結果だというふうに認識をしておりますし、しっかりと作業をしなければいけないと考えています。

(以上)