新藤内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和6年4月9日

(令和6年4月9日(火) 9:26~9:35  於:中央合同庁舎第8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 (冒頭発言なし)

2.質疑応答

(問)内閣府が5日に公表した2月の景気動向指数で、景気の基調判断をこれまでの「足踏み」から「下方への局面変化」に修正しました。この結果についての受け止めと、現状の景気認識について教えてください。
(答)先週公表された2月の景気動向指数では、一部、自動車メーカーの生産・出荷停止の影響がございました。それに加えて輸出が減少したことにより、一致指数が1.2ポイント低下したわけであります。この基調判断はあらかじめ決められた基準で機械的に当てはめることになっておりますので、その結果、「下方への局面変化」となったと承知をしております。
 政府としての景気判断は、月例経済報告においてお示しをしているわけであります。景気動向指数に加えて、さまざまな経済統計、また、ビッグデータを含む指標の動向、そして、その背景にある経済環境、企業の景況感、こうしたものを総合的に勘案して基調判断をしているわけであります。最新の景気判断は今月4月の月例経済報告においてお示しをしたいと考えております。
(問)デフレ脱却宣言についてお伺いします。前回2日の経済財政諮問会議で民間議員の中空さんが投資家を中心に50人ぐらいにアンケートを採った結果として、「宣言をしたほうがいい」という意見が大半だったこと、時期についても、「早いほうがいい」、「4月がいい」との意見が大勢だったことを紹介しています。
 大臣、この結果について同じ考えなのかも含めて受け止めをお伺いできますでしょうか。
(答)デフレの脱却をどのように判断するか。それは、私どもとすれば、度々申し上げておりますように、逆に戻らないこと、このまま持続的に力強い民需主導の自律的な経済成長を実現させることが目標です。ですから、それに対して総合的な幅広い角度からの検討を行う中で、新しい経済のステージに移りましょうということが重要なので、そこに移ったところというのは、今までのデフレの経済ではないものになるということであります。
 ですので、われわれとすれば、何かを脱却したというのはその時点であって、大事なことはその先にどんな世界が広がるかを示すためのそういう政策をきちっと打っていきたい、また、環境を整えていきたいと思っているわけです。ですから、その時期だとか、手法については、総合的に、常にそこを注視しながら考えたいと思っています。
 中空さんのご発言は私もその場にご一緒しておりましたから、エコノミストとしてのさまざまな声がある中で、前向きにこの問題を捉えていこうじゃないかという声が強かったというふうには受け止めてますけれども、時期の明示だとか、そういったことまで細かく聞いたわけでもありませんから、そういうエコノミストのご意見として承っているという状態です。
(問)今の関連にもなりますけれども、デフレ脱却宣言をする上で、ポイントというか、非常に注目されているのは賃金と物価の好循環だと思います。先日発表された厚生労働省の実質賃金の統計はいまだにマイナスが過去最長レベルで続いているという結果でした。一方で、その数日前に発表された連合の集計では、例年以上に高い賃上げ率、中小にも広がる兆しという結果が出ています。
 現状、こうした賃金のデータを見て、大臣としては、物価と賃金の好循環が始まりつつある、順調に始まる、もしくは想定以上に進んでいるという認識か、それともやはりまだまだ道半ばという認識か、現状の認識を教えてください。
(答)まず、春闘の結果は非常に高い数字が示されて、みんなが大きな期待を寄せているところです。この春闘の結果が実際に給料に反映されるようになるのにはこれから数カ月間を要すると。早い所は5月、6月から始まるでしょうし、私もそこは少し注視していますけれども、これまでの例で言うと、賃金の反映はやはり6月、7月、8月、さらにもう少し、本当に最後まで波及するにはそういう状況がございます。
 それから、春闘の結果で大きなものが示されましたから、今度はそれを中小企業の皆さん、そして、全国にいかに波及させるか、そういうことが必要だと思っているわけです。数字を追い求めるためには実績がないと、業績が上がらない限り、また、賃上げをしても自分たちの会社がさらに発展していくと、こういう形を見せることが非常に重要なので、私たちの役割とすれば、やはり賃上げを可能とするための価格転嫁、そのためのさまざまな働き掛けがございます。さらには省力化投資、これによって人手不足であっても、それを解消しつつ業績改善できるような、そういう投資を拡大させようというふうに新しい制度を今、準備して提供しています。
 その設備投資を使いこなす人材、そこにリスキリングをして、新たなスキルを身につけた方がそこの職に就いて、そして、能力にふさわしい給与を得ると。春闘の賃上げは一律の結果です。その裾野を上げていくことと、今度は自分自身の能力を高めて、それにふさわしい給料を得るというジョブ型を組み合わせて、そして、労働市場を流動化させると、これが重要だと思います。
 そういったことを可能にするためには、企業側の経営の考え方、それから、経営者や経営計画を作る幹部の皆さんのそうしたスキルを上げることも必要だと思っています。さまざまな複合的な要素を総合的に投入して、そして、安定的な物価上昇とそれを上回る賃金、これを実現させたいと思っているわけです。
 春闘は非常にいい結果が出ています。それから、今の毎月勤労統計は実質賃金がまだ追い付いていない。ここを出すためには、結局、経済活動を活発化させることによってそれが達成されると思っているわけで、名目賃金は26カ月の連続プラスに来ていますから、これをいかに実質賃金にまで波及させるか。ここを注力していきたいと考えています。
(問)やはり物価と賃金の好循環を見るにはもう少し時間がたってから、もう少し指標が進んでから判断すべきだという考えでしょうか。
(答)今、方向性が見えましたが、それを実際に波及させて、そしてそれぞれのご家庭にそうした賃金が届かなければならないわけで、そのためには4月の春闘の結果はすぐに今月からそのように変わるものではないわけですから、そこをきちんと注意深く見ていきたいと思っています。

(以上)