新藤内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和6年5月9日

(令和6年5月9日(木) 19:00~19:09  於:中央合同庁舎第8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 まず出張のご報告をさせていただきます。4月28日から5月6日にかけて、OECDの閣僚理事会に出席いたしました。併せて、先端技術スタートアップ関連の視察を行うために、英国、フランス、フィンランドに行ってまいりました。
 今回の出張の目的は大きく2点です。1点目は、日本の経済政策を対外的に発信することで、国際社会から日本への関心、投資意欲を高めるとともに、関係各国との信頼関係を構築・強化すること。2点目は、各国のスタートアップ関係者とのネットワークを構築して、日本のスタートアップ政策との連携を図る、そのためのさまざまな投げかけを行ってきたということです。
 OECDの閣僚理事会においては私がセッション1の議長を務めました。セッション1のテーマは、政府が掲げる新しい資本主義、すなわち社会課題の解決を成長のエンジンに転換することとその重要性についてです。各国、討論・議論を行いまして、共通認識とすることができたというふうに考えております。このセッションでは実に43名の参加者が発言を行い、日本のOECD加盟60周年という節目の年に、日本が議長として円満かつ楽しい雰囲気の中で会議運営できたこと、これはOECDに対する日本の貢献をアピールする意味でも良かったのではないかと考えています。
 また、フランスでは、スイス、ニュージーランド、コスタリカ、オランダの閣僚との間でスタートアップ・イノベーション・エコシステム、さらにはCPTPPの今後の課題や展開について、直接顔を合わせ対話をすることで、2国間での協力について改めて確認するとともに、それぞれの閣僚と信頼関係が作られたのではないかと思っています。
 そして、スタートアップですが、世界的に特色あるスタートアップ創出環境を形成している英国、これはケンブリッジですとか、前回に続きましてインペリアル・カレッジ・ロンドン、この学長ともお会いをして、極めて有意義な協議を行いました。それから、フランス、フィンランドでスタートアップの関係者と意見交換をしました。17の機関を訪問し、スタートアップ企業やベンチャーキャピタル、インキュベーション関係者、アクセラレーター、大学関係者など、約40名の皆さんとの意見交換をしてきました。
 世界各国が独自の工夫をして、スタートアップは動いているわけですけれども、国によってそれぞれやり方が違います。ですから、こういったものを認識するとともに、私は、新しく造る日本の拠点は世界との交わりを作る、世界とのネットワークを構築する、そういうスタートアップ拠点にしたいと思っています。今後、さまざまな投げかけの中で、具体的にそれぞれ訪れた機関・大学とも連携を図っていきたいと考えております。
 今回の出張の成果につきましては、今、具体化を進めておりますグローバル・スタートアップ・キャンパス構想、これをはじめとして、今後の政策運営にしっかり活かしていきたいと考えております。
 次に、本日は新しい資本主義実現会議を開催いたしました。議題は労働市場改革及び労働移動の円滑化、そして資産運用立国について議論を行いました。これまでの我が国の賃金は若い世代の賃金が低く、終身雇用に対する考え方も急速に変化しております。日本企業の競争力維持のために、ジョブ型人事の導入が求められております。
 他方で、日本企業といっても千差万別であり、自社のスタイルに合った制度を各社が検討できることが大切だというような意見交換をいたしました。このため、多数の企業事例を集めたジョブ型人事指針をこの夏には公表したいと考えております。また、1人当たりの労働生産性は中小企業の伸びが停滞しているということが指摘されました。省力化投資について各省庁において具体的プランを検討し、政府を挙げた支援の加速についてご意見を頂戴しました。
 また、資産運用立国についてはアセットオーナー・プリンシプルを今年の夏に策定したいと思っています。総理からは、新しい資本主義の実行計画の改訂に向けて議論を加速するよう指示がありました。私からは以上です。

2.質疑応答

(問)総理からジョブ型人事指針を夏に公表するという発言がありました。改めてこのタイミングで公表する狙いと、目的、背景を教えてください。
(答)まず、令和5年の6月に閣議決定をした新しい資本主義の2023年改訂版、これにおきまして、多様なモデルを示すため、年内に個々の企業が具体的に参考にできるよう、事例集を取りまとめるということは決定しています。これに従って、分科会において作業してきたところです。個々の企業の事例の内容に立ち入るために、内容の把握と、これを開示するための調整に時間がかかり、この夏の公表ということにしたいと考えています。
 日本企業といっても千差万別で、自社のスタイルに合った制度、これを各社が検討できることが大切だと思っています。ジョブ型人事を設定は、そのジョブ型に合ったスキルを身に付けるためのリスキリングとセットになると思いますし、さらには省人化投資、こういったものを加えて企業の収益力を高めていく、そのことが結果として構造的賃上げの持続につながっていくと考えます。ジョブ型人事については非常にノウハウが必要だと思いますので、しっかりと取り組んでいきたいと考えています。
(問)ジョブ型人事指針の公表が夏に控えているということですが、主に民間企業を対象に想定してると思います。一方、国・地方も含めて、行政も非常にジョブ型が遅れているメンバーシップ型の雇用だと思いますが、そこへの取組は考えていますでしょうか。
(答)ジョブ型人事では業務内容を設定して、それに応じた給与や待遇を決めていくことになります。ですから、その意味において、政府でも一部では必要な知識経験を持つ民間の方を採用することも含めて、そういったことは進めてきていると思っています。
 何よりも民間の会社の運営に当たって、ジョブ型人事というものを、いかにイメージを皆さんで持っていただくか。それぞれ工夫するにしても、こういう形で進められるのではないかということ、これをまずしっかりと定着して進めていきたいと思っています。並行して、政府や行政機関におけるジョブ型人事というものを今後も検討していかなければいけないと考えています。

(以上)