新藤内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和6年3月8日

(令和6年3月8日(金) 10:04~10:20  於:中央合同庁舎第8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 まず、私のほうから1つご報告がございます。
 このたび、「日本の「元気再生」実現のための有識者会議」の開催をすることにいたしました。
 その目的は、現下の日本経済は正に30年振りのチャンスを迎えている。従来のデフレ思考から脱却して、熱量あふれる新しい経済のステージをつくるために、今、私たちは全力を挙げて取り組んでいるわけであります。
 今、様々な経済対策をはじめとするそうした施策を講じておりますが、その先の日本はどうすべきなのか、そして、これからの日本はどんな可能性を秘めているのか、こうしたことを検討したいと思っています。
 何をすれば日本は元気になるのか。少子高齢化、人口減少にあっても成長していく、そして国民一人ひとりが豊かさ、また自分の幸せ、そういったものを実感できる社会を実現できるのか、中長期的な目標を明確にしながら政策を遂行する。
 特に重要なのは、私たちが向かうべき日本の姿というものをできるだけ多くの方々に共有していただいて、国民が結束してそれに取り組んでいく。要はムーブメントのようなものが幾つかできればいいなと思っているわけであります。そうした議論を行いたいという思いで、今回の会議を設置させていただきました。
 有識者会議のメンバーについては、お手元の資料のとおりでございます。
 この作業自体は委託事業として、そもそもこうした政策を検討しようということで、これは年末に作業いたしまして、正月明けから事業はもう始めております。その中で、有識者の皆様方との意見交換をしながら、そうした我々の作業に肉付けをするという形で今回、会議を設けるということでございます。
 また、ここで得られた成果については、経済財政諮問会議への反映や骨太の方針への反映、こういったこともできるものはやっていきたいと思っておりますし、既に経済財政検討ユニットという専門家の皆さんにも別途、作業いただいておりますから、こういったものも含めて様々、総括的にこういった作業をやりながら、より良い日本の姿というものを追求していきたいと考えているわけであります。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)春闘の集中回答日である来週13日に、政労使会議が開催されるとの報道があります。当日の協議の場ではどういったことを伝える方針でしょうか。
 春闘をめぐっては、これまでにホンダが過去最高の5.6%、松屋フーズが10.6%の賃上げを回答するなど、大手では大幅アップの賃上げ回答が相次いでいます。ただ、これまでも大臣がご指摘のとおり、経済の底上げには中小企業の賃上げが欠かせません。政府は昨年11月に労務費の価格転嫁に向けた指針を示しましたが、それがどの程度浸透したかについても、併せて大臣のご見解をお願いします。
(答)まずは、この春闘で賃上げを構造的なものにする。そして、この賃上げは、社会全体に対する、いわば物価が上がった分は、それに合わせてそれを上回る賃上げを実現する、これが当たり前だという社会通念をつくりたい。
 そのために、今回はまず春闘の結果がどこまで積極的なものになるか、労使が合意できるかということはとても重要だと思っておりますので、引き続き私たちはあらゆる方面で働きかけもしていきたいと思います。今朝は、建設産業の関係の皆さんと総理の下で官邸で会議を行いまして、そうした広く重層的な、先端に至るまでの賃上げや、それからそれを前提とするための取引価格の上昇、それから価格転嫁、こういったものをお願いしてきたところでございます。
 何よりも、大企業、それから春闘に参加する組合の皆さん、でもそれに入っていない方たちはたくさんいらっしゃるわけで。特に7割を占める中小企業の方々の賃上げが大事ですし、全国津々浦々までにそれが波及していかなければいけないと思っておりますので、まずは私たちが出しました価格転嫁のガイドライン、指針を徹底できるように、今までもやっておりました全国8ブロックでの企業向けの説明会ですとか、それから1,873あります業界団体に対するフォローアップをやっておりますし、特に対応が必要な22の業種については、自主行動計画の策定、それから転嫁状況の調査・改善を要請しているところでございまして、これらを更に引き続き地道に取り組んでいきたいと思っています。
(問)有識者会議についてお伺いしたいのですが、大臣は冒頭で、中長期的な目標を明確にしながらムーブメントのようなものができればというふうにおっしゃっていると思うのですが、まずスケジュールとして、初回の会議をいつ開くのかということと、骨太を見据えてというところもあるのかなと思うのですが、何か提言のようなものをまとめていくのか、どのようにこの有識者会議を運営していくのか教えていただけますでしょうか。
(答)まず、有識者の皆さんとの会議は、週明けの月曜日、11日に開催しようと思っています。先ほども申しましたが、有識者会議というのは日本の元気を創るための作業の有識者の部門とお考えいただいて。
 そもそもは、委託調査事業で、こうしたテーマのもとで年の暮れに一般競争入札の総合評価落札方式を行い、いわゆる総合評価の企画提案、コンペみたいなものをやりまして、それに基づいた作業がもう始まっておりまして、それに対しての、そのたたきをもとに有識者の皆さんに御意見を頂いて、それを踏まえた成果をつくっていくという流れになってまいります。
