新藤内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和6年2月21日

(令和6年2月21日(水) 18:37~18:44  於:中央合同庁舎第8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 「月例経済報告等に関する関係閣僚会議」の概要をご報告させていただきます。
 今月は、「景気は、このところ足踏みもみられるが、緩やかに回復している」ということで、先月までの判断から下方修正いたしております。
 我が国経済は、2023年の名目GDP成長率が5.7%、1991年の6.5%以来の高い伸びとなり、企業部門は業況や収益の改善が続くなど、引き続き好調であります。
 設備投資も、企業の投資意欲は旺盛であります。ただ、電気工事士等の建設技能者の不足が過去最高水準となっており、エレベーター等の電気設備の受注が増加しても、これをさばききれないという状況がございます。
 また、家計部門においては、物価上昇が緩やかになったこともあって、実質総雇用者所得に持ち直しの動きがみられております。その結果、消費者マインドが持ち直すなど明るい動きがあるわけです。
 ただ、賃金上昇がいまだ物価上昇に追いついておりません。したがって、個人消費の本格的な回復には至っていないという構造があるわけでございます。
 最新の景気ウォッチャー調査によりますと、本年の春闘における賃上げなど、経済の現場では、景気の先行きに対する期待感がみられております。
 こうした前向きな動きの芽を摘むことなく、日本経済を熱量あふれる新たなステージへ移行させるべく、政府として、総合経済対策に基づく対応を強化する。また、日本経済の課題と改善点に関して、国民の理解が深まるよう、丁寧に説明していくことが非常に重要だと考えております。
 この他、会議の詳細につきましては、後ほど事務方からのご報告を聞いてもらいたいと思います。私からは以上であります。

2.質疑応答

(問)政府は、日本経済には前向きな動きが見られて、新たなステージに移行する千載一遇のチャンスを迎えていると繰り返し訴えてきましたが、今回の月例経済報告では個人消費の判断が2年ぶりに下方修正されました。
 改めまして下方修正に至った理由と、日本経済の先行きリスクについて、大臣のお考えをお願いします。
(答)正に個人消費の判断が「持ち直しに足踏みがみられる」ということにいたしました。
 これは、賃金上昇が物価上昇に追いついていないといったことに加え、今年の冬は暖かい、暖冬により冬物衣服の商品が伸びていないということがございます。
 また、一部自動車メーカーの生産・出荷停止といった特殊要因もあって、1月の新車販売台数が減少している、こういったことが要因の中に含まれるのではないかと考えているわけであります。
 個人消費の先行きについては、雇用環境の改善や物価上昇が緩やかになったこともあって、実質総雇用者所得に持ち直しの動きがあると。それから、消費者マインドは持ち直すなどの明るい動きがございます。
 更に加えて、この春の春闘において、労使双方において昨年を上回る賃上げに向けた動きが見られることから、雇用・所得環境が改善する中で一時的な足踏みから持ち直しに向かうことに大きな期待ができるのではないかと考えているわけであります。
 また、設備投資につきましては、建設技能者の人手不足が供給制約となって深刻になっています。旺盛な投資意欲が、実際の投資に実現するまでには時間がかかっているが、機械投資の受注残が高水準にあって、製造業や運輸業を中心に建設工事費の予定額が増加しているわけであります。
 これらを踏まえますと、堅調な企業収益の下で今後持ち直しに向かうことも期待できるのではないかと考えているわけであります。
 こうした個人消費や設備投資の持ち直しを着実なものにするためには、何度も申し上げますが、私たちは日本経済を新しいステージに移行させていかなくてはならない。
 これまでのデフレではない、また、かつての高度経済成長とは違う、少子高齢化、人口減少下にあっても、それでも成長していく。また社会的課題をも経済の一環として考えて、全世代でもって日本の持続可能な、そして、元気でそれぞれの人たちが自分の豊かさや幸せを更に感じられるような、そういう国をつくらなければいけない。そのための経済のステージが必要で、今、その中の最も象徴的なのが、物価上昇を上回る賃上げの上昇率の実現。
 それから、潜在成長率を上げるという、生産性と設備投資をしっかり後押ししながら、労働改革を行って、皆さんが働きやすく、そして自分の能力に合った仕事と、そしてそれにふさわしい賃金を得られる、こういったものをつくらなければなりませんし、そのための新しい需要をつくるためのイノベーションやフロンティアも加味していく。
 私たちが総合経済対策で打ち出しているのは、そういった今の日本経済の原因、課題を分析して、そしてそれを改善するための、また新しい仕組みをつくるための提案を具体的に出させていただいておりますので、これをできる限り国民の皆様に丁寧に説明して共感を得る中で、私たちの日本の国の力が必要な方向に向かって集約させていくこと、こういう社会的な動きをつくれるように頑張っていきたいと考えています。

(以上)