 速やかに作業しますし、また、この会議については、直接皆さんに集まっていただくこともあれば、オンラインを使ったり、様々なやり取りをしながらこの中身を詰めていくと、このように考えています。
(問)関連してもう一点なのですが、「経済財政検討ユニット」のほうもあると思うのですが、何か違いというか、そういったところを教えていただけますでしょうか。
(答)「経済財政検討ユニット」は、専門家の皆さんに実働していただく、そういう各界の専門家の皆さんがそれぞれのテーマを持ち寄って、みんなで議論しながらユニットとして成果物を出していただくことになっています。今、詰めの作業になっています。
 それは、まず目の前でやれること、それからその次にやるべきことというようなところの実作業をやってもらっているというのが状況です。
 一方で、この日本元気については、2030年を超えて40年、50年、そういった、私たちの少子高齢化が、また人口減少が更に進んでいった中で、それでも経済の運営方法を転換して、そして成長できるのかと。もしそうした社会があるならば、それはどういう工夫や、働き方や、社会の在り方、こういったものが必要なのかと。そのための実現の手段は何かと。こういうことを、今の先のことを議論する必要があるということで、こちらは、まずは調査研究として成果物をまとめながら、そこに有識者の御参加をいただいて、より幅広い知見を得るという構成になっているということでございます。
(問)話題は変わります。自民党の話題で恐縮ですが、今月4日からスタートした自民党の中堅・若手議員向けの「背骨勉強会」について伺います。歴史や国家観などを若手に学んでもらい、骨のある政治家になってもらうとの主旨の勉強会で、派閥解消が進む中で、派閥が担ってきた教育機能を党が代わって担う狙いもあるとのことですが、大臣は御自身ホームページで、小渕恵三元総理から送られた「政治家は背骨を持て」という言葉を大切にしてこられたと御紹介されています。
 正に今回、この名前を冠した勉強会がスタートしたわけですが、この勉強会が今後果たすべき役割への期待やお考えのようなものがもしあれば、御所見を伺いたいと思います。
(答)随分昔のことまで調べてもらって光栄に思います。
 今、このタイミングでこうした自民党の中央政治大学院がこういう講座をつくった、正に派閥はもう既に自民党では解消しました。それから、その後の政策勉強会については、まだ活動が始まっていない状態の中で、かつて派閥が担う機能の一つでもあった、そういう国家観や歴史観、それから我々が何のために政治をやるのか、それは国民のためであって、国のためであると。その実行手段が党だと。この順番を間違えるなというのが背骨です。その意味において、こういった講座が開催されるのかなというふうに推測をしております。
 私は正に、小渕先生からお話を頂きました。そして、それは竹下登先生からのお言葉だったとも聞いております。私たちが営々にして築いてきた、こうした日本の中で政治活動をする中で、常に私たちの仕事は、自分のためではなく、また党に帰属するためのものではなく、広く国家国民のためであれと、そのための主張をせよと。そして、それは、背骨は常に真っ直ぐゆがみなく伸ばしているものだと、その誇りを持てというのが、国会議員としてのまずは最初の心構えだということを、私はそのお言葉を伝えていただいて、「これはあなたに渡すから」と。だから、私は次の人にまたつないでいかなければいけないという気持ちもございますので、そういったことを根幹にしながら。
 しかし、それは独りよがりになってはいけない、独善的ではいけない。広く常に国民の声に耳を傾けて、そしてまた、野党であっても良い提案であればそれをきちんと受ける。立場が違っても、それぞれの立場からの御意見をきちんと受け止めながら、そして自分たちとしてどれができるかという、これは常に私は心がけているつもりなのですが、そういったことにつなげております。
 言葉どおりに完全に上手にできているかどうか、それはいつも自問自答がございますが、心構えとして、これは一番心棒に置いているところでございます。
(問)デフレ脱却に向けた質問をお願いいたします。先日発表されました需給ギャップは2期連続のマイナスとなりました。他方、内閣府が他に重視している、いわゆる4条件といわれるような消費者物価指数、GDPデフレーターはプラス、ユニット・レーバー・コストはちょっと弱い動きとなっておりますが、現状、これらを踏まえたデフレ脱却に向けた足下の状況をどう御認識されているでしょうか。
(答)GDPギャップにつきましては、まずは新型コロナによる急速な経済の落ち込みがありました。その後に、少し長い目で見ると、振れを伴いながらも改善傾向で推移している。しかし、賃金上昇が物価上昇に追いついていない、個人消費が力強さを欠いている、こうした条件に影響されて足下でのマイナスになったのだろうと、このように考えているわけであります。
 私たちは何度もお尋ねを受けているのですが、政府としての「デフレ脱却」というのは、「物価が持続的に下落する状況を脱し、再びそうした状況に戻る見込みがないこと」という状況であるかどうか。そして、「再びデフレに戻る見込みがない」かどうか、こういったことを見ながら社会的な状況としての経済動向というのを見据えようと。点の、一時の数字のことではなくて、全体のトレンドとしてそういうふうに力強い新しい経済の方向ができているかどうかを見ていきたいと思っているわけであります。

(以上)